英国ボーディングスクールから理系の名門大学インペリアルカレッジロンドンへ

 初めまして、Kenshuと申します。19歳で、香港で生まれ育ちました。幼少期から香港のインターナショナルスクールに通い、4年前からイギリスに留学しています。現在ロンドンのImperial College London(インペリアカレッジロンドン)でChemical Engineering(化学工学)を学んでいます。 留学の経緯:香港で生まれ育ち、イギリス留学へ 小さい頃、父のお仕事の影響で日本と香港を行き来していました。小学校から中学2年生までは香港のインターナショナルスクールに通っていました。途中、日本の中学受験をしたものの、香港に残ることにしました。2019年以降新型コロナウイルス感染症が世界各地で繰り返し流行り、深刻な問題になっている真最中、私はイギリス留学を決め、海を渡りました。2021年の9月に一人でイギリスに渡り、今までの4年間を過ごしてきました。 イングランド西部にあるConcord Collegeに進学 イギリスでの学校選びにはそれほどの時間をかけませんでした。いくつかの学校に応募し、最初に合格が決まったところに行くことにしました。私が行くことになったボーディングスクール(全寮制学校)はイングランド西部のShrewsbury(シュルーズベリー)にあるConcord College(コンコルドカレッジ)という高校です。 Concord Collegeの校舎 戸惑いとホームシックの日々 最初の数日は英語で流暢に話し合う生徒たちを見て、会話にうまく入れなかったです。イギリス英語特有のアクセントやスラングを理解しようと必死でした。英語は何年も勉強していましたが、実際に学業や日常生活で使うのはまったく別の経験でした。 戸惑いは言語だけではありませんでした。イギリスの気候は日本とは大きく異なり、灰色の空と頻繁な雨が毎日続き憂鬱でした。食事にも全く慣れず、食堂で出会ったのはシェパーズパイやジャケットポテト、フィッシュアンドチップスばかり。日本のご飯が恋しくてたまりませんでした。 Concord Collegeのグラウンド 寮生活の思い出 Concord Collegeでは70%が寮生徒、30%が現地生です。全寮生徒には一人部屋を与えられました。私がForm4(中学3年)、Form5(高校1年)にいたときは小さい部屋でしたが、Form 6(高校2、3年)に入るともっと大きい部屋を与えられました。そこで夜遅くまで友達とゲームをしたりするのが一番の思い出です。 毎朝7時半に点呼があり、8時にダイニングホールで朝食を食べます。8時半に授業が始まり、午後4時まで9時限(1時限35分)あります。その間に昼休みと中休みが挟みます。4時に授業が終わると自由時間になり、私は毎日自由時間に昼寝をしていました。 6時半から8時10分までの100分間はprep timeという自習時間があります。全生徒が教室などに集って自習します。最初はすごく面倒で退屈な時間だなって思っていましたが勉強が忙しくなるにつれ、とても重要な時間になってきました。prep timeが終わると10時まで課外活動やクラブ活動が始まります。 課外活動:バレーボールとサッカーに打ち込んだ日々 私は学校のバレーボールとサッカーのチームに所属していました。毎週火曜日と日曜日はバレーボールの練習です。水曜日には他校との親善試合があり毎週それに向けて練習をしていました。Concord Collegeでの一番の思い出はバレーボールチームにいたことかもしれません。 一緒にバレーボールに打ち込んだ仲間たちと サッカーは毎週日曜日の午後にトレーニングがありました。イギリスはサッカー大国なのでみんなすごく上手でAチームに入るのにすごく大変でした。最終学年になった時にやっとAチームのセンターバックのスタメンをもらって嬉しかったのを鮮明に覚えています。 Aチームは日本で言う1軍のことで、全部で50人以上いる部員から15人ほどしか選ばれません。Aチームに入るには基本的に監督による評価、練習試合のパフォーマンスなどを総合的に見て選抜されます。Aチーム以外にもBチームがあり主に下の学年の生徒たちが所属します。 日本と香港には無いイベントの数々 クリスマスやハロウィーンになるとディスコやパーティーがよく開催されます。日本や香港の学校ではあまりない経験だったので友達とディスコに行ったときは圧倒されました。学外からDJを呼んでいたのでやっぱりイギリスの学校はすごいな〜って思いました。 毎年11月5日にあるBonfire Nightという日には学校で大きな花火が打ち上げられ、すごく綺麗です。 Concord Collegeで毎年Bonfire Nightで打ち上げられる花火 GCSE:理系科目が得意で、文系科目は必死 Concord Collegeのカリキュラムは、私がそれまで経験してきたものとは大きく異なっていました。最初の2年間では、GCSE(イギリスの中等教育修了試験)に取り組みます。選択科目からはHistory(歴史)、Geography(地理)、Computer Science(コンピューターサイエンス)、Statistics(統計学)の4つを履修しました。それからPhysics(物理)、Chemistry(化学)、Biology(生物)の3つの理系科目、English(英語)、Mathematics(数学)、Advanced Mathematics(応用数学)を選択しました。私は理系だったので地理、歴史、英語などの科目は苦手で、他の生徒たちについていくのに必死でした。 Concord College で一番ユニークだなって思うところがSaturday Testsという制度です。毎週土曜日に3つの科目の小テストがあります。科目は毎週ローテーションします。例えば、1週間目はMaths、Physics、Biology、2週間目はGeography、History、Computer Science、3週間目はEnglish、Statistics、Chemistryという感じです。特に2週間目はエッセイ科目が多く、その週の月曜日に復習を始めていたのですごく苦労しました。 2年目の5、6月になるとGCSEの試験が始まり、週に3、4つテストがありそれが2ヶ月間続きました。合計25テスト(9教科)を終えた後、2ヶ月間の溜まった疲れがどっと出てきてそれからの1週間は何もやる気が起きなかったです。 2年間のGCSEカリキュラムを終え、そのままConcord CollegeでA-levelに残ることを決めました。 A-Level:科目数が減り、内容が難しくなった イギリスでは2年間のGCSEを終えた後A-levelカリキュラムに2年間取り組みます。A-levelでは数学、応用数学、物理、化学を選びました。どれも理系科目で自分の得意分野でもあり、大学でChemical Engineering(化学工学)を専攻したいと思っていたのでこの4つを選択しました。 選択する科目がGCSEより少ない分、内容は難しくなり、特に物理は理解するのにすごく時間がかかりました。A-levelでもSaturday Testsは引き続き実施され、毎週2科目になりました。A-levelではGCSEとは違って授業がないfree periodという時間も増え、より自由な時間割になりました。でも私は勉強ではなくほとんどの時間を寮に戻って昼寝をしていました。 GCSEと同様、A-levelを始めてから2年目の5、6月になると試験があり、6月末までに10テストを終えました。志望大学の進学条件で、私は化学で最高評価のA*をとらなければいけなかったので化学の試験当日は落ち着かなかったのを覚えています。化学のA*を取るには90%以上得点する必要があります。そのため、化学の復習には他の教科より多くの時間を費やしていました。 A-levelが終わるとConcord Collegeから卒業し、夏休みに入りました。 https://jp.education-moi.com/boarding-schools/uk#a-level 高校の勉強と両立しながら挑んだ大学受験 私はイギリスの大学に行きたいという思いが昔からあり、Personal statement(志望理由書)などの準備に力を入れていました。Engineering and Science Admission Test(ESAT)※の勉強だったり面接の準備だったり色々なことをやる必要がありました。Concord Collegeにいた最後の年は勉強と受験対策の両立で忙しくて大変でした。2025年の1月に運よくImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)からのオファーレターをもらうことができました。今でもその瞬間だけは忘れられないです。 ※ESATは、University of Cambridge(ケンブリッジ大学)やインペリアルカレッジロンドンなどの理工系学部への出願者に課す入学試験です。 https://esat-tmua.ac.uk/about-the-tests/esat-test インペリアルカレッジロンドンに進学 今年の9月にImperial College Londonに入学し、化学工学を専攻しています。 今はロンドンで大学生活を送っていますが、振り返ってみると15歳でイギリスに渡ったとき、不安だらけでした。言葉も文化も違う環境に飛び込んで、自信をなくしたこともあります。でも、その経験を通して、今まで気づかなかった自分の強さや、新しい視野を得ることができました。これからも留学に関する情報や経験を共有していき、少しでも同じ道を考えている皆さんの参考になれたらうれしいです! https://jp.education-moi.com/article-50-imperial

イギリス留学生のバイト事情: 必要な手続きから学業との両立まで

はじめに こんにちは!Kotokoです。今回は、正規留学生としてイギリスで暮らす私が体験したバイト事情についてお話しします。私がバイトを始めたきっかけは、ファウンデーションコースに通い始めた頃、たまたま日本食レストランの前を通りかかり、店頭に貼られていた求人チラシを見つけたことでした。そこから応募し、現在もそのレストランで働いています。 https://passport-to.com/articles/16/ この記事では、私自身の経験や大学の友達の話をもとに、イギリスで留学生が働くための条件や、実際の仕事の様子、バイトを通して得たこと・大変だったことなどをリアルにお伝えします。 イギリスでバイトをするための条件 イギリスで実際にバイトを始めるには、いくつかのルールや準備が必要です。ここでは、私自身の体験をもとに、バイトを始めるためにまず知っておくべき基本的な条件についてご紹介します。 働ける時間の制限 イギリスでは、 Student Visa(学生ビザ)を持っていればアルバイトが可能です。ただし、働ける時間には制限があります。 私がファウンデーションコースに通っていた時は、週10時間以内という規定がありました。一方、学部生(大学生)は週20時間以内まで働くことが認められています。 なお、冬休みや夏休みなどの長期休暇中は、この時間制限が解除され、フルタイムで働くことも可能です。 National Insurance Number(NIナンバー)の取得 イギリスで正式に働くには、National Insurance Number(国民保険番号/NIナンバー) が必要です。これは、日本でいうマイナンバーや年金番号のようなもので、納税や保険の記録に使われます。 取得はオンラインで可能で、手元にパスポートを用意しておく必要があります。申請フォームに従って、名前・住所などの個人情報を入力していきます。申請が完了すると確認メールが届き、2〜4週間ほどでNIナンバーの書類が郵送されてきます。 申請ページはこちら(英語): https://www.gov.uk/apply-national-insurance-number 銀行口座の開設 バイトの給料を受け取るためには、イギリス国内の銀行口座が必要です。 私は父のすすめで、ネット銀行(オンライン銀行)のMonzo(モンゾ)を選びました。口座開設はとても簡単で、すべてアプリ上で完結します。 Monzo口座の開設手順: アプリをダウンロード メールアドレスを入力し、届いたリンクから認証 名前・生年月日・住所・携帯番号(SMS認証)を登録 職業・収入・住居・NIナンバーなどを入力 パスポートなどの身分証明書、顔写真、指定された動画を撮影してアップロード(本人確認) PINコードと配送先住所を設定 数日でデビットカードが自宅に届く(私の場合は1週間以内でした) カードが届く前でも、スマホのタッチ決済(Apple PayやGoogle Pay)で支払い可能なので安心です。 バイトを始めるまでの流れ イギリスでバイトを始めるには、日本とは少し異なる手順や文化があります。最初は戸惑うかもしれませんが、流れを知っておくことでスムーズにスタートを切ることができます。ここでは、実際に私が体験したバイトを始めるまでの流れをわかりやすく紹介します。 求人の探し方 イギリスでの主なアルバイト探しの方法は、日本と少し似ています。代表的なのは以下のようなものです: Indeed:日本にもある有名な求人サイトのイギリス版 MixB:イギリス在住の日本人向け掲示板で、求人情報も多く掲載 お店に貼られている求人ポスター 友達の紹介 大学内の求人(キャンパス内の仕事など) 私は日本食レストランの店頭に貼ってあった求人ポスターをたまたま見つけて、そこに書かれていた連絡先に直接応募しました。 CV・カバーレターの準備 イギリスでは履歴書のことをCV(Curriculum Vitae/カリキュラム・ヴィタエ)と呼びます。記載内容は、日本の履歴書と似ていて、名前・連絡先・学歴・職歴・スキルなどです。 私はCanva(キャンバ)という無料アプリを使ってCVを作成しました。テンプレートが豊富で、おしゃれで見やすいCVが簡単に作れるのでとてもおすすめです。 職種や応募先によっては、カバーレター(志望動機書)の提出が求められることもあります。カバーレターにはなぜその仕事に応募したのか、自分がどう貢献できるかなどを簡潔にまとめます。Microsoft Wordなどで作成するのが一般的です。 応募・面接・トライアルシフト 求人情報に沿って応募したら、いよいよ面接へ……と言いたいところですが、実際には応募しても返信がこないことがよくあります。 私の大学の友達も10件応募して1件返事が来るかどうかというくらいの感覚で応募していました。なので、落ち込まずに数を打って根気よく応募することが大事です。 返信が来たら、次は面接の日程調整です。私の場合、面接では以下のような質問をされました: なぜ応募したのか(志望動機) アルバイト経験の有無 自分のスキルや長所 どのくらい働けるか(週何日、何時間など) 英語での面接は緊張しますが、事前に聞かれそうな質問の答えを準備しておくと、落ち着いて受け答えできます。 さらにイギリスでは、Trial shift(トライアルシフト)と呼ばれるお試し勤務が行われることがあります。これは採用前に1〜3時間程度、実際の職場で働いてみる制度です。職場との相性や仕事への適性を確認するためで、無給の場合が多いです。 その場で採用が決まることもありますが、後日連絡される場合や、不採用になることも普通にあります。トライアルまで行って落ちると落ち込むかもしれませんが、イギリスではよくあることなので、諦めずに応募を続けることが大切です。 私のバイト経験談 イギリスに来てから、勉強だけでなく実際に働くことで得られる経験にも興味がありました。ここでは、私が実際にバイトを通してどんな仕事をしてきたのか、英語での接客や職場の雰囲気など、リアルな体験を紹介していきます。 仕事内容・時給 私の職場は日本食レストランで、ホールスタッフ(イギリスでは「Server(サーバー)」と言います)として働いています。主な仕事内容は、オーダーを取ること、料理の配膳、そしてお会計などです。料理名は日本語が多く、スタッフにも日本人がいるため、英語にまだ自信がなかった私でも比較的働きやすい環境でした。まかないも出るので、食費の節約にもなって助かっています。 時給は£13.85(約2632円)※で、イギリスの最低賃金(2025年4月現在£12.21)よりも少し高めです。私の職場ではチップを受け取ることがルール上できませんが、イギリスのレストランによってはチップがあるところもあります。友達のバイト先では、お店の売上に応じてその日のチップをホールスタッフとキッチンスタッフで均等に分けているそうです。 ※1ポンド=190円で計算 英語での接客対応 英語での接客に最初は毎回緊張し大変だったことを覚えています。しかし使うフレーズはだいたい同じで慣れれば自信をもって接客できるようになりました。日本に比べてビーガン、ベジタリアンの人が多く、メニューについて質問されることがよくあります。そのため、料理に使われている食材を英語で覚えたりメニューについて説明したりできるようにすると完璧だと思います! 職場、お客さんの雰囲気 私の職場では、日本人だけでなくさまざまな国籍の人が働いているため、最初は英語でコミュニケーションを取りながら仕事をするのに苦労しました。日本では当たり前だと思っていたこと(たとえば時間を守ることなど)が、こちらでは必ずしも当たり前ではない場面もあります。でも、そういった違いも含めて、日本ではできないような貴重な経験ができていると感じていて、今は楽しく働いています。 同僚とパブで お客さんの雰囲気は、日本よりもフレンドリーな人が多い印象です。日本食レストランということもあり、日本に興味を持っている方が多く、話しかけてくれることがたくさんあります。そうした会話を通して、英語力も少しずつ上達していると感じます。ただ、たまにホームレスの人が店に入ってきて暴れるので、日本に比べると少し治安に不安を感じる場面もあります。 バイトを通して感じたこと 留学生活の中でバイトをしている私の感想を2つ紹介します。 学業との両立の難しさ テスト期間や課題の提出締切が近づくと、どうしてもやることが増えてしまい、バイトとの両立が大変になります。私も実際、忙しい時期は時間のやりくりに苦労しました。そのため、テスト前のシフト調整がしやすく、学業を優先させてくれる柔軟な職場をあらかじめ選ぶのがおすすめです。 お金の使い道と自由度 バイトを始めると、お給料が自分のお金として自由に使えるようになります。そのおかげで、好きなものを買ったり、友達とおいしいごはんを食べに行ったりと、イギリス生活がさらに楽しくなりました。特に、イギリスからヨーロッパ諸国への旅行も比較的安く行けるので、私はバイトで貯めたお金を使って旅行に行くのが最近の楽しみになっています! スペインのSagrada Família(サグラダ・ファミリア) ギリシャにあるサントリーニ島に行ったときに訪れたレストラン バイトをするうえでの注意点 私がバイトを始めるうえで特に大切だと思う、最低限注意しておくべきポイントを2つ紹介します。 労働条件の確認 イギリスでバイトをする際に特に注意したいのが、労働条件の確認です。まず、交通費が支給されないのが一般的なので、自分で通勤費用を負担する必要があります。また、まれに給料の未払いが発生することもあるため、給与がきちんと支払われているかをしっかりチェックしましょう。さらに、最低賃金より低い時給で働かされるケースもあるので、応募前にその職場の時給がイギリスの最低賃金を満たしているか確認することが大切です。 応募の厳しさとメンタルの大切さ 先ほども紹介した通り、イギリスでは応募しても返信がなく、面接やトライアルシフトに進むだけでも一苦労ということがよくあります。また、ようやく採用されてもシフトが徐々に減らされ、最終的には働けなくなる(事実上の解雇)ことも珍しくありません。だからこそ、落ち込むことも多いかもしれませんが、これはよくあることだと割り切り、強いメンタルを持って挑むことが大切です。 まとめ 私は学生でありながらアルバイトを経験し、大学での学びと同じくらいたくさんのことを肌で感じ、勉強になりました。日本とは異なる国で働くのは大変ですが、とても刺激的で、英語力だけでなくさまざまな面で成長できると感じています。アルバイトを始めてから交流の幅も広がり、本当に始めてよかったと思っています。大学生は勉強で忙しいので、学業を優先し無理しないことが大切ですが、興味がある方はぜひ挑戦してみてください。一緒に頑張りましょう!

イギリス留学5年目、UCL生の1週間をのぞき見してみる?

「ロンドンに留学しています」 こう話すと、たいてい「オシャレ!」「楽しそう!」と返されます。でも実際はどうかというと、うーん……。楽しいこともありますが、毎日そんなキラキラしていないです。授業と課題、自炊とバイト、たまにやってくるホームシックと日照不足。SNSでは見えない部分が、この生活にはたくさんあります。そんな時間も全部ひっくるめて、私の留学生活を作り上げています。 今回はそんなリアルな1週間を紹介してみようと思います。これから留学を考えている人、留学生は1日をどう過ごしているのかが気になる人に届いたらうれしいです! 自己紹介:イギリスの高校からUCLへ 私は京都出身の20歳。2020年に渡英し、高校に入学。卒業後、University College London(UCL)に進学して、現在大学2年生。専攻は社会科学系で、経済や国際法、数学に環境学まで幅広く勉強しています。 https://passport-to.com/articles/3/ 住んでいるのはロンドン。都会だけど自然が多く、4月に入ると暖かくなってくるので休日には公園に行ったり、カフェの外のベンチでゆっくりしたりするのがお気に入りです。こういうひと時に、「ああ、私いまロンドンで生きているんだな」としみじみ感じます。 月曜日:全休だけど、むしろ一番ハード?! 週で唯一、授業がない全休の月曜日。だけど11時から22時までバイトしています。日本食レストランでホールを担当していて、立ち仕事+スピード勝負で、終わる頃にはいつもヘトヘト。 出勤前には、勤務先の近くにあるグリーンパークに寄って、一息つく時間をとっています。目を閉じながら深呼吸して、「今週も頑張ろう」と自分に言い聞かせています。この時間、地味に救いです。 バイト先では賄いで日本食を食べられるから幸せです!やっぱり誰かが作ってくれるご飯は美味しい。 いつもバイト前に寄るグリーンパーク 火曜日〜金曜日:授業、自習、バイト、グループ課題 火曜日から金曜日までは、授業がぎっしり……というわけでもないのですが、課題や自習、ミーティングで結局毎日フル稼働しています。 火曜日 11:00〜国際法の講義 午後:カフェや図書館で勉強 16:00〜グループ課題のミーティング 夜:友達とディナー🍽 授業やミーティングが入っていますが、他の日と比べるとちょっと余裕があります。友達と夜ご飯に行けるのはうれしくて、ご褒美タイムです。 友達と行ったカフェ 水曜日 日中:データベースの講義→中国語のセミナー 夜:課題の読み物+グループ課題のオンラインミーティング イギリスの大学は授業時間(コンタクトアワー)が少ないです。その分、自習や文献調査など自分でやる部分が多くて荷が重いです。コマ数が少なくても、全然ラクではありません。特にテスト前やレポート提出前は、ものすごいプレッシャーに押しつぶされます。 そして水曜日の夜に入りがちな予定は、グループ課題のミーティングです。日中はそれぞれ授業などがあり、なかなか集まれません。その結果、夜10時スタートなんてこともしばしば。でも、その中で「こんな考え方があるんだ!」と刺激を受けたり、ちょっとした雑談で笑ったりする時間が、実はわりと好きなのです。 木曜日 日中:経済・数学とデータベースの授業 帰宅後:連載原稿を書いたり家庭教師の準備をしたり 経済の2時間講義と数学で頭がパンパンになる日。でもこういう日は、「今日はこれだけでOK」と自分に言い聞かせるのが大事だと思っています。全部完璧にやろうとするとパンクしますからね。 金曜日 午前:数学の講義 午後:家庭教師 夕方:友達が出演している演劇を観に行く! ロンドンはミュージカルの街としても有名で、観光地としても超人気です。 私はそこまでミュージカルガチ勢ではありませんが、友達にすごく才能ある子がいます。その子が大学の演劇に出演しているのでたまに観に行きます。知人が舞台で輝いている姿を見るとなんだか不思議な気持ちになりますね。「私たち、同じ大学生だよね……?」と思ってしまうくらいプロ顔負けで、純粋に尊敬します。そしてふと、「こんな文化が身近にある街で学んでいるんだな」と、ありがたみを再確認する機会になります。 留学生活の何気ないこういう瞬間に気づきがあるから面白いのです。 土日:ちょっとリセット、でも完全には休めない 土日は授業がないです。その分、平日にはできないことにまとまった時間が使えます。休みつつも、やらなければいけないことが多いです。 土曜日 午前:平日にできなかった掃除、洗濯、買い出し 午後:ロンドン市内をぶらぶら、サンプルセールやカフェ巡り 夜:Netflixでだらだらタイム 日曜日 午前:毎週恒例、お母さんとのビデオ通話(時々、東京で大学生をしている姉も登場) 午後〜夜:翌週の予習、授業のノート整理 一人暮らしで一番つらいのはやはり孤独感に襲われることです。だから家族とつながる時間は本当に大事です。ちょっとした愚痴でも、誰かが聞いてくれるだけで気持ちが全然違います。 あとは普段忙しくてできないような込み入った料理を作ってみたりしながらリラックスします。 週末に時間をかけて作る料理 留学生活の工夫いろいろ イギリスでの生活は日本と異なる部分が多く、無理し過ぎず自分に合った習慣を見つけることが大事です。ここでは私が実践していることを紹介します。 食費節約術: 自炊が基本。野菜+卵は最強コンビで、最近はキャベツと卵のオイスターソース炒めが定番メニュー。アジアンスーパー、ほんとありがたい 時間管理: GoogleカレンダーとToDoリストで、予定とタスクを見える化 冬のメンタル対策: ロンドンの冬は暗い。光目覚まし時計、カフェの明るい照明、外に出て歩く、など試行錯誤中 光目覚まし時計 ロンドン2年目の今、少しだけ「バランス」がわかってきた ロンドン暮らし1年目の去年は、物価の高さにびっくりしました。この大円安時代においてなおさら、何もかも高く感じます。そんな中で「節約しなきゃ……」と焦り、あまり楽しめなかった部分もあったと思います。 特に周りには派手で華やかなライフスタイルを送ってる人が多く、「羨ましいな〜」と思ってしまったり、自分と比べてしまったりすることがよくありました。 でも2年目に入ってから、少しずつ自分に合ったバランスがつかめてきた気がします。例えば普段から以下のようなことをしています。 平日は基本、自炊。コーヒーも家で淹れて、タンブラーで大学へ持参 カフェはご褒美として週1〜2回くらい 週末はちょっといいレストランやバーで友達と過ごす ロンドンで学生生活を送れるのは人生の中でも限られた時期だけです。将来社会人になって、ロンドンにいられる保証はないからこそ、今しかできない経験をしておきたいと思うようになりました。 平日に作る料理 週末の味方:図書館と、がんばる人たちの背中 ありがたいことに、UCLの図書館は週末も開いています。場所によっては24時間利用可能で、深夜も灯りがついています。 私は夜型ではないため遅くまで残りませんが、土日も使えるのは本当に助かります。そして何より…… いつ行っても図書館は混んでいます。 みんな黙々と課題に取り組んでいる姿を見ると、「よし、私も頑張ろう」と自然と思えるんですよね。たぶん、勉強のモチベーションは環境の影響が大きいと思います。 人とのつながりは、何よりのライフセーバー 留学生活で一番大切だと思うのが、「人とのつながり」です。 しんどい時に「大丈夫?」と声をかけてくれる友達 情報をシェアし合える仲間(例:穴場カフェ、学割が使えるミュージカルなど) 「なんか最近落ち込んでいるな」と察し、ランチに誘ってくれる友達 こういう小さな支えの積み重ねが、留学を続ける力になっていると思います。 最近は就活も少しずつ意識し始めていて、コネクションがより重要になっていると感じました。助け合いは情報の共有から生まれることも多いのです。だから情報を持っている人と話す、自分もシェアするという姿勢は、これからもっと大切にしていきたいと思います。 🎓 最後に 留学生活はSNSで見るよりずっと地味だし、孤独だし、大変です。でも、その中で「どうやって自分の生活を整えるか」を少しずつ学んでいます。「今日は頑張ったな」と思える日も、「何もできなかった……」と落ち込む日も、どっちもあっていいと思います。完璧じゃない生活の中で、ふと見つけた自分だけのルーティンや居場所が、私にとっての“留学の醍醐味”かもしれません。 これから留学を考えてる人にとって、ほんのちょっとでも参考になったらうれしいです。そして、今留学中でバタバタしてる人へ──「がんばっているの、ちゃんと自分が知ってるよ」とお伝えしたい。 https://passport-to.com/articles/7/

LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)現役生 | 英語との出会い〜イギリス留学まで

こんにちは。ロンドンにあるLSE(London School of Economics and Political Science)に通う大学1年生のRunaです。日本の中学校とイギリスのボーディングスクール(全寮制学校)を卒業し、現在に至ります。  英語に出会って、留学をしてから私の人生がガラリと変わりました。イギリスで何を学び、何を感じ、何が変わったのか。そんなことをこれからお話ししていけたらいいなと思います。  カナダで短期留学: 他国の生徒の英語力に圧倒され 中学2年生の時に初めてカナダのサマースクールに2週間参加しました。勉強がメインのプログラムで、英語だけでなくカナダの歴史なども学びしました。英語がほとんど喋れなかった私は他の国からの留学生とカタコトで喋るのが精一杯でした。 そこで目の当たりにしたのは英語がものすごくできる留学生たち。同じ年齢でも、みんな流暢に英語を話します。自己主張も強く、授業中にみんな手を挙げて発言していました。同じアジア人で母国語は英語ではないにもかかわらず、同世代の子たちがコミュニケーションを取れている!と驚きました。  この時、英語は違う文化で育ってきた人を繋いでくれるんだと気づき、「もっと英語が上手くなりたい」「もっと話せるようになって他の文化や国について知りたい」と決意しました。 高校からの留学を決意した理由と海外への憧れ  サマースクールをきっかけに、他の外国人留学生に感化され、それまで以上に海外への憧れを抱くようになりました。小学生の頃から周りの友達が単身で海外へ行き、帰ってくるたびにネイティブのように英語を喋っていました。そういう姿を見て、私も将来は留学したいと思っていたのですが、実際に短期留学をしてから初めて本格的に留学を決意しました。 義務教育までは日本で受けてほしいと親から言われていたので、中学校は日本でした。でも自分の中では一刻も早く行きたかったので中学卒業時に高校留学を決めました。憧れと思いつきから始まった高校からの留学でしたが、親と何度も話し合いを重ね、理解と応援を得ることができました。そして、ようやく留学への気持ちが固まり、一つずつ準備を進めていきました。 イギリスという国に留学先を決定  アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなど、英語圏の国を中心に留学先を考え始めました。イギリスに決定した理由は、  ボーディングスクール(全寮制学校)の数が他の国と比べて圧倒的に多い  国自体の歴史が古く、伝統がある バレエやミュージカルなどの文化が根強く、私の好きなことが生活の中にある  ブリティッシュイングリッシュのアクセントがかっこいい  治安が比較的良い  日本人留学生が他の国に比べて少ない  美術館やお城など、歴史的建物が点在していて、日本では見られないような光景が広がっている  という憧れがあるからでした。  通っていたボーディングスクールの校舎 ボーディングスクールでGCSEとA-levelを修了 GCSEとA-Levelの4年間、イギリスの地方にあるボーディングスクールに通いました。A-levelでは別の学校に通ったので1回6th formを受験しました。詳しい受験プロセスは別の回で紹介したいと思います。  寮生活した高校時代は人生でまた二度と体験のできない、とても充実した濃い時間でした。一番成長できた日々でもあり一番辛かった日々です。  通っていたボーディングスクールの校門 https://jp.education-moi.com/boarding-schools/uk#a-level LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)経済・経営の学びとロンドン生活 ボーディングスクールを卒業後、ロンドンにあるLondon School of Economics and Political Science(LSE)に進学しました。現在は大学1年生として経済と経営を学んでいます。大学生活はボーディングスクール時代とはまったく異なります。入学から1年が経った今振り返ってみると、本当に学びの多い1年間でした。 ボーディングスクールとの一番の違いは、すべてのことが自分次第であるという点です。スケジュール管理、課外活動への参加、宿題の量やタイミング、私生活と学業のバランスなど、どれも自分から動かなければ何も始まりません。誰も代わりにやってくれない、というのが大学生活の現実です。  特に誘惑の多いロンドンという街で、すべてが自己責任という環境は多くの気づきを与えてくれました。  ロンドンの大学生として見る日常生活の光景 以上、私の高校留学から大学までの経緯をまとめてみました。これからそれぞれを深掘りして書いていけたらいいなと思います。  https://www.lse.ac.uk

