イギリス医学部留学記:グラスゴー大学で学んだ5年間と研修医生活

こんにちは!Yuiです。イギリスに15歳の時に単身留学し、2022年にUniversity of Glasgow(グラスゴー大学)の医学部を卒業しました。前回までは大学に入る前までのことでしたので今回は医学部での経験について書きたいと思います。

イギリスの医学部受験

当時(2016年頃)のイギリスにはスコットランドを含め、医学部を持つ大学は30校ほどしかなく、すべて国立大学でした。定員は大学によって異なりましたが、留学生は全体の7.5%までという決まりがありました。

UCASを通して出願し、Medicine(医学科)は最大4校まで受けられますが、大学によって必要な試験が異なりました。A-levelなどでの良い成績はもちろんのこと、UKCAT(今はUCAT)やBMAT(現在は廃止だそうです―詳しくはこちらを参照ください)などの適性検査が必要でした。

それをクリアすると最大の難関は面接でした。面接では世界中の留学生が集められ、シンガポールやマレーシア、ヨーロッパからの志望者が待合室にいました。

イギリスの医学部選びのポイント

PASSPORT運営元の留学エージェント「Moi Education」の医学部のページにもあるように、大学によって入試も異なればその大学の教え方も異なります。そのため、自分に合った方針の大学や、学生の多さなどを考慮して4つまでの大学を選びます。

授業スタイル

イギリスの医学大学の授業はPBL(Problem Based Learning)、Traditional learning(伝統的な授業)あるいは両者混合のIntegrated learning style(統合型授業)という教え方の違いがありました。

PBLとは、レクチャーではなく小さいグループに分かれて話し合いながら勉強をするという方法です。Traditional learningはレクチャーのみで勉強する方法です。主にオックスフォード大学とケンブリッジ大学がそれを実施していました。ほとんどの大学がPBLを取り入れていて、統合型授業(PBLとレクチャーの混合)の場合とPBLだけの大学がありました。私が卒業したグラスゴー大学は統合型授業を採用していて、それも選んだ理由の一つでした。

私はそれに加え、あまり大きすぎない大学が良かったのと、当時数少なかった解剖学の授業で実際の人体の解剖ができると言われていた大学だったことを理由にグラスゴー大学を選びました。

グラスゴー大学医学部1、2年目の時間割: 解剖学

グラスゴー大学の医学部は他の理系の学部と別なので入学直後から医学の勉強が始まりました。最初から皮膚の構造について授業がありました。スコットランドに着いたばかりの私にはスコティッシュアクセントが難しく、教授のほぼ全員がグラスゴーの人だったので授業を聞き取るのにも苦労したのを覚えています。

入学したときにもらったgoody bagに入っていたもの
入学したときにもらったgoody bagに入っていたもの

1年目のレクチャーは朝に医学部のホールで行われ、お昼休憩の後は解剖学などラボの時間でした。ホルマリンに漬けられたご遺体がいくつもある部屋に入り、実際にメスを渡されて解剖していきます。週ごとに習っているトピックに合わせて教授の指示に従って解剖していきました。始める前にはご献体くださった方に感謝の気持ちを込めてお祈りをしました。

週2くらいの頻度でPBLがあり、それ以外はレクチャーでした。PBLではレクチャーで習っていることと同じ内容で、患者さんの事例が渡され、担当の先生(教授ではなく医師)を含めてグループでディスカッションを行います。

PBLの授業で先生が描いた膵臓とその周辺の臓器
PBLの授業で先生が描いた膵臓とその周辺の臓器

PBLの他にもVS(Vocational Studies)という授業があり、同じくグループに分かれます。この授業ではコミュニケーション力を上げたり、道徳的な話し合いをしたりする場でした。Breaking bad news(癌の診断報告といった残念な結果の告知の仕方など)や怒りを表す患者さん、そして性病の診断結果の報告など、難しいコミュニケーションの場でどう対応するかを習いました。

先生がまず見本を見せたあとグループ内で話し合います。その後1人ずつカメラのついた部屋に行き、患者役のボランティアさんに対して指定されたやり取りを行います。グループ全員で1人ずつのパフォーマンスを評価します。とても緊張しますが、毎週のようにあったので段々と慣れていき、自信がつきました。

病院実習の始まり

1年目は1ヶ月に1、2回だけ、病院に行ってグループでBedside Teachingがありました。これは実際に入院している患者さんに先生が許可をとり、患者さんの病名を知らない状態でグループごとに質問をし、病名を当てる授業でした。その後その病気について話し合い、学ぶ場でした。やはり最初の方でこれを経験できるのはとても楽しかったです。時々GP(General Practitioner/かかりつけ医)にも行き、GPでよくみられる病気の話や、対処法、そして在宅医療などの勉強もしました。

2年目からは2週間に1回くらいに増え、3年生では週2回ほどありました。

魔の3年目

グラスゴー大学では3年次が一番きついとされていました。最初の15週間は週3回朝から晩までレクチャーを受け、残りの2日は一日病院実習か、GP実習でした。時々レクチャーの時間の代わりにCBL(Case Based Learning)というPBLよりも実習につなげたグループ(私は正直PBLとの違いはあまり感じませんでした)での授業もありました。

その15週間が終わると、とても大きな大事な試験があり、それに合格すると本格的な実習が始まるのでした。

急な臨床実習漬けの毎日

試験合格の翌週から実習が始まりました。数人ごとに病院と科が分けられます。だいたい同じ病棟には1人、多くても2人でした。私は最初にCCU(Coronary Care Unit/冠動脈疾患集中治療室)に割り振られ、病棟に着きましたが私を待っているような人はいませんでした。みんな忙しなく動いている中ぽつんと立ち止まっていると、看護師さんが話しかけてくれました。医学部生だと言うと、「医師はみんなあっち行ってるよー」とだけ言われ、どうしたらいいかわかりませんでした。

そのまま動けないでいると、HCA(Healthcare Assistant)の方が荷物置き場を教えてくれ、荷物を置いて出てくると看護師さんが「もしかして臨床実習初めて?」と察してくれました。そうだと伝えると、医師を一緒に探し、紹介してくれました。

医師からはなんの指示もなく、とりあえず「Follow me」とだけ言われたので、ただひたすら必死について回りました。このように臨床実習では教えてくれそうな医師を捕まえ、同行していいか聞き、医師の仕事を見学します。運が良ければ結構教えてくれる医師もいて、運が悪ければ邪魔扱いされながら1日を過ごしました。

回診の時間には医師と一緒に病室を巡回し、ただよくわからないままついて回りました。決められた授業などがある時は抜けて授業に行き、大学から与えられたチェックリストをこなしていかなければなりませんでした。そのチェックリストには「問診をする」「循環器の身体診察をする」「血圧を測る」「心雑音を聞く」「心筋梗塞の患者さんの話を聞く」などいくつもの項目がありました。

GlasgowにあるQueen Elizabeth University Hospital
GlasgowにあるQueen Elizabeth University Hospital

その科の臨床実習が終わるまでにチェックリストの項目をすべて達成し、その科の医師からサインをいただき、提出することが必須でした。その他にもPhysiotherapist(理学療法士)やOccupational therapist(作業療法士)などの医療従事者について回る日もありました。

一応それぞれの科にEducational Supervisor(教育担当指導医)という実習生担当の先生(医師)がいて、実習が始まった数日後に1回、終わる時に1回ミーティングをします。しかしみんなとても忙しいので記憶にあまりないくらいその2回以外は関わってくれず、ミーティングの時間を確保するのも一苦労でした。最後に出席率や態度、やる気が評価されると“Merit”が与えられました。

3年生は一般内科と一般外科をいくつか回りました。3年目が終わると、Intercalationといって一旦医学部から抜け、他の学士号(提携している科目のみ)を1年で取得することのできるコースもありました。私は残念ながらやりませんでしたが、それで学士号をもう一つ取得することで就職に有利になることもあります。

4年目: 本格的な病院実習へ

4年生になると授業はほぼ病院内で行われるので、キャンパスに行くことはほとんどありませんでした。色々な病院を回るので車がないと不便でした。

コロナの後からできた医学生専用のscrubs(医療用白衣)
コロナの後からできた医学生専用のscrubs(医療用白衣)

更に10週間ずつ一般内科と一般外科を回り、レベルアップしたチェックリストをこなすと同時にPortfolioの提出が必要でした。それには自分が選んだ患者さんのケースレポートと、その病気についての論文らしきものを書きました。

その合間にも授業があり、一般外科と一般内科が終わるとまた試験がありました。それに合格すると他の科の実習が始まりました。

私の代はここでコロナのパンデミックが始まり、一時中断になりました。

5年目と最終試験: OSCEとは

最終学年では最終試験に向けての勉強はもちろんのこと、実習や課題もひたすら出されました。神経内科、形成外科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科、小児科、救急科、精神科そしてGPを回りました。それぞれのチェックリスト、そしてレポートは相変わらず必須でした。

それに加え、Prescribing Safety Assessmentという処方するための試験もあり、それにも合格しないと卒業して研修医が始まってから処方だけできないことになるのです。ただしこの試験は当時おそらく年3回くらいチャンスがあり、研修医1年目の終わりまでに合格すればいいとのことでした。

実習の終了から試験までわずか2週間しかなく、実習も毎日5時まである中で勉強するのは大変でした。筆記試験では記述問題と選択問題の2つがありました。それに加え、OSCE(Objective Structured Clinical Examination/客観的臨床能力試験)という臨床試験もありました。

OSCEでは小部屋にそれぞれ試験監督の先生とボランティアの他の学年の学生や役者さん、病院の患者さんのいずれかがいます。受験生は1人ずつ部屋のドアの前に立ち、1回目の笛が鳴るとドアに貼ってあるInstructionを読みます。そこには「あなたは2年目の医者です。患者は38歳の女性、主訴は頭痛。問診をし、CNS examinationをしなさい」などという情報があります。2回目の笛が鳴るとノックをして部屋に入り、自己紹介から始めます。

そこでコミュニケーション力、理解力、知識、そして与えられた項目を正しく実施するかなどで総合得点がつけられます。試験監督がその後質問をしてくることもあります。患者さん役の人があえて難しく反応してくることもあり、対応力を試されます。

このような形式の試験を連続で4つ行い、それが4日間続きました。

この試験もある一定の数を合格しないと卒業できません。毎年多くの学生が落第しますが、筆記は得意でもOSCEのせいで落第してしまった学生も少なくありませんでした。

そのくらい重要でしたので、試験勉強しながらも週末に何人かの友達と集まり、3、4時間かけてお互いに模擬OSCEをして練習しあいました。

イギリスの医学部卒業後と研修医生活

今は変わってしまいましたが、私たちの代は最終試験の前にもう一つ適性検査があり、その結果に応じて研修先の病院が決められました。現在はこの試験は廃止され、研修医の勤務先はランダムになったそうです。しかし、これも不評のため再び変更される可能性もあるようです。

最終試験に無事合格すると6月末に卒業式があり、そこからは正式に自分のことをドクターと呼べます。そして8月の最初の水曜日から与えられた病院で研修医が始まります。最初は仮免許状態で働くのですが、オピオイドの処方ができないなどの小さな制限以外は他のジュニアドクターとほぼ同じでした。

医学部の卒業式典の様子
医学部の卒業式典の様子
卒業式
卒業式

研修医の時にも担当のSupervisorがいて、定期的に業務の経過報告をします。お給料も入り、本格的に医者としての仕事ができ、医学生の時よりも毎日が充実していて楽しかったです。

研修医の間も同じくチェックリストのようなものがあり、しっかりとすべてをこなさないといけませんでした。授業も週1でお昼休みにあったのでその出席や、ケースレポート、先輩医師とのディスカッションなど、仕事の合間を縫って行わなければなりませんでした。CAPSというClinical procedure(臨床手技)のチェックリストもありました。

同期や他の医療従事者からの評価も必要で、それをすべてクリアすると2年目に上がれます。2年目は本免許になるのでできることが少し増え、同様にクリアすると研修医修了書がいただけます。

その後のキャリアは人それぞれで、専門医になったり、いろいろな科を転々としたりするなどさまざまです。最近ではイギリスの医師免許の書き換えだけで行けるオーストラリアに1、2年行く人も増えました。

最後に

医学部の勉強は決して楽ではなく、試験のたびに涙しながら勉強していました。卒業の日を夢見て頑張ってきたからこそ、最終試験に合格した時の気持ちは今も忘れられません。

医者の道を進んで本当に良かったと思いますし、私を育ててくれたグラスゴー大学にも感謝の気持ちでいっぱいです。

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⽇本の企業で働きたいです。 海外で勉強した学⽣は結構外資系企業に就職する⽅が多いと思います。でも私は⽇本⼈⼀⼈⼀⼈が⾃信を持ち、世界で戦うリーダーや組織の成功例を増やしていきたいからこそ、⽇本企業にこだわります。その理由は⽇本⼈の団結⼒というものはすごく強いと感じているからです。 例えばサッカーを⾒ても、ブラジルとの試合では、選⼿⼀⼈⼀⼈のレベルは圧倒的にブラジル⼈のほうが⾼いですが、最後は⽇本が勝ちます。なぜかというと団結⼒という⽇本の素晴らしさがあるからです。これはビジネスでも共通するところがあると考えています。⽇本企業で同じ⽬標に向かって団結すれば⼤きなものを⽣み出していけると思います。 https://www.manchester.ac.uk