数学を「深く考える」イギリスの大学・大学院で数学を学ぶ日本人インタビュー

今回は、Imperial College London(インペリアルカレッジロンドン)のMasters(修士課程)で、Mathematics(数学)を履修している岡野くんにインタビューしました。岡野くんとはKing’s College London(キングスカレッジロンドン)のUndergraduate(学士課程)時代に、大学のJapan Society*で知り合い、今はフラットメイトとして一緒に生活しています。 大学時代、僕はLiberal Arts(リベラルアーツ)、いわゆるArts and Humanities(文系)の科目を履修していました。基本的に理系、特に数学には昔から苦手意識があり、岡野くんは自分とは全く違う世界にいる印象を持っていました。しかし、今回インタビューをして実際にどんなことを学び、何を感じているのかを詳しく聞けたことで、数学の実態が少し分かったような気がします。数学をイギリスで勉強することに興味がある方や僕のように文系だけど、数学の魅力を感じてみたい方にとって、この記事が学びの様子を知るきっかけになれば幸いです。 *Japan Society=ソサエティは日本の大学でいうサークルのようなもので、Japan Societyは日本人や日本の文化に興味がある人が交流するコミュニティ 「数学」という分野 Q:最初に、大学時代、何学部に所属していたか、今は大学院で何を勉強しているか教えてください。 僕はKing’s College LondonでNatural, Mathematical & Engineering Science(自然科学、数学、工学数学)という学部で勉強していました。去年キングスカレッジロンドンを卒業して、今はImperial College LondonのMastersでPure Mathematics(純粋数学)を専攻しています。Pure Mathematicsっていうのは、数学的な構造や法則そのものを探究する分野です。実社会での応用を目的とするのではなく、定義、命題、証明を追究する、いわば数学そのものを考えるための学問です。大学院はより難しい大学でチャレンジして、そこからPhD(博士号)の取得にも繋がりやすそうだと思い、別の大学でMastersをすることにしました。 https://jp.education-moi.com/article-50-imperial Q:大学時代はどのようなことを勉強していましたか? 数学の理論的な部分を中心に、定義や証明、そこから導かれる定理を深く追究していました。King’sは特にGeometry(幾何学 - 図形や空間の性質について研究する数学の分野)に力を入れている大学で、Topology(位相幾何学 - 形の“つながり”や“連続性”に注目する数学)について詳しく学べたことはすごくアドバンテージになったなと思っています。 授業と研究内容 Q:Mathematicsの授業スタイルってどのような感じなんですか? 学部ではLecture(レクチャー - 講義)が中心で、先生が教科書をもとに進めていくスタイルです。加えて、Seminar(セミナー)形式の実践的な授業もあり、そこではPhD(博士課程)の学生と一緒に問題を解きます。特に試験対策になるような応用的な演習が多かったです。 岡野くんの代数学のノート Q:文系の場合、大学のFinal Grade(最終成績)はExam(試験)やCourse work(宿題)、プレゼンテーションだったり色々な課題で測られますが、Mathsの成績採点ってどんな感じなんですか? えーとExamが成績の100%です!辛いです笑。もっと応用的な分野だったら、成績の40%ぐらいをCourse work*が占める場合もあるけど、基本的にはExamが中心ですね。キングスで勉強していた時、最終年には「King’s Project」と呼ばれる研究プロジェクトがありました。自分で設定したテーマを研究する、小論文のようなものです。 *Course work=コースワーク - 宿題のようなもの Q:Mathsのプロジェクトってどんなものを研究するんですか? 大学で僕はWaring’s Problem(ウェアリングの問題)を研究しました。1770年にイギリスの数学者のEdward Waring(エドワード・ウェアリング)という人が提唱して、実際に解かれるまで130年ぐらいかかった問題です。 Q:... ? 一言で言うと、whether every natural number can be expressed as a sum of a fixed number of kth powers of natural numbers, for any integer k≥2. (「すべての自然数は、k乗の数(平方数、立方数、4乗数…)の和で表せるのか?」)という問題です。 Q:はい...? この世の中の自然数って、実は4つ以内の平方数で表せるんです。何かランダムな数字を言ってみて? Q:39! 39は36(6²)+1(1²)+1(1²)+1(1²)で表せます。 じゃあこれが3乗(立方数)になった場合は、どうなるか? 27(33)+8(23)+1+1+1+1で表せる。立方数になると7つ以内で表せます。 じゃあこれ以降は?k乗の数が増えていくとどうなるのか?最大で何個まで足せば、必ずどんな自然数をもk乗の数の合計で表せるようになるのか?そういうことを求める問題です。 Q:なるほど!わかりやすい。これだった自分が中学の数学で勉強したこととかを使ってでもできそう。 そう!特にNumber Theory(数論)の分野って、一見意味がわからないようなことをやっているように思えても、中学や高校で学んだ数学をより高等な技術で再構築している感じなんです。 数学に魅了され Q:数学に興味を持ったきっかけって何だったんですか? Quadratic Formula(2次方程式の解の公式)って覚えてる? Q:こういうやつですよね。 そう。これがなぜそうなるのか、中学校の時に自分で導き出せたことがあったことがきっかけです。(https://sugaku.fun/quadratic-equation5/) 母親が運転する車に乗っている時、ふと自分で証明できました。 Q:すげー! 高校に入ってからも数学の大会に出る機会があって、そこから数学の分野にのめり込んでいった感じです。純粋に数学の問題を解く、証明するのが楽しいっていうのがMathsを追究していきたいと思った大きな理由でした。 イギリスの大学で数学を学ぶ意義 Q:大学でMathematicsを勉強することを決めた上で、なぜイギリスの大学を選んだのですか?イギリスの大学で数学を勉強するメリットってなんだと思いますか? そもそも自分は国外に出て、英語で勉強したいという思いがまずあったからイギリスを選びました。イギリスだとどの大学にも世界的に有名な教授がいたりします。例えばUniversity of Oxford(オックスフォード大学)にはFermat’s Last Theorem(フェルマーの最終定理)を証明したAndrew Wiles(アンドリュー・ワイルズ)教授などのレジェンド級の教授達が在籍しています。 Q:聞いたことある定理!解かれるまでに300年ぐらいかかった問題ですよね。なるほど。先生で大学を選ぶっていうこともあるんですね。文系の学生が大学を決める時にはない感覚かもしれないです。 うーん。自分の興味のある分野を把握して、そこの有名な教授で志望校を決めるみたいなこともあるけど、注意点はあります。先生って色々な大学を転々とするので、自分が入った時とか最終学年とかになって、気になっている先生が大学からいなくなっている場合もあるのでリスキーかもしれない。そこは気をつけないといけないと思います。 数学を学んで感じたこと Q:今、大学院に上がってMathsを続けて勉強していて、大学から変わったなと感じる部分はありますか? 単純に内容量やレベルが上がったのはあります。他にも前提知識みたいなものが増えて、授業スピードが上がるので、勉強は大変になりましたね。 Q:同じ学問をKing’s College LondonとImperial College Londonの2校で勉強している中で、大学間でのMathsの授業スタイル・教え方の違いなどは感じましたか? Imperial College Londonの方がより先生がストイックな気がします。短時間の授業で色々なことをカバーするので、スピードがとにかく速い。一方、キングスの先生は優しくて、ゆっくり丁寧に教えてくれたかな。他にもインペリだと、授業以外で数学に触れられる時間がキングスよりも多いです。他の大学との交流会があって、University of Warwick(ウォーリック大学)とお互いに研究内容を発表し合うイベントもありました。 Q:イギリスでの学びを通して、自分の中の価値観や姿勢が変わったと感じる部分はありますか? はい。特に「考えること」に対する姿勢が変わりました。やはり数学って「どう考えるか」「なぜそう考えたのか」というプロセス自体が凄く重視されます。学びを通じて、僕自身も単に答えを求めるのではなく、「問いを立てること」「考え続けること」の重要性に気づくきっかけになりました。同じ志を持った仲間が周りにいると、それだけでモチベーションが上がるし、日々の学習の刺激にもなります。教授のレベルも驚異的だったりします。すごい人は本当にありえないレベルです。どんな質問にも即座に正確に返してくれるんです。そういった本当に頭のいい人たちの中で学べるのは貴重な体験です。多文化環境の中で数学を学ぶことで、様々な価値観に触れ、自分の考え方も広がったなって感じます。 数学を学ぶ上で必要な特質 Q:数学を学ぶことに向いているのはどんな人だと思いますか? 僕は大きく分けて3タイプいると思います。一つ目は数学が好きな人。特に証明や定義、ロジカルな部分に面白みを感じる人。二つ目は数学が得意な人。これは他の分野に特に興味がないけれど、数学の力を何かに応用したいと思っている人です。僕が勉強した分野はPure Mathematics(純粋数学)でしたが、Mathsには他にもBiomathematics*やApplied Mathematics**みたいに色々な分野があります。Mathematicsは大学1年目で、他のNatural Science(自然科学)の分野で習う数学の内容を全部カバーしてくれたりするので、大学後のキャリアに繋げることもできたりします。そもそも論理を組み立てる力っていうのも養うことができますしね。で、最後は暇な人。 *Biomathematics=生物数学 - 生物学的現象を数理モデルや数式を用いて解析・予測する分野**Applied Mathematics=応用数学 - 現実世界の問題を数学的に定式化し、解決に導くことを目的とする分野 Q:笑笑 いや、でも本当に。究極的には、数学って紙と鉛筆と自分の頭だけで無限に楽しめる「最強の暇つぶし」なんです。広大なラボや膨大な量の本もいらないからコストがかからない。でも、その中でフェルマーの最終定理みたいな300年かけても解けない問題がまだ存在したり、Millennium Prize Problems(ミレニアム懸賞問題)という一つの問題に100万ドルの懸賞金がかけられていたりする世界なので、自分で考えて問題に挑戦すること自体が面白いっていうのはありますね。 Q:一緒に暮らしていて気づいたけど、すごい長い時間をかけて宿題とかやってるよね。1ヶ月間ぐらいあった試験期間とかは本当に大変そうなのが伝わってきました。 Mathsに興味ある人って、忍耐力が本当に必要だと思います。僕は一問解くのに3日ぐらいかかったこともあります。逆にそれぐらいかけて、解けなかったこともあります。問題を解いていくというプロセスを根気よくやっていかないと、数学が嫌いになることもあると思います。これだけ忍耐力が必要なのに試験になると、タイムリミットがある中で問題を解かないといけなくなるから、本当に試験が嫌いです。 Q:でも中学で初めて興味を持って、大学を経て大学院でも続けて勉強しているってことは本当にMathsに興味があるってことなんですね。 うん。ただ、試験はゴミです笑笑 Q:じゃあ最後に、好きな数字はなんですか? 2かな。まず2は最小の素数であること。2によって線分が成り立つこともあるし、自乗っていうのもすごく使いやすいのもある。んー、でもCharacteristics of field 2(標数2の体)の時はクソめんどくさいんだよな。でも、結局2なんだよな。 Q:やっぱりよくわかんないわ数学笑笑 文系の僕にとって、数学はずっと“遠い世界”でした。しかし、岡野くんとのインタビューを通じて、その世界が少しだけ近づいた気がします。 「深く考える」「論理を積み重ねる」「わかるまで粘る」。それらは数学に限らず、あらゆる学問や人生にも通じる価値かもしれません。 https://www.imperial.ac.uk/mathematics

ファウンデーションコース【イギリス大学留学向け】授業内容と学部進学方法

こんにちは! Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを勉強しているKotokoです。 今回は日本の高校卒業後に受講したファウンデーションコースでの1年間をご紹介します。どんなことを学んだのか、英語力がどれくらい伸びたのかなど、リアルな体験をお伝えします! ※私が経験したのはGoldsmithsのファウンデーションコースなので、他の大学とは違う部分もあるかもしれません。あくまで1つの体験談として読んでもらえたらと思います! 前回の記事では、「ごく普通の高校生だった私がイギリスの大学に合格するまでの道のり」について書きました。まだ読んでいない方はぜひそちらもチェックしてみてくださいね! https://passport-to.com/articles/14/ ファウンデーションコースとは? ファウンデーションコースは、主に留学生を対象とした、イギリスの大学に進学するための準備プログラムです。英語力や学問的な基礎を1年間かけて学び、大学の授業についていける力を養います。 イギリスの大学は通常、A-levelやIB(国際バカロレア)などの国際的な資格を入学基準としています。日本の高校卒業資格だけではそのまま入学できないです。そのため、多くの日本人学生はこのコースを経て進学します。 https://jp.education-moi.com/universities/uk/foundation ロンドン大学ゴールドスミスカレッジのファウンデーションコース キャンパスはロンドン郊外 私が受講したのは、ロンドン南東部にあるGoldsmithsが提供しているファウンデーションコースです。 キャンパスはOverground(地上を走る鉄道)のNew Cross駅から歩いてすぐです。ロンドン中心部からは電車で30分ほどかかります。近くにはRoyal Observatory(グリニッジ天文台)で有名なGreenwich Park(グリニッジ・パーク)があります。 住宅街に位置しているため、中心地ほど便利なわけではありません。その反面、落ち着いたローカルな雰囲気の中で大学生活を送ることができます。 ただし、夜は少し治安が悪いという声もあり、注意が必要なエリアだと感じます。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジのRichard Hoggart Building キャンパスの雰囲気と施設 Goldsmithsは、アート、デザイン、メディア、カルチャーなどクリエイティブな分野に強いことで知られています。それを体現しているように、キャンパス全体に自由な表現があふれています。壁にはアート作品が展示されていたり、学生によるエキシビションが定期的に開催されたりしています。 キャンパスの中心にはRichard Hoggart Buildingというメインの建物があります。それを囲むようにアート系やメディア系など、専門分野ごとに建物が分かれています。 私が所属しているメディア学科にはラジオ制作のためのブースなどがあり、技術的なスキルを学ぶ環境がしっかり整っています。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ: キャンパス内にあるラジオ制作のためのブース Richard Hoggart Buildingの隣には24時間利用可能な図書館があります。豊富な蔵書はもちろん、パソコンの貸し出しや印刷機、会議室なども充実しています。このように、学習をサポートする設備には困りません。 また、キャンパスの中央には芝生が広がっています。春から夏にかけてそこで昼食をとったり、お昼寝したりと、のんびりと過ごす学生が多いです。 キャンパス内にはいくつかのカフェがあります。中でもGoldsmiths Students' Union※(学生組合)が運営するカフェは、他のカフェよりも価格が手頃です。飲み物や軽食も美味しく、私のおすすめスポットです。 ※Students' Unionは学生の声を大学に届けたり、クラブ活動やイベントの企画・運営、サポートを行う組織です。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ: Students’ Unionが運営するカフェのストロベリー抹茶 ファウンデーションコースの授業内容と評価方法 私はメディアについて勉強したかったので、 GoldsmithsのInternational Foundation Certificate in Media, Culture & Societyを選びました。 授業は週3日で、1日に2コマ(1コマ約1時間半)あることが多かったです。 カリキュラムは3学期制です。秋から冬までの1学期は専門分野の授業と英語の授業を受けます。冬休み明けからイースター休みまでの2学期も同じような形で授業が続きます。 3学期は復習期間で、毎週授業があるわけではないです。3回ほどの復習授業があるほか、主に最後の試験に向けて自分で勉強するスタイルでした。  専門分野の授業 ファウンデーションコースは大学での学びに備えるための準備コースであり、進学後を見据えた専門的な授業を受けられるのも魅力の一つです。 専門分野の授業では、1コマ目に大学1年次のlecture(講義)を受けます。続く2コマ目にファウンデーションコースの学生向けseminar(セミナー)が行われます。セミナーでは、先生が講義内容をわかりやすく解説してくれます。 初めて講義を受けたときは、教授の話がほとんど理解できず、正直かなり焦りました。その後のセミナーは留学生向けに行われるため、先生が簡単な英単語を使って丁寧に説明してくれたので、ほっとしたのを覚えています。 セミナーは解説を聞くだけでなく、discussion(ディスカッション)が中心です。クラスメイトは同じ学科の学生たちで、人数が少なく、アットホームな雰囲気があります。最初は緊張しながらも発言しやすかったです。専門知識の理解だけでなくスピーキング力も自然と伸ばすことができました。 評価方法 基本的に学期ごとに出されるエッセイで行われます。トピックや文字数は授業や先生によってまちまちです。ファウンデーションコースの学生にはtutor(チューター)と呼ばれる担当教員が付いていて、エッセイのテーマ決めから構成、内容まで相談することができます。チューターと一緒にプランを立てたあと、自分でエッセイを書き上げて提出します。 英語の授業(Reading/Writing/Speaking) ここでは、アカデミックな英語力を身につけるために、Reading, Writing, Speaking(リーディング、ライティング、スピーキング)の3つのスキルに分かれて授業が行われました。リスニングに関しては、授業全体が英語で行われるため、リスニング専用の授業はありませんでした。専門分野の授業と異なり、ここでは他の学部を目指している学生たちと一緒に学びました。 ここからは、スキルごとにどのような内容の授業があったのかをご紹介していきます。 Reading リーディングの授業は、1学期と2学期を通して行われました。初回の授業で、リーディングの問題がたくさん載っている冊子が配られました。そこには1週間ごとに課題が設定されており、順番に解いていく形式で進められました。 宿題は、例えば次の週がWeek 3の場合、「Week 3」と書かれた長文を読み、それに付随する設問をできるだけ自力で解いてくる、という感じでした。そして授業で答え合わせをしながら、内容に関連したディスカッションをします。 評価方法 学期末には、それまで取り組んできたのと似た問題が出題され、時間内に長文を読んで設問に答える形式のテストが行われました。 時間制限がある中で集中して解くプレッシャーもあり、特に最初のテストは思うように力を発揮できなかった記憶があります。それでも回を重ねるにつれ、読み取りのスピードや精度が上がっていくのを実感できました。 Writing リーディングの授業と同様に、ライティングの授業も1学期と2学期を通して行われました。 1学期は、基本的なエッセイの構成方法について学びました。具体的には、thesis statement(主張文)の書き方、conclusion(結論)のまとめ方、reference(参考文献の記載)の方法など、アカデミックライティングの基礎を一つひとつ丁寧に学びました。 2学期には、週ごとに構成や段落、リサーチを積み重ねながら、1本のエッセイを完成させていきました。 評価方法 2学期に提出したエッセイが評価されました。評価のポイントは、文法の正確さ、アカデミックな語彙の使い方、そしてreferenceの形式が正確かどうかなどです。授業で学んできたことを総合的に活かす機会になりました。 Speaking 1学期はプレゼンテーション、2学期はディスカッションに向けて、スピーキング力を伸ばしました。この授業では毎回出されたトピックについてクラス内でディスカッションを行います。その中でプレゼンテーションのコツや、ディスカッションで使えるフレーズなどを習得しました。 クラスメイトとのディスカッションを通して、英語で意見を述べることにも少しずつ慣れていき、話すことへの抵抗がだんだんと減っていきました。 評価方法 1学期のテストでは、プレゼンテーションを行いました。与えられたトピックに対して自分でリサーチし、引用を交えながらPowerPointを作成して、クラス内で発表しました。 2学期のテストでは、4人1組のグループでディスカッションを行いました。トピックは1週間前に発表されます。それに関連する情報を自分たちで調べて、当日のディスカッションで意見を述べました。グループディスカッションでは、他の人の意見に応じて柔軟に会話を展開する力も問われ、とても良い実践の場となりました。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ: 授業前の様子 授業の雰囲気 大学1年生と一緒に受ける講義を除けば、ほとんどの授業は15人未満のクラスで行われました。最初は緊張しましたが、発言や質問がしやすい雰囲気で、自然とクラスになじむことができました。授業はキャンパス内の教室で行われ、毎週同じ教室を使っていたので安心感がありました。 先生方のスタイルは人それぞれですが、基本的にはフレンドリーで話しかけやすいです。また、わからないことも気軽に質問できました。日本と違って、授業の途中で抜けたり、お菓子を食べていたりしても注意されないなど、かなり自由な雰囲気でした。ただし、中には食べ物の匂いが気になるから教室内での飲食はやめてくださいと言う先生もいて、先生によってルールや雰囲気に違いがあると感じました。 クラスメイトの雰囲気 クラスメイトの国籍や雰囲気は、大学、進学予定の学部によって大きく異なると思います。私が受講したコースではアジア系の学生が多く、特に中国人が大半を占めていました。日本人は私を含めて4人だけで、少数のヨーロッパ系の留学生もいました。 さまざまなバックグラウンドを持つ学生たちと一緒に学ぶことで、日常の会話だけでも刺激がありました。最初は緊張しましたが、少人数ということもあって自然と会話が生まれます。友達もできて、ペアワークやグループディスカッションの時間が楽しみになっていきました。 ひとつ驚いたのは、学生たちがかなりゆるいことです。時間ぴったりに授業が始まることはほとんどありませんでした。先生が来るのも生徒が集まるのも開始時間の10分後くらい、ということが多かったです。欠席者もわりといて、日本との違いを感じました。カルチャーショックというよりは、むしろ面白いなと思いました。 受講後に感じた効果と学部進学 英語はどれくらい伸びたの? ファウンデーションコースを始める前に受けたIELTSはOverall 5.5でした。それ以降はIELTSを受けていないため、数字で比較することはできません。しかし英語力は着実に伸びたと感じています。特に、英文を読むスピードが上がったと実感しています。スピーキングでも自分の考えを何とか英語で伝えられるようになりました。 中でもライティングの成長は大きいと感じました。コースを受講する前までは、英検で出題されるような短いエッセイを書くのが精一杯でした。当然引用の方法などは全くわかりませんでした。このコースを通して、エッセイの構成や書き方、参考文献の引用方法など、アカデミックライティングの基礎をしっかり身につけることができました。 正直に言うと、1年間で英語がペラペラになるのは簡単ではありませんでした。それでも英語を話すこと、そして失敗を恐れずにコミュニケーションがとれるようになったことは、自分にとって大きな成長だったと感じています。 ファウンデーションから大学1年生への進み方 私が通っていたファウンデーションコースでは、1・2・3学期に行われるテストでそれぞれ合格点を取ることができれば、そのままGoldsmithsの学士課程に進学できる仕組みでした。 そのため、普段の授業にきちんと出席し、課題やテストに真面目に取り組んでいれば、進級できないということはあまりないと思います。実際、私のクラスメイトの中で進学できなかった人は一人もいませんでした。ですので、過度に心配する必要はないと思います。 すべての試験に合格したあと、大学側から進学の手続きに関する案内メールが届きました。それに従って準備を進め、私も無事に大学1年生としての学びをスタートしました。 なお、ファウンデーションコースを修了したからといって、必ずしも同じ大学(私の場合はGoldsmiths)にしか進学できないわけではありません。成績次第では他大学への出願も可能な場合があります。 私の友人の中には、他大学への進学を希望して出願していた人もいました。その場合の出願手続きは先生がサポートしてくれるようです。ただ、保証があるのはGoldsmithsの学部であるため、私は迷わずそのまま進学しました。 ファウンデーションコースはイギリス大学留学の自信に繋がる 1年間のファウンデーションコースは、大学進学の準備だけではないのです。英語力の向上や、異文化の中での生活力を身につける貴重な経験になりました。最初は不安もありましたが、授業を通して少しずつ自信を持てるようになりました。そして大学1年生としてのスタートラインに立てたことをとても嬉しく思います。 これからイギリスでの進学を考えている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。興味のある方はぜひ、Goldsmithsのファウンデーションコースを検討してみてくださいね! https://www.gold.ac.uk

ごく普通の高校生がロンドンの大学生に:留学までの道のり

はじめまして。Kotokoです。現在、Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)のMA Promotional Media(プロモーショナルメディア修士課程)に通っています。今回は、東京で生まれ育った私が2023年にロンドンへ来るまでの道のりを皆さんにシェアしたいと思います。 英語が身近にあった幼少期〜高校時代 私は、小・中学校は地元の学校に通い、友達と外で遊ぶのが日課の、ごく普通の子どもでした。昔から海外に行く機会はあまりなかったものの、父はアメリカの大学を卒業していることから外国人の方との交流は他の人より多く、その影響もあって英語を勉強したいと思うようになりました。 高校は都立の外国語コースがある学校に進学しました。このコースでは、数学や理科の授業が少ない分、普通科で行われる文法に加え、ディスカッションや英作文に力を入れた授業がありました。 受験英語は得意な方でしたが、スピーキングやリスニングの能力はあまり高くなく、英語が少し得意な高校生だったと思います。 きっかけは「留学プロジェクト・次世代リーダー育成道場」 そんなふうに高校生として日々を過ごしていたある日のこと。学校の先生から、東京都が主催する留学プロジェクト(次世代リーダー育成道場)について全体に案内がありました。そしてこれが、私の運命を大きく変えることになるのです。 海外の高校に1年留学できる「次世代リーダー育成道場」とは 「次世代リーダー育成道場」は、東京都教育委員会が実施している、都立高校・中等教育学校・都立中学校に在籍し、校長の推薦を受けた生徒を対象とした留学支援プログラムです。この制度では、参加者は海外の高校に1年間通いながらホームステイをすることができます。派遣時期により冬出発のオセアニア地域と夏出発の北米地域の2つのコースから選べます。 出典: 東京都教育委員会「次世代リーダー育成道場」公式サイト (https://www.ryu.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp/about.php) このプログラムは事前・事後研修もあり、留学中のみならず学ぶチャンスが多くあります。 ① 留学前の国内事前研修 研修は月に2回程度、主に日曜日に実施されます。参加者全員が集まり、語学力の向上に加えて、講演会などを通じて日本の伝統・文化・歴史への理解を深め、自分の目標について考える機会も得られます。 この事前研修の中でも特に重要なのがゼミナール研究です。 研修生はそれぞれ現代社会の課題を見つけ、国内での調査を行いながら、留学先での調査へとつなげていく研究のアウトラインを作成します。そして、留学期間を通じてこの研究を発展させ、論文としてまとめていきます。 ②ホームステイをしながら送る留学生活 現地の高校に入学し、授業を受けながら実践的な英語力を養います。 また、ホームステイ先が用意され、現地の家族との交流や多文化に触れる体験を通して、大きな成長が期待されます。 ③帰国後の成果発表会 留学での経験や学びをしっかりと形にするために、帰国後には成果発表会が行われます。 そこで出発前から取り組んできたゼミナール研究の成果を発表し、自らの成長や仲間たちの変化を改めて感じることができます。 ここまで紹介してきたように、語学力だけでなく、文化理解や社会課題への探究心を育てられるこのプログラムですが、実はもうひとつ大きな魅力があります。それは、費用面のハードルが非常に低く、手の届きやすいプログラムであるという点です。 参加するための費用は? 費用は、渡航費・滞在費・学費などの基本的な留学経費として80万円が必要です。 それ以外にかかる費用(パスポート取得、ビザ申請、保険、健康診断、予防接種、事前研修への交通費、制服代や教材費など)は、別途約70万円が自己負担となります。 そのため、総額はおよそ150万円です。しかし、通常の1年留学(200〜400万円程度)と比べると、非常にリーズナブルです。多くの生徒にとって現実的な選択肢となっています。 ※1ポンド=190円で換算しています 募集人数 令和7年度の募集人数は、A(冬出発)コース、B(夏出発)コースともにそれぞれ75名以内、合計150名以内となっています。 ただし、募集人数を含めた詳しい要項は毎年変わります。最新の情報は東京都教育委員会の公式ホームページに掲載されます。必ずその年度の次世代リーダー育成道場研修生募集要項でご確認ください。 コロナで留学断念!でも再び現れたチャンス ここまで次世代リーダー育成道場の概要や費用、応募条件について紹介してきましたが、実は私自身もこのプログラムに応募し、無事に合格。研修生として参加することができました。 しかし残念ながら、私が参加した年はコロナ禍と重なってしまいました。そのため本来予定されていたオセアニア地域への留学は叶いませんでした。それでも、事前研修を通して語学力だけでなく、社会課題への関心や自分自身の目標について深く考える機会を得ることができました。この経験から、日本を飛び出して、もっと広い世界を自分の目で見てみたいという思いが一層強くなりました。 そして高校3年生の夏前、幸運にも父のロンドン転勤が決まりました。これをきっかけに、ロンドンの大学を目指してみようと本気で決意したのです。 ロンドン大学に出願するまでの道のり: ファウンデーションコース 私はただ英語が好きなだけで英語力に自信もなくA-levelやIBといったイギリスの学部に直接入学が可能な国際教育資格を持っているわけではなかったのでFoundation Course(ファウンデーションコース)に入ることにしました。このことを担任の先生に相談すると、留学エージェントを紹介されました。それ以降、出願手続きやビザ申請など、専門的なサポートをエージェントにしてもらいました。 https://jp.education-moi.com/universities/uk/foundation 海外大学の情報収集 まず、大学で何を学べるのかを調べることから始めました。イギリスの大学では、1年次から専攻分野の学習が始まります。そのため出願時に専攻を決めておく必要があります。また、イギリスにはビジネス、アート、コンピューターなど、幅広い分野の学科があるため、自分に合った学科を見つけることができます。 私はメディアに興味があったので、「ロンドン」「メディア」「大学」といったキーワードで調べ、各大学の公式サイトで学費や必要なIELTSスコアを確認しながら検討を進めました。その結果、Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)とUniversity of Westminster(ウェストミンスター大学)それぞれのファウンデーションコースに出願することにしました。 必要書類について 出願を決めてから、各大学のファウンデーションコースのウェブページから必要書類や資格を調べました。大学によって多少異なりますが、一般的に求められる書類は以下のとおりです: 高校の成績証明書(英文) 卒業証明書(英文) 高校の先生からの推薦状1通(英文) personal statement(志望動機をまとめた英文エッセイ) パスポートのコピー IELTSスコア 私の通っていた高校には非常勤のALT(外国語指導助手)がいました。その先生に添削してもらいながらエッセイを完成させました。英文の成績証明書は英語の先生に相談したら作成してくれました。これらの書類がそろったら、留学エージェントに提出し、出願を代行してもらいました。 イギリスの大学出願は、UCAS(Universities and Colleges Admissions Service/ ユーカス)という専用のプラットフォームを通して行う必要があり、操作や手続きが少し複雑です。私の経験から言えば、エージェントのサポートを受けるのがおすすめです。 IELTSの勉強と必要スコア獲得 情報収集や必要書類の準備と並行して、IELTS対策もしっかりと進めました。  当時高校3年生だった私は、英検2級しか持っておらず、正直なところIELTSって何?という状態からのスタートでした。まずは出題傾向を理解することから始め、4技能それぞれに対して計画的に対策しました。ここでは、私が行った対策をスキル別にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください! Reading 時間内に問題を解けることを目標に、毎日時間を測って大問ごとに練習していました わからなかった単語はノートに意味と一緒にメモ。オリジナル単語帳を作って通学時などに繰り返し復習。毎日少しずつ語彙を増やすことを意識していました 私が作った単語帳 自作の単語帳では、左側に単語を、右側に品詞と意味を書いています。使い方も同時に調べました。特殊な使い方をする単語には例文をつけて使い方までマスターできるようにしています。 Listening 専門的な語彙も出てくるため、問題を解くだけでなく、BBCニュースを定期的に視聴して耳を慣らしました 特に聞き取れなかった単語は、スペルや発音をしっかり確認しました。意味はわかるのに聞き取れないのを防ぐようにしていました。ここでも単語帳が大活躍しました Writing 毎日1~2行でもいいので英語で日記をつけ、自分の考えを英語で表現する練習をしました。わからない表現は調べながら書くことで、語彙力と構文力が自然と身につきます 問題集を解き終わったら、ただ答え合わせするのではなく、英語の先生に添削してもらい、文法の細かいミスや表現の言い換えなどを学びました Speaking 動画に英語・日本語の同時字幕をつけられる拡張機能「Language Learning with Netflix」を使って、日常会話で使われるフレーズを中心にshadowing(シャドーイング)の練習をしました 学校のALTにお願いして、放課後に会話練習をさせてもらいました。最初は緊張してなかなか声をかけられませんでしたが、先生は初心者に慣れているので、思い切ってお願いすることが上達の近道だと感じました このような形で、4技能バランスよくIELTS対策を行っていました。 もちろん、高校3年生だったので定期テストもありました。成績も出願に必要な書類のひとつです。そのためテスト勉強とIELTS対策を並行してコツコツ取り組むことが大切です。 また、英検と違ってIELTSは受験料が通常 27,500円と高額です。そのため何度も気軽に受けることはできませんでした。そこで、留学エージェントが提供していた模擬テスト(公式IELTSの受験料の1/4ほど)を活用して、実力を確認したうえで本番に臨みました。 その結果、必要スコアであるoverall 5.5を無事に取得し、出願に至りました。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジに無事合格! 2月中には、出願していた2校どちらからも結果が届きました。ありがたいことに両方とも合格し、第一希望のGoldsmiths, University of London(ゴールドスミス大学)に進学することを決めました。 ただし、2月の時点ではまだ高校を卒業していなかったため、合格はConditional Offer(条件付きオファー)という形式でした。その後、高校を卒業し、証明書を提出したことでUnconditional Offer(無条件オファー)に切り替わり、ビザの申請手続きへと進むことができました。 メモ イギリスの大学からの合格通知には、大きく分けてConditional Offer(条件付きオファー)とUnconditional Offer(無条件オファー)の2種類があります。 ・Conditional Offer(条件付きオファー)→あとでIELTSスコアの提出や高校の卒業成績が一定以上であることなど、いくつかの条件をクリアすれば正式に合格になる ・Unconditional Offer(無条件オファー)→すでにすべての条件を満たしている場合に出される、正式な合格通知 詳しくはこちらの解説記事にわかりやすく説明されています。 イギリス留学: 出発までの日々 高校を卒業した後も、英語の勉強は続けていました。IELTS対策のときに使っていた単語帳を引き続き活用し、新しい単語にできるだけ多く触れるよう意識していました。それに加えて、今度は会話で使えるカジュアルなフレーズを中心に学ぶようにしました。 特に、私が今でも続けているのが、InstagramやTikTokで紹介されている英語フレーズの動画を活用した学習です。さらに、特定のフレーズが映画やドラマの中でどのように使われているかを検索できるplayphrase.meというサイトを使って、実際に使われる生きた英語を身につけるよう心がけていました。 もちろん、勉強だけでなく友達との時間も大切にしていました。イギリスに行ってしまうと日本の友達と気軽に会うのが難しくなります。高校卒業後の時間は、思い出をたくさん作る良い機会でもありました。 そうしているうちにあっという間に8月になり、イギリスでの大学生活がスタートしました。 イギリスへ飛び立った ロンドンで見た景色ービッグベン 「普通の高校生」だった自分が今思うこと この体験談を読んでいただければ分かるかと思いますが、私は特別な存在ではなく、どこにでもいる「英語が好きな高校生」でした。そんな私が今、ロンドンの大学に通いながら、毎日新しい発見に満ちた日々を過ごしています。 もちろん、言葉の壁は高く、今も決して楽な毎日ではありません。それでも、日本では出会えなかった人々や経験に触れ、かけがえのない学びを得ています。 だからこそ、皆さんに伝えたいです。英語が好きという気持ちと、努力があれば、イギリス留学は決して夢ではないです。この記事が、少しでも「自分も挑戦してみたい」と思うきっかけになってくれたら、とても嬉しいです。応援しています! https://www.ryu.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp https://www.gold.ac.uk

交換留学はラク?立教→マンチェスター大学の交換留学生に聞いた

Risakoさん 神奈川県出身。立教大学異文化コミュニケーション学部の選抜コース「Dual Language Pathway(DLP)」に在籍。現在マンチェスター大学(The University of Manchester)に交換留学中で、主に紛争研究学を履修している。仲間とバンドを組み、ボーカルとして活動中。 Ikoneさん 東京都出身。中学時代に3カ月、高校時代に1年間カナダに留学していた。高校時代にイギリス・エディンバラで語学留学も経験。立教大学異文化コミュニケーション学部に在籍。現在マンチェスター大学に交換留学中で、主に言語学の授業を履修している。趣味はカフェ巡り。 RisakoさんとIkoneさんはともに立教大学異文化コミュニケーション学部に在籍しています。昨年9月からマンチェスター大学に1年間の交換留学中です。日英どちらの大学生活も経験した2人にインタビューしました。 マンチェスター大学への留学を決めた理由 マンチェスター大学に留学すると決めた理由は何ですか? Risako:昔から留学したかったが、高校時代はコロナ禍で留学が中止となりました。マンチェスター大学にしたのは協定校一覧の中で世界大学ランキングが一番高かったからです。また、世界トップレベルを誇る紛争研究学と平和構築学を学びたかったです。あとはハリーポッターの中で話されているイギリス英語に憧れ、イギリスにしました。今までヨーロッパに行ったことがなかく、留学のついでに周辺国にも行きたいと思いました。 晴れた日のキャンパス Ikone:私も世界大学ランキングを参考にしました。留学するならレベルの高いところに挑戦したいです。そういうところの学生は優秀で、人種などを理由に差別されることも少ないと考え、気楽に過ごせると思いました。学生の3割が留学生だという点も重視しました。というのも、高校時代に留学したカナダ・バンクーバー郊外の学校では、ほぼ全員が白人でした。留学生は同じ高校から来た自分を含め5人だけだったのでかなり孤立感がありました。また、姉が昔エディンバラ大学(The University of Edinburgh)に留学していました。その時に自分もエディンバラで1カ月の語学留学をしました。そのためイギリスはなじみのある国で、安心して留学できる場所だと思いました。 https://jp.education-moi.com/article-28 日本とイギリス: 大学の授業を比較 日本とイギリスの大学で授業を受けた経験から、感じた共通点や相違点を教えてください。 Risako:そこまで大きな違いは感じなかったです。私は異文化コミュニケーション学部のDLPという15人しかいないコースにいます。どの授業も少人数で日本語なり英語なり、授業中話し合いをすることが多々ありました。こちらの授業でもディスカッションをします。 Ikone:lecture(講義)は大人数で行われ、聴くことがメインです。seminar(セミナー)とtutorial(チュートリアル)は講義を履修している学生が少人数クラスに分かれて、講義内容についてディスカッションします。日本でやったディスカッションは結構一般的な話をしていたと思います。こちらではより個人にフォーカスしていて、「あなたはどう思いますか」を聞かれます。 講義の様子 Risako:日本では「今からこのテーマについて話し合ってください」という感じで教員主導でした。こちらはそれに加え、学生が授業の途中で質問したり反対の意見を述べたりします。そこからディスカッションに発展するパターンが多くて、学生主体だと感じました。 Ikone:だからセミナーやチュートリアルは同じ講義の内容について議論するけど、クラスによってディスカッションの方向性が全然違います。 予習・復習量は日本と同じ 課題の量はどうですか? Ikone:日本では毎回リアクションペーパーが出されて、毎週提出しないといけない課題がありました。こちらではチュートリアルの準備としてリーディングと事前に出された質問の答えを考える課題があります。でも提出する必要はなく、ディスカッションをスムーズに進めるために各自やるものです。提出物の数でいえば日本のほうが多かったけど、結局やることの量はあまり変わらないです。期末レポートは日本と同じですが、こちらのほうが字数が多いですね。 Risako:私も同じことを感じます。日本は面倒見が良くて、学生に学習習慣をつけてもらうようにします。また、欠席を3回以上すると単位が取れなくなります。私の場合、少人数のコースだったので顔を覚えられてなおさら欠席しづらいです。どの授業も何かしらの課題が出されるから毎週課題に追われていました。イギリスだと確かにチュートリアルのために準備しないといけないけど、提出は求められないので勉強したい人が頑張る感じです。 教育の現場も実力主義 Ikone:来る前はイギリスの学生のほうが真面目だと思っていました。でも意外と授業に来ない人もいたりと、日本とあまり変わらないと感じました。 Risako:こちらでは出席しようがしなかろうが、成績に関係するのは課題と試験です。そこさえちゃんとできていればいいので、そういう意味では実力主義ですね。授業の全てに力を入れる必要があるわけではなく、興味を持った部分や難しい箇所を重点的に勉強するなどというように自分で決められます。個人的にはこちらの制度のほうが好きです。 マンチェスター大学留学生の課外活動 続いては課外活動について聞きます。ご自身の体験や周りの人の活動を見て、日英の課外活動面での違いは何か感じましたか? Risako:サークル活動はどちらも活発ですが、やり方の違いを感じました。日本は友達を作る場としてサークルを活用している人が多いと思います。例えば私はバドミントンよりもイベントが中心のバドミントンサークルに入っているのですが、飲み会などをしてメンバー同士の仲を深めています。 イギリスのサークルはsociety(ソサエティ)と呼ばれていて、目的がはっきりしています。マンチェスター大学は留学生が多いので、中国人ソサエティ、日本人ソサエティなど、その国の人たちの集まりもあります。そこは単なる同じ国の友達作りの場だけでなく、その国に興味がある人に対してもウェルカムです。また、Manchester Japan Society(日本人会)の活動内容がとても濃いと感じました。実際に企業の担当者を招いて毎週のように就活イベントを開催して、日本人学生の就活を手伝うなどしています。 Ikone:私が思ったのは、日本のサークルには年度初めに入らないとそこから1年間入る機会を失います。でもイギリスは1年間のどのタイミングに入ってもいいです。なんならそのソサエティのメンバーでなくても活動に参加できて、結構オープンです。日本のサークルは閉塞的な環境ですが、その反面、内部のコミュニティが確立されていて、団結力が強いです。イギリスのソサエティは固定のメンバーではなく、毎回新しい人が参加するので、留学生にとっても行きやすいです。 Risako:そうですね。日本のサークルは決まったメンバーで活動するので同じ人との付き合いがずっと続きます。一方でイギリスはどんどん人脈が広がっていく感じです。 柔軟な対応で可能性広がる Ikone:私は今学期Language Societyで日本語チューターをしました。当初は期限が過ぎていて申し込みができなかったです。でもチューター経験者の友達が担当者につないでくれて、期限が過ぎてもできることになりました。このように、フレキシブルに対応してくれる環境があるので何事にも挑戦しやすいです。 Language Societyで日本語チューターとして教えた学生たちと Risako:イギリスはソサエティという枠組みじゃなくても活動の幅は広いと感じました。私はバンド活動をしています。自分たちでメンバーを見つけ、場所を取って楽器も自分たちで用意しました。いろいろなコミュニティとコネクションを作って発表の場をもらえました。マンチェスターは音楽の街ということもあり、このような有志バンドの活動が結構盛んです。 バンドのパフォーマンスでボーカルとして活動 イギリスに留学して感じた日常生活の違い 日常生活について聞きます。2人とも筆者と同じ寮に暮らしていますが、生活はいかがでしょうか? Ikone:まずは暮らしについて言うと、こちらの人の衛生観念が日本人とあまりにも違いますね。寮に入居した当初は全体的に想定よりきれいだと思いました。しかし過ごしていくうちに衛生観の違いが現れます。具体的に言うとシャワーに髪の毛が詰まって浸水したり、トイレを流さなかったり、キッチンを汚く使ったり、他人の食材を盗んだりですね。しかもみんなが寮のグループチャットでこれらの問題について怒ったり指摘したりするにもかかわらず改善されないです。 Risako:私の階のシャワーには一時期髪の毛を丸めたマリモみたいなやつがありました……。 食事はやっぱりまずい!? Ikone:食事付きの寮なので、朝夕は食堂で済ませます。最初は問題なく食べられたのですが、中華街などでアジア料理を食べてからは寮の食事がまずいと感じるようになりました。お腹を満たす分には良いのですが、それ以上のものは期待できないですね。 寮の食堂で出された夜ご飯 Risako:寮の食事について言うと、時間帯が早いです。夕食は5時から7時の間に提供され、早すぎじゃないかといつも思います。授業が6時に終わる人もたくさんいるはずだし、そこから課外活動に参加したら絶対に間に合わないです。私もいつも時間内に行けないです。 Ikone:確かに、日本にいた時は8時、9時に夜ご飯を食べていました。こちらはご飯が早いせいで、深夜になるとお腹が空きます。 自炊と寮のケータリングサービス Risako:寮が食事付きだから自炊するのが微妙に難しいです。キッチンは大人数で共用している割に狭く、収納スペースもあまりないです。食事がない寮だと、キッチンが広く、隣には食事スペースがあって自炊しやすくなっています。なので食事が合うか合わないかは食べてみないと分からないかもしれませんが、さっき言った食事時間も併せて、選ぶ時に考えたほうがいいポイントだと思います。 Ikone:食事時間に関してはルーティン化できるかどうかだと思います。私は食事時間に合わせて、何時までに何をしてから食堂に行くとか、朝ご飯に合わせて何時に起きようとかを決めています。 夜遊び文化から見える食習慣 Risako:夕食の時間が早いのは、イギリス人は夜遊び文化があるからだと思います。夕食後クラブやパブに出かけることが前提になっているのではないかと考えます。私も最近はほぼ毎日のように夜に出かけ、昨日は10時から友達と映画を観ました。その後も解散するわけでもないです。終電がなく、徒歩でどこにでもアクセスできてしまいます。そのため、そこから飲みに行ったり、誰かの家に行って映画を観たりおしゃべりしたりと、深夜でも選択肢がたくさんあります。 Ikone:そうですね。Uberが安いし、バスも走っているので、深夜でも移動手段には困らないです。そういう意味では日本より夜遊びがしやすいです。 イギリス大学留学を目指す人へのアドバイス これから交換留学でイギリス、あるいはマンチェスター大学に来る人へのアドバイスをお願いします。 Ikone:マンチェスターに関しては、特にシティセンターに行けばカフェやレストランがものすごく多いです。観光地ではないので、住むのに適しています。 Risako:そうですね、全てがちょうどよくそろっています。中華街や新宿二丁目みたいなゲイビレッジもあるし、ショッピングモールも空港もあります。観光地以外だと田舎過ぎる場所が多いイギリスですが、マンチェスターはそういうわけでもなく、過ごしやすいです。 やりたいことを事前に調べる Risako:さっき日本のサークルは年度初めに参加しないとその1年入るチャンスがなくなる話がありましたが、こちらの体育会系のソサエティに関しても同じことが言えます。年度初めにFreshers’ Weekという、ソサエティがブースを出して勧誘活動をする週があり、そこでチアダンスやアイスホッケーなど面白そうな団体を見つけました。 私は当時留学生活に慣れることに集中したいと思っていました。そのため、2学期に入ってから申し込めばいいと思ったのですがその時はもう手遅れで、結局参加できませんでした。留学が始まる前にやりたいことを調べ、到着したら一直線で向かえるようにするといいです。 Ikone:体育系は結構活動に参加するに当たり、テストセッションがあるとこもありますからね。 Risako:あとは自分でソサエティを作ることもできます。マンチェスター大学に剣道ソサエティがあるのですが、それはこっちに来たばかりの日本人留学生が、留学が始まった瞬間に作ったと聞きました。2学期のFreshers’ Weekでは既にブースを出していました。行動力がすごいですね。就活ではこういうところが評価されるので、希望者は事前に調べておくと良いと思います。 長期休みは旅へ Ikone:マンチェスター限定で言うと、思ったより雨は降らなかったです。曇りがほとんどで、特に12月、1月はいつ見ても空が真っ白です。なのでこの時期はマンチェスターに残らず、他国に旅に行ったほうがいいです。 クリスマス休みやイースター休みになるとイギリス人学生は地元に、正規留学生の多くは母国に帰るので人が一斉にいなくなります。そのため長期休みは他の交換留学生や日本の友達・家族と旅行に行ったほうがいいです。 Risako:友達と友達をつなげることをもっとしておけばよかったと思います。日本だと失礼に思われますが、こちらだとみんな普通にやっているので、誰かとの約束に別の人を連れて行くことはよくあります。そこで友達関係が広がり、いろんなチャンスが巡り込んできます。実は私バンドを2つ掛け持っているのですが、2つ目のバンド結成につながったのもそのように人脈を広げたからです。 新学期のワクワク感を駆使する Ikone:社交があまり得意でない人は最初だけ頑張る!という気持ちで挑めば良いと思います。私も年度初めは自分からいろんな学生に話しかけるように心がけましたが、途中から疲れてしまいあまり話さなくなりました。でも最初の頑張りがあったおかげで、その時に仲良くなった人と一緒にポルトガル旅行に行ったし、留学1週目に布団や飲み物をくれたりしました。 Risako:そうですね。留学し始めた頃のほうがエネルギーがたくさんあるので、その時の体力でうまくいく・いかないに関わらずたくさん挑戦したほうがいいです。 Ikone:あとは新学期特有の全員期待感が高いムードをうまく使いましょう。寮のコミュニティに溶け込んだり、ソサエティの活動に参加したりして友達を作ることも大事です。 国籍にとらわれず交友関係を広げる Risako:これはよく悪と言われるのですが、日本人と仲良くするのも重要だと思います。限度にもよるけど、やはり精神状態を良好に保つことが一番重要で、心が健康じゃないとできるものもできなくなります。それをする最たる例として日本人に悩み相談とか、心の拠り所にするのが大事だと思います。私たちもよく一緒に鍋をしながら語り合っていましたね。 Ikone:日本人とつながると交友関係が狭まるどころか、そこからどんどん広がっていきます。大学から留学する人は自分の意思で行くので、面白い人が多いと感じます。「日本人」という理由だけでその人たちと関係を経つのはとてももったいないです。 マンチェスター大学留学で学んだことを将来に生かす では最後に、この1年間の交換留学生活で学んだことをどのように生かしていきたいですか?意気込みをお願いします。 Ikone:今回の留学を通して、異文化の中でも落ち着いて主体的に行動することを学びました。英語でのコミュニケーションも以前によりスムーズに、自然に楽しめるようになりました。特に、イギリスのsarcasm(皮肉)文化は最初あまり理解できませんでしたが、今では私も使えるようになりました。帰国してからはインターンや就活など、新しい環境に飛び込む機会がたくさんあるため、そのような環境でも今回得た姿勢を応用して楽しんでいきたいと思います! Risako:この1年間、さまざまな人と交流する中で、特に人脈の大切さを学び、それが秘める可能性に気づきました。こちらでは人の輪の広がり方が非常に速く、また大きいです。そのつながりがあったからこそ、私も自分の夢をどんどん実現させていくことができました。時には既に叶った夢が思いもよらぬ形で発展することもありました。 日本にいた時から社交が好きでしたが、他人を先回りして気にし過ぎていて、違うグループの人を混ぜることは特段避けていました。しかし、人の輪が生み出す可能性を知った今、活用しない手はありません。今後は日本の他者を重んじる文化を尊重しながらも、人とのつながりを大切に、新しいチャンスを掴み人生を切り拓いていきたいです。 https://www.manchester.ac.uk

マンチェスター大学日本人会会長: 「日本人」の使命感を胸に、語学とビジネスで広げた視野【インタビュー】

Ryotaroさん ⽇本の公⽴⼩学校を卒業後、イギリスのボーディングスクール(全寮制学校)で7年間学び、その後The University of Manchester(マンチェスター⼤学/ UoM)に進学。ポルトガル語とビジネスマネジメントをダブル専攻し⽇本⼈会の会⻑を務める傍ら、パーカーブランドを運営。ラグビーに夢中。 マンチェスター大学: ポルトガル語とビジネスマネジメント専攻 専攻について教えてください。 マンチェスター⼤学のSchool of Arts, Languages and Culturesに所属しており、Portuguese and Business Management(ポルトガル語とビジネスマネジメント)の2つを専攻しています。 ポルトガル語は語学としての4技能を習得しながら⽂化⾯や歴史⾯の内容も学びます。この専攻の⼈数は学年で15⼈ほどと少ないため、lecture(講義)は会話教室のようなアットホームな環境で先⽣や学⽣同⼠の対話が活発に⾏われます。当然、どの授業に⾏っても同じメンバーと会うため、全員顔⾒知りで仲が良いです。3年次になると専攻している⾔語が話される国で1年間の交換留学に⾏きます。私はブラジルのサンパウロ⼤学に留学します。 ビジネスマネジメントでは、選べる講義の内容はさまざまです。私はマーケティング理論の基礎、国別の資本主義やその歴史などを履修しました。こちらはポルトガル語の授業とは異なり講義となると100⼈規模で⾏われます。講義のほか、seminar(セミナー)があり、その週の講義内容に関連したものを実践します。例えば講義で経済情報がまとめてあるグラフが出され、読解⽅法を教わったらセミナーでは作り⽅を学び、実際に⼿を動かします。授業の数は多くありませんが、テスト期間が近くなるとリーディングの課題が増えます。内容をしっかり読んで、関連の⽂献を調べながら理解を深めます。 その専攻を選んだきっかけは何ですか? ポルトガル語を専攻したのはイギリスで通っていたボーディングスクールの環境が⼤きく影響しています。そこは50カ国以上から⽣徒が集まるグローバルな校⾵で、周りは常にさまざまな⾔語が⾶び交っていました。私は16歳の時にスペイン語を学び始め、スペイン語が話せる友⼈と⽇常的に会話していたことでかなりのスピードで上達しました。その成功体験から、⼤学でも⾔語を学びたく、南⽶で主要なポルトガル語を選びました。 ビジネスに関しては、⾃分たちで何かを作り上げて、それをお⾦に変えられるところが⾯⽩いと思っています。 実は中学⽣の頃、学校に置いてあった無料のオレンジを搾ってジュースにして寮の部屋まで配達するというサービスを思いつき、1杯0.5ポンドで販売したことがありました。インスタで宣伝すると毎⽇のようにオーダーが⼊り、この無謀なビジネスは思いのほか⼤繁盛しました。しかしオレンジの減り具合が激しくて学校側にバレてしまいました。2週間で私の初めてのビジネスは幕を閉じましたが、その過程はとても⾯⽩く、有益でした。 また、⾼3の秋には卒業⽣の起業した話など、キャリアについての講演を聴きました。それをきっかけに卒業生とつながり、2カ⽉間メキシコとコロンビアで⽣活も共にするインターンをする機会に恵まれました。起業している⽅々の活動を肌で感じ、彼らの⾏動⼒やメンタリティー、情熱に魅了さました。このインターンの経験が更なるビジネスへの興味につながりました。 ポルトガル語とビジネスマネジメントを1年半以上学んで、どうですか? この2つの組み合わせを選んだのは最⾼の決断です。ポルトガル語は⽇に⽇に上達を感じます。新しい単語や表現を学び、頑張れば結果が出るのでやりがいを感じます。ポルトガル語に加え語学と同じくらい関⼼があり、かつ語学と全く違う分野であるビジネスを勉強することでバランスが取れていると思います。これよりいいチョイスはないと⾔えるくらいすごく楽しいです。 「みんなを笑顔にしたい」日本人会の会長として Manchester Japan Society(日本人会)の会長を務めていると聞きました。 昨年度会⻑職に⽴候補し、当時の執⾏部による⾯接などを経て選んでいただきました。僕は11歳からイギリスの全寮制学校に⼊り⽇本⼈は数⼈しかいなかったです。そのため、必然的に⾃分はある種その場の「⽇本代表」として⽇本のイメージを背負っているといったnational identity(国民意識)がありました。そのため、「⽇本のために何かをやりたい」と常に思いながら⽣活していました。この思いは⼤学に⼊ってからも続いていて、⽇本⼈会の会⻑になれば⽇本のためにできることの幅が広がると思いました。 日本人会の仲間たちと 会長として、どういう方針で会を運営していますか? 会としての仕事をしっかりやるプロフェッショナルな⾯はもちろんですが、「楽しくないといけない」と思っています。笑顔を絶やさず、元気で楽しい会にするのがモットーです。会⻑の雰囲気が組織の空気を⼤きく左右するので、⾃分が先頭に⽴って笑顔で、楽しく取り組むことを⼼がけています。 Ryotaroさんが会長になってから始めた取り組みはありますか? ⾃分の代になってからいつくか変更したことがあります。 定期的に⾏われている「パブソーシャル」という皆がパブに集まって飲みながら交流するイベントがあります。昨年まではただ場所を提供しているだけでしたが、今年からはビンゴ⼤会や変顔⼤会などのミニゲームを追加し、飽きずに参加してもらえるようにしました。 また、イベントのクオリティを上げるため、会員制を導⼊し、年間7ポンドの会費を徴収しています。 もう1つ⼤きなイベントとしてロンドンで開催された⽇本⼈のボートパーティに初めて参加したことです。イギリスの13の⼤学にいる⽇本⼈学⽣約700⼈が集まり、UoMからも25⼈が参加しました。他⼤学にいる⽇本⼈と交流できた実りのある会だったので来年につなげていきたいです。 マンチェスター大学でのビジネスチャンス 課外活動は日本人会以外に何かしていますか? 授業で習ったこともそうなんですが、インターンの経験を何かに⽣かしたいと思い、昨年夏に「Manny Bees」というパーカーのブランドを⽴ち上げました。 UoMの公式グッズはいろいろありますが、あまりクオリティが良くないと感じております。値段か⾼い割にそれほどかわいくない点にも注⽬し、それなら⾃分で作ろうということで始めました。 友達に助けてもらいながら、Student Union(学⽣会館)のフリースペースで試験的に展⽰販売をしたり、インスタに投稿する宣伝⽤の写真の撮影会を開いたりしてすごく楽しいです。これをマンチェスターの思い出の⼀つとして⼿に取ってほしいので、クオリティが良くて、かわいくて、低価格にできたものを提供したいと思っています。 自身が立ち上げたパーカーブランドの宣伝用写真 大学に入ってからもインターンしていますか? はい、⻑期休暇にインターンします。昨年はドイツのミュンヘンのオークションハウスに⾏きました。出品者から物を預かって、それをオークションで売ります。先ほど⾔ったコロンビアとメキシコでのインターンは今も続けています。例えばソフトウェアの新サービスのピッチプレゼンテーションを⽇本の⻁ノ⾨ヒルズやスペインのビルバオで行うなどをしました。このようにマーケティング関連のことを主にしています。 ケガをしても冷めないラグビーへの愛 スポーツは何かやっていますか? ⼩1からサッカーを始め、中3にラグビーに転向し、それからずっとラグビーをやっています。しかし2年前の夏、プレイ中に転倒し膝の前⼗字靭帯を痛めてしまいました。そこからは体を動かす程度です。本来は⼿術をして治すべきですが、術後のリハビリを考えると留学に影響が出てしまうため今は諦めています。そう⾔いつつもたまに我慢できずラグビーをしてしまいます。 打ち込んでいるラグビー マンチェスター大学留学生活: 日常の幸せ 現在は寮に暮らしていますか? 初年度は学⽣寮に暮らしていました。2年⽣になってからは⼤学より南のエリアで友達3⼈と⼀緒にシェアハウスしています。⼤学からやや遠くバスで20分かかり、毎⽇満員バスに乗ってキャンパスを往復しています。 このエリアはナイトライフが活発で、夜は結構騒がしく⽇本⼈学⽣からあまり好かれないエリアかもしれないです。⽂化的に合っていないというか。ただ、私は⼈と交流したり友達とパブに⾏ったりするのが好きなのでこのエリアは⾃分に適していると感じています。 シェアハウス生活はどうですか? すごく楽しいです。ハウスメートたちとは仲も良くトラブルもありません。これ以上良いハウスメートはいないんじゃないかと思うくらいです。 また、スーパーが近いというロケーションもすごく重要です。シェアハウスをすると話し合った時にスーパーから近いところにしようと決めました。夜、急にチョコチップアイスを⾷べたくなった時にすぐに買いに⾏けるんですよ。この利便性は本当に⼤事ですね。家でラグビーの試合を⾒ている時なんかは、ハーフタイムにダッシュで買いに⾏っても後半戦に間に合うんです。 食事はどうしていますか?ハウスメートと一緒に作りますか?それとも各自ですか? たまに⼀緒に作って⾷べることもあるんですが、基本的には各⾃で作りますね。⾷べたいものが全然違うので。僕はスパゲティを作ることが多いです。安くて簡単で速い、⼤学⽣に必要な三要素がそろっています。そしてビタミン不⾜には気をつけるようにしています。 マンチェスターは学生が住みやすい街 マンチェスターに2年間暮らしてみて、どうですか? とても住みやすい街だと思います。マンチェスターはシティセンターの端から端まで歩いて30分しかかからないです。⾏きたいは基本的に徒歩範囲内です。加えて、バスが24時間⾛っているのがありがたいです。 街と⼤学が⼀体になっているところも住みやすいと感じる理由です。ロンドンの⼤学だとキャンパスが街の中⼼から離れているところが多いのですが、マンチェスター⼤学はキャンパスの周りにいろいろな店や施設がそろっているので便利です。 日本の公立小学校を経てイギリスへ留学 11歳に渡英したとのことですが、どういう経緯でイギリスに来ることになったのですか? イギリスに⾏こうと思ったのは⼤きく2つの理由があります。1つは当時サッカーをしていて、海外のレベルで挑戦してみたかったからです。もう1つはハリウッド映画にすごくハマっていて、英語への憧れがあったからです。 ⼤⼈になるとアイデアが浮かんでもあれこれ考えてしまうと思うのですが、当時⼩学⽣の私は「サッカーがしたい」「英語がしゃべりたい」という2つの原動⼒だけで両親に相談したら背中を押してくれました。イギリス南東部の中⾼⼀貫のボーディングスクールに⼊学し留学⽣活が始まりました。両親は⽇本に残り、単⾝で渡英して今に⾄ります。振り返ると当時はよくやったなと思います。 最初の1年間はとにかく何をやっても⼤変でした。⾔葉が通じなくて、指⽰が理解できず何をすればいいか分からなかったです。授業にもついていけなかったです。意味が分からないことで怒られたこともありました。 高校時代の凌太朗さん 英語があまり話せなかったということで配慮してもらいましたか? 僕は11歳で⼊学しましたが、この年齢で英語ができないという⼦がそれほど多くなかったので特別扱いはなかったです。そういう体制が整っていなかったと言ったほうが正確かもしれません。⾼校⽣の学年になると留学⽣も増えるので英語の補習クラスなどがありました。ですが、私の⼊学した年齢ではそれがなかったので、英語の海に投げ込まれた感じです。今考えるとそれが良かったですね。最初からネイティブと⼀緒に授業を受けたので、現地の⼦たちとの関わり⽅が早いうちに分かり、彼らに溶け込むのが⽐較的スムーズでした。 つらいことだらけだった生活をどうやって乗り越えたんですか? 気合ですね。本当は諦めることもできました。両親に「もう無理」と⾔えばやめることができたと思います。でも自分としては諦めるという選択肢はなくて、何が何でもやり切りたかったです。我慢と忍耐⼒で乗り越えた当時の経験が今の私の礎になっています。 留学生活に慣れるまでどれくらいかかりましたか? 1年もかからないうちに慣れました。英語⼒に関しては、1年⽬は⾃分の気持ちを少し伝えられて、2年⽬は相⼿の話を聞いてしっかり受け答えができるようになりました。3年⽬になると思い通りに会話ができました。このように成⻑していることを⾃分でも段階的に実感しました。3年⽬が終わる頃にはいわゆる“英語ペラペラ”になっていたと思います。 その時点で英語が話したいという目標はクリアしたということですね。 はい、確かに英語が学びたいという1つの⽬的は達成しました。しかし私にとって英語は⽬標ではなく1つのスキルです。⽬標を達成したというよりはある1つのスキルを⼿に⼊れたと捉えています。 なるほど、ではもう1つの目的だったサッカーはどうなりましたか? 僕が⼊った学校にはChelsea Foundation(チェルシーファンデーション)がありました。Chelseaはイギリスプレミアリーグのサッカーチームで、そのアカデミーファンデーションに加⼊しました。このクラブがあったことが⼊る学校を選んだ理由の1つです。 でもラグビーをやってみて分かったのですが、⾃分のサッカーへの愛というか、情熱はラグビーに⽐べると全然⾼くなかったです。ラグビーの魅⼒には⼀試合で染まりました。今は「ラグビー⼤好き!」です。 ラグビーが好きになったのは試合を観戦したのがきっかけということですね。 いえ、16歳の時、他校との試合に「1⼈助っ⼈が欲しい」と⾔われたことが始まりです。「じゃあ俺がやるよ」と、タックルの仕⽅すら分からないのに出場しました。 初戦で相⼿のデッカい選⼿がボールを持ってこっちに向かってきました。私の後ろがタッチラインだったので抜かれたらアウトになってしまうと思い、必死に守ろうとしました。アタックのやり⽅が分からないのでその選⼿に抱きつき、どうにかして⽌めようとしました。だが次の瞬間、相⼿の肘がバーンと顔を直撃し、⿐が折れてしまいました。結局トライを決められ、「俺の⿐⾎はなんだったんだ」となりましたが……。 それでも、ラグビーのメンタリティーや団結感がすごく好きになりタックルも楽しいなと思い、サッカーを置き去りにしてラグビーに転向してしました。 普通はトラウマになると思うのですが、すごいですね。 それは両親と家族のお陰だと思います。 実はラグビーで前⻭が1回折れかけたことがあります。普通の親御さんですと動じて「そんなスポーツやめなさい」などと⽌めるのではないかと思うのですが、私の⺟は「しっかりやりなさいよ」と。こんな感じで、⼤変なこともサポーティブに前向きにしてくれたことでトラウマにもならずに続けることができています。また、そういう姿勢は海外⽣活する上での助けになっています。 海外大学生の就職: 日本の企業に就職したい 卒業後はどういう予定ですか? ⽇本の企業で働きたいです。 海外で勉強した学⽣は結構外資系企業に就職する⽅が多いと思います。でも私は⽇本⼈⼀⼈⼀⼈が⾃信を持ち、世界で戦うリーダーや組織の成功例を増やしていきたいからこそ、⽇本企業にこだわります。その理由は⽇本⼈の団結⼒というものはすごく強いと感じているからです。 例えばサッカーを⾒ても、ブラジルとの試合では、選⼿⼀⼈⼀⼈のレベルは圧倒的にブラジル⼈のほうが⾼いですが、最後は⽇本が勝ちます。なぜかというと団結⼒という⽇本の素晴らしさがあるからです。これはビジネスでも共通するところがあると考えています。⽇本企業で同じ⽬標に向かって団結すれば⼤きなものを⽣み出していけると思います。 https://www.manchester.ac.uk