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この授業では、マーケティングの基本についてセミナー形式で学びました。 評価方法①:エッセイ(1500 words) – 50% 授業で学んだマーケティングの理論を使って、最近のマーケティング関連ニュースを分析するという課題でした。冬休み前の提出だったので普段の授業の予習と並行して進める必要があり、正直なところ計画的に取り組むのが難しかったです。 評価方法②:試験(1時間半) – 50% 夏タームに行われた手書きの筆記試験で、当日提示された3つの質問の中から2つを選び、エッセイ形式で回答します。お題が事前に知らされなかったので、重要な理論や研究者の名前をしっかり暗記して、スペルミスなく書く必要がありました。私にとって、この試験が最も難しく感じました。 カフェで試験勉強に取り組んでいる様子 Writing for the Media この授業は、これまで紹介した2つの授業とは違って、より実践的な内容でした。専攻生全員が2つのグループに分けられ、少人数で行われたのも特徴です。授業時間も1〜2時間ではなく、お昼休みを挟んで午後4時ごろまで続く長めの授業です。先生との距離も近く、実際に手を動かしながら学ぶスタイルでした。主に、新聞記事やSNS投稿など、“書くこと”に特化したメディア表現について学びました。 評価方法①:エッセイ(1000 words) – 30% 授業で習った理論を使って、SNS投稿など実際のメディアの例を1つ選び、分析するという課題でした。 評価方法②:ポートフォリオ制作 – 70% 自分で1つキャンペーンを考案し、そのキャンペーンに関する以下の内容を含んだポートフォリオ(2500〜3000 words)を作成しました: スローガンと概要 Q&A(インタビュー内容を記事化) プレスリリース ソーシャルメディア投稿(10個) 冬休み明けの提出だったため、冬休み期間を使ってじっくり取り組むことができました。実際に手を動かして作る経験ができる授業で、学びがとても濃かったです。 また、このポートフォリオ制作に向けて、フォーマティブ課題※としてプレゼンテーションを行う機会がありました。これは成績には含まれませんが、先生からのフィードバックをもとに自分の企画をより良いものにブラッシュアップできたので、実践に活かせる貴重な時間でした。 ※評価の種類 イギリスの大学では、評価には大きく分けてFormative Assessment(フォーマティブ評価)とSummative Assessment(サマティブ評価)の2種類があります。 フォーマティブ評価:成績には影響しない練習課題やプレゼンテーションなどを指し、学びの途中でフィードバックをもらうためのものです。自分の理解度を確認したり、本番課題の準備をしたりする目的で行われます。 サマティブ評価:最終成績に反映される正式な課題(レポート、試験、ポートフォリオなど)で、学期の終わりや一定のタイミングで提出します。 ゴールドスミスカレッジ: 春タームの授業と評価方法 Culture and Cultural Study この授業では、「文化」という広いテーマを、歴史、メディア、ジェンダー、ポピュラーカルチャーなど様々な視点から学びました。講義スタイルで進行し、理論的な内容が多かったのが特徴です。 評価方法:エッセイ(1000 words×2) – 各50% 春休みの2週間の間に、出された10個のトピックの中から2つを選んでエッセイを書く形式でした。 また、これに先立ち、春休み前にはフォーマティブ課題として500 wordsのエッセイがありました。TikTokの動画を選び、授業で習った材料を使って分析する内容です。私は先生からもらったフィードバックをもとに春休み中の本番エッセイに活かしました。 Media Art この授業では、メディアアートとは何かについて、様々なジャンルのメディアアート作品を通して学びました。 評価方法:メディアアート・プロジェクト(動画+エッセイ) – 100% この授業の評価は1つの課題に集約されていて、メディアアート・プロジェクトとして、自分で1〜2分の動画作品を制作し、さらにその作品のコンセプトや使用した手法などを900 wordsのエッセイで解説するものでした。動画はTikTokやCapCutなどの編集アプリを自由に使って制作し、YouTubeにアップロードして提出しました。春休み明けの提出だったため、時間をかけて仕上げることができました。 またこの課題に向けたフォーマティブ課題として、春休み前にエキシビションレポート(750〜800 words)がありました。メディアアートの展示を実際に見に行き、そこで出会ったアートワークとアーティストについて分析する内容で、本課題に向けた良い準備になりました。実際に自分で作品をつくるというユニークな経験ができた授業で、表現と分析を同時に学べる貴重な機会でした。 Tate Modernで見たCildo Meireles Web Design この授業は、先に紹介したWriting for Mediaと同様に、少人数グループでの実践的な内容でした。授業は朝10時から夕方4時までの長時間で、じっくりと制作に取り組める環境でした。 授業では、秋タームに作成したキャンペーンのポートフォリオをもとに、Webサイトを一から制作し、そのアクセス状況をGoogleアナリティクスを使って分析することが求められました。 評価方法①:Webサイトプランの提出 – 10% どんなWebサイトを作るか、ロゴやカラーなどのデザイン要素をまとめた企画書を提出しました。 評価方法②:Webサイトポートフォリオ – 90% 完成したWebサイトのリンクに加え、500〜800 wordsのGoogleアナリティクスを用いたアクセス分析レポート、そして1000〜1500 wordsのSelf-reflective essay(自分がWebサイト制作を通じてどのように成長したかを振り返るアカデミックなエッセイ)を含むポートフォリオを提出しました。 この授業では、企画から制作、分析、振り返りまで一連のプロセスを実践的に学べ、非常に充実した内容でした。 最終評価の仕組み ここまで秋タームと春タームでの各授業の評価方法をご紹介しましたが、最終的にPass(合格)かどうかは、それぞれの授業で得た成績の合計点に基づいて判断されます。私の通うGoldsmithsでは、各授業の評価で40%以上を取るとその授業はPassとみなされます。 秋の授業の評価結果は、冬休み明けに発表され、冬の授業は春休み明けに発表されます。そして、それらを合わせた1年次全体の成績は夏休みの初め頃に届きました。 私は無事すべての授業に合格することができましたが、万が一落ちてしまった場合でも、夏休み中に再提出や再試験の機会があるので、あまり過度に心配する必要はないと思います。 イギリスの大学で良い評価をとるためのコツ 実際に1年間、課題やエッセイに取り組んでみて、「これは大事だな」と感じたポイントを紹介します。 課題の指示書は注意深く読む エッセイやプレゼンの課題には、必ずassignment brief(指示書)があります。そこにはトピックだけでなく、フォーマット(段落構成・引用方法など)や評価基準も書かれています。書いている途中でも、何度も見返してちゃんと指示通りにできているか?を確認することがとても大事です。 言いたい内容を最初に伝える 英語のエッセイやプレゼンでは、最初のパラグラフで自分の主張やトピックをはっきりと伝えるのが基本です。これをthesis statementと言います。日本語の文章のように結論を最後に持っていくのではなく、英語では最初に要点を伝えるスタイルが好まれるので、意識してみてください。 指定のリーディングから引用する 授業ごとに、先生が選んだreading list(リーディングリスト)があります。そこに載っている文献や資料からの引用は、課題の評価を上げる上でとても効果的です。先生が大事と思っている資料を理解し、それを課題で活用することで、評価につながりやすくなります。 大学のサポートを活用する 多くの大学には、留学生や英語が母語でない学生向けに、文法やエッセイ構成を見てくれるAcademic Writing Supportのようなサポートがあります。Goldsmithsにも図書館にそのスタッフがいて、私は毎回予約してチェックしてもらっていました。質問もできて、エッセイの質がかなり上がるのでとてもおすすめです。 エッセイや課題で使える便利ツール&ウェブサイト 1年間を通して、課題などを進める中で先生や友達から教えてもらった、勉強に役立つ便利なツールを3つ紹介します。 Canva 私はプレゼン資料(パワーポイント)の作成や、エッセイの構成を考えるためのマインドマップとしてよくCanvaを使っていましたが、他にもチラシや履歴書(CV)、Webサイトまで簡単に作成できるのでとても便利です。テンプレートが豊富で、初心者でも見やすくおしゃれなデザインがすぐに作れます。私も春タームのWeb Designの授業でマインドマップをCanvaで作りました。 Web Designの授業で作ったマインドマップ My Bib My Bibでは、エッセイの最後に載せるreference list(参考文献リスト)を簡単に作ることができます。まず、大学に指定されている引用スタイル(例:Harvardなど)を選び、そのあと参考文献のタイトルやURLなどを入力すると、自動的にリストに追加してくれます。In-text citation(文中引用)にも対応していて、私はエッセイを書くときに毎回使っています。 Plagiarism / Grammar Checker エッセイを書くときに特に注意したいのがplagiarism(盗作)です。誰かの文章をそのまま使うときは “ ”(ダブルクォーテーション)で囲む必要がありますし、パラフレーズ(言い換え)をする場合も出典を明記する必要があります。私はエッセイを書き終えたら、Plagiarismで自分の文章をチェックし、無意識に盗作になっていないか確認しています。 同じサイトにはGrammar Checkerの機能があり、文法やスペルミスをチェックできます。特にイギリス英語とアメリカ英語でスペルが違う単語(例:colour / color)なども見直せるので、提出前の最終チェックにおすすめです。 まとめ ファウンデーションコースと比べて、大学1年生では毎週の予習(リーディングリストに沿った文献を読むこと)が増え、最初は少し大変に感じました。でも、留学生でもしっかり授業に参加し、課題にも時間に余裕を持って取り組めば、十分やっていけると実感しました。 今回紹介した授業の内容や評価スタイル、アドバイス、便利なツールなどが、これから入学される方や1年次を迎える方の少しでも参考になれば嬉しいです。 そして何より大切だと感じたのは、わからないことは遠慮せず質問すること、大学のサポートサービスを積極的に活用すること、そして無理をしすぎず、自分のペースを大事にすることです。 これからの大学生活が、皆さんにとって実りあるものになりますように。応援しています! https://passport-to.com/articles/16/

交換留学はラク?立教→マンチェスター大学の交換留学生に聞いた

Risakoさん 神奈川県出身。立教大学異文化コミュニケーション学部の選抜コース「Dual Language Pathway(DLP)」に在籍。現在マンチェスター大学(The University of Manchester)に交換留学中で、主に紛争研究学を履修している。仲間とバンドを組み、ボーカルとして活動中。 Ikoneさん 東京都出身。中学時代に3カ月、高校時代に1年間カナダに留学していた。高校時代にイギリス・エディンバラで語学留学も経験。立教大学異文化コミュニケーション学部に在籍。現在マンチェスター大学に交換留学中で、主に言語学の授業を履修している。趣味はカフェ巡り。 RisakoさんとIkoneさんはともに立教大学異文化コミュニケーション学部に在籍しています。昨年9月からマンチェスター大学に1年間の交換留学中です。日英どちらの大学生活も経験した2人にインタビューしました。 https://jp.education-moi.com/article-62-manchester マンチェスター大学への留学を決めた理由 マンチェスター大学に留学すると決めた理由は何ですか? Risako:昔から留学したかったが、高校時代はコロナ禍で留学が中止となりました。マンチェスター大学にしたのは協定校一覧の中で世界大学ランキングが一番高かったからです。また、世界トップレベルを誇る紛争研究学と平和構築学を学びたかったです。あとはハリーポッターの中で話されているイギリス英語に憧れ、イギリスにしました。今までヨーロッパに行ったことがなかく、留学のついでに周辺国にも行きたいと思いました。 晴れた日のキャンパス Ikone:私も世界大学ランキングを参考にしました。留学するならレベルの高いところに挑戦したいです。そういうところの学生は優秀で、人種などを理由に差別されることも少ないと考え、気楽に過ごせると思いました。学生の3割が留学生だという点も重視しました。というのも、高校時代に留学したカナダ・バンクーバー郊外の学校では、ほぼ全員が白人でした。留学生は同じ高校から来た自分を含め5人だけだったのでかなり孤立感がありました。また、姉が昔エディンバラ大学(The University of Edinburgh)に留学していました。その時に自分もエディンバラで1カ月の語学留学をしました。そのためイギリスはなじみのある国で、安心して留学できる場所だと思いました。 https://jp.education-moi.com/article-28 日本とイギリス: 大学の授業を比較 日本とイギリスの大学で授業を受けた経験から、感じた共通点や相違点を教えてください。 Risako:そこまで大きな違いは感じなかったです。私は異文化コミュニケーション学部のDLPという15人しかいないコースにいます。どの授業も少人数で日本語なり英語なり、授業中話し合いをすることが多々ありました。こちらの授業でもディスカッションをします。 Ikone:lecture(講義)は大人数で行われ、聴くことがメインです。seminar(セミナー)とtutorial(チュートリアル)は講義を履修している学生が少人数クラスに分かれて、講義内容についてディスカッションします。日本でやったディスカッションは結構一般的な話をしていたと思います。こちらではより個人にフォーカスしていて、「あなたはどう思いますか」を聞かれます。 講義の様子 Risako:日本では「今からこのテーマについて話し合ってください」という感じで教員主導でした。こちらはそれに加え、学生が授業の途中で質問したり反対の意見を述べたりします。そこからディスカッションに発展するパターンが多くて、学生主体だと感じました。 Ikone:だからセミナーやチュートリアルは同じ講義の内容について議論するけど、クラスによってディスカッションの方向性が全然違います。 予習・復習量は日本と同じ 課題の量はどうですか? Ikone:日本では毎回リアクションペーパーが出されて、毎週提出しないといけない課題がありました。こちらではチュートリアルの準備としてリーディングと事前に出された質問の答えを考える課題があります。でも提出する必要はなく、ディスカッションをスムーズに進めるために各自やるものです。提出物の数でいえば日本のほうが多かったけど、結局やることの量はあまり変わらないです。期末レポートは日本と同じですが、こちらのほうが字数が多いですね。 Risako:私も同じことを感じます。日本は面倒見が良くて、学生に学習習慣をつけてもらうようにします。また、欠席を3回以上すると単位が取れなくなります。私の場合、少人数のコースだったので顔を覚えられてなおさら欠席しづらいです。どの授業も何かしらの課題が出されるから毎週課題に追われていました。イギリスだと確かにチュートリアルのために準備しないといけないけど、提出は求められないので勉強したい人が頑張る感じです。 教育の現場も実力主義 Ikone:来る前はイギリスの学生のほうが真面目だと思っていました。でも意外と授業に来ない人もいたりと、日本とあまり変わらないと感じました。 Risako:こちらでは出席しようがしなかろうが、成績に関係するのは課題と試験です。そこさえちゃんとできていればいいので、そういう意味では実力主義ですね。授業の全てに力を入れる必要があるわけではなく、興味を持った部分や難しい箇所を重点的に勉強するなどというように自分で決められます。個人的にはこちらの制度のほうが好きです。 マンチェスター大学留学生の課外活動 続いては課外活動について聞きます。ご自身の体験や周りの人の活動を見て、日英の課外活動面での違いは何か感じましたか? Risako:サークル活動はどちらも活発ですが、やり方の違いを感じました。日本は友達を作る場としてサークルを活用している人が多いと思います。例えば私はバドミントンよりもイベントが中心のバドミントンサークルに入っているのですが、飲み会などをしてメンバー同士の仲を深めています。 イギリスのサークルはsociety(ソサエティ)と呼ばれていて、目的がはっきりしています。マンチェスター大学は留学生が多いので、中国人ソサエティ、日本人ソサエティなど、その国の人たちの集まりもあります。そこは単なる同じ国の友達作りの場だけでなく、その国に興味がある人に対してもウェルカムです。また、Manchester Japan Society(日本人会)の活動内容がとても濃いと感じました。実際に企業の担当者を招いて毎週のように就活イベントを開催して、日本人学生の就活を手伝うなどしています。 Ikone:私が思ったのは、日本のサークルには年度初めに入らないとそこから1年間入る機会を失います。でもイギリスは1年間のどのタイミングに入ってもいいです。なんならそのソサエティのメンバーでなくても活動に参加できて、結構オープンです。日本のサークルは閉塞的な環境ですが、その反面、内部のコミュニティが確立されていて、団結力が強いです。イギリスのソサエティは固定のメンバーではなく、毎回新しい人が参加するので、留学生にとっても行きやすいです。 Risako:そうですね。日本のサークルは決まったメンバーで活動するので同じ人との付き合いがずっと続きます。一方でイギリスはどんどん人脈が広がっていく感じです。 柔軟な対応で可能性広がる Ikone:私は今学期Language Societyで日本語チューターをしました。当初は期限が過ぎていて申し込みができなかったです。でもチューター経験者の友達が担当者につないでくれて、期限が過ぎてもできることになりました。このように、フレキシブルに対応してくれる環境があるので何事にも挑戦しやすいです。 Language Societyで日本語チューターとして教えた学生たちと Risako:イギリスはソサエティという枠組みじゃなくても活動の幅は広いと感じました。私はバンド活動をしています。自分たちでメンバーを見つけ、場所を取って楽器も自分たちで用意しました。いろいろなコミュニティとコネクションを作って発表の場をもらえました。マンチェスターは音楽の街ということもあり、このような有志バンドの活動が結構盛んです。 バンドのパフォーマンスでボーカルとして活動 イギリスに留学して感じた日常生活の違い 日常生活について聞きます。2人とも筆者と同じ寮に暮らしていますが、生活はいかがでしょうか? Ikone:まずは暮らしについて言うと、こちらの人の衛生観念が日本人とあまりにも違いますね。寮に入居した当初は全体的に想定よりきれいだと思いました。しかし過ごしていくうちに衛生観の違いが現れます。具体的に言うとシャワーに髪の毛が詰まって浸水したり、トイレを流さなかったり、キッチンを汚く使ったり、他人の食材を盗んだりですね。しかもみんなが寮のグループチャットでこれらの問題について怒ったり指摘したりするにもかかわらず改善されないです。 Risako:私の階のシャワーには一時期髪の毛を丸めたマリモみたいなやつがありました……。 食事はやっぱりまずい!? Ikone:食事付きの寮なので、朝夕は食堂で済ませます。最初は問題なく食べられたのですが、中華街などでアジア料理を食べてからは寮の食事がまずいと感じるようになりました。お腹を満たす分には良いのですが、それ以上のものは期待できないですね。 寮の食堂で出された夜ご飯 Risako:寮の食事について言うと、時間帯が早いです。夕食は5時から7時の間に提供され、早すぎじゃないかといつも思います。授業が6時に終わる人もたくさんいるはずだし、そこから課外活動に参加したら絶対に間に合わないです。私もいつも時間内に行けないです。 Ikone:確かに、日本にいた時は8時、9時に夜ご飯を食べていました。こちらはご飯が早いせいで、深夜になるとお腹が空きます。 自炊と寮のケータリングサービス Risako:寮が食事付きだから自炊するのが微妙に難しいです。キッチンは大人数で共用している割に狭く、収納スペースもあまりないです。食事がない寮だと、キッチンが広く、隣には食事スペースがあって自炊しやすくなっています。なので食事が合うか合わないかは食べてみないと分からないかもしれませんが、さっき言った食事時間も併せて、選ぶ時に考えたほうがいいポイントだと思います。 Ikone:食事時間に関してはルーティン化できるかどうかだと思います。私は食事時間に合わせて、何時までに何をしてから食堂に行くとか、朝ご飯に合わせて何時に起きようとかを決めています。 夜遊び文化から見える食習慣 Risako:夕食の時間が早いのは、イギリス人は夜遊び文化があるからだと思います。夕食後クラブやパブに出かけることが前提になっているのではないかと考えます。私も最近はほぼ毎日のように夜に出かけ、昨日は10時から友達と映画を観ました。その後も解散するわけでもないです。終電がなく、徒歩でどこにでもアクセスできてしまいます。そのため、そこから飲みに行ったり、誰かの家に行って映画を観たりおしゃべりしたりと、深夜でも選択肢がたくさんあります。 Ikone:そうですね。Uberが安いし、バスも走っているので、深夜でも移動手段には困らないです。そういう意味では日本より夜遊びがしやすいです。 イギリス大学留学を目指す人へのアドバイス これから交換留学でイギリス、あるいはマンチェスター大学に来る人へのアドバイスをお願いします。 Ikone:マンチェスターに関しては、特にシティセンターに行けばカフェやレストランがものすごく多いです。観光地ではないので、住むのに適しています。 Risako:そうですね、全てがちょうどよくそろっています。中華街や新宿二丁目みたいなゲイビレッジもあるし、ショッピングモールも空港もあります。観光地以外だと田舎過ぎる場所が多いイギリスですが、マンチェスターはそういうわけでもなく、過ごしやすいです。 やりたいことを事前に調べる Risako:さっき日本のサークルは年度初めに参加しないとその1年入るチャンスがなくなる話がありましたが、こちらの体育会系のソサエティに関しても同じことが言えます。年度初めにFreshers’ Weekという、ソサエティがブースを出して勧誘活動をする週があり、そこでチアダンスやアイスホッケーなど面白そうな団体を見つけました。 私は当時留学生活に慣れることに集中したいと思っていました。そのため、2学期に入ってから申し込めばいいと思ったのですがその時はもう手遅れで、結局参加できませんでした。留学が始まる前にやりたいことを調べ、到着したら一直線で向かえるようにするといいです。 Ikone:体育系は結構活動に参加するに当たり、テストセッションがあるとこもありますからね。 Risako:あとは自分でソサエティを作ることもできます。マンチェスター大学に剣道ソサエティがあるのですが、それはこっちに来たばかりの日本人留学生が、留学が始まった瞬間に作ったと聞きました。2学期のFreshers’ Weekでは既にブースを出していました。行動力がすごいですね。就活ではこういうところが評価されるので、希望者は事前に調べておくと良いと思います。 長期休みは旅へ Ikone:マンチェスター限定で言うと、思ったより雨は降らなかったです。曇りがほとんどで、特に12月、1月はいつ見ても空が真っ白です。なのでこの時期はマンチェスターに残らず、他国に旅に行ったほうがいいです。 クリスマス休みやイースター休みになるとイギリス人学生は地元に、正規留学生の多くは母国に帰るので人が一斉にいなくなります。そのため長期休みは他の交換留学生や日本の友達・家族と旅行に行ったほうがいいです。 Risako:友達と友達をつなげることをもっとしておけばよかったと思います。日本だと失礼に思われますが、こちらだとみんな普通にやっているので、誰かとの約束に別の人を連れて行くことはよくあります。そこで友達関係が広がり、いろんなチャンスが巡り込んできます。実は私バンドを2つ掛け持っているのですが、2つ目のバンド結成につながったのもそのように人脈を広げたからです。 新学期のワクワク感を駆使する Ikone:社交があまり得意でない人は最初だけ頑張る!という気持ちで挑めば良いと思います。私も年度初めは自分からいろんな学生に話しかけるように心がけましたが、途中から疲れてしまいあまり話さなくなりました。でも最初の頑張りがあったおかげで、その時に仲良くなった人と一緒にポルトガル旅行に行ったし、留学1週目に布団や飲み物をくれたりしました。 Risako:そうですね。留学し始めた頃のほうがエネルギーがたくさんあるので、その時の体力でうまくいく・いかないに関わらずたくさん挑戦したほうがいいです。 Ikone:あとは新学期特有の全員期待感が高いムードをうまく使いましょう。寮のコミュニティに溶け込んだり、ソサエティの活動に参加したりして友達を作ることも大事です。 国籍にとらわれず交友関係を広げる Risako:これはよく悪と言われるのですが、日本人と仲良くするのも重要だと思います。限度にもよるけど、やはり精神状態を良好に保つことが一番重要で、心が健康じゃないとできるものもできなくなります。それをする最たる例として日本人に悩み相談とか、心の拠り所にするのが大事だと思います。私たちもよく一緒に鍋をしながら語り合っていましたね。 Ikone:日本人とつながると交友関係が狭まるどころか、そこからどんどん広がっていきます。大学から留学する人は自分の意思で行くので、面白い人が多いと感じます。「日本人」という理由だけでその人たちと関係を経つのはとてももったいないです。 マンチェスター大学留学で学んだことを将来に生かす では最後に、この1年間の交換留学生活で学んだことをどのように生かしていきたいですか?意気込みをお願いします。 Ikone:今回の留学を通して、異文化の中でも落ち着いて主体的に行動することを学びました。英語でのコミュニケーションも以前によりスムーズに、自然に楽しめるようになりました。特に、イギリスのsarcasm(皮肉)文化は最初あまり理解できませんでしたが、今では私も使えるようになりました。帰国してからはインターンや就活など、新しい環境に飛び込む機会がたくさんあるため、そのような環境でも今回得た姿勢を応用して楽しんでいきたいと思います! Risako:この1年間、さまざまな人と交流する中で、特に人脈の大切さを学び、それが秘める可能性に気づきました。こちらでは人の輪の広がり方が非常に速く、また大きいです。そのつながりがあったからこそ、私も自分の夢をどんどん実現させていくことができました。時には既に叶った夢が思いもよらぬ形で発展することもありました。 日本にいた時から社交が好きでしたが、他人を先回りして気にし過ぎていて、違うグループの人を混ぜることは特段避けていました。しかし、人の輪が生み出す可能性を知った今、活用しない手はありません。今後は日本の他者を重んじる文化を尊重しながらも、人とのつながりを大切に、新しいチャンスを掴み人生を切り拓いていきたいです。 https://www.manchester.ac.uk

英国ボーディングスクールから理系の名門大学インペリアルカレッジロンドンへ

 初めまして、Kenshuと申します。19歳で、香港で生まれ育ちました。幼少期から香港のインターナショナルスクールに通い、4年前からイギリスに留学しています。現在ロンドンのImperial College London(インペリアカレッジロンドン)でChemical Engineering(化学工学)を学んでいます。 香港で生まれ育ち、イギリス: Concord Collegeへ留学するまで 小さい頃、父のお仕事の影響で日本と香港を行き来していました。小学校から中学2年生までは香港のインターナショナルスクールに通っていました。途中、日本の中学受験をしたものの、香港に残ることにしました。2019年以降新型コロナウイルス感染症が世界各地で繰り返し流行り、深刻な問題になっている真最中、私はイギリス留学を決め、海を渡りました。2021年の9月に一人でイギリスに渡り、今までの4年間を過ごしてきました。 イギリスでの学校選びにはそれほどの時間をかけませんでした。いくつかの学校に応募し、最初に合格が決まったところに行くことにしました。私が行くことになったボーディングスクール(全寮制学校)はイングランド西部のShrewsbury(シュルーズベリー)にあるConcord College(コンコルドカレッジ)という高校です。 Concord Collegeの校舎 英国ボーディングスクール生活での戸惑いとホームシックの日々 最初の数日は英語で流暢に話し合う生徒たちを見て、会話にうまく入れなかったです。イギリス英語特有のアクセントやスラングを理解しようと必死でした。英語は何年も勉強していましたが、実際に学業や日常生活で使うのはまったく別の経験でした。 戸惑いは言語だけではありませんでした。イギリスの気候は日本とは大きく異なり、灰色の空と頻繁な雨が毎日続き憂鬱でした。食事にも全く慣れず、食堂で出会ったのはシェパーズパイやジャケットポテト、フィッシュアンドチップスばかり。日本のご飯が恋しくてたまりませんでした。 Concord Collegeのグラウンド 寮生活の思い出 Concord Collegeでは70%が寮生徒、30%が現地生です。全寮生徒には一人部屋を与えられました。私がForm4(中学3年)、Form5(高校1年)にいたときは小さい部屋でしたが、Form 6(高校2、3年)に入るともっと大きい部屋を与えられました。そこで夜遅くまで友達とゲームをしたりするのが一番の思い出です。 毎朝7時半に点呼があり、8時にダイニングホールで朝食を食べます。8時半に授業が始まり、午後4時まで9時限(1時限35分)あります。その間に昼休みと中休みが挟みます。4時に授業が終わると自由時間になり、私は毎日自由時間に昼寝をしていました。 6時半から8時10分までの100分間はprep timeという自習時間があります。全生徒が教室などに集って自習します。最初はすごく面倒で退屈な時間だなって思っていましたが勉強が忙しくなるにつれ、とても重要な時間になってきました。prep timeが終わると10時まで課外活動やクラブ活動が始まります。 課外活動 バレーボールとサッカーに打ち込んだ日々 私は学校のバレーボールとサッカーのチームに所属していました。毎週火曜日と日曜日はバレーボールの練習です。水曜日には他校との親善試合があり毎週それに向けて練習をしていました。Concord Collegeでの一番の思い出はバレーボールチームにいたことかもしれません。 一緒にバレーボールに打ち込んだ仲間たちと サッカーは毎週日曜日の午後にトレーニングがありました。イギリスはサッカー大国なのでみんなすごく上手でAチームに入るのにすごく大変でした。最終学年になった時にやっとAチームのセンターバックのスタメンをもらって嬉しかったのを鮮明に覚えています。 Aチームは日本で言う1軍のことで、全部で50人以上いる部員から15人ほどしか選ばれません。Aチームに入るには基本的に監督による評価、練習試合のパフォーマンスなどを総合的に見て選抜されます。Aチーム以外にもBチームがあり主に下の学年の生徒たちが所属します。 日本と香港には無いイベントの数々 クリスマスやハロウィーンになるとディスコやパーティーがよく開催されます。日本や香港の学校ではあまりない経験だったので友達とディスコに行ったときは圧倒されました。学外からDJを呼んでいたのでやっぱりイギリスの学校はすごいな〜って思いました。 毎年11月5日にあるBonfire Nightという日には学校で大きな花火が打ち上げられ、すごく綺麗です。 Concord Collegeで毎年Bonfire Nightで打ち上げられる花火 英国ボーディングスクールの授業内容 GCSE:理系科目が得意で、文系科目は必死 Concord Collegeのカリキュラムは、私がそれまで経験してきたものとは大きく異なっていました。最初の2年間では、GCSE(イギリスの中等教育修了試験)に取り組みます。選択科目からはHistory(歴史)、Geography(地理)、Computer Science(コンピューターサイエンス)、Statistics(統計学)の4つを履修しました。それからPhysics(物理)、Chemistry(化学)、Biology(生物)の3つの理系科目、English(英語)、Mathematics(数学)、Advanced Mathematics(応用数学)を選択しました。私は理系だったので地理、歴史、英語などの科目は苦手で、他の生徒たちについていくのに必死でした。 Concord College で一番ユニークだなって思うところがSaturday Testsという制度です。毎週土曜日に3つの科目の小テストがあります。科目は毎週ローテーションします。例えば、1週間目はMaths、Physics、Biology、2週間目はGeography、History、Computer Science、3週間目はEnglish、Statistics、Chemistryという感じです。特に2週間目はエッセイ科目が多く、その週の月曜日に復習を始めていたのですごく苦労しました。 2年目の5、6月になるとGCSEの試験が始まり、週に3、4つテストがありそれが2ヶ月間続きました。合計25テスト(9教科)を終えた後、2ヶ月間の溜まった疲れがどっと出てきてそれからの1週間は何もやる気が起きなかったです。 2年間のGCSEカリキュラムを終え、そのままConcord CollegeでA-levelに残ることを決めました。 A-Level:科目数が減り、内容が難しくなった イギリスでは2年間のGCSEを終えた後A-levelカリキュラムに2年間取り組みます。A-levelでは数学、応用数学、物理、化学を選びました。どれも理系科目で自分の得意分野でもあり、大学でChemical Engineering(化学工学)を専攻したいと思っていたのでこの4つを選択しました。 選択する科目がGCSEより少ない分、内容は難しくなり、特に物理は理解するのにすごく時間がかかりました。A-levelでもSaturday Testsは引き続き実施され、毎週2科目になりました。A-levelではGCSEとは違って授業がないfree periodという時間も増え、より自由な時間割になりました。でも私は勉強ではなくほとんどの時間を寮に戻って昼寝をしていました。 GCSEと同様、A-levelを始めてから2年目の5、6月になると試験があり、6月末までに10テストを終えました。志望大学の進学条件で、私は化学で最高評価のA*をとらなければいけなかったので化学の試験当日は落ち着かなかったのを覚えています。化学のA*を取るには90%以上得点する必要があります。そのため、化学の復習には他の教科より多くの時間を費やしていました。 A-levelが終わるとConcord Collegeから卒業し、夏休みに入りました。 https://jp.education-moi.com/boarding-schools/uk#a-level 高校の勉強と両立しながら挑んだイギリス大学受験 私はイギリスの大学に行きたいという思いが昔からあり、Personal statement(志望理由書)などの準備に力を入れていました。Engineering and Science Admission Test(ESAT)※の勉強だったり面接の準備だったり色々なことをやる必要がありました。Concord Collegeにいた最後の年は勉強と受験対策の両立で忙しくて大変でした。2025年の1月に運よくImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)からのオファーレターをもらうことができました。今でもその瞬間だけは忘れられないです。 ※ESATは、University of Cambridge(ケンブリッジ大学)やインペリアルカレッジロンドンなどの理工系学部への出願者に課す入学試験です。 https://esat-tmua.ac.uk/about-the-tests/esat-test インペリアルカレッジロンドンに進学 今年の9月にImperial College Londonに入学し、化学工学を専攻しています。 今はロンドンで大学生活を送っていますが、振り返ってみると15歳でイギリスに渡ったとき、不安だらけでした。言葉も文化も違う環境に飛び込んで、自信をなくしたこともあります。でも、その経験を通して、今まで気づかなかった自分の強さや、新しい視野を得ることができました。これからも留学に関する情報や経験を共有していき、少しでも同じ道を考えている皆さんの参考になれたらうれしいです! https://jp.education-moi.com/article-50-imperial

【イギリス大学受験】GCSE, A-levelからインペリアルカレッジロンドン合格

こんにちは!Kenshuです!今回はイギリスの大学に入るために必要な準備、「どうやって受験するの?」などを自分の経験と一緒に説明していこうと思います。一つ注意点として、僕はイギリスの高校から進学したので、日本や他国の高校からの進学とは少々異なる部分があると思います。日本の公立高校から進学したい方は以下の記事を参考してください。 https://passport-to.com/articles/14/ イギリスの大学に合格するまでの大まかな流れ 基本的にイギリスの高校から大学に出願するにはこのような流れをたどります。 イギリスの大学に合格するまでの流れ GCSE Form 4、5の2年間受け、Form 5の最後に試験がある AS-level A-levelの1年目であるForm 6に受ける試験 UCASから出願 基本情報の入力 GCSEとAS-levelの成績、Personal Statement(志望理由書)の提出 志望校選択 Admission TestsとInterview(面接) A-level Form 6、7の2年間受け、Form 7の最後に試験がある 最終合格発表 これらのプロセスの一つ一つについて、自分の経験を基に詳しく解説していきます。 GCSE: イギリス大学受験の幕開け 実はイギリスでの大学受験はGCSE(中等教育修了試験)から始まります。この理由は後述します。 GCSEはForm 4(中学3年)からForm 5(高校1年)にかけて学ぶイギリスのカリキュラムです。6科目以上取らなければいけなく、学校によって受けられる科目の数は異なります。僕の行っていたConcord College(コンコルドカレッジ)では必修科目含め10個まで受けることができたので僕は10科目を取りました。 https://passport-to.com/articles/24/ GCSEにはEnglish(英語)とMathematics(数学)の必修科目の他、選択科目がたくさんあります。コンコルドではPhysics(物理)、Chemistry(化学)、Biology(生物)、Geography(地理)、Computer Science(コンピューターサイエンス)、History(歴史)、Art(図工)、Drama(演劇)、Religious Studies(宗教学)などを受けられました。自分の周りの生徒たちはほとんどが8から10科目を取っていました。 Form 5の5、6月になるとGCSEの試験が始まります。各科目1(最低評価)から9(最高評価)までのGradeがつけられます。 「大学受験はGCSEから始まる」とい言えるのは大学に出願する際、GCSEの成績を提出しなければいけないからです。例えば、イギリスの一流大学で物理を専攻したかったらGCSE Physicsで必ずと言っていいほど8か9が必要になってきます。 そのためGCSEの結果次第で自分のやりたい分野や行きたい大学が絞られます。 AS-level(A-levelの1年目) GCSEのカリキュラムと試験が終わった後はA-levelというカリキュラムを取ります。A-levelはGCSEと同じ2年間のカリキュラムです。AS-levelというのはA-levelでの1年目の期間と試験です。学校によってAS-levelの試験を受けないところもあります。コンコルドではAS-levelを取っていました。 GCSEよりも学ぶことの難易度が上がり、複雑なためA-levelのカリキュラムではGCSEの半分となる3科目以上取ればいいです。僕はMathematics(数学)、Further Mathematics(応用数学)、Chemistry(化学)、Physics(物理)の4科目を取りました。 A-levelでは科目選択が一番重要になってきます。先ほどの例みたいに大学で物理を専攻したいのであれば、Physics、Mathematicsは必須になってきます。僕はEngineering(工学)がやりたかったのでその受験で必要な科目を選択しました。 Form 6(高校2年生)の5、6月にAS-levelの試験が始まります。GCSEより科目数が少ないため楽だと思うかもしれませんが、個人的にこのAS-Levelの結果がイギリスの大学受験で成功する上で一番重要だと思っています。 AS-LevelではA(最高評価)からF(最低評価)までのGradeが付けられます。 AS-levelの試験の時間割 A-levelのPredicted GradeとしてのAS-level イギリスの大学に出願する際、A-level Predicted Gradeというものを高校が大学側に提出します。これは各教科の先生が生徒がA-levelの試験でどのぐらいのGradeを取れるのかを予想したもので、主にAS-levelの成績で判断されます。AS-levelを取っていない学校だと期末テストや授業態度などで評価されます。 このPredicted Gradeがなぜ重要になってくるのかというと各大学とコースには出願に必要なRequired Gradeがあり、Predicted Gradeはその条件を満たさないといけないからです。 例えば僕が出願したImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)のChemical Engineering(化学工学)コースではA*A*AAが必要でした。これは2科目でA*(Aの一つ上の評価)、2科目でAを取らないといけないという条件です。AS-levelの評価によるPredicted Gradeがこれを下回ってしまうと(例えばA*AAA)、合格するのがすごく難しくなってしまいます。つまりAS-levelの時点で自分の行きたい大学とコースのRequired Gradeをしっかり把握し、それをクリアしなくてはいけません。 UCASでイギリスの大学に出願 イギリスの大学への出願は日本と異なり、大学ごとに応募するのではなく、UCASというシステムでイギリス全国の志望校に一括で出願します。最大で5つの大学に出願することができます。志望校は立地、難易度、コースの内容、大学の順位などを考慮して決めます。僕はImperial College London、University College London(UCL)、The University of Edinburghなどに出願しました。 出願開始はForm 6の最後あたりで、Form 7の10月から1月が締め切りです。日程は大学によって異なります。 UCASではまず自分の基本情報(名前、生年月日、国籍)を入力します。これらの他に自分のGCSEとAS-levelの成績を入れ、Personal Statement(志望理由書)を提出します。Predicted GradeとReference(推薦書)は学校が大学側に送ってくれます。 Personal Statement(志望理由書)で書く内容 また、必要書類の中でもPersonal Statementが一番重要だと思います。これは志望理由をエッセイにまとめるものです。なぜ自分が選んだ分野を専攻したいかや自分がやってきたExtracurricular(課外活動)、自分はどんな人なのかを大学側にアピールするエッセイです。 僕はPersonal Statementで化学工学に興味を持った理由、今まで読んだ本やインターンした経験、自分でやった研究、学校での委員会活動などを書きました。 書ける文字数が決まっているので本当に書きたいことだけを残して何回も書き直したり、先生と相談したりしました。最終的にドラフトが10回目で先生からOKサインが出てUCASから提出しました。 Reference(推薦書) Referenceは高校が大学に提出する推薦書です。僕は自分のTutor(担任)に書いてもらいました。先生がReferenceを作成したあと、一度だけ生徒に見せられます。その時に入れてほしい部分や書いてほしくない部分などを言います。 Referenceでは主に学校での活動を中心に自分のPersonal Statementで書けなかった部分を書いてもらいます。僕は数学のコンペティションやスポーツなどを書いてもらいました。 Admission Tests(入学試験)とは? 大学とコースによってはUCAS上の書類だけではなくAdmission Tests(入学試験)と面接を課すところもあります。主にUniversity of Cambridge(ケンブリッジ大学)、University of Oxford(オックスフォード大学)、Imperial College London(インペリアルカレッジロンドン)、London School of Economics and Political Science(LSE)などの大学で必要なことが多いです。 Admission Testsにはいろんな種類があり、数学系だったらTMUA(Test of Mathematics for University Admission)、工学系だったらESAT(Engineering and Science Admissions Test)、法律だったらLNAT(Law National Aptitude Test)などです。 ESAT(Engineering and Science Admission Test) 僕はインペリアルのChemical Engineering(化学工学)コースに出願したのでESATを受ける必要がありました。ESATではMaths 1、Maths 2、Chemistry、Physics、Biologyの中から3つを選びます。僕の専攻はChemistryが必須だったのでMaths 1、Maths 2とChemistryを取りました。 ESATではA-levelよりも難しい問題が出ます。選択問題で1科目27問あります。各科目の成績は1から9までを0.1単位で評価されます(僕は6.2、5.7、5.3を取りました)。この成績は大学に送られ、入試における評価対象になります。 僕はUCASとESATを10月に大学に送りました。少し期間が空いて12月にInterview(面接)の招待メールが届き、すごく嬉しかったです。 →A-level & 入学試験対策ができるオンライン家庭教師 インペリアルカレッジロンドンのInterview(面接) 面接は主に12月から2月の間で行われます。僕の場合1月にインペリアルで対面の面接をしました(オンライン面接の場合もあります)。面接では志望理由やPersonal Statementに書いたインターンのことを聞かれました。 同じコースに出願した友達は全く違っていたそうです。Real Life Questions(ケース面接みたいなもの)などを問われ、それをどう論理的に答えるかを見られたと言っていました。面接内容は大学と面接官によって違うのかもしれません。 僕の場合、ロンドンで面接が11時に始まるので前日に友達とロンドンに前乗りし、インペリアル近くのホテルで一泊しました。シュルーズベリーからロンドンまで電車で5時間もかかるのでその間は友達と対策などをしたり昼寝したりしていました。 面接に行く前日に到着したLondon Euston駅 面接当日の様子、聞かれた内容 面接当日では50人ぐらいの受験生がいました。最初に教授から挨拶があり、その後AからEの5グループに分けられました。形式は一対一の個別面接で、グループ内の10人がそれぞれの部屋で同時に行われました。僕が割り振られたAグループが最初に始め、順番にEまで面接が行われます。 自分の番が最初だったのですごく緊張しました。面接は20から30分ほどあり、緊張しながらも落ち着いて答えることができました。 面接を終えた1週間後にOffer Letter(Conditional Offer)をインペリアルからもらいました。Conditional OfferとはA-levelの試験で大学に指定されたGradeを取れれば入学できますよという条件付きの合格通知です。 https://passport-to.com/articles/5/ A-levelとConditional Offer(条件付き合格)  Form 7の5、6月にA-levelの試験があります。この試験の結果でConditional Offerの条件に満たしているかどうかが分かり、自分の行きたい大学が決まります。 6月末に学期が終わり、高校を卒業しました。しかしA-levelの結果が出るのは8月中旬で結構時間がかかります。7月中は結果が気がかりで、すごくストレスでした。A-levelの結果がConditional Offerに満たしてると正式に合格となり、Unconditional Offerに切り替わります。 Concord College卒業生がもらったOfferの大学 イギリスの大学進学を目指す方へ この記事で説明したように、イギリスの大学受験は、日本のシステムとは異なる独自の流れがあります。UCASを通じた出願、Personal Statementの作成、必要書類の準備、そして条件付き合格への対応など、計画的に進めることが重要です。しっかりとした準備と戦略を立てた受験計画で、イギリス大学への夢を叶えましょう! https://jp.education-moi.com/article-50-imperial