【模擬国連】LIMUNとは?潜入レポートと参加者インタビュー

ロンドンでは毎年、LIMUN(London International Model United Nations / ライムン)というヨーロッパ最大規模のModel UN(Model United Nations - 模擬国連会議)が開催されています。模擬国連とは、学生が各国の大使になりきり、国連会議を模して議論を行う教育的な活動です。多くのイギリスの大学には模擬国連のSociety(日本の大学でいうサークルのようなもの)があり、LIMUNはそれらの団体が一堂に会する大きなイベントとなっています。 今回は、友人が模擬国連の最高責任者であるSecretary-General(事務総長)を務めることになり、その関係で僕も4月26日〜27日に開催された高校生向けのLIMUNであるLIMUN:HSの広報担当として企画・運営に参加しました。期間中には、過去にLIMUNの幹部として携わってきた友人へインタビューをしました。本記事が模擬国連の魅力を知るきっかけになれば幸いです。 模擬国連(LIMUN)の準備: 運営の舞台裏 友人からLIMUN:HSの企画・運営の打診があったのは、1年前の11月でした。大学時代、私は模擬国連に参加していませんでしたが、周囲には模擬国連のSocietyに所属している友人が多く、活動内容が気になっていたこともあって、彼女の誘いを受けることにしました。 自分のIDカード 本格的な準備が始まったのは、イベントの3か月前、今年の1月からです。最初はSNSやウェブサイトを通じた告知・募集業務が中心でした。開催が近づくにつれ、業務量が一気に増加。特に大変だったのは、11ある委員会それぞれの概要や議題の関連情報をまとめたStudy Guide(議題解説書)の編集と、約200人分の参加者情報をもとにプラカードやIDカードを作成する作業でした。直前のキャンセルや飛び入り参加もあり、当日までバタバタしていました。 プラカード 模擬国連(LIMUN)で扱われた多様な議題と委員会 模擬国連当日、参加者は委員会ごとに分かれて異なる議題で会議を行います。 今回のLIMUN:HSでは、‟The Rise of Mega-Constellations: Managing Space Debris and Orbital Congestion” -「巨大星座の台頭:宇宙デブリや軌道混雑にどう対応するか」という議題を扱うCOPOUS(Committee on the Peaceful Uses of Outer Space - 国連宇宙空間平和利用委員会)や、“Addressing Security Issues in the Sea of Japan” -「日本海の安全保障問題」をテーマとするUNSC(United Nations Security Council - 国連安全保障理事会、安保理)など、幅広いトピックが設定されていました。 なかには、‟Death of Julius Caesar” -「ジュリアス・シーザーの死」というテーマで、歴史上の人物になりきって議論を行うCRISISという変わり種の委員会もあり、特に人気がありました。Study Guideやプラカードなどをまとめているうちに、本当に色々な委員会やトピックがあると実感し、面白そうだなと思いました。 WHOのStudy Guideの表紙 会場はキングスカレッジロンドン: 当日の様子 実際にLIMUN:HSに参加してまず感じたのは、やはりそのスケールの大きさでした。とりわけ会場となったKing’s College London(キングスカレッジロンドン)のキャンパスは貸し切り。加えてロンドンやBath(バース)、Southampton(サウサンプトン)、南部のGildridge(ギルドリッジ)、Oxford(オックスフォード)、Cambridge(ケンブリッジ)などから10校以上、合計約150人の高校生が参加しました。 高校生向けのイベントを大学生が主催するということもあり、運営側には参加者の安全と満足を第一に考える責任がありました。準備期間中は各高校の生徒・そして先生方とも頻繁にコミュニケーションをとり、注意事項などを確認し合いました。イベント期間中は各会議室に加えて、Wellbeing Room(ウェルビーイングルーム - 精神的なストレスを抱えた場合によく使用される休憩室)やサポートスタッフの配置など、細かな配慮が求められました。運営中は常に緊張が抜けず、何かトラブルが起きないかと気が気ではありませんでした。 会議の様子を見学する機会がありました。生徒たちは事前にしっかり準備をしていて、非常に熱心にディベートに取り組んでいました。多くの生徒が大学でも模擬国連を続け、LIMUNに参加したいと話していたのが印象的です。閉会式では、各委員会で最も活躍した生徒や、著しい成長を見せた生徒に表彰状が贈られるセレモニーも行われました。 開会式前の様子 模擬国連(LIMUN)幹部経験者インタビュー: ガブリエル君(スペイン出身) Q:そもそも模擬国連とは? 模擬国連とはその名の通り、国連の活動を模擬的に体験する活動です。国連には業務を遂行する様々な機関があります。例えば、WHOと呼ばれる保健や医学事業などを専門分野とする世界保健機関(World Health Organization)やUNICEF(ユニセフ)と呼ばれる子供達の支援や保護をする国連児童基金(United Nations Children’s Fund)などがあります。期間中は各委員会に分かれて、定められたテーマの国際問題について議論や交渉を行います。 Q:あなたの模擬国連での役割は? 僕は来年行われるLIMUNにDSG(Deputy Secretary-General / 副事務総長)として参加する予定です。模擬国連の包括的な企画・運営をする役職です。また、過去には各委員会の企画を担当するUSG Chairing(Under-Secretary-General Chairing / 事務次長議会企画担当)という役職に就いたことがあります。 Q:模擬国連の面白さとは? どういう役割を持って模擬国連に参加するかによって、全然違った体験ができるところです。基本的には議長(Chair)か事務局(Secretariat)役で参加して模擬国連の企画・運営をするサイドになるか、大使(Delegate)役で会議に参加し、決議案の作成などを行うかの2つです。知人がChair役をやっており、それに興味を持ったのをきっかけに、僕はこれまでChairの立場で模擬国連に2年間参加し続けてきました。より深く、内部からこのイベント・活動に携われるのが楽しいところです。 Q:運営側としてのやりがいは? LIMUNはヨーロッパ最大規模の模擬国連イベントです。今年の2月に行われたLIMUNでは計1200人もの学生が集まりました。それだけの人数を集めて模擬国連を企画・運営するのはもちろん大変でもあります。そして1000人以上の参加者がトラブルなくイベントを終えるためには、随分前から準備を始めないといけないですし、プレッシャーや仕事量に押しつぶされそうになることもあります。学業との両立も大変でした。ただ、一から立ち上げたものに参加者が楽しんでくれている姿を見るとやりがいを感じます。 Q:模擬国連の活動を経て得た成長は? 模擬国連の活動・会議はディベートを中心に行われます。会議に向けての練習だったり、実際にディベートに参加したりすることで自分のスピーキング・ディベートスキルが特に上がったなと思います。最初はなかなかうまくいきませんでした。何回も会議に参加していくうちにどんどん自信がついていきました。他の人と意見交換をするのは自分の知らない国の政治事情などを知る機会でもあります。特にLIMUNのような規模になると違う地域の大学からも参加者が来ています。そのため、新しい友達を作るきっかけにもなりました。振り返ってみると心理的・社会的・精神的、様々な面で僕を成長させてくれた経験だと思います。 Q:模擬国連にはどんな人が向いていると思いますか? 当然、国際関係や国連、もしくはそこで働くことに興味がある人にはピッタリだとは思います。保健や医療に興味がある人はWHO、法学に興味がある人はICJ(International Court of Justice - 国際司法裁判所)、歴史や考古学に興味がある人はUNESCO(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization - 国際連合教育科学文化機関、ユネスコ)といった具合で、関心のあるトピックについて意見を交換し合います。特別国連に興味を持つ必要があるとは思いません。どんな人でも惹かれるテーマに出会えるはずです。 Q:将来への役立ち方は? 将来国連で働きたいと思うなら、模擬国連はその予行演習をできる貴重な機会だと思います。そうでなくても、さっき話したようにここは心理的・社会的・精神的に成長できる場なので、何かしらの形で必ず将来に役立つと思います。 Q:最後に、模擬国連に興味を持っている人へ一言 Just go for it! 僕にとって模擬国連は、大学生活で最も充実した活動でした。最初は不安があっても、思い切って参加すれば、必ず得るものがあります。LIMUNで出会った友人は今でもかけがえのない存在です。それが来年またChairとして参加することを決めた理由です。この記事が、少しでも多くの人に模擬国連の魅力を伝えられたら嬉しいです。 ありがとうございました! https://www.limun.org.uk

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交換留学はラク?立教→マンチェスター大学の交換留学生に聞いた

Risakoさん 神奈川県出身。立教大学異文化コミュニケーション学部の選抜コース「Dual Language Pathway(DLP)」に在籍。現在マンチェスター大学(The University of Manchester)に交換留学中で、主に紛争研究学を履修している。仲間とバンドを組み、ボーカルとして活動中。 Ikoneさん 東京都出身。中学時代に3カ月、高校時代に1年間カナダに留学していた。高校時代にイギリス・エディンバラで語学留学も経験。立教大学異文化コミュニケーション学部に在籍。現在マンチェスター大学に交換留学中で、主に言語学の授業を履修している。趣味はカフェ巡り。 RisakoさんとIkoneさんはともに立教大学異文化コミュニケーション学部に在籍しています。昨年9月からマンチェスター大学に1年間の交換留学中です。日英どちらの大学生活も経験した2人にインタビューしました。 マンチェスター大学への留学を決めた理由 マンチェスター大学に留学すると決めた理由は何ですか? Risako:昔から留学したかったが、高校時代はコロナ禍で留学が中止となりました。マンチェスター大学にしたのは協定校一覧の中で世界大学ランキングが一番高かったからです。また、世界トップレベルを誇る紛争研究学と平和構築学を学びたかったです。あとはハリーポッターの中で話されているイギリス英語に憧れ、イギリスにしました。今までヨーロッパに行ったことがなかく、留学のついでに周辺国にも行きたいと思いました。 晴れた日のキャンパス Ikone:私も世界大学ランキングを参考にしました。留学するならレベルの高いところに挑戦したいです。そういうところの学生は優秀で、人種などを理由に差別されることも少ないと考え、気楽に過ごせると思いました。学生の3割が留学生だという点も重視しました。というのも、高校時代に留学したカナダ・バンクーバー郊外の学校では、ほぼ全員が白人でした。留学生は同じ高校から来た自分を含め5人だけだったのでかなり孤立感がありました。また、姉が昔エディンバラ大学(The University of Edinburgh)に留学していました。その時に自分もエディンバラで1カ月の語学留学をしました。そのためイギリスはなじみのある国で、安心して留学できる場所だと思いました。 https://jp.education-moi.com/article-28 日本とイギリス: 大学の授業を比較 日本とイギリスの大学で授業を受けた経験から、感じた共通点や相違点を教えてください。 Risako:そこまで大きな違いは感じなかったです。私は異文化コミュニケーション学部のDLPという15人しかいないコースにいます。どの授業も少人数で日本語なり英語なり、授業中話し合いをすることが多々ありました。こちらの授業でもディスカッションをします。 Ikone:lecture(講義)は大人数で行われ、聴くことがメインです。seminar(セミナー)とtutorial(チュートリアル)は講義を履修している学生が少人数クラスに分かれて、講義内容についてディスカッションします。日本でやったディスカッションは結構一般的な話をしていたと思います。こちらではより個人にフォーカスしていて、「あなたはどう思いますか」を聞かれます。 講義の様子 Risako:日本では「今からこのテーマについて話し合ってください」という感じで教員主導でした。こちらはそれに加え、学生が授業の途中で質問したり反対の意見を述べたりします。そこからディスカッションに発展するパターンが多くて、学生主体だと感じました。 Ikone:だからセミナーやチュートリアルは同じ講義の内容について議論するけど、クラスによってディスカッションの方向性が全然違います。 予習・復習量は日本と同じ 課題の量はどうですか? Ikone:日本では毎回リアクションペーパーが出されて、毎週提出しないといけない課題がありました。こちらではチュートリアルの準備としてリーディングと事前に出された質問の答えを考える課題があります。でも提出する必要はなく、ディスカッションをスムーズに進めるために各自やるものです。提出物の数でいえば日本のほうが多かったけど、結局やることの量はあまり変わらないです。期末レポートは日本と同じですが、こちらのほうが字数が多いですね。 Risako:私も同じことを感じます。日本は面倒見が良くて、学生に学習習慣をつけてもらうようにします。また、欠席を3回以上すると単位が取れなくなります。私の場合、少人数のコースだったので顔を覚えられてなおさら欠席しづらいです。どの授業も何かしらの課題が出されるから毎週課題に追われていました。イギリスだと確かにチュートリアルのために準備しないといけないけど、提出は求められないので勉強したい人が頑張る感じです。 教育の現場も実力主義 Ikone:来る前はイギリスの学生のほうが真面目だと思っていました。でも意外と授業に来ない人もいたりと、日本とあまり変わらないと感じました。 Risako:こちらでは出席しようがしなかろうが、成績に関係するのは課題と試験です。そこさえちゃんとできていればいいので、そういう意味では実力主義ですね。授業の全てに力を入れる必要があるわけではなく、興味を持った部分や難しい箇所を重点的に勉強するなどというように自分で決められます。個人的にはこちらの制度のほうが好きです。 マンチェスター大学留学生の課外活動 続いては課外活動について聞きます。ご自身の体験や周りの人の活動を見て、日英の課外活動面での違いは何か感じましたか? Risako:サークル活動はどちらも活発ですが、やり方の違いを感じました。日本は友達を作る場としてサークルを活用している人が多いと思います。例えば私はバドミントンよりもイベントが中心のバドミントンサークルに入っているのですが、飲み会などをしてメンバー同士の仲を深めています。 イギリスのサークルはsociety(ソサエティ)と呼ばれていて、目的がはっきりしています。マンチェスター大学は留学生が多いので、中国人ソサエティ、日本人ソサエティなど、その国の人たちの集まりもあります。そこは単なる同じ国の友達作りの場だけでなく、その国に興味がある人に対してもウェルカムです。また、Manchester Japan Society(日本人会)の活動内容がとても濃いと感じました。実際に企業の担当者を招いて毎週のように就活イベントを開催して、日本人学生の就活を手伝うなどしています。 Ikone:私が思ったのは、日本のサークルには年度初めに入らないとそこから1年間入る機会を失います。でもイギリスは1年間のどのタイミングに入ってもいいです。なんならそのソサエティのメンバーでなくても活動に参加できて、結構オープンです。日本のサークルは閉塞的な環境ですが、その反面、内部のコミュニティが確立されていて、団結力が強いです。イギリスのソサエティは固定のメンバーではなく、毎回新しい人が参加するので、留学生にとっても行きやすいです。 Risako:そうですね。日本のサークルは決まったメンバーで活動するので同じ人との付き合いがずっと続きます。一方でイギリスはどんどん人脈が広がっていく感じです。 柔軟な対応で可能性広がる Ikone:私は今学期Language Societyで日本語チューターをしました。当初は期限が過ぎていて申し込みができなかったです。でもチューター経験者の友達が担当者につないでくれて、期限が過ぎてもできることになりました。このように、フレキシブルに対応してくれる環境があるので何事にも挑戦しやすいです。 Language Societyで日本語チューターとして教えた学生たちと Risako:イギリスはソサエティという枠組みじゃなくても活動の幅は広いと感じました。私はバンド活動をしています。自分たちでメンバーを見つけ、場所を取って楽器も自分たちで用意しました。いろいろなコミュニティとコネクションを作って発表の場をもらえました。マンチェスターは音楽の街ということもあり、このような有志バンドの活動が結構盛んです。 バンドのパフォーマンスでボーカルとして活動 イギリスに留学して感じた日常生活の違い 日常生活について聞きます。2人とも筆者と同じ寮に暮らしていますが、生活はいかがでしょうか? Ikone:まずは暮らしについて言うと、こちらの人の衛生観念が日本人とあまりにも違いますね。寮に入居した当初は全体的に想定よりきれいだと思いました。しかし過ごしていくうちに衛生観の違いが現れます。具体的に言うとシャワーに髪の毛が詰まって浸水したり、トイレを流さなかったり、キッチンを汚く使ったり、他人の食材を盗んだりですね。しかもみんなが寮のグループチャットでこれらの問題について怒ったり指摘したりするにもかかわらず改善されないです。 Risako:私の階のシャワーには一時期髪の毛を丸めたマリモみたいなやつがありました……。 食事はやっぱりまずい!? Ikone:食事付きの寮なので、朝夕は食堂で済ませます。最初は問題なく食べられたのですが、中華街などでアジア料理を食べてからは寮の食事がまずいと感じるようになりました。お腹を満たす分には良いのですが、それ以上のものは期待できないですね。 寮の食堂で出された夜ご飯 Risako:寮の食事について言うと、時間帯が早いです。夕食は5時から7時の間に提供され、早すぎじゃないかといつも思います。授業が6時に終わる人もたくさんいるはずだし、そこから課外活動に参加したら絶対に間に合わないです。私もいつも時間内に行けないです。 Ikone:確かに、日本にいた時は8時、9時に夜ご飯を食べていました。こちらはご飯が早いせいで、深夜になるとお腹が空きます。 自炊と寮のケータリングサービス Risako:寮が食事付きだから自炊するのが微妙に難しいです。キッチンは大人数で共用している割に狭く、収納スペースもあまりないです。食事がない寮だと、キッチンが広く、隣には食事スペースがあって自炊しやすくなっています。なので食事が合うか合わないかは食べてみないと分からないかもしれませんが、さっき言った食事時間も併せて、選ぶ時に考えたほうがいいポイントだと思います。 Ikone:食事時間に関してはルーティン化できるかどうかだと思います。私は食事時間に合わせて、何時までに何をしてから食堂に行くとか、朝ご飯に合わせて何時に起きようとかを決めています。 夜遊び文化から見える食習慣 Risako:夕食の時間が早いのは、イギリス人は夜遊び文化があるからだと思います。夕食後クラブやパブに出かけることが前提になっているのではないかと考えます。私も最近はほぼ毎日のように夜に出かけ、昨日は10時から友達と映画を観ました。その後も解散するわけでもないです。終電がなく、徒歩でどこにでもアクセスできてしまいます。そのため、そこから飲みに行ったり、誰かの家に行って映画を観たりおしゃべりしたりと、深夜でも選択肢がたくさんあります。 Ikone:そうですね。Uberが安いし、バスも走っているので、深夜でも移動手段には困らないです。そういう意味では日本より夜遊びがしやすいです。 イギリス大学留学を目指す人へのアドバイス これから交換留学でイギリス、あるいはマンチェスター大学に来る人へのアドバイスをお願いします。 Ikone:マンチェスターに関しては、特にシティセンターに行けばカフェやレストランがものすごく多いです。観光地ではないので、住むのに適しています。 Risako:そうですね、全てがちょうどよくそろっています。中華街や新宿二丁目みたいなゲイビレッジもあるし、ショッピングモールも空港もあります。観光地以外だと田舎過ぎる場所が多いイギリスですが、マンチェスターはそういうわけでもなく、過ごしやすいです。 やりたいことを事前に調べる Risako:さっき日本のサークルは年度初めに参加しないとその1年入るチャンスがなくなる話がありましたが、こちらの体育会系のソサエティに関しても同じことが言えます。年度初めにFreshers’ Weekという、ソサエティがブースを出して勧誘活動をする週があり、そこでチアダンスやアイスホッケーなど面白そうな団体を見つけました。 私は当時留学生活に慣れることに集中したいと思っていました。そのため、2学期に入ってから申し込めばいいと思ったのですがその時はもう手遅れで、結局参加できませんでした。留学が始まる前にやりたいことを調べ、到着したら一直線で向かえるようにするといいです。 Ikone:体育系は結構活動に参加するに当たり、テストセッションがあるとこもありますからね。 Risako:あとは自分でソサエティを作ることもできます。マンチェスター大学に剣道ソサエティがあるのですが、それはこっちに来たばかりの日本人留学生が、留学が始まった瞬間に作ったと聞きました。2学期のFreshers’ Weekでは既にブースを出していました。行動力がすごいですね。就活ではこういうところが評価されるので、希望者は事前に調べておくと良いと思います。 長期休みは旅へ Ikone:マンチェスター限定で言うと、思ったより雨は降らなかったです。曇りがほとんどで、特に12月、1月はいつ見ても空が真っ白です。なのでこの時期はマンチェスターに残らず、他国に旅に行ったほうがいいです。 クリスマス休みやイースター休みになるとイギリス人学生は地元に、正規留学生の多くは母国に帰るので人が一斉にいなくなります。そのため長期休みは他の交換留学生や日本の友達・家族と旅行に行ったほうがいいです。 Risako:友達と友達をつなげることをもっとしておけばよかったと思います。日本だと失礼に思われますが、こちらだとみんな普通にやっているので、誰かとの約束に別の人を連れて行くことはよくあります。そこで友達関係が広がり、いろんなチャンスが巡り込んできます。実は私バンドを2つ掛け持っているのですが、2つ目のバンド結成につながったのもそのように人脈を広げたからです。 新学期のワクワク感を駆使する Ikone:社交があまり得意でない人は最初だけ頑張る!という気持ちで挑めば良いと思います。私も年度初めは自分からいろんな学生に話しかけるように心がけましたが、途中から疲れてしまいあまり話さなくなりました。でも最初の頑張りがあったおかげで、その時に仲良くなった人と一緒にポルトガル旅行に行ったし、留学1週目に布団や飲み物をくれたりしました。 Risako:そうですね。留学し始めた頃のほうがエネルギーがたくさんあるので、その時の体力でうまくいく・いかないに関わらずたくさん挑戦したほうがいいです。 Ikone:あとは新学期特有の全員期待感が高いムードをうまく使いましょう。寮のコミュニティに溶け込んだり、ソサエティの活動に参加したりして友達を作ることも大事です。 国籍にとらわれず交友関係を広げる Risako:これはよく悪と言われるのですが、日本人と仲良くするのも重要だと思います。限度にもよるけど、やはり精神状態を良好に保つことが一番重要で、心が健康じゃないとできるものもできなくなります。それをする最たる例として日本人に悩み相談とか、心の拠り所にするのが大事だと思います。私たちもよく一緒に鍋をしながら語り合っていましたね。 Ikone:日本人とつながると交友関係が狭まるどころか、そこからどんどん広がっていきます。大学から留学する人は自分の意思で行くので、面白い人が多いと感じます。「日本人」という理由だけでその人たちと関係を経つのはとてももったいないです。 マンチェスター大学留学で学んだことを将来に生かす では最後に、この1年間の交換留学生活で学んだことをどのように生かしていきたいですか?意気込みをお願いします。 Ikone:今回の留学を通して、異文化の中でも落ち着いて主体的に行動することを学びました。英語でのコミュニケーションも以前によりスムーズに、自然に楽しめるようになりました。特に、イギリスのsarcasm(皮肉)文化は最初あまり理解できませんでしたが、今では私も使えるようになりました。帰国してからはインターンや就活など、新しい環境に飛び込む機会がたくさんあるため、そのような環境でも今回得た姿勢を応用して楽しんでいきたいと思います! Risako:この1年間、さまざまな人と交流する中で、特に人脈の大切さを学び、それが秘める可能性に気づきました。こちらでは人の輪の広がり方が非常に速く、また大きいです。そのつながりがあったからこそ、私も自分の夢をどんどん実現させていくことができました。時には既に叶った夢が思いもよらぬ形で発展することもありました。 日本にいた時から社交が好きでしたが、他人を先回りして気にし過ぎていて、違うグループの人を混ぜることは特段避けていました。しかし、人の輪が生み出す可能性を知った今、活用しない手はありません。今後は日本の他者を重んじる文化を尊重しながらも、人とのつながりを大切に、新しいチャンスを掴み人生を切り拓いていきたいです。 https://www.manchester.ac.uk

マンチェスター大学日本人会会長: 「日本人」の使命感を胸に、語学とビジネスで広げた視野【インタビュー】

Ryotaroさん ⽇本の公⽴⼩学校を卒業後、イギリスのボーディングスクール(全寮制学校)で7年間学び、その後The University of Manchester(マンチェスター⼤学/ UoM)に進学。ポルトガル語とビジネスマネジメントをダブル専攻し⽇本⼈会の会⻑を務める傍ら、パーカーブランドを運営。ラグビーに夢中。 マンチェスター大学: ポルトガル語とビジネスマネジメント専攻 専攻について教えてください。 マンチェスター⼤学のSchool of Arts, Languages and Culturesに所属しており、Portuguese and Business Management(ポルトガル語とビジネスマネジメント)の2つを専攻しています。 ポルトガル語は語学としての4技能を習得しながら⽂化⾯や歴史⾯の内容も学びます。この専攻の⼈数は学年で15⼈ほどと少ないため、lecture(講義)は会話教室のようなアットホームな環境で先⽣や学⽣同⼠の対話が活発に⾏われます。当然、どの授業に⾏っても同じメンバーと会うため、全員顔⾒知りで仲が良いです。3年次になると専攻している⾔語が話される国で1年間の交換留学に⾏きます。私はブラジルのサンパウロ⼤学に留学します。 ビジネスマネジメントでは、選べる講義の内容はさまざまです。私はマーケティング理論の基礎、国別の資本主義やその歴史などを履修しました。こちらはポルトガル語の授業とは異なり講義となると100⼈規模で⾏われます。講義のほか、seminar(セミナー)があり、その週の講義内容に関連したものを実践します。例えば講義で経済情報がまとめてあるグラフが出され、読解⽅法を教わったらセミナーでは作り⽅を学び、実際に⼿を動かします。授業の数は多くありませんが、テスト期間が近くなるとリーディングの課題が増えます。内容をしっかり読んで、関連の⽂献を調べながら理解を深めます。 その専攻を選んだきっかけは何ですか? ポルトガル語を専攻したのはイギリスで通っていたボーディングスクールの環境が⼤きく影響しています。そこは50カ国以上から⽣徒が集まるグローバルな校⾵で、周りは常にさまざまな⾔語が⾶び交っていました。私は16歳の時にスペイン語を学び始め、スペイン語が話せる友⼈と⽇常的に会話していたことでかなりのスピードで上達しました。その成功体験から、⼤学でも⾔語を学びたく、南⽶で主要なポルトガル語を選びました。 ビジネスに関しては、⾃分たちで何かを作り上げて、それをお⾦に変えられるところが⾯⽩いと思っています。 実は中学⽣の頃、学校に置いてあった無料のオレンジを搾ってジュースにして寮の部屋まで配達するというサービスを思いつき、1杯0.5ポンドで販売したことがありました。インスタで宣伝すると毎⽇のようにオーダーが⼊り、この無謀なビジネスは思いのほか⼤繁盛しました。しかしオレンジの減り具合が激しくて学校側にバレてしまいました。2週間で私の初めてのビジネスは幕を閉じましたが、その過程はとても⾯⽩く、有益でした。 また、⾼3の秋には卒業⽣の起業した話など、キャリアについての講演を聴きました。それをきっかけに卒業生とつながり、2カ⽉間メキシコとコロンビアで⽣活も共にするインターンをする機会に恵まれました。起業している⽅々の活動を肌で感じ、彼らの⾏動⼒やメンタリティー、情熱に魅了さました。このインターンの経験が更なるビジネスへの興味につながりました。 ポルトガル語とビジネスマネジメントを1年半以上学んで、どうですか? この2つの組み合わせを選んだのは最⾼の決断です。ポルトガル語は⽇に⽇に上達を感じます。新しい単語や表現を学び、頑張れば結果が出るのでやりがいを感じます。ポルトガル語に加え語学と同じくらい関⼼があり、かつ語学と全く違う分野であるビジネスを勉強することでバランスが取れていると思います。これよりいいチョイスはないと⾔えるくらいすごく楽しいです。 「みんなを笑顔にしたい」日本人会の会長として Manchester Japan Society(日本人会)の会長を務めていると聞きました。 昨年度会⻑職に⽴候補し、当時の執⾏部による⾯接などを経て選んでいただきました。僕は11歳からイギリスの全寮制学校に⼊り⽇本⼈は数⼈しかいなかったです。そのため、必然的に⾃分はある種その場の「⽇本代表」として⽇本のイメージを背負っているといったnational identity(国民意識)がありました。そのため、「⽇本のために何かをやりたい」と常に思いながら⽣活していました。この思いは⼤学に⼊ってからも続いていて、⽇本⼈会の会⻑になれば⽇本のためにできることの幅が広がると思いました。 日本人会の仲間たちと 会長として、どういう方針で会を運営していますか? 会としての仕事をしっかりやるプロフェッショナルな⾯はもちろんですが、「楽しくないといけない」と思っています。笑顔を絶やさず、元気で楽しい会にするのがモットーです。会⻑の雰囲気が組織の空気を⼤きく左右するので、⾃分が先頭に⽴って笑顔で、楽しく取り組むことを⼼がけています。 Ryotaroさんが会長になってから始めた取り組みはありますか? ⾃分の代になってからいつくか変更したことがあります。 定期的に⾏われている「パブソーシャル」という皆がパブに集まって飲みながら交流するイベントがあります。昨年まではただ場所を提供しているだけでしたが、今年からはビンゴ⼤会や変顔⼤会などのミニゲームを追加し、飽きずに参加してもらえるようにしました。 また、イベントのクオリティを上げるため、会員制を導⼊し、年間7ポンドの会費を徴収しています。 もう1つ⼤きなイベントとしてロンドンで開催された⽇本⼈のボートパーティに初めて参加したことです。イギリスの13の⼤学にいる⽇本⼈学⽣約700⼈が集まり、UoMからも25⼈が参加しました。他⼤学にいる⽇本⼈と交流できた実りのある会だったので来年につなげていきたいです。 マンチェスター大学でのビジネスチャンス 課外活動は日本人会以外に何かしていますか? 授業で習ったこともそうなんですが、インターンの経験を何かに⽣かしたいと思い、昨年夏に「Manny Bees」というパーカーのブランドを⽴ち上げました。 UoMの公式グッズはいろいろありますが、あまりクオリティが良くないと感じております。値段か⾼い割にそれほどかわいくない点にも注⽬し、それなら⾃分で作ろうということで始めました。 友達に助けてもらいながら、Student Union(学⽣会館)のフリースペースで試験的に展⽰販売をしたり、インスタに投稿する宣伝⽤の写真の撮影会を開いたりしてすごく楽しいです。これをマンチェスターの思い出の⼀つとして⼿に取ってほしいので、クオリティが良くて、かわいくて、低価格にできたものを提供したいと思っています。 自身が立ち上げたパーカーブランドの宣伝用写真 大学に入ってからもインターンしていますか? はい、⻑期休暇にインターンします。昨年はドイツのミュンヘンのオークションハウスに⾏きました。出品者から物を預かって、それをオークションで売ります。先ほど⾔ったコロンビアとメキシコでのインターンは今も続けています。例えばソフトウェアの新サービスのピッチプレゼンテーションを⽇本の⻁ノ⾨ヒルズやスペインのビルバオで行うなどをしました。このようにマーケティング関連のことを主にしています。 ケガをしても冷めないラグビーへの愛 スポーツは何かやっていますか? ⼩1からサッカーを始め、中3にラグビーに転向し、それからずっとラグビーをやっています。しかし2年前の夏、プレイ中に転倒し膝の前⼗字靭帯を痛めてしまいました。そこからは体を動かす程度です。本来は⼿術をして治すべきですが、術後のリハビリを考えると留学に影響が出てしまうため今は諦めています。そう⾔いつつもたまに我慢できずラグビーをしてしまいます。 打ち込んでいるラグビー マンチェスター大学留学生活: 日常の幸せ 現在は寮に暮らしていますか? 初年度は学⽣寮に暮らしていました。2年⽣になってからは⼤学より南のエリアで友達3⼈と⼀緒にシェアハウスしています。⼤学からやや遠くバスで20分かかり、毎⽇満員バスに乗ってキャンパスを往復しています。 このエリアはナイトライフが活発で、夜は結構騒がしく⽇本⼈学⽣からあまり好かれないエリアかもしれないです。⽂化的に合っていないというか。ただ、私は⼈と交流したり友達とパブに⾏ったりするのが好きなのでこのエリアは⾃分に適していると感じています。 シェアハウス生活はどうですか? すごく楽しいです。ハウスメートたちとは仲も良くトラブルもありません。これ以上良いハウスメートはいないんじゃないかと思うくらいです。 また、スーパーが近いというロケーションもすごく重要です。シェアハウスをすると話し合った時にスーパーから近いところにしようと決めました。夜、急にチョコチップアイスを⾷べたくなった時にすぐに買いに⾏けるんですよ。この利便性は本当に⼤事ですね。家でラグビーの試合を⾒ている時なんかは、ハーフタイムにダッシュで買いに⾏っても後半戦に間に合うんです。 食事はどうしていますか?ハウスメートと一緒に作りますか?それとも各自ですか? たまに⼀緒に作って⾷べることもあるんですが、基本的には各⾃で作りますね。⾷べたいものが全然違うので。僕はスパゲティを作ることが多いです。安くて簡単で速い、⼤学⽣に必要な三要素がそろっています。そしてビタミン不⾜には気をつけるようにしています。 マンチェスターは学生が住みやすい街 マンチェスターに2年間暮らしてみて、どうですか? とても住みやすい街だと思います。マンチェスターはシティセンターの端から端まで歩いて30分しかかからないです。⾏きたいは基本的に徒歩範囲内です。加えて、バスが24時間⾛っているのがありがたいです。 街と⼤学が⼀体になっているところも住みやすいと感じる理由です。ロンドンの⼤学だとキャンパスが街の中⼼から離れているところが多いのですが、マンチェスター⼤学はキャンパスの周りにいろいろな店や施設がそろっているので便利です。 日本の公立小学校を経てイギリスへ留学 11歳に渡英したとのことですが、どういう経緯でイギリスに来ることになったのですか? イギリスに⾏こうと思ったのは⼤きく2つの理由があります。1つは当時サッカーをしていて、海外のレベルで挑戦してみたかったからです。もう1つはハリウッド映画にすごくハマっていて、英語への憧れがあったからです。 ⼤⼈になるとアイデアが浮かんでもあれこれ考えてしまうと思うのですが、当時⼩学⽣の私は「サッカーがしたい」「英語がしゃべりたい」という2つの原動⼒だけで両親に相談したら背中を押してくれました。イギリス南東部の中⾼⼀貫のボーディングスクールに⼊学し留学⽣活が始まりました。両親は⽇本に残り、単⾝で渡英して今に⾄ります。振り返ると当時はよくやったなと思います。 最初の1年間はとにかく何をやっても⼤変でした。⾔葉が通じなくて、指⽰が理解できず何をすればいいか分からなかったです。授業にもついていけなかったです。意味が分からないことで怒られたこともありました。 高校時代の凌太朗さん 英語があまり話せなかったということで配慮してもらいましたか? 僕は11歳で⼊学しましたが、この年齢で英語ができないという⼦がそれほど多くなかったので特別扱いはなかったです。そういう体制が整っていなかったと言ったほうが正確かもしれません。⾼校⽣の学年になると留学⽣も増えるので英語の補習クラスなどがありました。ですが、私の⼊学した年齢ではそれがなかったので、英語の海に投げ込まれた感じです。今考えるとそれが良かったですね。最初からネイティブと⼀緒に授業を受けたので、現地の⼦たちとの関わり⽅が早いうちに分かり、彼らに溶け込むのが⽐較的スムーズでした。 つらいことだらけだった生活をどうやって乗り越えたんですか? 気合ですね。本当は諦めることもできました。両親に「もう無理」と⾔えばやめることができたと思います。でも自分としては諦めるという選択肢はなくて、何が何でもやり切りたかったです。我慢と忍耐⼒で乗り越えた当時の経験が今の私の礎になっています。 留学生活に慣れるまでどれくらいかかりましたか? 1年もかからないうちに慣れました。英語⼒に関しては、1年⽬は⾃分の気持ちを少し伝えられて、2年⽬は相⼿の話を聞いてしっかり受け答えができるようになりました。3年⽬になると思い通りに会話ができました。このように成⻑していることを⾃分でも段階的に実感しました。3年⽬が終わる頃にはいわゆる“英語ペラペラ”になっていたと思います。 その時点で英語が話したいという目標はクリアしたということですね。 はい、確かに英語が学びたいという1つの⽬的は達成しました。しかし私にとって英語は⽬標ではなく1つのスキルです。⽬標を達成したというよりはある1つのスキルを⼿に⼊れたと捉えています。 なるほど、ではもう1つの目的だったサッカーはどうなりましたか? 僕が⼊った学校にはChelsea Foundation(チェルシーファンデーション)がありました。Chelseaはイギリスプレミアリーグのサッカーチームで、そのアカデミーファンデーションに加⼊しました。このクラブがあったことが⼊る学校を選んだ理由の1つです。 でもラグビーをやってみて分かったのですが、⾃分のサッカーへの愛というか、情熱はラグビーに⽐べると全然⾼くなかったです。ラグビーの魅⼒には⼀試合で染まりました。今は「ラグビー⼤好き!」です。 ラグビーが好きになったのは試合を観戦したのがきっかけということですね。 いえ、16歳の時、他校との試合に「1⼈助っ⼈が欲しい」と⾔われたことが始まりです。「じゃあ俺がやるよ」と、タックルの仕⽅すら分からないのに出場しました。 初戦で相⼿のデッカい選⼿がボールを持ってこっちに向かってきました。私の後ろがタッチラインだったので抜かれたらアウトになってしまうと思い、必死に守ろうとしました。アタックのやり⽅が分からないのでその選⼿に抱きつき、どうにかして⽌めようとしました。だが次の瞬間、相⼿の肘がバーンと顔を直撃し、⿐が折れてしまいました。結局トライを決められ、「俺の⿐⾎はなんだったんだ」となりましたが……。 それでも、ラグビーのメンタリティーや団結感がすごく好きになりタックルも楽しいなと思い、サッカーを置き去りにしてラグビーに転向してしました。 普通はトラウマになると思うのですが、すごいですね。 それは両親と家族のお陰だと思います。 実はラグビーで前⻭が1回折れかけたことがあります。普通の親御さんですと動じて「そんなスポーツやめなさい」などと⽌めるのではないかと思うのですが、私の⺟は「しっかりやりなさいよ」と。こんな感じで、⼤変なこともサポーティブに前向きにしてくれたことでトラウマにもならずに続けることができています。また、そういう姿勢は海外⽣活する上での助けになっています。 海外大学生の就職: 日本の企業に就職したい 卒業後はどういう予定ですか? ⽇本の企業で働きたいです。 海外で勉強した学⽣は結構外資系企業に就職する⽅が多いと思います。でも私は⽇本⼈⼀⼈⼀⼈が⾃信を持ち、世界で戦うリーダーや組織の成功例を増やしていきたいからこそ、⽇本企業にこだわります。その理由は⽇本⼈の団結⼒というものはすごく強いと感じているからです。 例えばサッカーを⾒ても、ブラジルとの試合では、選⼿⼀⼈⼀⼈のレベルは圧倒的にブラジル⼈のほうが⾼いですが、最後は⽇本が勝ちます。なぜかというと団結⼒という⽇本の素晴らしさがあるからです。これはビジネスでも共通するところがあると考えています。⽇本企業で同じ⽬標に向かって団結すれば⼤きなものを⽣み出していけると思います。 https://www.manchester.ac.uk

芸術の夢を追い渡英:マンチェスター大学生の授業や暮らしの実態

Rickyさん 幼稚園から高校まで日本でインターナショナルスクールに通ったのち、イギリスのマンチェスター大学に進学。現在2年生。専攻は演劇と映画研究。趣味は音楽、作詞作曲で、仲間とバンドを組んで活動している。 マンチェスター大学の専攻「Drama and Film Studies(演劇と映画研究)」 専攻について教えてください。 マンチェスター大学のSchool of Arts, Languages and Culturesに所属していて、その中のDrama and Film Studiesというコースで2つの分野を専攻しています。 Drama Studiesでは、舞台や演劇、音楽ライブなどの生のパフォーマンス全般について学んでいます。例えば出演者側は何を伝えようとしてパフォーマンスをしているのか、どういう工夫をしてメッセージを伝えているのか、あるいは観客がそのパフォーマンスを見て、出演者が伝えたい意味をどう受け取るのかなどについて考えます。 Film Studiesで扱う対象はDrama Studiesと対照的で、映画やテレビ、カメラワーク全般について学びます。例えばアメリカとイギリスの映画の歴史を比較したり、世界中の映画がこれまでどのような進化を遂げ、発展してきたのかを調べたりしています。さらに、映画は社会問題を映し出す手段になることがあり、デモの1つの形として表現されます。それだけでなく、映画界では人種差別やマイノリティ差別といった問題があります。そのような社会学的な観点からも勉強します。 この専攻を選んだ理由は何ですか? 父が映画好きで、昔からよくリビングで映画を鑑賞していたので自分も一緒に観ていました。その影響で映画製作や俳優に興味を持ち、その業界に関わることが小さい頃からの夢でした。 どういう授業がありますか? 授業はlecture(講義)、seminar(セミナー)、screening(スクリーニング)、workshop(ワークショップ)の4種類があります。講義では映画や舞台の理論的なことを学びます。スクリーニングでは、毎回映画を1本観ます。観る映画は講義の内容に関連するものです。その後のセミナーでは2時間かけて講義で学んだ内容とスクリーニングで観た映画を結び付けながら分析やディスカッションをします。 ワークショップは講義寄りのものと実用的な内容のものがあり、内容はいろいろあります。将来俳優になることも視野に入れているので、演技について勉強できるものを選びました。その他には講義に近い形でアメリカの舞台を分析する内容のものも履修しました。 授業の課題はそこまで大変じゃないですね。課題の1つに「映画を観る」というのが毎週出されます。映画は毎週2本観ることになっていて、1本は授業で、もう1本は宿題として各自で観ます。その他でいうと、リーディングの課題が結構多いです。3時間ほどかけないと読み終わらない超長い理論系のエッセイを読むというのがあります。音楽に理論があるのと同様に、映画や舞台にも理論があります。それに関するものを読んで勉強します。例えばアメリカでは過去に男性を優位に見せるように作られた映画がたくさんありましたが、最近はどうなっているのか、映画業界はどうやってそういうことをなくしているのか、などについての理論ですね。 秋晴れのキャンパス マンチェスター大学の日本人会とバンド活動 授業以外の活動は何かしていますか? マンチェスター大学の日本人会「Manchester Japan Society(MJS)」に所属していて、週に1回、10~20人ほどの外国人学生に日本語を教えています。受講者のレベルに応じて「初級」「中級」「上級」の3つに分けられています。自分は日本語がそれほど得意ではないので「初級」を担当しています。受講者は日本語初心者で、一番基本的なところから教えています。この活動を通してもっといろいろな人に日本語を知ってもらいたいです。また、教えることは自分の日本語力向上にもつながり、ウィンウィンの関係にあると思います。 MJSではこの他、2週間に1回「パブソーシャル」を開催していて、メンバー・非メンバー関係なく誰でも参加できます。そのイベントは大学の近くのパブで開催され、日本人学生だけでなく、日本に興味がある学生もたくさん集まり、毎回大盛り上がりを見せます。新しい人と話したり、日本人と交流したりすることでホームシックを解消しています。 今年は一般メンバーですが、来年度からは幹部になって運営に携わりたいと考えています。 日本語講師以外は? 小さい頃からずっと趣味で音楽をやっていました。家族が音楽好きです。そのため、車の中でいろんなジャンルの曲が流れているなど、音楽に囲まれながら育ちました。2人の兄は楽器をやっていて、その影響も強く受けました。トランペットやサックス、ギターなど楽器7種類を演奏できます。大学で意気投合する仲間を見つけて、バンドを組んで日々の練習に熱中しています。既に存在する曲を練習する一方で、バンド用に自分でも作曲します。また、自分より楽器演奏が上手な友人にコーチングを受けることもあります。 仲間と音楽に打ち込む日々 イギリス留学の光と影: マンチェスターでの生活のリアル マンチェスター大学は学生寮が充実していますが、寮で暮らしていますか? 去年は大学が提供しているHulme Hallという寮に暮らしていました。そこはキッチン、トイレとシャワーが共用でした。自分と同じ衛生観念を持つ住民があまりいなくて、居心地よくなかったですね。例えば使用した食器をすぐに洗わないで数日放置し、ハエが発生することがよくありました。また、棟ごとに当たり外れがあって、比較的新しい棟の部屋だときれいだけど、古い棟はネズミが現れます。 そういう生活に嫌気を指し、今年度からは3人の友人と合同で一軒家を借り、仲良く暮らしています。ただ、不動産会社の対応がひどいです。前の人が退居してから掃除などせずにそのまま渡されました。排水溝が詰まっていたり、ゴミ箱が壊れたりと、入居当初から本来やらなくていいはずのことに頭を抱えていました。これから物件を借りる人へのアドバイスとして、内見は必ず現地に足を運んで自分の目で確かめることです。ウェブサイトに載っている写真はきれいに見せたり、不都合な部分を写さなかったり、部屋が広く見える角度から撮影されたりしているので、信用しないほうがいいです。 普段の食事はどうしていますか? 昨年度は寮で食事が出たので、それほど自炊はせずに済みました。今年度からは自分で食事を準備しないといけないです。クックパッドのレシピやユーチューブの動画を見て作り方を習っています。また、毎日調理する手間がなくていいように、作り置きもします。今日もハンバーグを5食分作り、お腹が空いた時や明日以降の飯として、電子レンジで温めるだけで食べられるようにしました。外食はたまにしますが、やはり値段が高いので控えています。それに、自炊したほうがファストフードなどを食べるより健康にいいと思います。 自分で作ったマカロニチーズ イギリス生活が2年目に突入して、どうですか? 渡英してから初めて一人暮らしをし、自分はそれまでどれだけ恵まれた環境にいたのかを実感しました。料理や洗濯などは来たばかりの頃は全くできなくて、少しずつ学んで徐々にできるようになりました。留学は学問を究めるだけでなく、生活スキルを磨く期間でもあると感じました。 最近の悩みはクリーニング屋さんを見つけられないことです。ロンドンに行った時は靴専門のクリーニング屋さんを見かけたのですが、マンチェスターにはそれらしきものはなく、調べたらデリバリー制のクリーニングしかないみたいです。自分で専用の袋を買い、そこにクリーニングに出したい服を入れて、配達を依頼すると自宅までクリーニング会社の人が服を取りに来るシステムのようです。日本みたいに、クリーニング屋さんの店舗に服を持っていくのとは違って、戸惑っています。 イギリスに来てからの生活で、困ったことはありますか? 去年食中毒になって救急車で搬送されました。その後、病院で10時間ほど待たされ、結局痛み止めだけ渡されて帰宅しました。待っている間が一番つらくて、診察を受けて薬を渡されたことには既に症状は緩和しましたね。イギリスの国民保健サービス「National Health Service(NHS)」で受診して、無料なのはありがたいのですが、とにかく待ち時間が長いです。 これに関連する話をしますと、インフルエンザにかかっても薬をもらえない場合があると聞きました。そのため薬は日本でそろえたほうがいいですね。留学前に痛み止めや抗ウイルス薬、風邪薬、解熱剤など、一通り持ってくると安心です。 マンチェスターという街に住んだ感想 マンチェスター市はどういう街ですか? とても暮らしやすい場所だと思います。人々はフレンドリーですし、さまざまな地域から来る人がいるため、多様性が高いです。ロンドンは確かにマンチェスターより発展していて、便利で繁栄しているのですが、個人的には人が多すぎて住みたいと思えない環境です。ただ、マンチェスター市は寒いですね。もうちょっとヒートテックを持ってくればよかったと常々後悔しています。 ちょっとエモいマンチェスター市の風景 イギリス留学までの道のり そもそもなぜ留学しようと思ったのですか? 小さい頃から留学するのが夢だったこともあり、自分がやりたい芸術系の勉強はどちらかというと海外のほうが有名でしたので、留学は必然的な感じでした。映画関係の勉強というとハリウッドがあるアメリカのロサンゼルス(LA)が一番名門です。しかしアメリカの学費が高すぎてびっくりし、とても志望できないと思い、目標をアメリカの次に芸術分野が有名なイギリスにしました。 留学するまでにやったことを教えてください。 インターナショナルスクールを6月に卒業して、9月に渡英して入学したという流れです。その1年前の11月にUCASでの出願が終わり、2月に合格をもらいました。UCASでは5つの大学に願書を出しました。必要だった書類は志望理由書(personal statement)、推薦状、成績です。自分が通っていた学校では、出願するにあたり必要な準備を教えてくれる授業があったので、そこまで苦労したり戸惑ったりしなかったです。その他、留学準備や学校選定のためにやったこととしては学校の先生から個別にエッセイの書き方を教わったり添削を受けたりしました。あとはオンラインで各大学の担当者と面談して情報収集していましたね。 マンチェスター大学に留学して広がった世界 留学を通して気づいたこと、学んだことはありますか? 人として成長したと実感しました。また、マンチェスターだけでなく、近隣の地域やヨーロッパに行ったり、異なる文化背景で育った人と交流したりすることができます。それを通じて、人生のあり方は本当にいろいろで、自分が好きなように自由自在に生きたいと思えるようになりました。元々インターナショナルスクールに通っていたので、他の学校と比べると関わっている人の多様性が高いのですが、マンチェスターに来てからはさらにいろいろな人がいて、彼らと話し、日々が勉強になります。 将来の道は未定だが、選択の幅は広い 卒業後は何をしますか? 卒業後のことははっきり決まっていないです。修士課程に進むかもしれませんし、イギリスかアメリカでオーディションを受け、成功したら俳優への道を進むかもしれません。一方で、日本に戻って音楽仲間と一緒に音楽の道を切り開くのも選択肢の1つです。いずれにせよ、大学で学んだことや課外活動の経験を生かし、音楽関係、もしくはドラマ・映画製作に携わりたいと考えています。どれもうまくいかなかった場合に備え、音楽や映画以外で興味がある心理学のAP(アドバンスト・プレースメント)をとりましたので、それを生かしたいと思います。 https://www.manchester.ac.uk

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英国ボーディングスクールから理系の名門大学インペリアルカレッジロンドンへ

 初めまして、Kenshuと申します。19歳で、香港で生まれ育ちました。幼少期から香港のインターナショナルスクールに通い、4年前からイギリスに留学しています。現在ロンドンのImperial College London(インペリアカレッジロンドン)でChemical Engineering(化学工学)を学んでいます。 留学の経緯:香港で生まれ育ち、イギリス留学へ 小さい頃、父のお仕事の影響で日本と香港を行き来していました。小学校から中学2年生までは香港のインターナショナルスクールに通っていました。途中、日本の中学受験をしたものの、香港に残ることにしました。2019年以降新型コロナウイルス感染症が世界各地で繰り返し流行り、深刻な問題になっている真最中、私はイギリス留学を決め、海を渡りました。2021年の9月に一人でイギリスに渡り、今までの4年間を過ごしてきました。 イングランド西部にあるConcord Collegeに進学 イギリスでの学校選びにはそれほどの時間をかけませんでした。いくつかの学校に応募し、最初に合格が決まったところに行くことにしました。私が行くことになったボーディングスクール(全寮制学校)はイングランド西部のShrewsbury(シュルーズベリー)にあるConcord College(コンコルドカレッジ)という高校です。 Concord Collegeの校舎 戸惑いとホームシックの日々 最初の数日は英語で流暢に話し合う生徒たちを見て、会話にうまく入れなかったです。イギリス英語特有のアクセントやスラングを理解しようと必死でした。英語は何年も勉強していましたが、実際に学業や日常生活で使うのはまったく別の経験でした。 戸惑いは言語だけではありませんでした。イギリスの気候は日本とは大きく異なり、灰色の空と頻繁な雨が毎日続き憂鬱でした。食事にも全く慣れず、食堂で出会ったのはシェパーズパイやジャケットポテト、フィッシュアンドチップスばかり。日本のご飯が恋しくてたまりませんでした。 Concord Collegeのグラウンド 寮生活の思い出 Concord Collegeでは70%が寮生徒、30%が現地生です。全寮生徒には一人部屋を与えられました。私がForm4(中学3年)、Form5(高校1年)にいたときは小さい部屋でしたが、Form 6(高校2、3年)に入るともっと大きい部屋を与えられました。そこで夜遅くまで友達とゲームをしたりするのが一番の思い出です。 毎朝7時半に点呼があり、8時にダイニングホールで朝食を食べます。8時半に授業が始まり、午後4時まで9時限(1時限35分)あります。その間に昼休みと中休みが挟みます。4時に授業が終わると自由時間になり、私は毎日自由時間に昼寝をしていました。 6時半から8時10分までの100分間はprep timeという自習時間があります。全生徒が教室などに集って自習します。最初はすごく面倒で退屈な時間だなって思っていましたが勉強が忙しくなるにつれ、とても重要な時間になってきました。prep timeが終わると10時まで課外活動やクラブ活動が始まります。 課外活動:バレーボールとサッカーに打ち込んだ日々 私は学校のバレーボールとサッカーのチームに所属していました。毎週火曜日と日曜日はバレーボールの練習です。水曜日には他校との親善試合があり毎週それに向けて練習をしていました。Concord Collegeでの一番の思い出はバレーボールチームにいたことかもしれません。 一緒にバレーボールに打ち込んだ仲間たちと サッカーは毎週日曜日の午後にトレーニングがありました。イギリスはサッカー大国なのでみんなすごく上手でAチームに入るのにすごく大変でした。最終学年になった時にやっとAチームのセンターバックのスタメンをもらって嬉しかったのを鮮明に覚えています。 Aチームは日本で言う1軍のことで、全部で50人以上いる部員から15人ほどしか選ばれません。Aチームに入るには基本的に監督による評価、練習試合のパフォーマンスなどを総合的に見て選抜されます。Aチーム以外にもBチームがあり主に下の学年の生徒たちが所属します。 日本と香港には無いイベントの数々 クリスマスやハロウィーンになるとディスコやパーティーがよく開催されます。日本や香港の学校ではあまりない経験だったので友達とディスコに行ったときは圧倒されました。学外からDJを呼んでいたのでやっぱりイギリスの学校はすごいな〜って思いました。 毎年11月5日にあるBonfire Nightという日には学校で大きな花火が打ち上げられ、すごく綺麗です。 Concord Collegeで毎年Bonfire Nightで打ち上げられる花火 GCSE:理系科目が得意で、文系科目は必死 Concord Collegeのカリキュラムは、私がそれまで経験してきたものとは大きく異なっていました。最初の2年間では、GCSE(イギリスの中等教育修了試験)に取り組みます。選択科目からはHistory(歴史)、Geography(地理)、Computer Science(コンピューターサイエンス)、Statistics(統計学)の4つを履修しました。それからPhysics(物理)、Chemistry(化学)、Biology(生物)の3つの理系科目、English(英語)、Mathematics(数学)、Advanced Mathematics(応用数学)を選択しました。私は理系だったので地理、歴史、英語などの科目は苦手で、他の生徒たちについていくのに必死でした。 Concord College で一番ユニークだなって思うところがSaturday Testsという制度です。毎週土曜日に3つの科目の小テストがあります。科目は毎週ローテーションします。例えば、1週間目はMaths、Physics、Biology、2週間目はGeography、History、Computer Science、3週間目はEnglish、Statistics、Chemistryという感じです。特に2週間目はエッセイ科目が多く、その週の月曜日に復習を始めていたのですごく苦労しました。 2年目の5、6月になるとGCSEの試験が始まり、週に3、4つテストがありそれが2ヶ月間続きました。合計25テスト(9教科)を終えた後、2ヶ月間の溜まった疲れがどっと出てきてそれからの1週間は何もやる気が起きなかったです。 2年間のGCSEカリキュラムを終え、そのままConcord CollegeでA-levelに残ることを決めました。 A-Level:科目数が減り、内容が難しくなった イギリスでは2年間のGCSEを終えた後A-levelカリキュラムに2年間取り組みます。A-levelでは数学、応用数学、物理、化学を選びました。どれも理系科目で自分の得意分野でもあり、大学でChemical Engineering(化学工学)を専攻したいと思っていたのでこの4つを選択しました。 選択する科目がGCSEより少ない分、内容は難しくなり、特に物理は理解するのにすごく時間がかかりました。A-levelでもSaturday Testsは引き続き実施され、毎週2科目になりました。A-levelではGCSEとは違って授業がないfree periodという時間も増え、より自由な時間割になりました。でも私は勉強ではなくほとんどの時間を寮に戻って昼寝をしていました。 GCSEと同様、A-levelを始めてから2年目の5、6月になると試験があり、6月末までに10テストを終えました。志望大学の進学条件で、私は化学で最高評価のA*をとらなければいけなかったので化学の試験当日は落ち着かなかったのを覚えています。化学のA*を取るには90%以上得点する必要があります。そのため、化学の復習には他の教科より多くの時間を費やしていました。 A-levelが終わるとConcord Collegeから卒業し、夏休みに入りました。 https://jp.education-moi.com/boarding-schools/uk#a-level 高校の勉強と両立しながら挑んだ大学受験 私はイギリスの大学に行きたいという思いが昔からあり、Personal statement(志望理由書)などの準備に力を入れていました。Engineering and Science Admission Test(ESAT)※の勉強だったり面接の準備だったり色々なことをやる必要がありました。Concord Collegeにいた最後の年は勉強と受験対策の両立で忙しくて大変でした。2025年の1月に運よくImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)からのオファーレターをもらうことができました。今でもその瞬間だけは忘れられないです。 ※ESATは、University of Cambridge(ケンブリッジ大学)やインペリアルカレッジロンドンなどの理工系学部への出願者に課す入学試験です。 https://esat-tmua.ac.uk/about-the-tests/esat-test インペリアルカレッジロンドンに進学 今年の9月にImperial College Londonに入学し、化学工学を専攻しています。 今はロンドンで大学生活を送っていますが、振り返ってみると15歳でイギリスに渡ったとき、不安だらけでした。言葉も文化も違う環境に飛び込んで、自信をなくしたこともあります。でも、その経験を通して、今まで気づかなかった自分の強さや、新しい視野を得ることができました。これからも留学に関する情報や経験を共有していき、少しでも同じ道を考えている皆さんの参考になれたらうれしいです! https://jp.education-moi.com/article-50-imperial