UCL現役大学生の留学体験記!イギリス留学のリアルと道のり

京都からイギリスへ: UCL大学留学を決めるまで 自己紹介・バックグラウンド  はじめまして。Nanaです。京都市出身で、中学まで地元で過ごし、高校からイギリスの学校に進学しました。  現在は、University College London(UCL、ユニバーシティカレッジロンドン)でArts and Sciences(アーツアンドサイエンス)学科で勉強しています。一つの専門分野を3年間かけて学ぶ一般的なイギリスの大学とは異なり、この学科ではリベラルアーツ教育に似ていて、文理問わず幅広い分野の科目・デパートメントの授業を取ることができます。  留学を決意したきっかけ 中学2年生の時にスイスでサマースクールに参加した体験が留学を志した原点です。いろいろな国から生徒が来ていて、英語だけでなく、ドイツ語、イタリア語、フランス語などを操る同年代の生徒と出会いました。言語がもたらす新しい人との出会い、つながりや発見に心躍らされました。私もグローバルな世界で過ごしたいと強く思った経験でした。 学校選びから出発まで 本格的に留学を考え始めたのは中学2年生の冬あたりでした。サマースクールで訪れたスイス、友人がすでに留学していたアメリカとイギリスを留学先の候補にしましたが、結局イギリスとアメリカの学校に出願し、先にオファーが来たイギリスの学校に入学することに決めました。 友人に紹介してもらった留学エージェントを通して、学校の選定、受験、インタビュー(面接)を経て、イギリス南西部にあるTaunton School International(TSI、トーントンスクールインターナショナル)への入学が決まりました。インタビュー(面接)や試験はすべて、オンラインで行いました。 Taunton School International(トーントンスクールインターナショナル) の校舎 しかし、この時期(2020年)にちょうど新型コロナウイルス感染症が流行り始め、4月に予定していた渡英は先送りされてしまいました。イギリスには行けなかったものの、学校側がいち早くオンライン授業を導入したため、4月-6月の1学期間は日本の自宅で授業を受けました。思い描いていた留学の始まりではありませんでしたが、振り返ってみればホームシックにならず、少しずつ英語に慣れていく良い機会だったと思います。 TSIではGCSEと呼ばれる中学課程に当たるものを1年間学習しました。2年目からはLancing College(ランシングカレッジ)という現地校に入学し、A-level経済、数学、応用数学、日本語を履修し、受験を経て、UCLに入学しました。 Lancing College(ランシングカレッジ)のチャペル UCL大学生のキャンパスライフ ロンドンならではの魅力と学びの日々 現在通っているUCLはロンドン中心部にあり、1826年に設立された大学で、150を超える国から学生が集まる国際性と400以上のコースを提供し幅広い研究分野を持っているのが特徴です。ロンドンという大都市ならではの刺激的な環境もあり、学びだけでなく生活面でも多くの発見がある大学です。 University College London(UCL)に入学 リベラルアーツ型の学び: Arts and Science学科の特徴 大学ではArts and Science(アーツアンドサイエンス)と呼ばれるリベラルアーツの学科で勉強しています。この学科はイギリスの大学にしてはとてもユニークです。イギリスの大学では基本的に高校で専攻した教科を中心により深く学びます。例えば高校で経済を専攻すると大学でも経済学部やビジネス系の学部に進み、その学部で必修授業をとります。 しかし私の学部では多くの学問の知識をいかに融合させて社会課題の解決策にアプローチするのかに重きを置いています。こういった学問を英語ではInterdisciplinary studiesと呼び、分野横断的(学際的)な学びを意味します。社会課題を解決するのにもさまざまな切り口や専門知識が必要なうえ、分野が異なる人々と協力することも欠かせません。そのようなことを中心に学んでいます。 そのため、履修する授業の半分以上を自分で選択できます。学科の中で、3年間を通して全く同じクラスの組み合わせを取っている学生は誰一人いません。こういった環境が自分の学習生活を唯一無二にします。 実際に履修している授業紹介 私が今年取っている科目は、Principle of international public law(国際法)、Mathematical analysis, Real analysis(解析学)、Database system(データベースシステム)、Macroeconomics/Open and Closed economy(マクロ経済学)、Quantitative methods(定量調査)、Sustainable energy(持続可能エネルギー)、Mandarin(中国語)です。 分野がバラバラでそれぞれ全く関係なさそうに見えますが、Sustainable energyで学ぶエネルギー政策はMacroeconomicsの経済政策につながっていたり、Quantitative methodsで習得する基礎プログラミングはDatabase systemで応用できたりと、他の学生とは違った視点で問題の解決法を見いだすことができます。 課外活動とロンドンでの暮らし 日本語を教えるJapan Societyでの活動 授業外では、Japan Societyと呼ばれるソサエティ(サークル)に参加していて、2週間に1度、学生に日本語を教えています。 Finance and Economics Societyで得た学びと人脈 また、Finance and Economics Societyにも参加しており、週1くらいの頻度で開催されるロンドンの投資銀行などの金融業界で働く方によるセミナーに参加しています。UCLのネットワークはかなり広く、トップ企業で働く卒業生も多いので、いろんな人から話を聞けるチャンスがたくさんあります。 ロンドンの美術館・博物館巡りで深める学び ロンドンには大英博物館(British Museum)やナショナルギャラリー(National Gallery)など、たくさんの権威ある美術館と博物館が集まっていて、ほとんどが入場無料ということもあり、休日にはなるべく行くようにしています。 昨年取ったSocial Theoryの授業ではオリエンタリズム(西洋が東洋をどのようにとらえていたのかを研究する学問領域)のトピックを扱ったのでテムズ川畔にあるTate Britain(テート・ブリテン) の絵画を見に行きました。 Colonialism(植民地主義)などのトピックを考える際、博物館の作品は貴重なソースとなり、実際に鑑賞することでコンテンツの理解をより深めることができます。 高校留学・大学留学を通じて得た学び 広がった視野と情報へのアンテナ 留学して良かったことは、視野が広がったことと得られる情報が増えたことです。異なる文化や価値観を持つ人たちと関わる中で、自分が当たり前だと思っていた考え方が、実は国や環境によって大きく異なることに気づきました。Taunton School時代のルームメートはブルンジ人でした。初めて聞く国からの生徒だった彼女とどうしても話をしたくて、どんな国なのか、何語を話すのかなどを調べた記憶があります。 多様な視点を学べる国際的なクラスメートとの出会い 授業では、さまざまなバックグラウンドを持つクラスメートと意見を交わす機会が多く、同じテーマでも多様な視点があることを学べたのは、とても刺激的でした。日本では、自分がどの政党を支持しているか、政策まで議論することはなかったですが、イギリスでは自国の政策はもちろん、他のヨーロッパ諸国の政策まで網羅している学生も何人かいて、意識の高さがうかがえました。 経済の授業では特に、GDP(国内総生産)成長率やインフレ、利子率を必ず頭に入れておく習慣ができました。円安など、身の回りで起きていることが身につけた知識で理解できるようになっていくのが楽しかったです。 英語力と自己発信力の向上 また、英語でコミュニケーションを取る力が自然と身につき、自信を持って自分の意見を発信できるようになったのも大きな成長です。さらに、留学生活を通じて新しい友人や経験に出会い、自分自身の挑戦する力や柔軟性も養われたと感じています。 留学生活で感じた辛さと乗り越えた経験 言語の壁とコミュニケーションの葛藤 留学で辛かったことのひとつは、最初の頃に感じた言語の壁です。英検2級を取得後に渡英しましたが、授業では、ネイティブスピーカーや先生たちのスピードについていけなかったです。留学当初は宿題を終わらせるのにも、クラスメートの3倍時間がかかりました。 授業がわかるようになっても、友達との会話や冗談を理解し、話すまでにはかなり時間がかかりました。小学校の間に英会話塾に週1で通っていましたが、実際に会話しようとすると、自分のシャイな性格も相まって単語が出てこない場面が多くあり、自分の意見を思うように表現できず、もどかしさを感じることがありました。 辞書を片手に専門用語と格闘する日々 大学に入ってからは、専門的な単語も多くて、今でも辞書は手放せません。ですが、一つ一つの単語の意味を調べる習慣がついたことで、理解できない単元があっても、わかるまで調べたり文献を読んだりして、人一倍深い学びを得たと思います。 これからイギリス留学を目指す人へのメッセージ 留学は挑戦の連続ですが、ぜひ恐れずに一歩踏み出してみてください。その経験が、自分自身を大きく成長させ、未来への大きな力になるはずです。 https://jp.education-moi.com/article-51-ucl https://www.ucl.ac.uk

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【実体験】イギリス留学準備術: 合格通知からビザ取得までの記録