イギリス留学生のバイト事情: 必要な手続きから学業との両立まで

はじめに こんにちは!Kotokoです。今回は、正規留学生としてイギリスで暮らす私が体験したバイト事情についてお話しします。私がバイトを始めたきっかけは、ファウンデーションコースに通い始めた頃、たまたま日本食レストランの前を通りかかり、店頭に貼られていた求人チラシを見つけたことでした。そこから応募し、現在もそのレストランで働いています。 https://passport-to.com/articles/16/ この記事では、私自身の経験や大学の友達の話をもとに、イギリスで留学生が働くための条件や、実際の仕事の様子、バイトを通して得たこと・大変だったことなどをリアルにお伝えします。 イギリスでバイトをするための条件 イギリスで実際にバイトを始めるには、いくつかのルールや準備が必要です。ここでは、私自身の体験をもとに、バイトを始めるためにまず知っておくべき基本的な条件についてご紹介します。 働ける時間の制限 イギリスでは、 Student Visa(学生ビザ)を持っていればアルバイトが可能です。ただし、働ける時間には制限があります。 私がファウンデーションコースに通っていた時は、週10時間以内という規定がありました。一方、学部生(大学生)は週20時間以内まで働くことが認められています。 なお、冬休みや夏休みなどの長期休暇中は、この時間制限が解除され、フルタイムで働くことも可能です。 National Insurance Number(NIナンバー)の取得 イギリスで正式に働くには、National Insurance Number(国民保険番号/NIナンバー) が必要です。これは、日本でいうマイナンバーや年金番号のようなもので、納税や保険の記録に使われます。 取得はオンラインで可能で、手元にパスポートを用意しておく必要があります。申請フォームに従って、名前・住所などの個人情報を入力していきます。申請が完了すると確認メールが届き、2〜4週間ほどでNIナンバーの書類が郵送されてきます。 申請ページはこちら(英語): https://www.gov.uk/apply-national-insurance-number 銀行口座の開設 バイトの給料を受け取るためには、イギリス国内の銀行口座が必要です。 私は父のすすめで、ネット銀行(オンライン銀行)のMonzo(モンゾ)を選びました。口座開設はとても簡単で、すべてアプリ上で完結します。 Monzo口座の開設手順: アプリをダウンロード メールアドレスを入力し、届いたリンクから認証 名前・生年月日・住所・携帯番号(SMS認証)を登録 職業・収入・住居・NIナンバーなどを入力 パスポートなどの身分証明書、顔写真、指定された動画を撮影してアップロード(本人確認) PINコードと配送先住所を設定 数日でデビットカードが自宅に届く(私の場合は1週間以内でした) カードが届く前でも、スマホのタッチ決済(Apple PayやGoogle Pay)で支払い可能なので安心です。 バイトを始めるまでの流れ イギリスでバイトを始めるには、日本とは少し異なる手順や文化があります。最初は戸惑うかもしれませんが、流れを知っておくことでスムーズにスタートを切ることができます。ここでは、実際に私が体験したバイトを始めるまでの流れをわかりやすく紹介します。 求人の探し方 イギリスでの主なアルバイト探しの方法は、日本と少し似ています。代表的なのは以下のようなものです: Indeed:日本にもある有名な求人サイトのイギリス版 MixB:イギリス在住の日本人向け掲示板で、求人情報も多く掲載 お店に貼られている求人ポスター 友達の紹介 大学内の求人(キャンパス内の仕事など) 私は日本食レストランの店頭に貼ってあった求人ポスターをたまたま見つけて、そこに書かれていた連絡先に直接応募しました。 CV・カバーレターの準備 イギリスでは履歴書のことをCV(Curriculum Vitae/カリキュラム・ヴィタエ)と呼びます。記載内容は、日本の履歴書と似ていて、名前・連絡先・学歴・職歴・スキルなどです。 私はCanva(キャンバ)という無料アプリを使ってCVを作成しました。テンプレートが豊富で、おしゃれで見やすいCVが簡単に作れるのでとてもおすすめです。 職種や応募先によっては、カバーレター(志望動機書)の提出が求められることもあります。カバーレターにはなぜその仕事に応募したのか、自分がどう貢献できるかなどを簡潔にまとめます。Microsoft Wordなどで作成するのが一般的です。 応募・面接・トライアルシフト 求人情報に沿って応募したら、いよいよ面接へ……と言いたいところですが、実際には応募しても返信がこないことがよくあります。 私の大学の友達も10件応募して1件返事が来るかどうかというくらいの感覚で応募していました。なので、落ち込まずに数を打って根気よく応募することが大事です。 返信が来たら、次は面接の日程調整です。私の場合、面接では以下のような質問をされました: なぜ応募したのか(志望動機) アルバイト経験の有無 自分のスキルや長所 どのくらい働けるか(週何日、何時間など) 英語での面接は緊張しますが、事前に聞かれそうな質問の答えを準備しておくと、落ち着いて受け答えできます。 さらにイギリスでは、Trial shift(トライアルシフト)と呼ばれるお試し勤務が行われることがあります。これは採用前に1〜3時間程度、実際の職場で働いてみる制度です。職場との相性や仕事への適性を確認するためで、無給の場合が多いです。 その場で採用が決まることもありますが、後日連絡される場合や、不採用になることも普通にあります。トライアルまで行って落ちると落ち込むかもしれませんが、イギリスではよくあることなので、諦めずに応募を続けることが大切です。 私のバイト経験談 イギリスに来てから、勉強だけでなく実際に働くことで得られる経験にも興味がありました。ここでは、私が実際にバイトを通してどんな仕事をしてきたのか、英語での接客や職場の雰囲気など、リアルな体験を紹介していきます。 仕事内容・時給 私の職場は日本食レストランで、ホールスタッフ(イギリスでは「Server(サーバー)」と言います)として働いています。主な仕事内容は、オーダーを取ること、料理の配膳、そしてお会計などです。料理名は日本語が多く、スタッフにも日本人がいるため、英語にまだ自信がなかった私でも比較的働きやすい環境でした。まかないも出るので、食費の節約にもなって助かっています。 時給は£13.85(約2632円)※で、イギリスの最低賃金(2025年4月現在£12.21)よりも少し高めです。私の職場ではチップを受け取ることがルール上できませんが、イギリスのレストランによってはチップがあるところもあります。友達のバイト先では、お店の売上に応じてその日のチップをホールスタッフとキッチンスタッフで均等に分けているそうです。 ※1ポンド=190円で計算 英語での接客対応 英語での接客に最初は毎回緊張し大変だったことを覚えています。しかし使うフレーズはだいたい同じで慣れれば自信をもって接客できるようになりました。日本に比べてビーガン、ベジタリアンの人が多く、メニューについて質問されることがよくあります。そのため、料理に使われている食材を英語で覚えたりメニューについて説明したりできるようにすると完璧だと思います! 職場、お客さんの雰囲気 私の職場では、日本人だけでなくさまざまな国籍の人が働いているため、最初は英語でコミュニケーションを取りながら仕事をするのに苦労しました。日本では当たり前だと思っていたこと(たとえば時間を守ることなど)が、こちらでは必ずしも当たり前ではない場面もあります。でも、そういった違いも含めて、日本ではできないような貴重な経験ができていると感じていて、今は楽しく働いています。 同僚とパブで お客さんの雰囲気は、日本よりもフレンドリーな人が多い印象です。日本食レストランということもあり、日本に興味を持っている方が多く、話しかけてくれることがたくさんあります。そうした会話を通して、英語力も少しずつ上達していると感じます。ただ、たまにホームレスの人が店に入ってきて暴れるので、日本に比べると少し治安に不安を感じる場面もあります。 バイトを通して感じたこと 留学生活の中でバイトをしている私の感想を2つ紹介します。 学業との両立の難しさ テスト期間や課題の提出締切が近づくと、どうしてもやることが増えてしまい、バイトとの両立が大変になります。私も実際、忙しい時期は時間のやりくりに苦労しました。そのため、テスト前のシフト調整がしやすく、学業を優先させてくれる柔軟な職場をあらかじめ選ぶのがおすすめです。 お金の使い道と自由度 バイトを始めると、お給料が自分のお金として自由に使えるようになります。そのおかげで、好きなものを買ったり、友達とおいしいごはんを食べに行ったりと、イギリス生活がさらに楽しくなりました。特に、イギリスからヨーロッパ諸国への旅行も比較的安く行けるので、私はバイトで貯めたお金を使って旅行に行くのが最近の楽しみになっています! スペインのSagrada Família(サグラダ・ファミリア) ギリシャにあるサントリーニ島に行ったときに訪れたレストラン バイトをするうえでの注意点 私がバイトを始めるうえで特に大切だと思う、最低限注意しておくべきポイントを2つ紹介します。 労働条件の確認 イギリスでバイトをする際に特に注意したいのが、労働条件の確認です。まず、交通費が支給されないのが一般的なので、自分で通勤費用を負担する必要があります。また、まれに給料の未払いが発生することもあるため、給与がきちんと支払われているかをしっかりチェックしましょう。さらに、最低賃金より低い時給で働かされるケースもあるので、応募前にその職場の時給がイギリスの最低賃金を満たしているか確認することが大切です。 応募の厳しさとメンタルの大切さ 先ほども紹介した通り、イギリスでは応募しても返信がなく、面接やトライアルシフトに進むだけでも一苦労ということがよくあります。また、ようやく採用されてもシフトが徐々に減らされ、最終的には働けなくなる(事実上の解雇)ことも珍しくありません。だからこそ、落ち込むことも多いかもしれませんが、これはよくあることだと割り切り、強いメンタルを持って挑むことが大切です。 まとめ 私は学生でありながらアルバイトを経験し、大学での学びと同じくらいたくさんのことを肌で感じ、勉強になりました。日本とは異なる国で働くのは大変ですが、とても刺激的で、英語力だけでなくさまざまな面で成長できると感じています。アルバイトを始めてから交流の幅も広がり、本当に始めてよかったと思っています。大学生は勉強で忙しいので、学業を優先し無理しないことが大切ですが、興味がある方はぜひ挑戦してみてください。一緒に頑張りましょう!

イギリス留学5年目、UCL生の1週間をのぞき見してみる?

「ロンドンに留学しています」 こう話すと、たいてい「オシャレ!」「楽しそう!」と返されます。でも実際はどうかというと、うーん……。楽しいこともありますが、毎日そんなキラキラしていないです。授業と課題、自炊とバイト、たまにやってくるホームシックと日照不足。SNSでは見えない部分が、この生活にはたくさんあります。そんな時間も全部ひっくるめて、私の留学生活を作り上げています。 今回はそんなリアルな1週間を紹介してみようと思います。これから留学を考えている人、留学生は1日をどう過ごしているのかが気になる人に届いたらうれしいです! 自己紹介:イギリスの高校からUCLへ 私は京都出身の20歳。2020年に渡英し、高校に入学。卒業後、University College London(UCL)に進学して、現在大学2年生。専攻は社会科学系で、経済や国際法、数学に環境学まで幅広く勉強しています。 https://passport-to.com/articles/3/ 住んでいるのはロンドン。都会だけど自然が多く、4月に入ると暖かくなってくるので休日には公園に行ったり、カフェの外のベンチでゆっくりしたりするのがお気に入りです。こういうひと時に、「ああ、私いまロンドンで生きているんだな」としみじみ感じます。 月曜日:全休だけど、むしろ一番ハード?! 週で唯一、授業がない全休の月曜日。だけど11時から22時までバイトしています。日本食レストランでホールを担当していて、立ち仕事+スピード勝負で、終わる頃にはいつもヘトヘト。 出勤前には、勤務先の近くにあるグリーンパークに寄って、一息つく時間をとっています。目を閉じながら深呼吸して、「今週も頑張ろう」と自分に言い聞かせています。この時間、地味に救いです。 バイト先では賄いで日本食を食べられるから幸せです!やっぱり誰かが作ってくれるご飯は美味しい。 いつもバイト前に寄るグリーンパーク 火曜日〜金曜日:授業、自習、バイト、グループ課題 火曜日から金曜日までは、授業がぎっしり……というわけでもないのですが、課題や自習、ミーティングで結局毎日フル稼働しています。 火曜日 11:00〜国際法の講義 午後:カフェや図書館で勉強 16:00〜グループ課題のミーティング 夜:友達とディナー🍽 授業やミーティングが入っていますが、他の日と比べるとちょっと余裕があります。友達と夜ご飯に行けるのはうれしくて、ご褒美タイムです。 友達と行ったカフェ 水曜日 日中:データベースの講義→中国語のセミナー 夜:課題の読み物+グループ課題のオンラインミーティング イギリスの大学は授業時間(コンタクトアワー)が少ないです。その分、自習や文献調査など自分でやる部分が多くて荷が重いです。コマ数が少なくても、全然ラクではありません。特にテスト前やレポート提出前は、ものすごいプレッシャーに押しつぶされます。 そして水曜日の夜に入りがちな予定は、グループ課題のミーティングです。日中はそれぞれ授業などがあり、なかなか集まれません。その結果、夜10時スタートなんてこともしばしば。でも、その中で「こんな考え方があるんだ!」と刺激を受けたり、ちょっとした雑談で笑ったりする時間が、実はわりと好きなのです。 木曜日 日中:経済・数学とデータベースの授業 帰宅後:連載原稿を書いたり家庭教師の準備をしたり 経済の2時間講義と数学で頭がパンパンになる日。でもこういう日は、「今日はこれだけでOK」と自分に言い聞かせるのが大事だと思っています。全部完璧にやろうとするとパンクしますからね。 金曜日 午前:数学の講義 午後:家庭教師 夕方:友達が出演している演劇を観に行く! ロンドンはミュージカルの街としても有名で、観光地としても超人気です。 私はそこまでミュージカルガチ勢ではありませんが、友達にすごく才能ある子がいます。その子が大学の演劇に出演しているのでたまに観に行きます。知人が舞台で輝いている姿を見るとなんだか不思議な気持ちになりますね。「私たち、同じ大学生だよね……?」と思ってしまうくらいプロ顔負けで、純粋に尊敬します。そしてふと、「こんな文化が身近にある街で学んでいるんだな」と、ありがたみを再確認する機会になります。 留学生活の何気ないこういう瞬間に気づきがあるから面白いのです。 土日:ちょっとリセット、でも完全には休めない 土日は授業がないです。その分、平日にはできないことにまとまった時間が使えます。休みつつも、やらなければいけないことが多いです。 土曜日 午前:平日にできなかった掃除、洗濯、買い出し 午後:ロンドン市内をぶらぶら、サンプルセールやカフェ巡り 夜:Netflixでだらだらタイム 日曜日 午前:毎週恒例、お母さんとのビデオ通話(時々、東京で大学生をしている姉も登場) 午後〜夜:翌週の予習、授業のノート整理 一人暮らしで一番つらいのはやはり孤独感に襲われることです。だから家族とつながる時間は本当に大事です。ちょっとした愚痴でも、誰かが聞いてくれるだけで気持ちが全然違います。 あとは普段忙しくてできないような込み入った料理を作ってみたりしながらリラックスします。 週末に時間をかけて作る料理 留学生活の工夫いろいろ イギリスでの生活は日本と異なる部分が多く、無理し過ぎず自分に合った習慣を見つけることが大事です。ここでは私が実践していることを紹介します。 食費節約術: 自炊が基本。野菜+卵は最強コンビで、最近はキャベツと卵のオイスターソース炒めが定番メニュー。アジアンスーパー、ほんとありがたい 時間管理: GoogleカレンダーとToDoリストで、予定とタスクを見える化 冬のメンタル対策: ロンドンの冬は暗い。光目覚まし時計、カフェの明るい照明、外に出て歩く、など試行錯誤中 光目覚まし時計 ロンドン2年目の今、少しだけ「バランス」がわかってきた ロンドン暮らし1年目の去年は、物価の高さにびっくりしました。この大円安時代においてなおさら、何もかも高く感じます。そんな中で「節約しなきゃ……」と焦り、あまり楽しめなかった部分もあったと思います。 特に周りには派手で華やかなライフスタイルを送ってる人が多く、「羨ましいな〜」と思ってしまったり、自分と比べてしまったりすることがよくありました。 でも2年目に入ってから、少しずつ自分に合ったバランスがつかめてきた気がします。例えば普段から以下のようなことをしています。 平日は基本、自炊。コーヒーも家で淹れて、タンブラーで大学へ持参 カフェはご褒美として週1〜2回くらい 週末はちょっといいレストランやバーで友達と過ごす ロンドンで学生生活を送れるのは人生の中でも限られた時期だけです。将来社会人になって、ロンドンにいられる保証はないからこそ、今しかできない経験をしておきたいと思うようになりました。 平日に作る料理 週末の味方:図書館と、がんばる人たちの背中 ありがたいことに、UCLの図書館は週末も開いています。場所によっては24時間利用可能で、深夜も灯りがついています。 私は夜型ではないため遅くまで残りませんが、土日も使えるのは本当に助かります。そして何より…… いつ行っても図書館は混んでいます。 みんな黙々と課題に取り組んでいる姿を見ると、「よし、私も頑張ろう」と自然と思えるんですよね。たぶん、勉強のモチベーションは環境の影響が大きいと思います。 人とのつながりは、何よりのライフセーバー 留学生活で一番大切だと思うのが、「人とのつながり」です。 しんどい時に「大丈夫?」と声をかけてくれる友達 情報をシェアし合える仲間(例:穴場カフェ、学割が使えるミュージカルなど) 「なんか最近落ち込んでいるな」と察し、ランチに誘ってくれる友達 こういう小さな支えの積み重ねが、留学を続ける力になっていると思います。 最近は就活も少しずつ意識し始めていて、コネクションがより重要になっていると感じました。助け合いは情報の共有から生まれることも多いのです。だから情報を持っている人と話す、自分もシェアするという姿勢は、これからもっと大切にしていきたいと思います。 🎓 最後に 留学生活はSNSで見るよりずっと地味だし、孤独だし、大変です。でも、その中で「どうやって自分の生活を整えるか」を少しずつ学んでいます。「今日は頑張ったな」と思える日も、「何もできなかった……」と落ち込む日も、どっちもあっていいと思います。完璧じゃない生活の中で、ふと見つけた自分だけのルーティンや居場所が、私にとっての“留学の醍醐味”かもしれません。 これから留学を考えてる人にとって、ほんのちょっとでも参考になったらうれしいです。そして、今留学中でバタバタしてる人へ──「がんばっているの、ちゃんと自分が知ってるよ」とお伝えしたい。 https://passport-to.com/articles/7/

LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)現役生 | 英語との出会い〜イギリス留学まで

こんにちは。ロンドンにあるLSE(London School of Economics and Political Science)に通う大学1年生のRunaです。日本の中学校とイギリスのボーディングスクール(全寮制学校)を卒業し、現在に至ります。  英語に出会って、留学をしてから私の人生がガラリと変わりました。イギリスで何を学び、何を感じ、何が変わったのか。そんなことをこれからお話ししていけたらいいなと思います。  カナダで短期留学: 他国の生徒の英語力に圧倒され 中学2年生の時に初めてカナダのサマースクールに2週間参加しました。勉強がメインのプログラムで、英語だけでなくカナダの歴史なども学びしました。英語がほとんど喋れなかった私は他の国からの留学生とカタコトで喋るのが精一杯でした。 そこで目の当たりにしたのは英語がものすごくできる留学生たち。同じ年齢でも、みんな流暢に英語を話します。自己主張も強く、授業中にみんな手を挙げて発言していました。同じアジア人で母国語は英語ではないにもかかわらず、同世代の子たちがコミュニケーションを取れている!と驚きました。  この時、英語は違う文化で育ってきた人を繋いでくれるんだと気づき、「もっと英語が上手くなりたい」「もっと話せるようになって他の文化や国について知りたい」と決意しました。 高校からの留学を決意した理由と海外への憧れ  サマースクールをきっかけに、他の外国人留学生に感化され、それまで以上に海外への憧れを抱くようになりました。小学生の頃から周りの友達が単身で海外へ行き、帰ってくるたびにネイティブのように英語を喋っていました。そういう姿を見て、私も将来は留学したいと思っていたのですが、実際に短期留学をしてから初めて本格的に留学を決意しました。 義務教育までは日本で受けてほしいと親から言われていたので、中学校は日本でした。でも自分の中では一刻も早く行きたかったので中学卒業時に高校留学を決めました。憧れと思いつきから始まった高校からの留学でしたが、親と何度も話し合いを重ね、理解と応援を得ることができました。そして、ようやく留学への気持ちが固まり、一つずつ準備を進めていきました。 イギリスという国に留学先を決定  アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなど、英語圏の国を中心に留学先を考え始めました。イギリスに決定した理由は、  ボーディングスクール(全寮制学校)の数が他の国と比べて圧倒的に多い  国自体の歴史が古く、伝統がある バレエやミュージカルなどの文化が根強く、私の好きなことが生活の中にある  ブリティッシュイングリッシュのアクセントがかっこいい  治安が比較的良い  日本人留学生が他の国に比べて少ない  美術館やお城など、歴史的建物が点在していて、日本では見られないような光景が広がっている  という憧れがあるからでした。  通っていたボーディングスクールの校舎 ボーディングスクールでGCSEとA-levelを修了 GCSEとA-Levelの4年間、イギリスの地方にあるボーディングスクールに通いました。A-levelでは別の学校に通ったので1回6th formを受験しました。詳しい受験プロセスは別の回で紹介したいと思います。  寮生活した高校時代は人生でまた二度と体験のできない、とても充実した濃い時間でした。一番成長できた日々でもあり一番辛かった日々です。  通っていたボーディングスクールの校門 https://jp.education-moi.com/boarding-schools/uk#a-level LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)経済・経営の学びとロンドン生活 ボーディングスクールを卒業後、ロンドンにあるLondon School of Economics and Political Science(LSE)に進学しました。現在は大学1年生として経済と経営を学んでいます。大学生活はボーディングスクール時代とはまったく異なります。入学から1年が経った今振り返ってみると、本当に学びの多い1年間でした。 ボーディングスクールとの一番の違いは、すべてのことが自分次第であるという点です。スケジュール管理、課外活動への参加、宿題の量やタイミング、私生活と学業のバランスなど、どれも自分から動かなければ何も始まりません。誰も代わりにやってくれない、というのが大学生活の現実です。  特に誘惑の多いロンドンという街で、すべてが自己責任という環境は多くの気づきを与えてくれました。  ロンドンの大学生として見る日常生活の光景 以上、私の高校留学から大学までの経緯をまとめてみました。これからそれぞれを深掘りして書いていけたらいいなと思います。  https://www.lse.ac.uk