3月に入り、イギリスの大学や大学院から合否結果が届いてきたと思います。大学からオファー(合格通知)を受け取るといよいよ本格的な留学準備が始まります。入学までには多くの手続きがあり、スムーズに進めるためには計画的な準備が必要です。本記事では、オファーを受け取った後の具体的な準備プロセスについて、僕の経験を踏まえて詳しく解説していきます。 合格結果の確認と入学手続き 出願してからオファーをAcceptするまで 合格結果が届く時期は大学や学科によって異なり、ここは待つしかありません。僕は出願した5校のうち4校は2月初旬までに結果が届きました。しかし第一志望の大学だけ3月までオファーが来ず、もどかしさを覚えました。遅くて7月ごろに結果が出る場合もあるそうなので、気長に待つことが大事だと思います。UCASのTrackシステムをこまめにチェックしましょう。 オファーの種類(Conditional・Unconditional) イギリスの大学からのオファーには、「条件付きオファー(Conditional Offer)」と「無条件オファー(Unconditional Offer)」の2種類があります。条件付きオファーは、IELTSスコアや最終成績の提出といった特定の条件を満たすことで合格となります。UCASで出願した全ての大学から合否が届いた後は、Firm Acceptance(第一希望)とInsurance Acceptance(第一希望に合格できなかった場合の第二希望)の大学とコースを選択します。第一希望の大学からUnconditional Offerをもらった場合はInsurance Acceptanceを選択する必要はありません。 オファーを受け取った後の対応 自分が受け取ったのが条件付きオファーの場合は手続きを早めに済ませることが大切です。通常、オファーの承諾期限が設定されているため、遅れないように注意しましょう。一部の大学ではInternational Students(留学生)がオファーを承諾する際、デポジット(Deposit - 入学金)の支払いが必要です。この金額は大学によって異なりますが、£1,000~£5,000が一般的です。支払期限も設けられているため、期日を確認して早めに対応しましょう。 不合格だった場合の選択肢(Extra・Clearing) もし出願した全ての大学が不合格(Unsuccessful)だったとしても、結果をもらった後に追加で一つのコースに出願できる「エキストラ(Extra)」と定員に達していないコースに出願できる「クリアリング(Clearing)」というシステムがUCASにあります。Extraは2月末から7月初旬まで、Clearingは7月中旬から9月~10月ごろまで行われます。期待した結果が出なかった場合でも諦めずに他の大学やコースにトライしてみましょう。  イギリス学生ビザ(Student Visa)の申請を徹底解説 イギリスでの長期留学には学生ビザ(Student Visa)が必要です。申請にはいくつかの書類が必要で、その用意やビザ発行までに時間がかかります。とにかく早めの行動が大事です。  必要書類 CAS 大学からのオファーを承諾し、パスポートなどの書類を提出すると、「CAS(Confirmation of Acceptance for Studies)」という入学許可証が発行されます。CASはビザ申請に必須な書類で、入学証明となる番号(CASナンバー)が書かれています。発行には通常数週間かかりますので、余裕を持って手続きを進めましょう。  パスポート パスポートの有効期間が留学期間をカバーしている必要があります。期限が短い場合、事前に更新しておきましょう。申請時にパスポートを提出し、そこにビザが発給されることになります。また、見開き2ページ以上の余白ページがあることも確認しておきましょう。  過去のパスポート 過去10年間の渡航歴を聞かれた時、昔使っていたパスポートがあると便利です。ただし、トランジットで立ち寄り、滞在期間が1日未満だった国も渡航歴に含まれます。こういった場合はパスポートにその記録がない時があります。できるだけ正確な情報を書くことが推奨されているので、僕は法務省の出入国在留管理庁というところで自分の渡航歴に関する開示請求を行いました。500円程度で調べてもらえます。https://www.moj.go.jp/isa/publications/privacy/record.html 英語力の証明書 大学によってビザ申請時に英語力の証明を求めるところもあります。GCSEやIBなどのスコアで証明できる場合と、イギリス政府が認定するSELT(Secure English Language Test)の結果しか受け付けてくれない場合があります。このSELTはイギリスのビザ取得専用の英語力試験です。中には「IELTS for UKVI」や「Pearson PTE Academic UKVI」などがあります。IELTSとは異なるもので、指定のスコアを満たすため改めて受験する必要があります。 申請費用と健康保険料(IHS) 申請時にはビザ申請料(£490)の支払いが必要です。さらにIHS(Immigration Health Surcharge)という健康保険料(£776×コースの年数)も支払います。IHSを支払うと、イギリス滞在中にNHS(国民保健サービス)を原則無料で受けられます。 ビザ申請の流れ 書類の準備ができたら、イギリス政府のUKVI(UK Visas and Immigration)の公式サイトから専用の申請フォームに情報を入力し、書類をオンラインで提出します。オンライン上の手続きが済んで、申請料及びIHSを支払うとVFS Globalのビザ申請センターの来館予約ができるようになります。日本には東京と大阪にビザ申請センターがあります。予約した日にパスポートを提出し、生体認証情(指紋と顔写真)を登録します。審査は通常3週間ほどかかり、終了しないとパスポートが返却されません。ビザはパスポートと共に返却されます。ビザ申請センターで受け取るか、郵送してもらうかを選べます。 審査開始後に財政能力証明書の提出を要求される場合があります。これはイギリスでの生活費をカバーできる資金があることを証明するためのものです。ロンドンの大学で勉強する場合は£12,492以上。ロンドン以外の場合は£10,224以上(授業料を除く)。つまりロンドンでの生活費: £1,438/月、ロンドン以外での生活費: £1,136/月: 9ヶ月分の生活費をカバーできる証明が必要です 。預金通帳や金融機関の取引明細書を英文に翻訳したものが必要です。あらかじめ準備しておくとビザ申請がスムーズに進むでしょう。  より詳しい流れについては下のサイトに説明してあるので、確認してください。https://www.westminster.ac.uk/sites/default/public-files/general-documents/student-visa-application-guide-applying-from-outside-uk-v2.pdf  申請は「何事も早めに」が鉄則! 前述の通りビザの審査には通常3週間ほどかかると言われています。繁忙期にはそれ以上の時間がかかることもあります。ビザ発行が渡英日に間に合わずフライトを変更せざるを得なかった友達が何人かいました。審査期間が多少長くなってもいいように、早めに必要書類を集めて申請することが大事です。「ビザ申請ドットコム」や「IMMIGRATION.UK」といったビザ申請を代行してやってもらえるサービスがあり、書類の翻訳など自分でできるか不安があった僕は活用しました。利用すれば必要な書類を揃えて代行者に提出するだけです。その後の申請フォームの入力やビザ申請センターの予約などは全部やってもらえます。  寮とシェアハウスの探し方 ビザ申請と並行して、イギリスでの住居を確保する必要があります。選択肢としては大学が運営している大学寮、民間の学生寮、シェアハウスなどがあります。 大学寮 vs 民間の学生寮の違い 同じ大学の人と交流できる大学寮は、初めての留学で最も安全で便利な選択肢だと思います。特にロンドンなどの都市部では、民間の賃貸物件の家賃が高いです。そのため、大学寮を利用することでコストを抑えられます。僕は大学1年の時に大学寮で暮らして、2、3年の時は民間の学生寮で暮らしていました。民間の学生寮だと、ロンドン中の大学から学生が集まるので他大学生との交流が深まります。ただし、これらの寮は人気が高く、申込期限が早いです。オファーを受け取ったらすぐに申し込むことをお勧めします。早めに申し込みをしなかったせいで、キャンパスから遠い場所にあったり、家賃が高い寮しか残っていなかったりという話も友達から聞きます。 大学が寮の情報を発信していますし、部屋の予約ができるResidence(住居)のサイトやWebポータルにも情報があるので、そこのSNSなどに登録して最新情報をチェックしましょう。  僕が住んでいた民間の学生寮 シェアハウス探しの注意点と便利サイト シェアハウスは費用を抑えつつ、学生のみならず現地の人々と交流できる点が魅力的です。ただし、契約詐欺や知らない人とシェアしなければいけないというリスクもありますので、信頼できるサイトを利用して物件を探し、可能であれば現地で内見してから契約を結ぶことが望ましいです。住居探しには、Rightmove(https://www.rightmove.co.uk/)やZoopla(https://www.zoopla.co.uk/)などの物件検索サイトが便利で、よく使われています。また、SpareRoom(https://www.spareroom.co.uk/)を利用すれば、ルームシェアの相手を見つけることもできます。  必須手続き: eVisaについて 返却されたパスポートに載っているビザはあくまで仮のEntry Clearance Visa(入国許可証)というもので、発行されてから90日まで有効です。正式なビザはeVisa(Online immigration status)という電子書類です。UKVIから送られてくる案内に従い、オンライン上でビザの申請番号やパスポート番号を登録して、アカウントを作成します。 イギリスに入国する際、パスポートのビザだけでなくeVisaの提示が求められる場合があります。そのため渡航前に手続きを済ませておくといいでしょう。これまではBRP(Biometric Residence Permit)カードという物理的な書類だったのでした。2025年の1月からオンラインに置き換わりました。 今回紹介したプロセスの他にも航空券を予約したり、持ち物を準備したりするなど、渡英までにやっておく必要があることはたくさんあります。それらについてはまた別の記事で書きますので、楽しみにしていただければ幸いです。CASやビザの発行などには思っている以上に時間がかかるものもあります。留学生活がスムーズに始められるよう、計画的に準備を進め、安心して渡英しましょう。  https://www.gov.uk/student-visa

イギリスのNHS利用 | 留学生が知っておきたい医療サービス

イギリスの病院に行くとき、多くの人はNHS(エヌ・エイチ・エス National Health Service)という公共の医療制度を利用しています。留学生もビザ申請時に健康保険付加料(IHS)を支払えば、NHS提携の公立病院を受診できます。ですが、NHSをうまく活用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があるんです。 この記事では、留学前に知っておきたいNHSの基本的な使い方や、ビザ申請時に支払うIHSについて、さらに病院やGP(かかりつけ医 General Practitioner)の違い、実際に病気になったときの流れまでわかりやすく解説します。 Haruna これまでに何度もイギリスの病院を利用している現地在住者が解説します!どんな流れで医療サービスが受けられるのか、ぜひ参考にしてみてくださいね。 イギリスのNHSって何?医療制度の基本 はじめに、イギリスの公的医療制度「NHS」の仕組みや利用方法についてわかりやすく解説します。 NHS(National Health Service)の概要 1948年にスタートしたイギリスのNHS(National Health Service)は公的な医療制度です。特徴は、多くの医療サービスが無料だったり、もしくは低料金で受けられること。留学生ももちろん対象。ビザ申請時にIHS(健康保険付加料)を支払うことで、NHSのサービスを使えます。 一部は自己負担になる場合もありますが、一般診療、救急医療、入院治療、妊産婦ケアなど幅広いサービスが無料です。 IHS(Immigration Health Surcharge)について イギリスに6か月以上滞在する留学生は、ビザ申請時に「IHS(Immigration Health Surcharge)」を支払っておくことで、ビザの開始日からNHSの医療をイギリス住民と同じように利用できるようになります。料金はビザの有効期間によります。 ビザの期間ごとのIHS料金 ビザの期間料金 ポンド/円6か月以下なし(申請がイギリス国内の場合は£388 / 約73,720円必要)6か月超〜1年未満£776 / 約147,440円 (1年分)1年£776 / 約147,440円1年超〜1年6か月以下£1,164 / 約221,160円 (1年半分)1年6か月超〜2年未満£1,552 / 約294,880円 (2年間分)2年£1,552 / 約294,880円 参考 https://www.gov.uk/healthcare-immigration-application/how-much-pay ※上記の内容は2025年5月時点での料金と為替レート(1ポンド=190円)です。IHS支払い時には最新の情報を必ずご確認ください。 オンライン上でビザ申請時にコースの開始日と終了日を入力し、デビットカードかクレジットカードで支払います。もしも支払いを忘れたり、金額が足りていないと UK Visas and Immigration(UKVI)からメールで知らされます。指定期間内に全額を支払わない場合はビザの申請が却下されてしまいます。 病院とかかりつけ医の違い(Hospital と GP) 日本では、自分の症状をベースに専門医を選んで直接病院に行くことが多いですよね。しかし、イギリスではまずかかりつけ医であるGP(General Practitioner)を訪問し、そこから病院(Hospital)の専門医を紹介してもらう流れです。 病院の外来は基本的に紹介制で、専門的な検査や手術、入院治療が必要な場合に利用します。救急(Accident and Emergency)でなければ、基本的にはGP→病院の流れが一般的です。 GPで相談できること GPは地域の診療所、かつ最初に相談する窓口で、必要に応じて病院や専門医を紹介してくれます。風邪や体調不良、慢性的な症状など病気や健康全般について相談でき、処方箋も出してくれます。 GPで診てもらい検査に進む場合は、その結果が出てから精密検査や追加診療で専門医のいる病院に紹介されるケースが多いです。診察は対面のときもあれば、GPに行かずに電話で遠隔診療する場合もあります。 閑静な住宅地にひっそりとたたずむGP 渡英後はまず「GP登録」から始めよう イギリスに到着したら、なるべく早めに「GP(かかりつけ医)」への登録をしましょう。登録のタイミングや方法をここからお伝えします。 登録のタイミングと方法 GPの登録方法は、直接GPに行くかオンラインのどちらかです。大学によってはキャンパスに近いGPを紹介しているので、スタッフに尋ねてみましょう。 GPの登録方法 ①GPを探す NHSの公式サイト「Find a GP(GPを探す)」から、新規登録者を受け入れているか、受付時間、利用者の口コミを確認できます。自宅から近く便利なGPに登録する人が多い傾向にあります。 ②登録フォームに入力/記入する 登録フォームは、各GPのウェブサイト、NHSアプリから入手できます。GPで渡される用紙も可能です。 【登録に必要な情報】 氏名 住所 生年月日 学生ビザ証明の共有コード(Share Code) 連絡先(緊急連絡先も含む) 現在の健康状態・病歴 アレルギーの有無 服用中の薬 など 身分証明や住所証明についてはGPによります。地域内の住民のみを受け入れているGPへの登録には、住所証明を用意した方が無難です。また、なかには新規の登録者を受け入れていないGPも。 もしも、留学中に住所が変わる場合はGPへ報告しましょう。NHSの予約に関することや検査結果などが郵便で送られてくることがあります。引っ越し先が登録中のGPの地域外でも、新居に近い新しいGPに移ることができます。 GPの予約方法・診察の流れ 診察は予約制です。コロナのパンデミックを経て、多くのGPでは感染拡大を避けるために、予約をしてからGPへ来てもらう形を取っています。予約方法は、電話、もしくはオンラインです。電話予約はすぐにつながらず、かなり待たされる場合も。オンライン予約を実施しているGPでは、NHSアプリや各GPの予約サイトからリクエストできます。 私が登録しているGPの場合は、GPの予約システムからメッセージ形式で問い合わせをし、少し待ったあとにメッセージや電話で返信があります。問い合わせ内容によっては、看護師や医師と遠隔で会話し、そこで診察が終わる場合もあります。もしくは対面での予約日を決めていきます。 オンラインのいいところは、問い合わせ内容を細かくテキストで伝えられるところです。電話での会話では医療専門用語がすぐに出てこず、詳細をすべて伝えきれないことも。オンラインで履歴を確認できるため、あとで詳細を振り返るのにとても便利です。近年どんどんオンライン化が進み、以前よりサービスの手軽さが上がったと感じています。 夜間や土曜日に予約が取れることもあり、大学のスケジュールに合わせて利用できるのは留学生にとってもうれしいですね。 実際に病気になったら?病院の使い方ステップ 実際に体調を崩したとき、どうすればいいのか不安に感じる方も多いかもしれません。ここでは、症状が出てから病院で診てもらうまでの流れや、緊急時の対応まで、具体的なステップをわかりやすく解説します。いざというときの参考にしてくださいね。 【NHS利用】症状が出てから病院へ行くまで ここでは、GPや病院などNHSを利用するフローの例をご紹介します。長年NHSを利用しているなかで遭遇した、よくあるパターンをシェアさせていただきますね。 NHS利用の流れ 問い合わせ(電話、オンライン) 問診(GP、電話、ビデオ通話) 必要に応じて診察や血液検査や尿検査などの実施(処方箋のみの場合もあり) 検査結果を聞く(GPか電話の場合が多い) 治療が必要な場合は処方箋をもらう or 病院紹介 【病院紹介の場合】 病院での診察予約に関する手紙が届く(病院が指定する予約日時の記載あり) 指定された予約内容を変更したい場合は病院に電話 予約日時の希望を伝え、確定 病院で診察・検査 GPで結果を聞く(病院の検査結果がGPに送られる場合) ※追加で検査を実施する場合は医師から連絡があり、新しい予約日時を相談する流れになります。 病院はGPと違って、多くの専門科が揃っており規模が大きいです。施設が広いため、初めて訪れる場合は指定の場所を見つけるのが難しいことも。予約時間の前に早めに到着しておきましょう。 病院の内部 NHS 111の使い方 NHS 111は、電話やオンラインですぐにGPにつながらない場合や、GPの診療時間外でも相談したいときに利用できる便利なサービスです。まずは電話かオンラインで問い合わせることで、どういったアクションを踏めばいいかをアドバイスしてくれます。相談内容によって対応は変わりますが、以下のような例があげられます。 看護師からの折り返し電話を予約 夜間・週末のGP診療を案内 歯科やメンタルヘルスなどの専門サポートを紹介 登録しているGPに連絡するよう指示 薬剤師に相談するよう案内 自宅で経過観察するよう指導 NHS 111では、病院の予約・キャンセルや診断書の発行はしてもらえないので注意してください。 参考 https://www.nhs.uk/nhs-services/urgent-and-emergency-care-services/when-to-use-111/ 緊急の場合はどうする? GPの診察を待てずに急いでいる!そんなときは緊急外来(A&E)や救急車(999)を利用します。 まず、A&Eについて。 A&E(Accident and Emergency/事故・緊急外来)は、GPの予約を待っていられないほどのつらい症状や怪我があるなど、緊急性の高い場合に利用します。Accident and Emergencyのほか、Emergency Department(救急部)やCasualty(救急)とも呼びます。着いたらまず受付で症状を伝えます。 過去に利用した感想は、とにかく待ち時間が長いということです。予約を取らないことと、重症患者が優先されるため、先に着いているのに後から来た人が早く診てもらっていたりします。診察の流れは、各自の状態によって変わります。 緊急時の例 緊急性が低く深刻でないと判断→GPの予約をすすめられる、処方箋をもらう 緊急の場合→専門病棟に移り場合によっては入院 病院の正面玄関と別にある緊急外来用の入り口 緊急外来ではとても待てないような、命に関わる緊急時であれば、999へすぐ電話を。交通事故や発作など重大なシチュエーションには迷わず利用しましょう。電話で聞かれる内容は、場所、999にかけた理由、連絡先など。救急隊員の到着を待っている間ににできることや、どれくらいで着くかも教えてくれます。 黄色と緑が目印の救急車  処方薬と薬局の使い方 診療後に薬が出されたら...?ここからは、NHSの処方薬の受け取り方や薬代について、基本的な情報をわかりやすくまとめました。 薬はGPが発行する「処方箋」で薬局でもらう GPでの診察が終わり、処方薬が必要であれば処方箋が出されます。診察後にGPと連携している近隣の薬局(Bootsなど)に行き、Prescription(処方箋)というコーナーでスタッフに自分の生年月日、名前、住所を伝えると、あらかじめ用意してある薬が手渡され、支払いに進みます。 薬局内の処方薬受け取りカウンター 薬代の仕組み NHSで処方してもらう薬の料金は、2025年の時点で処方薬1品につき※£9.90(約1,880円)です。ひとつの処方箋に複数の処方薬がある場合は、すべての薬の合計金額を支払います。ですが、留学生でも18歳以下で大学やカレッジでフルタイム教育を受けている学生はNHSの薬代が無料です。 処方薬が頻繁に必要な人は、処方箋前払いシステム(Prescription Prepayment Certificate)を利用するのも手です。各自のケースが対象になるかの確認は必要ですが、利用できる場合はかなりお得です。 例えば有効期限が3か月間のPPCは、事前に£32.05(約6,090円)支払えば、有効期間中にいくつでも薬を受け取れます(一部は適用外)。PPCの購入はオンラインがメインで、申請日から有効です。申請を完了すると、メールでPPCの証明書が送られてくるので、薬を受け取るときに提示できると便利です。 ※上記の内容は2025年5月時点での料金と為替レート(1ポンド=190円)です。 参考 https://www.nhs.uk/nhs-services/prescriptions/save-money-with-a-prescription-prepayment-certificate-ppc/ 市販薬はスーパーや薬局でも買える 処方薬以外はどうでしょうか。結論として、スーパー、薬局で簡単に手に入ります。痛み止めや風邪薬、胃腸薬、花粉症などのアレルギー薬、目薬、塗り薬など種類は豊富です。自分に合えば、留学中にイギリスで薬を買って服用することもできるので、必ずしも日本から持ち込まなくてもなんとかなる場合もあります。 ※個人差がありますので、薬の調達については慎重に判断されることをおすすめします。 NHSと留学保険の違い これまでNHSのサービスについてご紹介してきましたが、イギリス留学中に本当にNHSだけあれば安心なのだろうか?と不安に思う人もいるでしょう。ここからは、NHSのサービスが対象外になる場合と、留学保険との違いについてお話ししていきます。 NHSで医療費の支払いが発生する例 処方薬1品につき£9.90(約¥1,880円)かかるとお伝えしましたが、そのほかにも支払いが発生する例があります。 ・歯科医療 ・眼科治療 ・かつらや布製の医療用サポーター NHSのサイトでは、歯科医療について、治療が始まる時点で18歳未満、または19歳未満で所定のフルタイム教育を受けている場合は、NHSでの歯科治療が無料になると伝えています(治療内容によっては費用が発生する場合もあり)。 治療費がかかる場合には、日本より高いと言われていますので、渡英までに歯の状態を診てもらうと安心ですね。 眼科の例では、街中の眼鏡屋で行っている一般的な視力検査なら£20(約3,800円)ぐらいから受けられますが、専門的な検査になるとさらに費用がかかります。眼鏡を作る場合、場所によっては学生割引が使えるので、検査の前にリサーチしてみましょう。 NHSを使って治療ができる街中の歯医者 Haruna 実は私も、イギリスで歯の詰め物が取れてしまって、数ヶ月放置したあとに日本の歯医者にかかったのですが、衛生的に良くない!こんなに放っておくなんて!とすごく怒られた記憶があります…。 留学保険で補える部分もある NHSのサービスがこれだけ充実しているのなら、留学保険はいらないんじゃ?と思う人も多いでしょう。しかし、留学保険に入ることで受けられる恩恵も多いのが事実です。 NHSの病院、つまりはイギリスの公立病院を利用するとなると、無料で診療が受けられる分、長く待たされることもザラです。問題の症状が落ち着くまでに、ある程度の時間を要すこともめずらしくないのです。その点、留学保険に入っておくことで、プライベートの私立病院が利用できます。ロンドンには日系クリニックが数件あるため、日本人ドクターに日本語でサポートしてもらえる点もありがたいです。 私がまだ学生だったころ、もうダメかと思うような辛い症状があったときや、小さな手術を受けたときもすべて留学保険が適用され、プライベートの日系クリニックを利用しました。電話一本ですぐに予約がおさえられ、スムーズな日本語のサービスが受けられたことで、改めて保険の大切さを知りました。 ※持病や既往症は補償されない場合がありますので、各保険会社に問い合わせてみてください。 医療以外のトラブルにも留学保険が活躍します。加入するプランによりますが、盗難や破損、飛行機の遅延も補償されるケースがあります。 「何がどこまでカバーされているか」知っておくと安心 NHSのサービスだけでいいの? 心配だから留学保険に入る?答えは人それぞれ。留学生のなかには、医療サービスにおいてはNHSだけでじゅうぶんだった、という人もいれば、留学保険があってよかった、という人も。しっかりとそれぞれの特性を把握したうえで、自分に合った選択をしてみてくださいね。 医療の備えは安心な留学生活の第一歩 イギリス在住の筆者も、これまでに何度もNHSのお世話になってきました。幸い、GPの受付スタッフや看護師、医師たちには毎回親切にしてもらっています。電話やオンラインでの問い合わせには、ほとんど返信があり、しっかり話を聞いてくれます。ただ、サービスの質に関してはGPによりけり、という声も多いです。GP登録をする際には、口コミをチェックしたり、同じGPに登録している学生の話を聞いたりと、下調べをしておくとより安心です。 安心して留学生活が送れるように、医療面での準備を万全にしておきましょう! https://www.nhs.uk