数学を「深く考える」イギリスの大学・大学院で数学を学ぶ日本人インタビュー

今回は、Imperial College London(インペリアルカレッジロンドン)のMasters(修士課程)で、Mathematics(数学)を履修している岡野くんにインタビューしました。岡野くんとはKing’s College London(キングスカレッジロンドン)のUndergraduate(学士課程)時代に、大学のJapan Society*で知り合い、今はフラットメイトとして一緒に生活しています。 大学時代、僕はLiberal Arts(リベラルアーツ)、いわゆるArts and Humanities(文系)の科目を履修していました。基本的に理系、特に数学には昔から苦手意識があり、岡野くんは自分とは全く違う世界にいる印象を持っていました。しかし、今回インタビューをして実際にどんなことを学び、何を感じているのかを詳しく聞けたことで、数学の実態が少し分かったような気がします。数学をイギリスで勉強することに興味がある方や僕のように文系だけど、数学の魅力を感じてみたい方にとって、この記事が学びの様子を知るきっかけになれば幸いです。 *Japan Society=ソサエティは日本の大学でいうサークルのようなもので、Japan Societyは日本人や日本の文化に興味がある人が交流するコミュニティ 「数学」という分野 Q:最初に、大学時代、何学部に所属していたか、今は大学院で何を勉強しているか教えてください。 僕はKing’s College LondonでNatural, Mathematical & Engineering Science(自然科学、数学、工学数学)という学部で勉強していました。去年キングスカレッジロンドンを卒業して、今はImperial College LondonのMastersでPure Mathematics(純粋数学)を専攻しています。Pure Mathematicsっていうのは、数学的な構造や法則そのものを探究する分野です。実社会での応用を目的とするのではなく、定義、命題、証明を追究する、いわば数学そのものを考えるための学問です。大学院はより難しい大学でチャレンジして、そこからPhD(博士号)の取得にも繋がりやすそうだと思い、別の大学でMastersをすることにしました。 https://jp.education-moi.com/article-50-imperial Q:大学時代はどのようなことを勉強していましたか? 数学の理論的な部分を中心に、定義や証明、そこから導かれる定理を深く追究していました。King’sは特にGeometry(幾何学 - 図形や空間の性質について研究する数学の分野)に力を入れている大学で、Topology(位相幾何学 - 形の“つながり”や“連続性”に注目する数学)について詳しく学べたことはすごくアドバンテージになったなと思っています。 授業と研究内容 Q:Mathematicsの授業スタイルってどのような感じなんですか? 学部ではLecture(レクチャー - 講義)が中心で、先生が教科書をもとに進めていくスタイルです。加えて、Seminar(セミナー)形式の実践的な授業もあり、そこではPhD(博士課程)の学生と一緒に問題を解きます。特に試験対策になるような応用的な演習が多かったです。 岡野くんの代数学のノート Q:文系の場合、大学のFinal Grade(最終成績)はExam(試験)やCourse work(宿題)、プレゼンテーションだったり色々な課題で測られますが、Mathsの成績採点ってどんな感じなんですか? えーとExamが成績の100%です!辛いです笑。もっと応用的な分野だったら、成績の40%ぐらいをCourse work*が占める場合もあるけど、基本的にはExamが中心ですね。キングスで勉強していた時、最終年には「King’s Project」と呼ばれる研究プロジェクトがありました。自分で設定したテーマを研究する、小論文のようなものです。 *Course work=コースワーク - 宿題のようなもの Q:Mathsのプロジェクトってどんなものを研究するんですか? 大学で僕はWaring’s Problem(ウェアリングの問題)を研究しました。1770年にイギリスの数学者のEdward Waring(エドワード・ウェアリング)という人が提唱して、実際に解かれるまで130年ぐらいかかった問題です。 Q:... ? 一言で言うと、whether every natural number can be expressed as a sum of a fixed number of kth powers of natural numbers, for any integer k≥2. (「すべての自然数は、k乗の数(平方数、立方数、4乗数…)の和で表せるのか?」)という問題です。 Q:はい...? この世の中の自然数って、実は4つ以内の平方数で表せるんです。何かランダムな数字を言ってみて? Q:39! 39は36(6²)+1(1²)+1(1²)+1(1²)で表せます。 じゃあこれが3乗(立方数)になった場合は、どうなるか? 27(33)+8(23)+1+1+1+1で表せる。立方数になると7つ以内で表せます。 じゃあこれ以降は?k乗の数が増えていくとどうなるのか?最大で何個まで足せば、必ずどんな自然数をもk乗の数の合計で表せるようになるのか?そういうことを求める問題です。 Q:なるほど!わかりやすい。これだった自分が中学の数学で勉強したこととかを使ってでもできそう。 そう!特にNumber Theory(数論)の分野って、一見意味がわからないようなことをやっているように思えても、中学や高校で学んだ数学をより高等な技術で再構築している感じなんです。 数学に魅了され Q:数学に興味を持ったきっかけって何だったんですか? Quadratic Formula(2次方程式の解の公式)って覚えてる? Q:こういうやつですよね。 そう。これがなぜそうなるのか、中学校の時に自分で導き出せたことがあったことがきっかけです。(https://sugaku.fun/quadratic-equation5/) 母親が運転する車に乗っている時、ふと自分で証明できました。 Q:すげー! 高校に入ってからも数学の大会に出る機会があって、そこから数学の分野にのめり込んでいった感じです。純粋に数学の問題を解く、証明するのが楽しいっていうのがMathsを追究していきたいと思った大きな理由でした。 イギリスの大学で数学を学ぶ意義 Q:大学でMathematicsを勉強することを決めた上で、なぜイギリスの大学を選んだのですか?イギリスの大学で数学を勉強するメリットってなんだと思いますか? そもそも自分は国外に出て、英語で勉強したいという思いがまずあったからイギリスを選びました。イギリスだとどの大学にも世界的に有名な教授がいたりします。例えばUniversity of Oxford(オックスフォード大学)にはFermat’s Last Theorem(フェルマーの最終定理)を証明したAndrew Wiles(アンドリュー・ワイルズ)教授などのレジェンド級の教授達が在籍しています。 Q:聞いたことある定理!解かれるまでに300年ぐらいかかった問題ですよね。なるほど。先生で大学を選ぶっていうこともあるんですね。文系の学生が大学を決める時にはない感覚かもしれないです。 うーん。自分の興味のある分野を把握して、そこの有名な教授で志望校を決めるみたいなこともあるけど、注意点はあります。先生って色々な大学を転々とするので、自分が入った時とか最終学年とかになって、気になっている先生が大学からいなくなっている場合もあるのでリスキーかもしれない。そこは気をつけないといけないと思います。 数学を学んで感じたこと Q:今、大学院に上がってMathsを続けて勉強していて、大学から変わったなと感じる部分はありますか? 単純に内容量やレベルが上がったのはあります。他にも前提知識みたいなものが増えて、授業スピードが上がるので、勉強は大変になりましたね。 Q:同じ学問をKing’s College LondonとImperial College Londonの2校で勉強している中で、大学間でのMathsの授業スタイル・教え方の違いなどは感じましたか? Imperial College Londonの方がより先生がストイックな気がします。短時間の授業で色々なことをカバーするので、スピードがとにかく速い。一方、キングスの先生は優しくて、ゆっくり丁寧に教えてくれたかな。他にもインペリだと、授業以外で数学に触れられる時間がキングスよりも多いです。他の大学との交流会があって、University of Warwick(ウォーリック大学)とお互いに研究内容を発表し合うイベントもありました。 Q:イギリスでの学びを通して、自分の中の価値観や姿勢が変わったと感じる部分はありますか? はい。特に「考えること」に対する姿勢が変わりました。やはり数学って「どう考えるか」「なぜそう考えたのか」というプロセス自体が凄く重視されます。学びを通じて、僕自身も単に答えを求めるのではなく、「問いを立てること」「考え続けること」の重要性に気づくきっかけになりました。同じ志を持った仲間が周りにいると、それだけでモチベーションが上がるし、日々の学習の刺激にもなります。教授のレベルも驚異的だったりします。すごい人は本当にありえないレベルです。どんな質問にも即座に正確に返してくれるんです。そういった本当に頭のいい人たちの中で学べるのは貴重な体験です。多文化環境の中で数学を学ぶことで、様々な価値観に触れ、自分の考え方も広がったなって感じます。 数学を学ぶ上で必要な特質 Q:数学を学ぶことに向いているのはどんな人だと思いますか? 僕は大きく分けて3タイプいると思います。一つ目は数学が好きな人。特に証明や定義、ロジカルな部分に面白みを感じる人。二つ目は数学が得意な人。これは他の分野に特に興味がないけれど、数学の力を何かに応用したいと思っている人です。僕が勉強した分野はPure Mathematics(純粋数学)でしたが、Mathsには他にもBiomathematics*やApplied Mathematics**みたいに色々な分野があります。Mathematicsは大学1年目で、他のNatural Science(自然科学)の分野で習う数学の内容を全部カバーしてくれたりするので、大学後のキャリアに繋げることもできたりします。そもそも論理を組み立てる力っていうのも養うことができますしね。で、最後は暇な人。 *Biomathematics=生物数学 - 生物学的現象を数理モデルや数式を用いて解析・予測する分野**Applied Mathematics=応用数学 - 現実世界の問題を数学的に定式化し、解決に導くことを目的とする分野 Q:笑笑 いや、でも本当に。究極的には、数学って紙と鉛筆と自分の頭だけで無限に楽しめる「最強の暇つぶし」なんです。広大なラボや膨大な量の本もいらないからコストがかからない。でも、その中でフェルマーの最終定理みたいな300年かけても解けない問題がまだ存在したり、Millennium Prize Problems(ミレニアム懸賞問題)という一つの問題に100万ドルの懸賞金がかけられていたりする世界なので、自分で考えて問題に挑戦すること自体が面白いっていうのはありますね。 Q:一緒に暮らしていて気づいたけど、すごい長い時間をかけて宿題とかやってるよね。1ヶ月間ぐらいあった試験期間とかは本当に大変そうなのが伝わってきました。 Mathsに興味ある人って、忍耐力が本当に必要だと思います。僕は一問解くのに3日ぐらいかかったこともあります。逆にそれぐらいかけて、解けなかったこともあります。問題を解いていくというプロセスを根気よくやっていかないと、数学が嫌いになることもあると思います。これだけ忍耐力が必要なのに試験になると、タイムリミットがある中で問題を解かないといけなくなるから、本当に試験が嫌いです。 Q:でも中学で初めて興味を持って、大学を経て大学院でも続けて勉強しているってことは本当にMathsに興味があるってことなんですね。 うん。ただ、試験はゴミです笑笑 Q:じゃあ最後に、好きな数字はなんですか? 2かな。まず2は最小の素数であること。2によって線分が成り立つこともあるし、自乗っていうのもすごく使いやすいのもある。んー、でもCharacteristics of field 2(標数2の体)の時はクソめんどくさいんだよな。でも、結局2なんだよな。 Q:やっぱりよくわかんないわ数学笑笑 文系の僕にとって、数学はずっと“遠い世界”でした。しかし、岡野くんとのインタビューを通じて、その世界が少しだけ近づいた気がします。 「深く考える」「論理を積み重ねる」「わかるまで粘る」。それらは数学に限らず、あらゆる学問や人生にも通じる価値かもしれません。 https://www.imperial.ac.uk/mathematics

ファウンデーションコース【イギリス大学留学向け】授業内容と学部進学方法

こんにちは! Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを勉強しているKotokoです。 今回は日本の高校卒業後に受講したファウンデーションコースでの1年間をご紹介します。どんなことを学んだのか、英語力がどれくらい伸びたのかなど、リアルな体験をお伝えします! ※私が経験したのはGoldsmithsのファウンデーションコースなので、他の大学とは違う部分もあるかもしれません。あくまで1つの体験談として読んでもらえたらと思います! 前回の記事では、「ごく普通の高校生だった私がイギリスの大学に合格するまでの道のり」について書きました。まだ読んでいない方はぜひそちらもチェックしてみてくださいね! https://passport-to.com/articles/14/ ファウンデーションコースとは? ファウンデーションコースは、主に留学生を対象とした、イギリスの大学に進学するための準備プログラムです。英語力や学問的な基礎を1年間かけて学び、大学の授業についていける力を養います。 イギリスの大学は通常、A-levelやIB(国際バカロレア)などの国際的な資格を入学基準としています。日本の高校卒業資格だけではそのまま入学できないです。そのため、多くの日本人学生はこのコースを経て進学します。 https://jp.education-moi.com/universities/uk/foundation ロンドン大学ゴールドスミスカレッジのファウンデーションコース キャンパスはロンドン郊外 私が受講したのは、ロンドン南東部にあるGoldsmithsが提供しているファウンデーションコースです。 キャンパスはOverground(地上を走る鉄道)のNew Cross駅から歩いてすぐです。ロンドン中心部からは電車で30分ほどかかります。近くにはRoyal Observatory(グリニッジ天文台)で有名なGreenwich Park(グリニッジ・パーク)があります。 住宅街に位置しているため、中心地ほど便利なわけではありません。その反面、落ち着いたローカルな雰囲気の中で大学生活を送ることができます。 ただし、夜は少し治安が悪いという声もあり、注意が必要なエリアだと感じます。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジのRichard Hoggart Building キャンパスの雰囲気と施設 Goldsmithsは、アート、デザイン、メディア、カルチャーなどクリエイティブな分野に強いことで知られています。それを体現しているように、キャンパス全体に自由な表現があふれています。壁にはアート作品が展示されていたり、学生によるエキシビションが定期的に開催されたりしています。 キャンパスの中心にはRichard Hoggart Buildingというメインの建物があります。それを囲むようにアート系やメディア系など、専門分野ごとに建物が分かれています。 私が所属しているメディア学科にはラジオ制作のためのブースなどがあり、技術的なスキルを学ぶ環境がしっかり整っています。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ: キャンパス内にあるラジオ制作のためのブース Richard Hoggart Buildingの隣には24時間利用可能な図書館があります。豊富な蔵書はもちろん、パソコンの貸し出しや印刷機、会議室なども充実しています。このように、学習をサポートする設備には困りません。 また、キャンパスの中央には芝生が広がっています。春から夏にかけてそこで昼食をとったり、お昼寝したりと、のんびりと過ごす学生が多いです。 キャンパス内にはいくつかのカフェがあります。中でもGoldsmiths Students' Union※(学生組合)が運営するカフェは、他のカフェよりも価格が手頃です。飲み物や軽食も美味しく、私のおすすめスポットです。 ※Students' Unionは学生の声を大学に届けたり、クラブ活動やイベントの企画・運営、サポートを行う組織です。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ: Students’ Unionが運営するカフェのストロベリー抹茶 ファウンデーションコースの授業内容と評価方法 私はメディアについて勉強したかったので、 GoldsmithsのInternational Foundation Certificate in Media, Culture & Societyを選びました。 授業は週3日で、1日に2コマ(1コマ約1時間半)あることが多かったです。 カリキュラムは3学期制です。秋から冬までの1学期は専門分野の授業と英語の授業を受けます。冬休み明けからイースター休みまでの2学期も同じような形で授業が続きます。 3学期は復習期間で、毎週授業があるわけではないです。3回ほどの復習授業があるほか、主に最後の試験に向けて自分で勉強するスタイルでした。  専門分野の授業 ファウンデーションコースは大学での学びに備えるための準備コースであり、進学後を見据えた専門的な授業を受けられるのも魅力の一つです。 専門分野の授業では、1コマ目に大学1年次のlecture(講義)を受けます。続く2コマ目にファウンデーションコースの学生向けseminar(セミナー)が行われます。セミナーでは、先生が講義内容をわかりやすく解説してくれます。 初めて講義を受けたときは、教授の話がほとんど理解できず、正直かなり焦りました。その後のセミナーは留学生向けに行われるため、先生が簡単な英単語を使って丁寧に説明してくれたので、ほっとしたのを覚えています。 セミナーは解説を聞くだけでなく、discussion(ディスカッション)が中心です。クラスメイトは同じ学科の学生たちで、人数が少なく、アットホームな雰囲気があります。最初は緊張しながらも発言しやすかったです。専門知識の理解だけでなくスピーキング力も自然と伸ばすことができました。 評価方法 基本的に学期ごとに出されるエッセイで行われます。トピックや文字数は授業や先生によってまちまちです。ファウンデーションコースの学生にはtutor(チューター)と呼ばれる担当教員が付いていて、エッセイのテーマ決めから構成、内容まで相談することができます。チューターと一緒にプランを立てたあと、自分でエッセイを書き上げて提出します。 英語の授業(Reading/Writing/Speaking) ここでは、アカデミックな英語力を身につけるために、Reading, Writing, Speaking(リーディング、ライティング、スピーキング)の3つのスキルに分かれて授業が行われました。リスニングに関しては、授業全体が英語で行われるため、リスニング専用の授業はありませんでした。専門分野の授業と異なり、ここでは他の学部を目指している学生たちと一緒に学びました。 ここからは、スキルごとにどのような内容の授業があったのかをご紹介していきます。 Reading リーディングの授業は、1学期と2学期を通して行われました。初回の授業で、リーディングの問題がたくさん載っている冊子が配られました。そこには1週間ごとに課題が設定されており、順番に解いていく形式で進められました。 宿題は、例えば次の週がWeek 3の場合、「Week 3」と書かれた長文を読み、それに付随する設問をできるだけ自力で解いてくる、という感じでした。そして授業で答え合わせをしながら、内容に関連したディスカッションをします。 評価方法 学期末には、それまで取り組んできたのと似た問題が出題され、時間内に長文を読んで設問に答える形式のテストが行われました。 時間制限がある中で集中して解くプレッシャーもあり、特に最初のテストは思うように力を発揮できなかった記憶があります。それでも回を重ねるにつれ、読み取りのスピードや精度が上がっていくのを実感できました。 Writing リーディングの授業と同様に、ライティングの授業も1学期と2学期を通して行われました。 1学期は、基本的なエッセイの構成方法について学びました。具体的には、thesis statement(主張文)の書き方、conclusion(結論)のまとめ方、reference(参考文献の記載)の方法など、アカデミックライティングの基礎を一つひとつ丁寧に学びました。 2学期には、週ごとに構成や段落、リサーチを積み重ねながら、1本のエッセイを完成させていきました。 評価方法 2学期に提出したエッセイが評価されました。評価のポイントは、文法の正確さ、アカデミックな語彙の使い方、そしてreferenceの形式が正確かどうかなどです。授業で学んできたことを総合的に活かす機会になりました。 Speaking 1学期はプレゼンテーション、2学期はディスカッションに向けて、スピーキング力を伸ばしました。この授業では毎回出されたトピックについてクラス内でディスカッションを行います。その中でプレゼンテーションのコツや、ディスカッションで使えるフレーズなどを習得しました。 クラスメイトとのディスカッションを通して、英語で意見を述べることにも少しずつ慣れていき、話すことへの抵抗がだんだんと減っていきました。 評価方法 1学期のテストでは、プレゼンテーションを行いました。与えられたトピックに対して自分でリサーチし、引用を交えながらPowerPointを作成して、クラス内で発表しました。 2学期のテストでは、4人1組のグループでディスカッションを行いました。トピックは1週間前に発表されます。それに関連する情報を自分たちで調べて、当日のディスカッションで意見を述べました。グループディスカッションでは、他の人の意見に応じて柔軟に会話を展開する力も問われ、とても良い実践の場となりました。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ: 授業前の様子 授業の雰囲気 大学1年生と一緒に受ける講義を除けば、ほとんどの授業は15人未満のクラスで行われました。最初は緊張しましたが、発言や質問がしやすい雰囲気で、自然とクラスになじむことができました。授業はキャンパス内の教室で行われ、毎週同じ教室を使っていたので安心感がありました。 先生方のスタイルは人それぞれですが、基本的にはフレンドリーで話しかけやすいです。また、わからないことも気軽に質問できました。日本と違って、授業の途中で抜けたり、お菓子を食べていたりしても注意されないなど、かなり自由な雰囲気でした。ただし、中には食べ物の匂いが気になるから教室内での飲食はやめてくださいと言う先生もいて、先生によってルールや雰囲気に違いがあると感じました。 クラスメイトの雰囲気 クラスメイトの国籍や雰囲気は、大学、進学予定の学部によって大きく異なると思います。私が受講したコースではアジア系の学生が多く、特に中国人が大半を占めていました。日本人は私を含めて4人だけで、少数のヨーロッパ系の留学生もいました。 さまざまなバックグラウンドを持つ学生たちと一緒に学ぶことで、日常の会話だけでも刺激がありました。最初は緊張しましたが、少人数ということもあって自然と会話が生まれます。友達もできて、ペアワークやグループディスカッションの時間が楽しみになっていきました。 ひとつ驚いたのは、学生たちがかなりゆるいことです。時間ぴったりに授業が始まることはほとんどありませんでした。先生が来るのも生徒が集まるのも開始時間の10分後くらい、ということが多かったです。欠席者もわりといて、日本との違いを感じました。カルチャーショックというよりは、むしろ面白いなと思いました。 受講後に感じた効果と学部進学 英語はどれくらい伸びたの? ファウンデーションコースを始める前に受けたIELTSはOverall 5.5でした。それ以降はIELTSを受けていないため、数字で比較することはできません。しかし英語力は着実に伸びたと感じています。特に、英文を読むスピードが上がったと実感しています。スピーキングでも自分の考えを何とか英語で伝えられるようになりました。 中でもライティングの成長は大きいと感じました。コースを受講する前までは、英検で出題されるような短いエッセイを書くのが精一杯でした。当然引用の方法などは全くわかりませんでした。このコースを通して、エッセイの構成や書き方、参考文献の引用方法など、アカデミックライティングの基礎をしっかり身につけることができました。 正直に言うと、1年間で英語がペラペラになるのは簡単ではありませんでした。それでも英語を話すこと、そして失敗を恐れずにコミュニケーションがとれるようになったことは、自分にとって大きな成長だったと感じています。 ファウンデーションから大学1年生への進み方 私が通っていたファウンデーションコースでは、1・2・3学期に行われるテストでそれぞれ合格点を取ることができれば、そのままGoldsmithsの学士課程に進学できる仕組みでした。 そのため、普段の授業にきちんと出席し、課題やテストに真面目に取り組んでいれば、進級できないということはあまりないと思います。実際、私のクラスメイトの中で進学できなかった人は一人もいませんでした。ですので、過度に心配する必要はないと思います。 すべての試験に合格したあと、大学側から進学の手続きに関する案内メールが届きました。それに従って準備を進め、私も無事に大学1年生としての学びをスタートしました。 なお、ファウンデーションコースを修了したからといって、必ずしも同じ大学(私の場合はGoldsmiths)にしか進学できないわけではありません。成績次第では他大学への出願も可能な場合があります。 私の友人の中には、他大学への進学を希望して出願していた人もいました。その場合の出願手続きは先生がサポートしてくれるようです。ただ、保証があるのはGoldsmithsの学部であるため、私は迷わずそのまま進学しました。 ファウンデーションコースはイギリス大学留学の自信に繋がる 1年間のファウンデーションコースは、大学進学の準備だけではないのです。英語力の向上や、異文化の中での生活力を身につける貴重な経験になりました。最初は不安もありましたが、授業を通して少しずつ自信を持てるようになりました。そして大学1年生としてのスタートラインに立てたことをとても嬉しく思います。 これからイギリスでの進学を考えている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。興味のある方はぜひ、Goldsmithsのファウンデーションコースを検討してみてくださいね! https://www.gold.ac.uk

ごく普通の高校生がロンドンの大学生に:留学までの道のり

はじめまして。Kotokoです。現在、Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)のMA Promotional Media(プロモーショナルメディア修士課程)に通っています。今回は、東京で生まれ育った私が2023年にロンドンへ来るまでの道のりを皆さんにシェアしたいと思います。 英語が身近にあった幼少期〜高校時代 私は、小・中学校は地元の学校に通い、友達と外で遊ぶのが日課の、ごく普通の子どもでした。昔から海外に行く機会はあまりなかったものの、父はアメリカの大学を卒業していることから外国人の方との交流は他の人より多く、その影響もあって英語を勉強したいと思うようになりました。 高校は都立の外国語コースがある学校に進学しました。このコースでは、数学や理科の授業が少ない分、普通科で行われる文法に加え、ディスカッションや英作文に力を入れた授業がありました。 受験英語は得意な方でしたが、スピーキングやリスニングの能力はあまり高くなく、英語が少し得意な高校生だったと思います。 きっかけは「留学プロジェクト・次世代リーダー育成道場」 そんなふうに高校生として日々を過ごしていたある日のこと。学校の先生から、東京都が主催する留学プロジェクト(次世代リーダー育成道場)について全体に案内がありました。そしてこれが、私の運命を大きく変えることになるのです。 海外の高校に1年留学できる「次世代リーダー育成道場」とは 「次世代リーダー育成道場」は、東京都教育委員会が実施している、都立高校・中等教育学校・都立中学校に在籍し、校長の推薦を受けた生徒を対象とした留学支援プログラムです。この制度では、参加者は海外の高校に1年間通いながらホームステイをすることができます。派遣時期により冬出発のオセアニア地域と夏出発の北米地域の2つのコースから選べます。 出典: 東京都教育委員会「次世代リーダー育成道場」公式サイト (https://www.ryu.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp/about.php) このプログラムは事前・事後研修もあり、留学中のみならず学ぶチャンスが多くあります。 ① 留学前の国内事前研修 研修は月に2回程度、主に日曜日に実施されます。参加者全員が集まり、語学力の向上に加えて、講演会などを通じて日本の伝統・文化・歴史への理解を深め、自分の目標について考える機会も得られます。 この事前研修の中でも特に重要なのがゼミナール研究です。 研修生はそれぞれ現代社会の課題を見つけ、国内での調査を行いながら、留学先での調査へとつなげていく研究のアウトラインを作成します。そして、留学期間を通じてこの研究を発展させ、論文としてまとめていきます。 ②ホームステイをしながら送る留学生活 現地の高校に入学し、授業を受けながら実践的な英語力を養います。 また、ホームステイ先が用意され、現地の家族との交流や多文化に触れる体験を通して、大きな成長が期待されます。 ③帰国後の成果発表会 留学での経験や学びをしっかりと形にするために、帰国後には成果発表会が行われます。 そこで出発前から取り組んできたゼミナール研究の成果を発表し、自らの成長や仲間たちの変化を改めて感じることができます。 ここまで紹介してきたように、語学力だけでなく、文化理解や社会課題への探究心を育てられるこのプログラムですが、実はもうひとつ大きな魅力があります。それは、費用面のハードルが非常に低く、手の届きやすいプログラムであるという点です。 参加するための費用は? 費用は、渡航費・滞在費・学費などの基本的な留学経費として80万円が必要です。 それ以外にかかる費用(パスポート取得、ビザ申請、保険、健康診断、予防接種、事前研修への交通費、制服代や教材費など)は、別途約70万円が自己負担となります。 そのため、総額はおよそ150万円です。しかし、通常の1年留学(200〜400万円程度)と比べると、非常にリーズナブルです。多くの生徒にとって現実的な選択肢となっています。 ※1ポンド=190円で換算しています 募集人数 令和7年度の募集人数は、A(冬出発)コース、B(夏出発)コースともにそれぞれ75名以内、合計150名以内となっています。 ただし、募集人数を含めた詳しい要項は毎年変わります。最新の情報は東京都教育委員会の公式ホームページに掲載されます。必ずその年度の次世代リーダー育成道場研修生募集要項でご確認ください。 コロナで留学断念!でも再び現れたチャンス ここまで次世代リーダー育成道場の概要や費用、応募条件について紹介してきましたが、実は私自身もこのプログラムに応募し、無事に合格。研修生として参加することができました。 しかし残念ながら、私が参加した年はコロナ禍と重なってしまいました。そのため本来予定されていたオセアニア地域への留学は叶いませんでした。それでも、事前研修を通して語学力だけでなく、社会課題への関心や自分自身の目標について深く考える機会を得ることができました。この経験から、日本を飛び出して、もっと広い世界を自分の目で見てみたいという思いが一層強くなりました。 そして高校3年生の夏前、幸運にも父のロンドン転勤が決まりました。これをきっかけに、ロンドンの大学を目指してみようと本気で決意したのです。 ロンドン大学に出願するまでの道のり: ファウンデーションコース 私はただ英語が好きなだけで英語力に自信もなくA-levelやIBといったイギリスの学部に直接入学が可能な国際教育資格を持っているわけではなかったのでFoundation Course(ファウンデーションコース)に入ることにしました。このことを担任の先生に相談すると、留学エージェントを紹介されました。それ以降、出願手続きやビザ申請など、専門的なサポートをエージェントにしてもらいました。 https://jp.education-moi.com/universities/uk/foundation 海外大学の情報収集 まず、大学で何を学べるのかを調べることから始めました。イギリスの大学では、1年次から専攻分野の学習が始まります。そのため出願時に専攻を決めておく必要があります。また、イギリスにはビジネス、アート、コンピューターなど、幅広い分野の学科があるため、自分に合った学科を見つけることができます。 私はメディアに興味があったので、「ロンドン」「メディア」「大学」といったキーワードで調べ、各大学の公式サイトで学費や必要なIELTSスコアを確認しながら検討を進めました。その結果、Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)とUniversity of Westminster(ウェストミンスター大学)それぞれのファウンデーションコースに出願することにしました。 必要書類について 出願を決めてから、各大学のファウンデーションコースのウェブページから必要書類や資格を調べました。大学によって多少異なりますが、一般的に求められる書類は以下のとおりです: 高校の成績証明書(英文) 卒業証明書(英文) 高校の先生からの推薦状1通(英文) personal statement(志望動機をまとめた英文エッセイ) パスポートのコピー IELTSスコア 私の通っていた高校には非常勤のALT(外国語指導助手)がいました。その先生に添削してもらいながらエッセイを完成させました。英文の成績証明書は英語の先生に相談したら作成してくれました。これらの書類がそろったら、留学エージェントに提出し、出願を代行してもらいました。 イギリスの大学出願は、UCAS(Universities and Colleges Admissions Service/ ユーカス)という専用のプラットフォームを通して行う必要があり、操作や手続きが少し複雑です。私の経験から言えば、エージェントのサポートを受けるのがおすすめです。 IELTSの勉強と必要スコア獲得 情報収集や必要書類の準備と並行して、IELTS対策もしっかりと進めました。  当時高校3年生だった私は、英検2級しか持っておらず、正直なところIELTSって何?という状態からのスタートでした。まずは出題傾向を理解することから始め、4技能それぞれに対して計画的に対策しました。ここでは、私が行った対策をスキル別にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください! Reading 時間内に問題を解けることを目標に、毎日時間を測って大問ごとに練習していました わからなかった単語はノートに意味と一緒にメモ。オリジナル単語帳を作って通学時などに繰り返し復習。毎日少しずつ語彙を増やすことを意識していました 私が作った単語帳 自作の単語帳では、左側に単語を、右側に品詞と意味を書いています。使い方も同時に調べました。特殊な使い方をする単語には例文をつけて使い方までマスターできるようにしています。 Listening 専門的な語彙も出てくるため、問題を解くだけでなく、BBCニュースを定期的に視聴して耳を慣らしました 特に聞き取れなかった単語は、スペルや発音をしっかり確認しました。意味はわかるのに聞き取れないのを防ぐようにしていました。ここでも単語帳が大活躍しました Writing 毎日1~2行でもいいので英語で日記をつけ、自分の考えを英語で表現する練習をしました。わからない表現は調べながら書くことで、語彙力と構文力が自然と身につきます 問題集を解き終わったら、ただ答え合わせするのではなく、英語の先生に添削してもらい、文法の細かいミスや表現の言い換えなどを学びました Speaking 動画に英語・日本語の同時字幕をつけられる拡張機能「Language Learning with Netflix」を使って、日常会話で使われるフレーズを中心にshadowing(シャドーイング)の練習をしました 学校のALTにお願いして、放課後に会話練習をさせてもらいました。最初は緊張してなかなか声をかけられませんでしたが、先生は初心者に慣れているので、思い切ってお願いすることが上達の近道だと感じました このような形で、4技能バランスよくIELTS対策を行っていました。 もちろん、高校3年生だったので定期テストもありました。成績も出願に必要な書類のひとつです。そのためテスト勉強とIELTS対策を並行してコツコツ取り組むことが大切です。 また、英検と違ってIELTSは受験料が通常 27,500円と高額です。そのため何度も気軽に受けることはできませんでした。そこで、留学エージェントが提供していた模擬テスト(公式IELTSの受験料の1/4ほど)を活用して、実力を確認したうえで本番に臨みました。 その結果、必要スコアであるoverall 5.5を無事に取得し、出願に至りました。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジに無事合格! 2月中には、出願していた2校どちらからも結果が届きました。ありがたいことに両方とも合格し、第一希望のGoldsmiths, University of London(ゴールドスミス大学)に進学することを決めました。 ただし、2月の時点ではまだ高校を卒業していなかったため、合格はConditional Offer(条件付きオファー)という形式でした。その後、高校を卒業し、証明書を提出したことでUnconditional Offer(無条件オファー)に切り替わり、ビザの申請手続きへと進むことができました。 メモ イギリスの大学からの合格通知には、大きく分けてConditional Offer(条件付きオファー)とUnconditional Offer(無条件オファー)の2種類があります。 ・Conditional Offer(条件付きオファー)→あとでIELTSスコアの提出や高校の卒業成績が一定以上であることなど、いくつかの条件をクリアすれば正式に合格になる ・Unconditional Offer(無条件オファー)→すでにすべての条件を満たしている場合に出される、正式な合格通知 詳しくはこちらの解説記事にわかりやすく説明されています。 イギリス留学: 出発までの日々 高校を卒業した後も、英語の勉強は続けていました。IELTS対策のときに使っていた単語帳を引き続き活用し、新しい単語にできるだけ多く触れるよう意識していました。それに加えて、今度は会話で使えるカジュアルなフレーズを中心に学ぶようにしました。 特に、私が今でも続けているのが、InstagramやTikTokで紹介されている英語フレーズの動画を活用した学習です。さらに、特定のフレーズが映画やドラマの中でどのように使われているかを検索できるplayphrase.meというサイトを使って、実際に使われる生きた英語を身につけるよう心がけていました。 もちろん、勉強だけでなく友達との時間も大切にしていました。イギリスに行ってしまうと日本の友達と気軽に会うのが難しくなります。高校卒業後の時間は、思い出をたくさん作る良い機会でもありました。 そうしているうちにあっという間に8月になり、イギリスでの大学生活がスタートしました。 イギリスへ飛び立った ロンドンで見た景色ービッグベン 「普通の高校生」だった自分が今思うこと この体験談を読んでいただければ分かるかと思いますが、私は特別な存在ではなく、どこにでもいる「英語が好きな高校生」でした。そんな私が今、ロンドンの大学に通いながら、毎日新しい発見に満ちた日々を過ごしています。 もちろん、言葉の壁は高く、今も決して楽な毎日ではありません。それでも、日本では出会えなかった人々や経験に触れ、かけがえのない学びを得ています。 だからこそ、皆さんに伝えたいです。英語が好きという気持ちと、努力があれば、イギリス留学は決して夢ではないです。この記事が、少しでも「自分も挑戦してみたい」と思うきっかけになってくれたら、とても嬉しいです。応援しています! https://www.ryu.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp https://www.gold.ac.uk