UCL現役大学生の留学体験記!イギリス留学のリアルと道のり

京都からイギリスへ: UCL大学留学を決めるまで 自己紹介・バックグラウンド  はじめまして。Nanaです。京都市出身で、中学まで地元で過ごし、高校からイギリスの学校に進学しました。  現在は、University College London(UCL、ユニバーシティカレッジロンドン)でArts and Sciences(アーツアンドサイエンス)学科で勉強しています。一つの専門分野を3年間かけて学ぶ一般的なイギリスの大学とは異なり、この学科ではリベラルアーツ教育に似ていて、文理問わず幅広い分野の科目・デパートメントの授業を取ることができます。  留学を決意したきっかけ 中学2年生の時にスイスでサマースクールに参加した体験が留学を志した原点です。いろいろな国から生徒が来ていて、英語だけでなく、ドイツ語、イタリア語、フランス語などを操る同年代の生徒と出会いました。言語がもたらす新しい人との出会い、つながりや発見に心躍らされました。私もグローバルな世界で過ごしたいと強く思った経験でした。 学校選びから出発まで 本格的に留学を考え始めたのは中学2年生の冬あたりでした。サマースクールで訪れたスイス、友人がすでに留学していたアメリカとイギリスを留学先の候補にしましたが、結局イギリスとアメリカの学校に出願し、先にオファーが来たイギリスの学校に入学することに決めました。 友人に紹介してもらった留学エージェントを通して、学校の選定、受験、インタビュー(面接)を経て、イギリス南西部にあるTaunton School International(TSI、トーントンスクールインターナショナル)への入学が決まりました。インタビュー(面接)や試験はすべて、オンラインで行いました。 Taunton School International(トーントンスクールインターナショナル) の校舎 しかし、この時期(2020年)にちょうど新型コロナウイルス感染症が流行り始め、4月に予定していた渡英は先送りされてしまいました。イギリスには行けなかったものの、学校側がいち早くオンライン授業を導入したため、4月-6月の1学期間は日本の自宅で授業を受けました。思い描いていた留学の始まりではありませんでしたが、振り返ってみればホームシックにならず、少しずつ英語に慣れていく良い機会だったと思います。 TSIではGCSEと呼ばれる中学課程に当たるものを1年間学習しました。2年目からはLancing College(ランシングカレッジ)という現地校に入学し、A-level経済、数学、応用数学、日本語を履修し、受験を経て、UCLに入学しました。 Lancing College(ランシングカレッジ)のチャペル UCL大学生のキャンパスライフ ロンドンならではの魅力と学びの日々 現在通っているUCLはロンドン中心部にあり、1826年に設立された大学で、150を超える国から学生が集まる国際性と400以上のコースを提供し幅広い研究分野を持っているのが特徴です。ロンドンという大都市ならではの刺激的な環境もあり、学びだけでなく生活面でも多くの発見がある大学です。 University College London(UCL)に入学 リベラルアーツ型の学び: Arts and Science学科の特徴 大学ではArts and Science(アーツアンドサイエンス)と呼ばれるリベラルアーツの学科で勉強しています。この学科はイギリスの大学にしてはとてもユニークです。イギリスの大学では基本的に高校で専攻した教科を中心により深く学びます。例えば高校で経済を専攻すると大学でも経済学部やビジネス系の学部に進み、その学部で必修授業をとります。 しかし私の学部では多くの学問の知識をいかに融合させて社会課題の解決策にアプローチするのかに重きを置いています。こういった学問を英語ではInterdisciplinary studiesと呼び、分野横断的(学際的)な学びを意味します。社会課題を解決するのにもさまざまな切り口や専門知識が必要なうえ、分野が異なる人々と協力することも欠かせません。そのようなことを中心に学んでいます。 そのため、履修する授業の半分以上を自分で選択できます。学科の中で、3年間を通して全く同じクラスの組み合わせを取っている学生は誰一人いません。こういった環境が自分の学習生活を唯一無二にします。 実際に履修している授業紹介 私が今年取っている科目は、Principle of international public law(国際法)、Mathematical analysis, Real analysis(解析学)、Database system(データベースシステム)、Macroeconomics/Open and Closed economy(マクロ経済学)、Quantitative methods(定量調査)、Sustainable energy(持続可能エネルギー)、Mandarin(中国語)です。 分野がバラバラでそれぞれ全く関係なさそうに見えますが、Sustainable energyで学ぶエネルギー政策はMacroeconomicsの経済政策につながっていたり、Quantitative methodsで習得する基礎プログラミングはDatabase systemで応用できたりと、他の学生とは違った視点で問題の解決法を見いだすことができます。 課外活動とロンドンでの暮らし 日本語を教えるJapan Societyでの活動 授業外では、Japan Societyと呼ばれるソサエティ(サークル)に参加していて、2週間に1度、学生に日本語を教えています。 Finance and Economics Societyで得た学びと人脈 また、Finance and Economics Societyにも参加しており、週1くらいの頻度で開催されるロンドンの投資銀行などの金融業界で働く方によるセミナーに参加しています。UCLのネットワークはかなり広く、トップ企業で働く卒業生も多いので、いろんな人から話を聞けるチャンスがたくさんあります。 ロンドンの美術館・博物館巡りで深める学び ロンドンには大英博物館(British Museum)やナショナルギャラリー(National Gallery)など、たくさんの権威ある美術館と博物館が集まっていて、ほとんどが入場無料ということもあり、休日にはなるべく行くようにしています。 昨年取ったSocial Theoryの授業ではオリエンタリズム(西洋が東洋をどのようにとらえていたのかを研究する学問領域)のトピックを扱ったのでテムズ川畔にあるTate Britain(テート・ブリテン) の絵画を見に行きました。 Colonialism(植民地主義)などのトピックを考える際、博物館の作品は貴重なソースとなり、実際に鑑賞することでコンテンツの理解をより深めることができます。 高校留学・大学留学を通じて得た学び 広がった視野と情報へのアンテナ 留学して良かったことは、視野が広がったことと得られる情報が増えたことです。異なる文化や価値観を持つ人たちと関わる中で、自分が当たり前だと思っていた考え方が、実は国や環境によって大きく異なることに気づきました。Taunton School時代のルームメートはブルンジ人でした。初めて聞く国からの生徒だった彼女とどうしても話をしたくて、どんな国なのか、何語を話すのかなどを調べた記憶があります。 多様な視点を学べる国際的なクラスメートとの出会い 授業では、さまざまなバックグラウンドを持つクラスメートと意見を交わす機会が多く、同じテーマでも多様な視点があることを学べたのは、とても刺激的でした。日本では、自分がどの政党を支持しているか、政策まで議論することはなかったですが、イギリスでは自国の政策はもちろん、他のヨーロッパ諸国の政策まで網羅している学生も何人かいて、意識の高さがうかがえました。 経済の授業では特に、GDP(国内総生産)成長率やインフレ、利子率を必ず頭に入れておく習慣ができました。円安など、身の回りで起きていることが身につけた知識で理解できるようになっていくのが楽しかったです。 英語力と自己発信力の向上 また、英語でコミュニケーションを取る力が自然と身につき、自信を持って自分の意見を発信できるようになったのも大きな成長です。さらに、留学生活を通じて新しい友人や経験に出会い、自分自身の挑戦する力や柔軟性も養われたと感じています。 留学生活で感じた辛さと乗り越えた経験 言語の壁とコミュニケーションの葛藤 留学で辛かったことのひとつは、最初の頃に感じた言語の壁です。英検2級を取得後に渡英しましたが、授業では、ネイティブスピーカーや先生たちのスピードについていけなかったです。留学当初は宿題を終わらせるのにも、クラスメートの3倍時間がかかりました。 授業がわかるようになっても、友達との会話や冗談を理解し、話すまでにはかなり時間がかかりました。小学校の間に英会話塾に週1で通っていましたが、実際に会話しようとすると、自分のシャイな性格も相まって単語が出てこない場面が多くあり、自分の意見を思うように表現できず、もどかしさを感じることがありました。 辞書を片手に専門用語と格闘する日々 大学に入ってからは、専門的な単語も多くて、今でも辞書は手放せません。ですが、一つ一つの単語の意味を調べる習慣がついたことで、理解できない単元があっても、わかるまで調べたり文献を読んだりして、人一倍深い学びを得たと思います。 これからイギリス留学を目指す人へのメッセージ 留学は挑戦の連続ですが、ぜひ恐れずに一歩踏み出してみてください。その経験が、自分自身を大きく成長させ、未来への大きな力になるはずです。 https://jp.education-moi.com/article-51-ucl https://www.ucl.ac.uk

【イギリス高校留学】15歳で親元を離れたボーディングスクールでの生活

私は15歳から親元を離れ、イギリス留学を始めました。大学もイギリスで、卒業後もしばらく滞在していたため、気づいたら14年間イギリスにいることになっていました。苦あり楽ありの留学体験をお届けします。 イギリス全寮制高校への道: 留学を決意するまで 小さい頃、父の仕事でアメリカに行っていたことがあり、英語には多少自信がありました。しかし、滞在は4歳から6歳までのわずか2年半だったため、帰国し中学生になった頃には英語力がかなり落ちていました。ある日、母と当時の英語の家庭教師からの要望に応じ、英語のエッセイを書いてみました。すると「アメリカの小学校2年生レベルだね」と言われ、ショックを受けました。これを機に、英語をちゃんと勉強しようと決意しました。 ちょうどその頃、インターナショナルスクールに通っていた2つ上の兄がイギリスの大学に進学したいと言ったので母と3人でイギリスの大学の下見に行くことになりました。自分にとって未知の国だったイギリスに惹かれていたのと、いつかは留学したいという思いが相まって、ついでに高校も見ようと母と決めていました。 ノッティンガムシャーの高校見学 複数の大学や高校を巡り、その中のひとつの高校にとても良い印象を持ちました。イギリス東中部、Nottinghamshire(ノッティンガムシャー州)のWorksop(ワークソップ)というところにある高校です。先生が優しく、校舎も広くてかっこよく、生徒達の行儀もとてもよかったです。みんな紳士的で礼儀正しく、先生方の指導が行き届いていることが伝わってきました。 若くして単身留学することを心配していた母も、このしっかりした校風が気に入りました。校長先生とお話をし、その後校舎見学をしました。また、私が医学部志望だったため、英語力をネイティブ並みに上げる必要があると言われ、もうその夏から入学することを勧められました。もともとイギリスでそのまま医学部に行くつもりはなかったのですが、先生方や両親と相談し、見学に行った2ヶ月後には留学を決心しました。 学校の校舎 イギリス高校留学|ボーディングスクールの生活とは? 寮のシステムと制服 イギリスに着いてすぐ、寮長さんや寮母さんに挨拶しました。説明を受け、私はYear 10(日本の中学3年に該当)に入学しました。日本の中学に相当する学年では制服が決まっています。ブレザー、シャツ、スカート、そしてcravatと呼ばれるネクタイのようなものに加え、靴下も学校指定のものを着用しました。 この学校には数種類の寮があり、女子は学期中ずっと過ごす「Full boarding(フルボーディング)」用、平日だけ暮らす「Weekly boarding(ウィークリーボーディング)」用、そして「Daily student(夜には家に帰る通学生)」用の寮がそれぞれ1つです。男子寮はDaily studentと住み込みの生徒が混ざっていて5~6つの寮がありました。各寮には30~40人くらいの生徒がいました。 1つの寮には最下級生のYear 9(中学2年生)から最上級生のYear 13(高校3年生)までが一緒に暮らしており、2、3人部屋もあれば1人部屋もあります。新入生は基本的に多人数部屋に割り振られ、最高学年の生徒は1人部屋が与えられました。私は最初3人部屋に入りました。その後2人部屋になったり3人部屋になったりの繰り返し。最終学年になったらついに1人部屋を手に入れました。毎学期、部屋のメンバーは先生が決めて変えていました。 校長先生の住むお家。学校の入口のすぐ隣にある 深夜の勉強と寮のおきて 渡英当初の英語力では会話についていくのが精一杯で、授業は全く理解できませんでした。現地の生徒ばかりの学校で、私の学年にいた留学生は他に男子2人だけでした。英語の授業以外は現地の生徒達と一緒に受けるため、取り残されないように懸命でした。深夜と早朝の時間を活用し、ひたすら教科書の翻訳をする日々が続きました。 ある明け方、普段電気が点いている部屋が消灯されたので階段に座って勉強していました。すると寮母さんが駆けつけてきて、「Yui、こんな時間に勉強しないの!ここはアラームがついているの。勉強は日中だけでも十分なのだから夜はしっかり休みなさい」と注意されてしまいました。どうやらこの階段にはアラームが設置されていて、人が入ると寮母さんなどの責任者だけが知らされるようになっていました。それ以来、夜中の勉強はやめました。 ホームシックと戦う日々 寮生活はとても厳しく、朝1回、お昼前に1回、お昼後から夕方にかけて3回、そして夕飯後の宿題時間に3回、点呼がありました。そして寝る前には先生が各部屋を回って携帯電話を没収し、電気も強制的に消されます。しかしほとんどの子は偽物の携帯を預けていました。 留学した最初の年はスマホもWi-Fiもなかったので私はガラケーを使っていました。インターネットは共用のパソコンルームのみで使うことができます。家族と連絡を取るときは国際電話でした。 週に1回、Skypeが使えるパソコンを予約して家族とビデオ通話することができました。しかし世界中から留学生が来ているので常に予約枠の取り合いでした。日本との時差の関係で都合の良い時間帯が限られ、目当ての時間枠が取られてしまってよく落ち込んでいたものです。 最初の1年間はホームシックでほぼ毎日泣いていました。言葉があまり通じなかったため友達もできなかったです。「かわいそう」と寄ってきてくれる生徒や授業で一緒になった生徒とたまに話す程度でした。都会ではなかったので、アジア人が少なく、奇異の目で見られているように感じました。 留学1年目の冬。膝下まで雪が積もるほどの大雪でした 辛かった陸軍の訓練 私の学校はCCF(Combined Cadet Force)という連合将校養成隊の時間があり、Army(陸軍)の訓練をしました。陸軍の他に、Navy(海軍)、Royal Air Force(空軍)もあり、現地の生徒は選択が可能でした。その頃、私たち留学生は選べず、一番人数の多い陸軍に自動的に振り分けられました。軍隊用の重たい迷彩服を着て寒い中2時間くらいマーチングし、銃の練習や匍匐前進などをするのはとても苦痛でした。また、落ち葉や枝を集めたり、数人組で運動させられたりと、グループでの活動が多かったです。友達の少ない私には楽しくはありませんでした。 礼拝の時間でスピーチに挑戦 一方で、週5回の朝のChapel(礼拝)の時間は比較的平和な時間だと感じました。讃美歌を歌い、お話を聞くだけの時間でした。木曜と土曜日以外の曜日に毎週、礼拝が行われました。日曜日だけ、朝の礼拝は全校生徒ではなく、寮生のみの参加で人数が少なかったです。そのため留学生にも皆の前で話をする機会が与えられました。 私も数回日曜日にスピーチした後、全校生徒の前で話す機会をもらい、3.11の出来事などを話しました。現地の生徒が多かったので、彼らにとって海外に触れられる貴重な機会だったと思います。その他、日本や中国の祝日の時には文化のお話もしました。 日本ではクリスマスは外で過ごし、お正月は家族で過ごすものだと伝えたら、イギリスとは真逆なので驚かれました。話した内容に興味を持ってくれ、それをきっかけに会話が弾むことがよくありました。先生方は、私たち留学生が学校に溶け込めるよう、常に様々な工夫をしてくれていました。 チャペル 深める交流: スポーツとイベントの舞台裏 ハリーポッターの世界!イギリスならではのスポーツ イギリスのBoarding school(ボーディングスクール・全寮制学校)特有のスポーツの時間もありました。季節や性別によって競技が分けられています。秋には男女共にもホッケー、冬は女子がネットボール、男子がラグビー、夏は水泳、クリケット、クロスカントリー、ラウンダースなどから自由に選択できました。 ハリー・ポッターに出てくるような寮対抗の大会や他校との試合もありました。他校との試合では、全生徒が実力別に分けられ、相手校の同じレベルのチームと戦います。そして試合後は相手チームと一緒にSupper time(おやつの時間)があり、ポテトやパン、フルーツ、ケーキなどを一緒に食べました。 ラグビーコートが9面もある広大な敷地を持つ学校。裏にはゴルフコースも プロムやダンスパーティー 年に数回、寮ごとのパーティーがあり、他の寮の子も主催寮の生徒に招待されれば参加できました。男子寮が開催するダンスパーティーに出席する際はProm(プロム)に行くような感じのドレスアップをしました。また、冬休みに入る前は各寮の寮生全員が一丸となって練習したダンスを全校生徒の前で発表するイベントもありました。 その他にも私はInternational Eveningを主催したことがあります。各国の生徒が協力して国の料理を作り、みんなでビュッフェスタイルで食べるイベントです。先生方に協力していただき、ダイニングホールとキッチンを借りて行いました。そこで日本人チームはトンカツを作りました。 日本人チームが作ったトンカツ 英国ボーディングスクールの授業内容 1年目はGCSEを勉強しており、Science(理科)、Mathematics(数学)、English as a Second Language(英語), Religion(宗教学)とStudent Selected Studies(選択科目)でした。選択科目にはGeography(地理)、History(歴史)、Art(美術) , Design and Technology(デザインとテクノロジー)、Food and Nutrition(料理と栄養学)などがありました。 私は理系だった上、英語の授業についていくのに必死だったこともあり選択科目ではArt、Design and Technology、そしてFood and Nutritionを選択しました。英語がネイティブの生徒はフランス語なども選択可能でしたが、留学生は必ずEnglish as a Second Language(ESL)をとらなければならず、他の言語は選択できませんでした。ESL以外の授業は全て現地の生徒たちと一緒でした。 私は日本で購入した電子辞書をどの授業にも持っていき、常に単語の意味を調べながら受けていました。最初の1年は辞書を使用して試験を受けることが許されていました。試験の際には先生から英和辞典が手渡され、それを使って試験に挑んでいました。 イギリス高校留学で得たこと 先生のサポートに感激した日 特に印象に残っているのは理科の授業で試験が返却された時のことです。私は60%しか得点できず、周りの不真面目な子たちと同じくらいの点数でとても悔しかったのですが、先生は私の努力を褒めてくれました。 しかし他の生徒がそれを聞いて「でも辞書を使ってるしね」と嫌味を言いました。それに対し先生は「じゃあ君は他の国に行ってその国の言語でテストを受けた場合、辞書を使えばこの点数取れるのか?簡単なことではないよ、母国語で受けても簡単じゃないんだから」と返してくれました。この先生のサポートは今でも忘れられません。このように素晴らしい先生方がたくさんいる学校でした。  Comfort zoneに戻るか挑戦を続けるかの決断 渡英してから1年経った時の夏休みに帰国した際、正直イギリスに戻るか少し悩みました。友達が少なく、授業も難しい。でもやっと英語にも慣れてきたこと、そして何よりも先生方の期待に応えたい気持ちがあり、もう1年、せめてGCSEだけでも終えようと、戻る決心をしました。 重たい足を引きずり、再び寮に戻ると、先生が「戻ってきてくれてよかった」と声をかけてくれました。複雑な心情で戻ってきたけれど先生方がいれば頑張れると思いました。 私の学年に新しい留学生が増え、寮にも何人か入ってきました。英語が全く話せなかった中国人の生徒が1人いて、その子に英語を教えながら暮らしていたらいつの間にか自信もつき、留学生活が楽しくなっていました。そして授業にもついていけることに気が付きました。友達も増え、去年から同じクラスだった生徒達に「Yui、英語すごく上達したね」と言われたときは本当に嬉しかったです。 おかげでGCSEは良い成績で卒業できました。次回はA-level、やホストファミリー、休暇の過ごし方について書きたいと思います。 https://passport-to.com/articles/9/

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留学生活をもっと楽しむ!イギリスから行けるヨーロッパおすすめ都市

  こんにちは!Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを学んでいるKotokoです。 今回は、イギリス留学の大きな魅力のひとつ、ヨーロッパ旅行について私の経験や友人の話をもとに、週末でも行きやすい都市から長期休暇に楽しめる都市まで紹介します。 イギリスからはヨーロッパ諸国に行きやすい?! イギリスは地理的にも交通の面でもヨーロッパ旅行にとても便利な場所です。学生は普段勉強で忙しいですが、週末にふらっと出かけてリフレッシュすることもできます。なぜこんなにも気軽にヨーロッパ旅行ができるのでしょうか?主な理由は3つです。 LCC(格安航空会社)が豊富Ryanair(ライアンエアー)やeasyJet(イージージェット)を使えば、片道数千円で飛行機に乗れることもあります。 Eurostar(ユーロスター)で直行ロンドンからパリやブリュッセルまで電車で約2〜3時間。飛行機のように2時間前に空港に行く必要もなく、便利です。 空港アクセスが良いロンドンには複数の空港があり、ヨーロッパ各地への直行便が充実しています。 週末で行けるおすすめ都市 パリ(フランス) ロンドンからユーロスターで約2時間半!おしゃれな街並み、美味しい食べ物、歴史的建物が中心地に集まっていて、週末旅行にぴったりです。 おすすめTo Doリスト クロワッサンやバゲットを買って、エッフェル塔が見えるトロカデロ広場でピクニック ルーヴル美術館(チケットは公式サイトで事前購入がおすすめ) 夜のセーヌ川ナイトクルーズでエッフェル塔のシャンパンフラッシュを鑑賞 トロカデロ広場でピクニック ナイトクルーズで見たエッフェル塔 ブリュッセル(ベルギー) ロンドンから約2時間。落ち着いたヨーロッパらしい街並みに加え、チョコレートやワッフル、ビールといったグルメも魅力です。 おすすめTo Doリスト グラン=プラス(世界遺産の広場)を散策 本場のベルギーチョコレートを食べ比べ 名物ワッフルやフリッツ(フライドポテト)を食べ歩き ベルギーワッフル フリッツ(フライドポテト) 長期休暇におすすめ都市 学期末の休みには、時間をかけてより多くの国や都市を訪れるチャンスがあります。 ローマ(イタリア) ロンドンから飛行機で約2時間半。古代ローマ帝国の遺跡や歴史的建物が街中に点在していて、コロッセオ、フォロ・ロマーノ、トレビの泉など見どころが盛りだくさんです。そして本場のイタリアンは、どのレストランに入っても外れなし! おすすめTo Doリスト ナイトバスに乗って、コロッセオやフォロ・ロマーノの夕景を楽しむ 本場イタリアンと、定番リキュール、アペロールスプリッツを堪能する ローマでの本場イタリアン カプリ島 ➕ ポイント ローマ観光と合わせて、カプリ島などの美しい島を訪れるのもおすすめ。私は夏に青の洞窟で有名なカプリ島へ行きましたが、透き通る海と空に癒され、都会の喧騒から離れてゆったり過ごせました。 サントリーニ島(ギリシャ) ロンドンから飛行機で約4時間。エーゲ海に浮かぶサントリーニ島は、真っ白な家並みと青い屋根、そして世界的に有名な夕日が魅力です。中心地にはおしゃれなカフェやレストランも多く、地中海料理や新鮮なシーフードが楽しめます。非日常感をたっぷり味わえるスポットです。 おすすめTo Doリスト 夕焼けを眺めながらのディナー レッドビーチやブラックビーチを巡る乗馬ツアー イアの街を散策して、ストリートフード、ギロピタを食べ歩き フィラでの夕焼けを眺めながらのディナー 豚肉のギロピタ カッパドキア(トルコ) ロンドンからイスタンブールまで約4時間、その後さらに1時間のフライトで到着。少し遠いですが、奇岩が広がる不思議な景観と、空を彩る熱気球で世界的に有名なエリアです。洞窟ホテルや歴史的遺跡も点在していて、自然と文化の両方を楽しめるのが魅力。 おすすめTo Doリスト カッパドキア名物の熱気球体験!※天候によっては飛ばない日もあるので、最低3泊ほど滞在すると安心です ギョレメ周辺の名所を1日で効率よく巡れる「レッドツアー」に参加 洞窟ホテルに宿泊し、朝のテラスから空に浮かぶ気球を眺める 気球から見た景色 レッドツアーで訪れたゼルベ野外博物館 イギリス留学生向けの節約術 学生は学業で忙しく、アルバイトが難しい人も多いと思います。だからこそ、旅行のときに「いかに節約するか」がとても大事です。ここでは、私が実際の旅行で学んだ節約術を紹介します。 LCC(格安航空券)を賢く利用する RyanairやeasyJetは、予約が早ければ早いほど安くなることが多く、片道数千円でチケットを取れることもあります。荷物はできるだけ機内持ち込みのみにして、追加料金を避けるのがコツです。 旅行のピークを外す 金曜夜や月曜朝の便は料金が高くなりがち。木曜夜出発や日曜夜帰りを狙うと安くなることが多いです。 学生割引をフル活用する 現地で学生証を提示すると、美術館や交通機関で割引が受けられる場合があります。イギリスの大学の学生証が使える場所も多いので、旅行のときは必ず持参しましょう。 ヨーロッパ旅行の注意点 ヨーロッパ旅行は留学生活の大きな楽しみのひとつですが、気をつけるべき点もたくさんあります。実際にトラブルに遭わないために、最低限知っておきたい注意点をまとめました。 シェンゲン協定とビザ シェンゲン協定の締結国間(主にEU加盟国)では国境検査なしで自由に移動できます。しかしイギリスはシェンゲン協定に加盟していません。そのため、イギリスの学生ビザを持っていても、シェンゲン圏内を自由に滞在できるわけではありません。 日本国籍の留学生の場合、観光目的ならビザは不要ですが「あらゆる180日のうち最大90日間」という滞在制限があります。 また、私は旅行先からイギリスに戻るときに、よく空港の入国審査で「学生ビザを見せて」と言われました。eVisaにすぐログインできるように準備しておくと安心です(スクショはNGと言われたこともありました)。  スリ対策 ヨーロッパは観光地ほどスリが多いです。電車内、レストラン、カフェなど、いつ被害に遭うかわかりません。実際、友達はレストランでスーツケースを専用置き場に預けていたのですが、食事を終えて出るときにはなくなっていました……。 財布やパスポートは小さなポーチやウエストバッグに入れて常に身につけ、スマホをテーブルに置きっぱなしにしないなど、徹底してスリ対策をしてください。 まとめ イギリス留学は、学びの場であると同時にヨーロッパ全体を体験できる大きなチャンスです。週末の小旅行から長期休暇の周遊まで、計画次第で「学生生活でしかできない体験」が待っています。ぜひ、留学生活の一部としてヨーロッパ旅行も楽しんでみてください。 https://passport-to.com/articles/26/

インペリアル合格者が教えるPersonal Statementの書き方 | イギリス大学進学

こんにちは、インペリアルカレッジロンドン1年のKenshuです!今回はイギリスの大学に応募するために必要なPersonal Statement(PS)について話していこうと思います。僕も最初はPSってなに?何をしたらいいの?ってすごく迷ったのでこの記事が参考になれば嬉しいです。 https://passport-to.com/articles/27/ イギリスの大学に出願する時はUCASを使って各大学に応募します。大学によって出願書類の一つにPSという志望書みたいなエッセイがあります。今回はPSで書く内容とコツなどを共有していこうと思います。 Personal Statementとは? Personal Statementはなぜ自分が選んだ専攻をやりたいかや自分の特技、経験を大学側にアピールするエッセイです。4000文字以内という制限があるため内容の選択と構成がとても重要になってきます。 また、僕が出願したときまでは自由形式でしたが、2025年の出願からは3つの質問形式になりました。それぞれの質問に360文字以上で回答する必要があります。全体で4000文字以内にする点は変わらないです。 質問は以下の3つです。 Question 1: Why do you want to study this course or subject? Question 2: How have your qualifications and studies helped you to prepare for this course or subject? Question 3: What else have you done to prepare outside of education, and why are these experiences useful? 📢こちらの記事と動画にもパーソナルステートメントの形式や書く内容について詳しく解説しています↓ https://youtu.be/llu2jjukrWk PSでなにを書けばいいの? PSは色々な書き方があります。ここでは僕が書いたことや僕がやっておいてよかったことなどを紹介するので絶対にこれをやってください!というわけではないです。参考程度にしていただけたら嬉しいです。 PSでは一般的に以下のようなことを書きます。 ・その専攻を選んだきっかけ・Extra Curricular(課外活動) 場合によっては将来の目標や大学で学びたいことを最後に少し触れると、志望理由からゴールまでの筋の通った流れができ、全体に一貫性が出ます。 内容1: その専攻を選んだきっかけ PSでは自分がどれほどのその専攻に対する熱意があるのかを大学側に示すチャンスです。なぜ興味を持ったのか、なぜ学びたいのかを書きます。例えば小さい頃の経験や疑問、自分が読んだ本、見た映画やニュース、家族の影響など色々なきっかけがあると思います。 僕はChemical Engineering(CE/化学工学)に応募したので最初のパラグラフでは小さい頃からあった水道水などのWater Treatment(水処理)に関する疑問、最近読んだCEの本の中のQuoteを切り抜き、これらのことでCEに惹かれたなどを書きました。 専攻を選んだきっかけを書くときのポイントとしては、その専攻と自分の関わりをできるだけ具体的にして、それがどう学びたい学問に繋がっているかを書くことです。僕は、小さい頃からの疑問から始まり、本を読み、インターンをやり、その過程で自分が選んだ専攻をやりたいと思ったなどと関連性を持って書くことです。(色々な書き方があるので参考程度に) 内容2: Extra Curricular(課外活動) 一口に課外活動と言っても色々なことがあり、主に、 インターンシップ 自由研究 ボランティア コンペティション 学校内での委員会やクラブ などが書けます。これらについて、一つずつ説明していきます。 課外活動はなんでもいいからとりあえずやるのではなく、自分の専攻に関することや、リーダーシップやチームワークが示せることをやると一番いいです。 また、活動を書くだけではなくそこから得た学びを書くことがポイントです。 1. インターンシップ PSに書く内容のうち、インターンシップは高く評価されます。やりたい分野の企業や大学の研究室などでのインターン経験は自分がいかにその分野に熱心なのか、説得力を持って伝えられます。 僕はForm 6とForm 7の間の夏休み中にインターンを2つやりました。 1つ目は日本の城西大学の理学部と薬学部の研究室インターンです。ここでは実際に城西大学の研究室に行き、テーマに沿って研究を進めて、最後にプレゼンテーションをするという内容でした。 インターンシップの内容 2つ目は実際にCEをメインとする企業にインターンとして工場訪問やChemical Engineersが実際にやっている仕事などをやりました。 これら2つのインターンに関する内容が僕のPSの大半を占めていました。インターンでは知識を実際にどう活かせるのかを経験するため、現場を理解している学生であるという印象を大学側に与えられます。 2. 自由研究 A-LevelのカリキュラムではEPQ(Extended Project Qualification)という科目があります。これは正式な科目ではなくA-Levelの半分のQualificationがもらえます。そのためA-Levelを3教科とEPQを取っている人が多いです。(学校によってはEPQを取っていない場合もあります) EPQで自分のやりたい研究(リサーチ)ができ、文系だと例えば論文を書き、理系だと実際に実験などをやり最後にレポートを書きます。 また、研究テーマが志望理由と結びついていると専攻への関心の深さを示すことができます。EPQでなくてでも自発的に研究をすることも書けます。 3. ボランティア ボランティアやNPO活動などもPSに書ける内容です。これらのことをリーダーシップやチームワークに結びつけてアピールすることができます。僕は日本で留学を広めるNPOで活動をしました。専攻と直接関係がなくても人と協力することや社会に貢献することが重要です。  4. コンペティション 各種試合や大会の受賞歴はPSにおいて強いアピールポイントになります。必ずしも大規模な全国大会でなくても問題ないです。学校内や地域レベルのコンテストでも、自分の専攻や興味と関連づけて書けば十分に価値があります。 例えば理系ならサイエンスフェアや数学コンテスト、文系ならエッセイコンテストやディベート大会などが挙げられます。重要なのは「なぜその経験が自分にとって意味があったのか」「そこからどんな学びを得たのか」を説明することです。僕はSMC(Senior Mathematics Challenge)やBPhO(British Physics Olympiad)などに参加しました。 5. 学校内での委員会やクラブ活動 学校内での活動も非常に効果的です。特にリーダーシップやチームワークなどを必要とする立場であれば、大学側は高く評価します。例えばPrefect(生徒会)、House Captain※などの役割は責任感を示せますし、部活やクラブ活動でのキャプテンやメンバーとしての経験も強調できます。 僕の場合はHouse Captainを務めた経験があり、それを通じて培ったリーダーシップ・問題解決力・他の生徒をまとめる力についてPSに書きました。 ※イギリスの学校には生徒をいくつかのグループに分けるHouse System(ハウス制度)があり、House CaptainはそのHouseのリーダーです。Houseはイメージでいうとハリーポッターシリーズに出てくるグリフィンドールやスリザリンのような集まりです。 最後に Personal Statement は自分自身を大学側にアピールする大事な機会です。しっかり準備をして、自己分析をすることで心惹かれるエッセイを作ることができます。僕自身何回も書き直しを重ね、自分の思いを伝えることができたと思っています。この記事が少しでも皆さんの参考になり、Personal Statementの作成に役立つことを願っています。 https://www.ucas.com/applying/applying-to-university/writing-your-personal-statement/the-new-personal-statement-for-2026-entry