交換留学はラク?立教→マンチェスター大学の交換留学生に聞いた

Risakoさん 神奈川県出身。立教大学異文化コミュニケーション学部の選抜コース「Dual Language Pathway(DLP)」に在籍。現在マンチェスター大学(The University of Manchester)に交換留学中で、主に紛争研究学を履修している。仲間とバンドを組み、ボーカルとして活動中。 Ikoneさん 東京都出身。中学時代に3カ月、高校時代に1年間カナダに留学していた。高校時代にイギリス・エディンバラで語学留学も経験。立教大学異文化コミュニケーション学部に在籍。現在マンチェスター大学に交換留学中で、主に言語学の授業を履修している。趣味はカフェ巡り。 RisakoさんとIkoneさんはともに立教大学異文化コミュニケーション学部に在籍しています。昨年9月からマンチェスター大学に1年間の交換留学中です。日英どちらの大学生活も経験した2人にインタビューしました。 マンチェスター大学への留学を決めた理由 マンチェスター大学に留学すると決めた理由は何ですか? Risako:昔から留学したかったが、高校時代はコロナ禍で留学が中止となりました。マンチェスター大学にしたのは協定校一覧の中で世界大学ランキングが一番高かったからです。また、世界トップレベルを誇る紛争研究学と平和構築学を学びたかったです。あとはハリーポッターの中で話されているイギリス英語に憧れ、イギリスにしました。今までヨーロッパに行ったことがなかく、留学のついでに周辺国にも行きたいと思いました。 晴れた日のキャンパス Ikone:私も世界大学ランキングを参考にしました。留学するならレベルの高いところに挑戦したいです。そういうところの学生は優秀で、人種などを理由に差別されることも少ないと考え、気楽に過ごせると思いました。学生の3割が留学生だという点も重視しました。というのも、高校時代に留学したカナダ・バンクーバー郊外の学校では、ほぼ全員が白人でした。留学生は同じ高校から来た自分を含め5人だけだったのでかなり孤立感がありました。また、姉が昔エディンバラ大学(The University of Edinburgh)に留学していました。その時に自分もエディンバラで1カ月の語学留学をしました。そのためイギリスはなじみのある国で、安心して留学できる場所だと思いました。 https://jp.education-moi.com/article-28 日本とイギリス: 大学の授業を比較 日本とイギリスの大学で授業を受けた経験から、感じた共通点や相違点を教えてください。 Risako:そこまで大きな違いは感じなかったです。私は異文化コミュニケーション学部のDLPという15人しかいないコースにいます。どの授業も少人数で日本語なり英語なり、授業中話し合いをすることが多々ありました。こちらの授業でもディスカッションをします。 Ikone:lecture(講義)は大人数で行われ、聴くことがメインです。seminar(セミナー)とtutorial(チュートリアル)は講義を履修している学生が少人数クラスに分かれて、講義内容についてディスカッションします。日本でやったディスカッションは結構一般的な話をしていたと思います。こちらではより個人にフォーカスしていて、「あなたはどう思いますか」を聞かれます。 講義の様子 Risako:日本では「今からこのテーマについて話し合ってください」という感じで教員主導でした。こちらはそれに加え、学生が授業の途中で質問したり反対の意見を述べたりします。そこからディスカッションに発展するパターンが多くて、学生主体だと感じました。 Ikone:だからセミナーやチュートリアルは同じ講義の内容について議論するけど、クラスによってディスカッションの方向性が全然違います。 予習・復習量は日本と同じ 課題の量はどうですか? Ikone:日本では毎回リアクションペーパーが出されて、毎週提出しないといけない課題がありました。こちらではチュートリアルの準備としてリーディングと事前に出された質問の答えを考える課題があります。でも提出する必要はなく、ディスカッションをスムーズに進めるために各自やるものです。提出物の数でいえば日本のほうが多かったけど、結局やることの量はあまり変わらないです。期末レポートは日本と同じですが、こちらのほうが字数が多いですね。 Risako:私も同じことを感じます。日本は面倒見が良くて、学生に学習習慣をつけてもらうようにします。また、欠席を3回以上すると単位が取れなくなります。私の場合、少人数のコースだったので顔を覚えられてなおさら欠席しづらいです。どの授業も何かしらの課題が出されるから毎週課題に追われていました。イギリスだと確かにチュートリアルのために準備しないといけないけど、提出は求められないので勉強したい人が頑張る感じです。 教育の現場も実力主義 Ikone:来る前はイギリスの学生のほうが真面目だと思っていました。でも意外と授業に来ない人もいたりと、日本とあまり変わらないと感じました。 Risako:こちらでは出席しようがしなかろうが、成績に関係するのは課題と試験です。そこさえちゃんとできていればいいので、そういう意味では実力主義ですね。授業の全てに力を入れる必要があるわけではなく、興味を持った部分や難しい箇所を重点的に勉強するなどというように自分で決められます。個人的にはこちらの制度のほうが好きです。 マンチェスター大学留学生の課外活動 続いては課外活動について聞きます。ご自身の体験や周りの人の活動を見て、日英の課外活動面での違いは何か感じましたか? Risako:サークル活動はどちらも活発ですが、やり方の違いを感じました。日本は友達を作る場としてサークルを活用している人が多いと思います。例えば私はバドミントンよりもイベントが中心のバドミントンサークルに入っているのですが、飲み会などをしてメンバー同士の仲を深めています。 イギリスのサークルはsociety(ソサエティ)と呼ばれていて、目的がはっきりしています。マンチェスター大学は留学生が多いので、中国人ソサエティ、日本人ソサエティなど、その国の人たちの集まりもあります。そこは単なる同じ国の友達作りの場だけでなく、その国に興味がある人に対してもウェルカムです。また、Manchester Japan Society(日本人会)の活動内容がとても濃いと感じました。実際に企業の担当者を招いて毎週のように就活イベントを開催して、日本人学生の就活を手伝うなどしています。 Ikone:私が思ったのは、日本のサークルには年度初めに入らないとそこから1年間入る機会を失います。でもイギリスは1年間のどのタイミングに入ってもいいです。なんならそのソサエティのメンバーでなくても活動に参加できて、結構オープンです。日本のサークルは閉塞的な環境ですが、その反面、内部のコミュニティが確立されていて、団結力が強いです。イギリスのソサエティは固定のメンバーではなく、毎回新しい人が参加するので、留学生にとっても行きやすいです。 Risako:そうですね。日本のサークルは決まったメンバーで活動するので同じ人との付き合いがずっと続きます。一方でイギリスはどんどん人脈が広がっていく感じです。 柔軟な対応で可能性広がる Ikone:私は今学期Language Societyで日本語チューターをしました。当初は期限が過ぎていて申し込みができなかったです。でもチューター経験者の友達が担当者につないでくれて、期限が過ぎてもできることになりました。このように、フレキシブルに対応してくれる環境があるので何事にも挑戦しやすいです。 Language Societyで日本語チューターとして教えた学生たちと Risako:イギリスはソサエティという枠組みじゃなくても活動の幅は広いと感じました。私はバンド活動をしています。自分たちでメンバーを見つけ、場所を取って楽器も自分たちで用意しました。いろいろなコミュニティとコネクションを作って発表の場をもらえました。マンチェスターは音楽の街ということもあり、このような有志バンドの活動が結構盛んです。 バンドのパフォーマンスでボーカルとして活動 イギリスに留学して感じた日常生活の違い 日常生活について聞きます。2人とも筆者と同じ寮に暮らしていますが、生活はいかがでしょうか? Ikone:まずは暮らしについて言うと、こちらの人の衛生観念が日本人とあまりにも違いますね。寮に入居した当初は全体的に想定よりきれいだと思いました。しかし過ごしていくうちに衛生観の違いが現れます。具体的に言うとシャワーに髪の毛が詰まって浸水したり、トイレを流さなかったり、キッチンを汚く使ったり、他人の食材を盗んだりですね。しかもみんなが寮のグループチャットでこれらの問題について怒ったり指摘したりするにもかかわらず改善されないです。 Risako:私の階のシャワーには一時期髪の毛を丸めたマリモみたいなやつがありました……。 食事はやっぱりまずい!? Ikone:食事付きの寮なので、朝夕は食堂で済ませます。最初は問題なく食べられたのですが、中華街などでアジア料理を食べてからは寮の食事がまずいと感じるようになりました。お腹を満たす分には良いのですが、それ以上のものは期待できないですね。 寮の食堂で出された夜ご飯 Risako:寮の食事について言うと、時間帯が早いです。夕食は5時から7時の間に提供され、早すぎじゃないかといつも思います。授業が6時に終わる人もたくさんいるはずだし、そこから課外活動に参加したら絶対に間に合わないです。私もいつも時間内に行けないです。 Ikone:確かに、日本にいた時は8時、9時に夜ご飯を食べていました。こちらはご飯が早いせいで、深夜になるとお腹が空きます。 自炊と寮のケータリングサービス Risako:寮が食事付きだから自炊するのが微妙に難しいです。キッチンは大人数で共用している割に狭く、収納スペースもあまりないです。食事がない寮だと、キッチンが広く、隣には食事スペースがあって自炊しやすくなっています。なので食事が合うか合わないかは食べてみないと分からないかもしれませんが、さっき言った食事時間も併せて、選ぶ時に考えたほうがいいポイントだと思います。 Ikone:食事時間に関してはルーティン化できるかどうかだと思います。私は食事時間に合わせて、何時までに何をしてから食堂に行くとか、朝ご飯に合わせて何時に起きようとかを決めています。 夜遊び文化から見える食習慣 Risako:夕食の時間が早いのは、イギリス人は夜遊び文化があるからだと思います。夕食後クラブやパブに出かけることが前提になっているのではないかと考えます。私も最近はほぼ毎日のように夜に出かけ、昨日は10時から友達と映画を観ました。その後も解散するわけでもないです。終電がなく、徒歩でどこにでもアクセスできてしまいます。そのため、そこから飲みに行ったり、誰かの家に行って映画を観たりおしゃべりしたりと、深夜でも選択肢がたくさんあります。 Ikone:そうですね。Uberが安いし、バスも走っているので、深夜でも移動手段には困らないです。そういう意味では日本より夜遊びがしやすいです。 イギリス大学留学を目指す人へのアドバイス これから交換留学でイギリス、あるいはマンチェスター大学に来る人へのアドバイスをお願いします。 Ikone:マンチェスターに関しては、特にシティセンターに行けばカフェやレストランがものすごく多いです。観光地ではないので、住むのに適しています。 Risako:そうですね、全てがちょうどよくそろっています。中華街や新宿二丁目みたいなゲイビレッジもあるし、ショッピングモールも空港もあります。観光地以外だと田舎過ぎる場所が多いイギリスですが、マンチェスターはそういうわけでもなく、過ごしやすいです。 やりたいことを事前に調べる Risako:さっき日本のサークルは年度初めに参加しないとその1年入るチャンスがなくなる話がありましたが、こちらの体育会系のソサエティに関しても同じことが言えます。年度初めにFreshers’ Weekという、ソサエティがブースを出して勧誘活動をする週があり、そこでチアダンスやアイスホッケーなど面白そうな団体を見つけました。 私は当時留学生活に慣れることに集中したいと思っていました。そのため、2学期に入ってから申し込めばいいと思ったのですがその時はもう手遅れで、結局参加できませんでした。留学が始まる前にやりたいことを調べ、到着したら一直線で向かえるようにするといいです。 Ikone:体育系は結構活動に参加するに当たり、テストセッションがあるとこもありますからね。 Risako:あとは自分でソサエティを作ることもできます。マンチェスター大学に剣道ソサエティがあるのですが、それはこっちに来たばかりの日本人留学生が、留学が始まった瞬間に作ったと聞きました。2学期のFreshers’ Weekでは既にブースを出していました。行動力がすごいですね。就活ではこういうところが評価されるので、希望者は事前に調べておくと良いと思います。 長期休みは旅へ Ikone:マンチェスター限定で言うと、思ったより雨は降らなかったです。曇りがほとんどで、特に12月、1月はいつ見ても空が真っ白です。なのでこの時期はマンチェスターに残らず、他国に旅に行ったほうがいいです。 クリスマス休みやイースター休みになるとイギリス人学生は地元に、正規留学生の多くは母国に帰るので人が一斉にいなくなります。そのため長期休みは他の交換留学生や日本の友達・家族と旅行に行ったほうがいいです。 Risako:友達と友達をつなげることをもっとしておけばよかったと思います。日本だと失礼に思われますが、こちらだとみんな普通にやっているので、誰かとの約束に別の人を連れて行くことはよくあります。そこで友達関係が広がり、いろんなチャンスが巡り込んできます。実は私バンドを2つ掛け持っているのですが、2つ目のバンド結成につながったのもそのように人脈を広げたからです。 新学期のワクワク感を駆使する Ikone:社交があまり得意でない人は最初だけ頑張る!という気持ちで挑めば良いと思います。私も年度初めは自分からいろんな学生に話しかけるように心がけましたが、途中から疲れてしまいあまり話さなくなりました。でも最初の頑張りがあったおかげで、その時に仲良くなった人と一緒にポルトガル旅行に行ったし、留学1週目に布団や飲み物をくれたりしました。 Risako:そうですね。留学し始めた頃のほうがエネルギーがたくさんあるので、その時の体力でうまくいく・いかないに関わらずたくさん挑戦したほうがいいです。 Ikone:あとは新学期特有の全員期待感が高いムードをうまく使いましょう。寮のコミュニティに溶け込んだり、ソサエティの活動に参加したりして友達を作ることも大事です。 国籍にとらわれず交友関係を広げる Risako:これはよく悪と言われるのですが、日本人と仲良くするのも重要だと思います。限度にもよるけど、やはり精神状態を良好に保つことが一番重要で、心が健康じゃないとできるものもできなくなります。それをする最たる例として日本人に悩み相談とか、心の拠り所にするのが大事だと思います。私たちもよく一緒に鍋をしながら語り合っていましたね。 Ikone:日本人とつながると交友関係が狭まるどころか、そこからどんどん広がっていきます。大学から留学する人は自分の意思で行くので、面白い人が多いと感じます。「日本人」という理由だけでその人たちと関係を経つのはとてももったいないです。 マンチェスター大学留学で学んだことを将来に生かす では最後に、この1年間の交換留学生活で学んだことをどのように生かしていきたいですか?意気込みをお願いします。 Ikone:今回の留学を通して、異文化の中でも落ち着いて主体的に行動することを学びました。英語でのコミュニケーションも以前によりスムーズに、自然に楽しめるようになりました。特に、イギリスのsarcasm(皮肉)文化は最初あまり理解できませんでしたが、今では私も使えるようになりました。帰国してからはインターンや就活など、新しい環境に飛び込む機会がたくさんあるため、そのような環境でも今回得た姿勢を応用して楽しんでいきたいと思います! Risako:この1年間、さまざまな人と交流する中で、特に人脈の大切さを学び、それが秘める可能性に気づきました。こちらでは人の輪の広がり方が非常に速く、また大きいです。そのつながりがあったからこそ、私も自分の夢をどんどん実現させていくことができました。時には既に叶った夢が思いもよらぬ形で発展することもありました。 日本にいた時から社交が好きでしたが、他人を先回りして気にし過ぎていて、違うグループの人を混ぜることは特段避けていました。しかし、人の輪が生み出す可能性を知った今、活用しない手はありません。今後は日本の他者を重んじる文化を尊重しながらも、人とのつながりを大切に、新しいチャンスを掴み人生を切り拓いていきたいです。 https://www.manchester.ac.uk

マンチェスター大学日本人会会長: 「日本人」の使命感を胸に、語学とビジネスで広げた視野【インタビュー】

Ryotaroさん ⽇本の公⽴⼩学校を卒業後、イギリスのボーディングスクール(全寮制学校)で7年間学び、その後The University of Manchester(マンチェスター⼤学/ UoM)に進学。ポルトガル語とビジネスマネジメントをダブル専攻し⽇本⼈会の会⻑を務める傍ら、パーカーブランドを運営。ラグビーに夢中。 マンチェスター大学: ポルトガル語とビジネスマネジメント専攻 専攻について教えてください。 マンチェスター⼤学のSchool of Arts, Languages and Culturesに所属しており、Portuguese and Business Management(ポルトガル語とビジネスマネジメント)の2つを専攻しています。 ポルトガル語は語学としての4技能を習得しながら⽂化⾯や歴史⾯の内容も学びます。この専攻の⼈数は学年で15⼈ほどと少ないため、lecture(講義)は会話教室のようなアットホームな環境で先⽣や学⽣同⼠の対話が活発に⾏われます。当然、どの授業に⾏っても同じメンバーと会うため、全員顔⾒知りで仲が良いです。3年次になると専攻している⾔語が話される国で1年間の交換留学に⾏きます。私はブラジルのサンパウロ⼤学に留学します。 ビジネスマネジメントでは、選べる講義の内容はさまざまです。私はマーケティング理論の基礎、国別の資本主義やその歴史などを履修しました。こちらはポルトガル語の授業とは異なり講義となると100⼈規模で⾏われます。講義のほか、seminar(セミナー)があり、その週の講義内容に関連したものを実践します。例えば講義で経済情報がまとめてあるグラフが出され、読解⽅法を教わったらセミナーでは作り⽅を学び、実際に⼿を動かします。授業の数は多くありませんが、テスト期間が近くなるとリーディングの課題が増えます。内容をしっかり読んで、関連の⽂献を調べながら理解を深めます。 その専攻を選んだきっかけは何ですか? ポルトガル語を専攻したのはイギリスで通っていたボーディングスクールの環境が⼤きく影響しています。そこは50カ国以上から⽣徒が集まるグローバルな校⾵で、周りは常にさまざまな⾔語が⾶び交っていました。私は16歳の時にスペイン語を学び始め、スペイン語が話せる友⼈と⽇常的に会話していたことでかなりのスピードで上達しました。その成功体験から、⼤学でも⾔語を学びたく、南⽶で主要なポルトガル語を選びました。 ビジネスに関しては、⾃分たちで何かを作り上げて、それをお⾦に変えられるところが⾯⽩いと思っています。 実は中学⽣の頃、学校に置いてあった無料のオレンジを搾ってジュースにして寮の部屋まで配達するというサービスを思いつき、1杯0.5ポンドで販売したことがありました。インスタで宣伝すると毎⽇のようにオーダーが⼊り、この無謀なビジネスは思いのほか⼤繁盛しました。しかしオレンジの減り具合が激しくて学校側にバレてしまいました。2週間で私の初めてのビジネスは幕を閉じましたが、その過程はとても⾯⽩く、有益でした。 また、⾼3の秋には卒業⽣の起業した話など、キャリアについての講演を聴きました。それをきっかけに卒業生とつながり、2カ⽉間メキシコとコロンビアで⽣活も共にするインターンをする機会に恵まれました。起業している⽅々の活動を肌で感じ、彼らの⾏動⼒やメンタリティー、情熱に魅了さました。このインターンの経験が更なるビジネスへの興味につながりました。 ポルトガル語とビジネスマネジメントを1年半以上学んで、どうですか? この2つの組み合わせを選んだのは最⾼の決断です。ポルトガル語は⽇に⽇に上達を感じます。新しい単語や表現を学び、頑張れば結果が出るのでやりがいを感じます。ポルトガル語に加え語学と同じくらい関⼼があり、かつ語学と全く違う分野であるビジネスを勉強することでバランスが取れていると思います。これよりいいチョイスはないと⾔えるくらいすごく楽しいです。 「みんなを笑顔にしたい」日本人会の会長として Manchester Japan Society(日本人会)の会長を務めていると聞きました。 昨年度会⻑職に⽴候補し、当時の執⾏部による⾯接などを経て選んでいただきました。僕は11歳からイギリスの全寮制学校に⼊り⽇本⼈は数⼈しかいなかったです。そのため、必然的に⾃分はある種その場の「⽇本代表」として⽇本のイメージを背負っているといったnational identity(国民意識)がありました。そのため、「⽇本のために何かをやりたい」と常に思いながら⽣活していました。この思いは⼤学に⼊ってからも続いていて、⽇本⼈会の会⻑になれば⽇本のためにできることの幅が広がると思いました。 日本人会の仲間たちと 会長として、どういう方針で会を運営していますか? 会としての仕事をしっかりやるプロフェッショナルな⾯はもちろんですが、「楽しくないといけない」と思っています。笑顔を絶やさず、元気で楽しい会にするのがモットーです。会⻑の雰囲気が組織の空気を⼤きく左右するので、⾃分が先頭に⽴って笑顔で、楽しく取り組むことを⼼がけています。 Ryotaroさんが会長になってから始めた取り組みはありますか? ⾃分の代になってからいつくか変更したことがあります。 定期的に⾏われている「パブソーシャル」という皆がパブに集まって飲みながら交流するイベントがあります。昨年まではただ場所を提供しているだけでしたが、今年からはビンゴ⼤会や変顔⼤会などのミニゲームを追加し、飽きずに参加してもらえるようにしました。 また、イベントのクオリティを上げるため、会員制を導⼊し、年間7ポンドの会費を徴収しています。 もう1つ⼤きなイベントとしてロンドンで開催された⽇本⼈のボートパーティに初めて参加したことです。イギリスの13の⼤学にいる⽇本⼈学⽣約700⼈が集まり、UoMからも25⼈が参加しました。他⼤学にいる⽇本⼈と交流できた実りのある会だったので来年につなげていきたいです。 マンチェスター大学でのビジネスチャンス 課外活動は日本人会以外に何かしていますか? 授業で習ったこともそうなんですが、インターンの経験を何かに⽣かしたいと思い、昨年夏に「Manny Bees」というパーカーのブランドを⽴ち上げました。 UoMの公式グッズはいろいろありますが、あまりクオリティが良くないと感じております。値段か⾼い割にそれほどかわいくない点にも注⽬し、それなら⾃分で作ろうということで始めました。 友達に助けてもらいながら、Student Union(学⽣会館)のフリースペースで試験的に展⽰販売をしたり、インスタに投稿する宣伝⽤の写真の撮影会を開いたりしてすごく楽しいです。これをマンチェスターの思い出の⼀つとして⼿に取ってほしいので、クオリティが良くて、かわいくて、低価格にできたものを提供したいと思っています。 自身が立ち上げたパーカーブランドの宣伝用写真 大学に入ってからもインターンしていますか? はい、⻑期休暇にインターンします。昨年はドイツのミュンヘンのオークションハウスに⾏きました。出品者から物を預かって、それをオークションで売ります。先ほど⾔ったコロンビアとメキシコでのインターンは今も続けています。例えばソフトウェアの新サービスのピッチプレゼンテーションを⽇本の⻁ノ⾨ヒルズやスペインのビルバオで行うなどをしました。このようにマーケティング関連のことを主にしています。 ケガをしても冷めないラグビーへの愛 スポーツは何かやっていますか? ⼩1からサッカーを始め、中3にラグビーに転向し、それからずっとラグビーをやっています。しかし2年前の夏、プレイ中に転倒し膝の前⼗字靭帯を痛めてしまいました。そこからは体を動かす程度です。本来は⼿術をして治すべきですが、術後のリハビリを考えると留学に影響が出てしまうため今は諦めています。そう⾔いつつもたまに我慢できずラグビーをしてしまいます。 打ち込んでいるラグビー マンチェスター大学留学生活: 日常の幸せ 現在は寮に暮らしていますか? 初年度は学⽣寮に暮らしていました。2年⽣になってからは⼤学より南のエリアで友達3⼈と⼀緒にシェアハウスしています。⼤学からやや遠くバスで20分かかり、毎⽇満員バスに乗ってキャンパスを往復しています。 このエリアはナイトライフが活発で、夜は結構騒がしく⽇本⼈学⽣からあまり好かれないエリアかもしれないです。⽂化的に合っていないというか。ただ、私は⼈と交流したり友達とパブに⾏ったりするのが好きなのでこのエリアは⾃分に適していると感じています。 シェアハウス生活はどうですか? すごく楽しいです。ハウスメートたちとは仲も良くトラブルもありません。これ以上良いハウスメートはいないんじゃないかと思うくらいです。 また、スーパーが近いというロケーションもすごく重要です。シェアハウスをすると話し合った時にスーパーから近いところにしようと決めました。夜、急にチョコチップアイスを⾷べたくなった時にすぐに買いに⾏けるんですよ。この利便性は本当に⼤事ですね。家でラグビーの試合を⾒ている時なんかは、ハーフタイムにダッシュで買いに⾏っても後半戦に間に合うんです。 食事はどうしていますか?ハウスメートと一緒に作りますか?それとも各自ですか? たまに⼀緒に作って⾷べることもあるんですが、基本的には各⾃で作りますね。⾷べたいものが全然違うので。僕はスパゲティを作ることが多いです。安くて簡単で速い、⼤学⽣に必要な三要素がそろっています。そしてビタミン不⾜には気をつけるようにしています。 マンチェスターは学生が住みやすい街 マンチェスターに2年間暮らしてみて、どうですか? とても住みやすい街だと思います。マンチェスターはシティセンターの端から端まで歩いて30分しかかからないです。⾏きたいは基本的に徒歩範囲内です。加えて、バスが24時間⾛っているのがありがたいです。 街と⼤学が⼀体になっているところも住みやすいと感じる理由です。ロンドンの⼤学だとキャンパスが街の中⼼から離れているところが多いのですが、マンチェスター⼤学はキャンパスの周りにいろいろな店や施設がそろっているので便利です。 日本の公立小学校を経てイギリスへ留学 11歳に渡英したとのことですが、どういう経緯でイギリスに来ることになったのですか? イギリスに⾏こうと思ったのは⼤きく2つの理由があります。1つは当時サッカーをしていて、海外のレベルで挑戦してみたかったからです。もう1つはハリウッド映画にすごくハマっていて、英語への憧れがあったからです。 ⼤⼈になるとアイデアが浮かんでもあれこれ考えてしまうと思うのですが、当時⼩学⽣の私は「サッカーがしたい」「英語がしゃべりたい」という2つの原動⼒だけで両親に相談したら背中を押してくれました。イギリス南東部の中⾼⼀貫のボーディングスクールに⼊学し留学⽣活が始まりました。両親は⽇本に残り、単⾝で渡英して今に⾄ります。振り返ると当時はよくやったなと思います。 最初の1年間はとにかく何をやっても⼤変でした。⾔葉が通じなくて、指⽰が理解できず何をすればいいか分からなかったです。授業にもついていけなかったです。意味が分からないことで怒られたこともありました。 高校時代の凌太朗さん 英語があまり話せなかったということで配慮してもらいましたか? 僕は11歳で⼊学しましたが、この年齢で英語ができないという⼦がそれほど多くなかったので特別扱いはなかったです。そういう体制が整っていなかったと言ったほうが正確かもしれません。⾼校⽣の学年になると留学⽣も増えるので英語の補習クラスなどがありました。ですが、私の⼊学した年齢ではそれがなかったので、英語の海に投げ込まれた感じです。今考えるとそれが良かったですね。最初からネイティブと⼀緒に授業を受けたので、現地の⼦たちとの関わり⽅が早いうちに分かり、彼らに溶け込むのが⽐較的スムーズでした。 つらいことだらけだった生活をどうやって乗り越えたんですか? 気合ですね。本当は諦めることもできました。両親に「もう無理」と⾔えばやめることができたと思います。でも自分としては諦めるという選択肢はなくて、何が何でもやり切りたかったです。我慢と忍耐⼒で乗り越えた当時の経験が今の私の礎になっています。 留学生活に慣れるまでどれくらいかかりましたか? 1年もかからないうちに慣れました。英語⼒に関しては、1年⽬は⾃分の気持ちを少し伝えられて、2年⽬は相⼿の話を聞いてしっかり受け答えができるようになりました。3年⽬になると思い通りに会話ができました。このように成⻑していることを⾃分でも段階的に実感しました。3年⽬が終わる頃にはいわゆる“英語ペラペラ”になっていたと思います。 その時点で英語が話したいという目標はクリアしたということですね。 はい、確かに英語が学びたいという1つの⽬的は達成しました。しかし私にとって英語は⽬標ではなく1つのスキルです。⽬標を達成したというよりはある1つのスキルを⼿に⼊れたと捉えています。 なるほど、ではもう1つの目的だったサッカーはどうなりましたか? 僕が⼊った学校にはChelsea Foundation(チェルシーファンデーション)がありました。Chelseaはイギリスプレミアリーグのサッカーチームで、そのアカデミーファンデーションに加⼊しました。このクラブがあったことが⼊る学校を選んだ理由の1つです。 でもラグビーをやってみて分かったのですが、⾃分のサッカーへの愛というか、情熱はラグビーに⽐べると全然⾼くなかったです。ラグビーの魅⼒には⼀試合で染まりました。今は「ラグビー⼤好き!」です。 ラグビーが好きになったのは試合を観戦したのがきっかけということですね。 いえ、16歳の時、他校との試合に「1⼈助っ⼈が欲しい」と⾔われたことが始まりです。「じゃあ俺がやるよ」と、タックルの仕⽅すら分からないのに出場しました。 初戦で相⼿のデッカい選⼿がボールを持ってこっちに向かってきました。私の後ろがタッチラインだったので抜かれたらアウトになってしまうと思い、必死に守ろうとしました。アタックのやり⽅が分からないのでその選⼿に抱きつき、どうにかして⽌めようとしました。だが次の瞬間、相⼿の肘がバーンと顔を直撃し、⿐が折れてしまいました。結局トライを決められ、「俺の⿐⾎はなんだったんだ」となりましたが……。 それでも、ラグビーのメンタリティーや団結感がすごく好きになりタックルも楽しいなと思い、サッカーを置き去りにしてラグビーに転向してしました。 普通はトラウマになると思うのですが、すごいですね。 それは両親と家族のお陰だと思います。 実はラグビーで前⻭が1回折れかけたことがあります。普通の親御さんですと動じて「そんなスポーツやめなさい」などと⽌めるのではないかと思うのですが、私の⺟は「しっかりやりなさいよ」と。こんな感じで、⼤変なこともサポーティブに前向きにしてくれたことでトラウマにもならずに続けることができています。また、そういう姿勢は海外⽣活する上での助けになっています。 海外大学生の就職: 日本の企業に就職したい 卒業後はどういう予定ですか? ⽇本の企業で働きたいです。 海外で勉強した学⽣は結構外資系企業に就職する⽅が多いと思います。でも私は⽇本⼈⼀⼈⼀⼈が⾃信を持ち、世界で戦うリーダーや組織の成功例を増やしていきたいからこそ、⽇本企業にこだわります。その理由は⽇本⼈の団結⼒というものはすごく強いと感じているからです。 例えばサッカーを⾒ても、ブラジルとの試合では、選⼿⼀⼈⼀⼈のレベルは圧倒的にブラジル⼈のほうが⾼いですが、最後は⽇本が勝ちます。なぜかというと団結⼒という⽇本の素晴らしさがあるからです。これはビジネスでも共通するところがあると考えています。⽇本企業で同じ⽬標に向かって団結すれば⼤きなものを⽣み出していけると思います。 https://www.manchester.ac.uk

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