イギリス医学部留学記:グラスゴー大学で学んだ5年間と研修医生活

こんにちは!Yuiです。イギリスに15歳の時に単身留学し、2022年にUniversity of Glasgow(グラスゴー大学)の医学部を卒業しました。前回までは大学に入る前までのことでしたので今回は医学部での経験について書きたいと思います。 https://passport-to.com/articles/6/ https://passport-to.com/articles/9/ イギリスの医学部受験 当時(2016年頃)のイギリスにはスコットランドを含め、医学部を持つ大学は30校ほどしかなく、すべて国立大学でした。定員は大学によって異なりましたが、留学生は全体の7.5%までという決まりがありました。 UCASを通して出願し、Medicine(医学科)は最大4校まで受けられますが、大学によって必要な試験が異なりました。A-levelなどでの良い成績はもちろんのこと、UKCAT(今はUCAT)やBMAT(現在は廃止だそうです―詳しくはこちらを参照ください)などの適性検査が必要でした。 それをクリアすると最大の難関は面接でした。面接では世界中の留学生が集められ、シンガポールやマレーシア、ヨーロッパからの志望者が待合室にいました。 イギリスの医学部選びのポイント PASSPORT運営元の留学エージェント「Moi Education」の医学部のページにもあるように、大学によって入試も異なればその大学の教え方も異なります。そのため、自分に合った方針の大学や、学生の多さなどを考慮して4つまでの大学を選びます。 授業スタイル イギリスの医学大学の授業はPBL(Problem Based Learning)、Traditional learning(伝統的な授業)あるいは両者混合のIntegrated learning style(統合型授業)という教え方の違いがありました。 PBLとは、レクチャーではなく小さいグループに分かれて話し合いながら勉強をするという方法です。Traditional learningはレクチャーのみで勉強する方法です。主にオックスフォード大学とケンブリッジ大学がそれを実施していました。ほとんどの大学がPBLを取り入れていて、統合型授業(PBLとレクチャーの混合)の場合とPBLだけの大学がありました。私が卒業したグラスゴー大学は統合型授業を採用していて、それも選んだ理由の一つでした。 私はそれに加え、あまり大きすぎない大学が良かったのと、当時数少なかった解剖学の授業で実際の人体の解剖ができると言われていた大学だったことを理由にグラスゴー大学を選びました。 グラスゴー大学医学部1、2年目の時間割: 解剖学 グラスゴー大学の医学部は他の理系の学部と別なので入学直後から医学の勉強が始まりました。最初から皮膚の構造について授業がありました。スコットランドに着いたばかりの私にはスコティッシュアクセントが難しく、教授のほぼ全員がグラスゴーの人だったので授業を聞き取るのにも苦労したのを覚えています。 入学したときにもらったgoody bagに入っていたもの 1年目のレクチャーは朝に医学部のホールで行われ、お昼休憩の後は解剖学などラボの時間でした。ホルマリンに漬けられたご遺体がいくつもある部屋に入り、実際にメスを渡されて解剖していきます。週ごとに習っているトピックに合わせて教授の指示に従って解剖していきました。始める前にはご献体くださった方に感謝の気持ちを込めてお祈りをしました。 週2くらいの頻度でPBLがあり、それ以外はレクチャーでした。PBLではレクチャーで習っていることと同じ内容で、患者さんの事例が渡され、担当の先生(教授ではなく医師)を含めてグループでディスカッションを行います。 PBLの授業で先生が描いた膵臓とその周辺の臓器 PBLの他にもVS(Vocational Studies)という授業があり、同じくグループに分かれます。この授業ではコミュニケーション力を上げたり、道徳的な話し合いをしたりする場でした。Breaking bad news(癌の診断報告といった残念な結果の告知の仕方など)や怒りを表す患者さん、そして性病の診断結果の報告など、難しいコミュニケーションの場でどう対応するかを習いました。 先生がまず見本を見せたあとグループ内で話し合います。その後1人ずつカメラのついた部屋に行き、患者役のボランティアさんに対して指定されたやり取りを行います。グループ全員で1人ずつのパフォーマンスを評価します。とても緊張しますが、毎週のようにあったので段々と慣れていき、自信がつきました。 病院実習の始まり 1年目は1ヶ月に1、2回だけ、病院に行ってグループでBedside Teachingがありました。これは実際に入院している患者さんに先生が許可をとり、患者さんの病名を知らない状態でグループごとに質問をし、病名を当てる授業でした。その後その病気について話し合い、学ぶ場でした。やはり最初の方でこれを経験できるのはとても楽しかったです。時々GP(General Practitioner/かかりつけ医)にも行き、GPでよくみられる病気の話や、対処法、そして在宅医療などの勉強もしました。 2年目からは2週間に1回くらいに増え、3年生では週2回ほどありました。 魔の3年目 グラスゴー大学では3年次が一番きついとされていました。最初の15週間は週3回朝から晩までレクチャーを受け、残りの2日は一日病院実習か、GP実習でした。時々レクチャーの時間の代わりにCBL(Case Based Learning)というPBLよりも実習につなげたグループ(私は正直PBLとの違いはあまり感じませんでした)での授業もありました。 その15週間が終わると、とても大きな大事な試験があり、それに合格すると本格的な実習が始まるのでした。 急な臨床実習漬けの毎日 試験合格の翌週から実習が始まりました。数人ごとに病院と科が分けられます。だいたい同じ病棟には1人、多くても2人でした。私は最初にCCU(Coronary Care Unit/冠動脈疾患集中治療室)に割り振られ、病棟に着きましたが私を待っているような人はいませんでした。みんな忙しなく動いている中ぽつんと立ち止まっていると、看護師さんが話しかけてくれました。医学部生だと言うと、「医師はみんなあっち行ってるよー」とだけ言われ、どうしたらいいかわかりませんでした。 そのまま動けないでいると、HCA(Healthcare Assistant)の方が荷物置き場を教えてくれ、荷物を置いて出てくると看護師さんが「もしかして臨床実習初めて?」と察してくれました。そうだと伝えると、医師を一緒に探し、紹介してくれました。 医師からはなんの指示もなく、とりあえず「Follow me」とだけ言われたので、ただひたすら必死について回りました。このように臨床実習では教えてくれそうな医師を捕まえ、同行していいか聞き、医師の仕事を見学します。運が良ければ結構教えてくれる医師もいて、運が悪ければ邪魔扱いされながら1日を過ごしました。 回診の時間には医師と一緒に病室を巡回し、ただよくわからないままついて回りました。決められた授業などがある時は抜けて授業に行き、大学から与えられたチェックリストをこなしていかなければなりませんでした。そのチェックリストには「問診をする」「循環器の身体診察をする」「血圧を測る」「心雑音を聞く」「心筋梗塞の患者さんの話を聞く」などいくつもの項目がありました。 GlasgowにあるQueen Elizabeth University Hospital その科の臨床実習が終わるまでにチェックリストの項目をすべて達成し、その科の医師からサインをいただき、提出することが必須でした。その他にもPhysiotherapist(理学療法士)やOccupational therapist(作業療法士)などの医療従事者について回る日もありました。 一応それぞれの科にEducational Supervisor(教育担当指導医)という実習生担当の先生(医師)がいて、実習が始まった数日後に1回、終わる時に1回ミーティングをします。しかしみんなとても忙しいので記憶にあまりないくらいその2回以外は関わってくれず、ミーティングの時間を確保するのも一苦労でした。最後に出席率や態度、やる気が評価されると“Merit”が与えられました。 3年生は一般内科と一般外科をいくつか回りました。3年目が終わると、Intercalationといって一旦医学部から抜け、他の学士号(提携している科目のみ)を1年で取得することのできるコースもありました。私は残念ながらやりませんでしたが、それで学士号をもう一つ取得することで就職に有利になることもあります。 4年目: 本格的な病院実習へ 4年生になると授業はほぼ病院内で行われるので、キャンパスに行くことはほとんどありませんでした。色々な病院を回るので車がないと不便でした。 コロナの後からできた医学生専用のscrubs(医療用白衣) 更に10週間ずつ一般内科と一般外科を回り、レベルアップしたチェックリストをこなすと同時にPortfolioの提出が必要でした。それには自分が選んだ患者さんのケースレポートと、その病気についての論文らしきものを書きました。 その合間にも授業があり、一般外科と一般内科が終わるとまた試験がありました。それに合格すると他の科の実習が始まりました。 私の代はここでコロナのパンデミックが始まり、一時中断になりました。 5年目と最終試験: OSCEとは 最終学年では最終試験に向けての勉強はもちろんのこと、実習や課題もひたすら出されました。神経内科、形成外科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科、小児科、救急科、精神科そしてGPを回りました。それぞれのチェックリスト、そしてレポートは相変わらず必須でした。 それに加え、Prescribing Safety Assessmentという処方するための試験もあり、それにも合格しないと卒業して研修医が始まってから処方だけできないことになるのです。ただしこの試験は当時おそらく年3回くらいチャンスがあり、研修医1年目の終わりまでに合格すればいいとのことでした。 実習の終了から試験までわずか2週間しかなく、実習も毎日5時まである中で勉強するのは大変でした。筆記試験では記述問題と選択問題の2つがありました。それに加え、OSCE(Objective Structured Clinical Examination/客観的臨床能力試験)という臨床試験もありました。 OSCEでは小部屋にそれぞれ試験監督の先生とボランティアの他の学年の学生や役者さん、病院の患者さんのいずれかがいます。受験生は1人ずつ部屋のドアの前に立ち、1回目の笛が鳴るとドアに貼ってあるInstructionを読みます。そこには「あなたは2年目の医者です。患者は38歳の女性、主訴は頭痛。問診をし、CNS examinationをしなさい」などという情報があります。2回目の笛が鳴るとノックをして部屋に入り、自己紹介から始めます。 そこでコミュニケーション力、理解力、知識、そして与えられた項目を正しく実施するかなどで総合得点がつけられます。試験監督がその後質問をしてくることもあります。患者さん役の人があえて難しく反応してくることもあり、対応力を試されます。 このような形式の試験を連続で4つ行い、それが4日間続きました。 この試験もある一定の数を合格しないと卒業できません。毎年多くの学生が落第しますが、筆記は得意でもOSCEのせいで落第してしまった学生も少なくありませんでした。 そのくらい重要でしたので、試験勉強しながらも週末に何人かの友達と集まり、3、4時間かけてお互いに模擬OSCEをして練習しあいました。 イギリスの医学部卒業後と研修医生活 今は変わってしまいましたが、私たちの代は最終試験の前にもう一つ適性検査があり、その結果に応じて研修先の病院が決められました。現在はこの試験は廃止され、研修医の勤務先はランダムになったそうです。しかし、これも不評のため再び変更される可能性もあるようです。 最終試験に無事合格すると6月末に卒業式があり、そこからは正式に自分のことをドクターと呼べます。そして8月の最初の水曜日から与えられた病院で研修医が始まります。最初は仮免許状態で働くのですが、オピオイドの処方ができないなどの小さな制限以外は他のジュニアドクターとほぼ同じでした。 医学部の卒業式典の様子 卒業式 研修医の時にも担当のSupervisorがいて、定期的に業務の経過報告をします。お給料も入り、本格的に医者としての仕事ができ、医学生の時よりも毎日が充実していて楽しかったです。 研修医の間も同じくチェックリストのようなものがあり、しっかりとすべてをこなさないといけませんでした。授業も週1でお昼休みにあったのでその出席や、ケースレポート、先輩医師とのディスカッションなど、仕事の合間を縫って行わなければなりませんでした。CAPSというClinical procedure(臨床手技)のチェックリストもありました。 同期や他の医療従事者からの評価も必要で、それをすべてクリアすると2年目に上がれます。2年目は本免許になるのでできることが少し増え、同様にクリアすると研修医修了書がいただけます。 その後のキャリアは人それぞれで、専門医になったり、いろいろな科を転々としたりするなどさまざまです。最近ではイギリスの医師免許の書き換えだけで行けるオーストラリアに1、2年行く人も増えました。 最後に 医学部の勉強は決して楽ではなく、試験のたびに涙しながら勉強していました。卒業の日を夢見て頑張ってきたからこそ、最終試験に合格した時の気持ちは今も忘れられません。 医者の道を進んで本当に良かったと思いますし、私を育ててくれたグラスゴー大学にも感謝の気持ちでいっぱいです。

立教英国学院での中学3年間: 寮生活から授業、年間行事まで

こんにちは!Ayatoです。前回の記事で、私が中学の時にロンドンの南西部に位置する立教英国学院で3年間を過ごしたことについて触れました。私の母校である立英(立教英国学院の略称とします)でどんな生活をしていたのかについて詳細を語りたいと思います!  立教英国学院の基本情報 立英はロンドン郊外にある日本人学校です。教育システムは日本の普通科で、4月に新学期が始まります。対象となるのは小学5年生から高校3年生の中高一貫校です。生徒数は一学年で約5~50人と小規模です。生徒は皆日本人ですが、多様なバックグラウンドを持っている方が多くいます。 本館(手前)と教室棟(奥) https://www.rikkyo.co.uk/ 生物学に限り、イギリスの課程であるIGCSEを修学します。生徒数に対して日本人と英国人の先生方の人数がとても多いので、きめ細やかな教育を受けられるのが立英の特徴です。また、授業外では友達と日本語で話すことができるので、英語の環境に慣れていない日本人の子供が自信を失うことなく新たな環境に適応する力を自然と身につけられるのも立英の素晴らしさです。  全寮制の生活環境 立英での生活は、日本の中学校ととても異なります。まず、全寮制なので、親元を離れて1人で海外に行くことになります。そして、寮と校舎が徒歩3分程度の距離にあり、この2カ所でかなりの時間を過ごすことになります。サッカー場やテニスコート、体育館などがあるため、体を動かすこともできます。 皆同じ時間に起きて、食事を共にします。家事はベッドメイキングといった最低限のことを除き、洗濯などはCleaning Ladiesと呼ばれる寮のスタッフの方々が生徒の代わりに行なってくださいます。そのため、勉強や部活に集中する環境が整っていると自信を持って言える学校だと思います。  立教英国学院での1日 私の平均的な日(平日)のスケジュールについてご紹介しようと思います。現行の立英の制度がどうなっているのかは不明ですが、私のいた頃と大きく変わることはないと思います。  立英の空撮写真 https://www.rikkyo.co.uk/ 朝~授業前まで 朝の8:00にベルが鳴るので、その音で起床します。全員同じ時間に起きます。8:15にラジオ体操をするため、それに間に合うように制服に着替えてベッドメイキングをします。その後、簡素なお祈りをしてから朝食を取ります。当番の日は、食事前に配膳の手伝いをします。立英はキリスト教(プロテスタント)の学校なので、礼拝があります。朝食後の9:10から礼拝があるので、5分前には礼拝堂に着席するようにします。  私の場合は、この礼拝までの間に英字新聞を読みます。その後、先生が用意してくれた質問に答えるという任意のワークシートが学校にあるので、それを毎日やっていました。  授業、昼食 礼拝が終わると授業が始まります。授業は先生方が熱心に教えてくださいました。英国人の先生はGCSE Biologyと英語を担当していました。英語の授業は、日本語の先生が教えてくださる教科書準拠の文法の授業と、実用的な英語力を養う英国人の先生が担当してくださる英語の授業に分かれていました。  それらが終わると昼食の時間です。皆が一堂に会し、朝食同様にご飯を食べます。立英は人数が少ないので、噂はここで一気に伝播します(笑)。昼前に起きた出来事が、夕食の時にはもう話題になっているなんてことはよくあります。先輩後輩や先生方と関わる機会が毎日のように与えられるのは、立英が大家族と言われる所以の一つだと思います。  食堂で座る場所は2週間ごとに総席替えします。その間は、席が1日ごと横にシフトしていくので、隣の人は変わらないけれど、前の人はどんどん変わっていくので、さまざまな人とお話しができて楽しかったです。  その後は、午後の授業があります。金曜日の場合は午後に授業をしない代わり、運動をします。立英には一般的な運動系のスポーツはもちろん、乗馬やゴルフといった通常の学校ではなかなかする機会がないスポーツもあります。私の場合は、バドミントンが好きだったので、それをやっていました。  ここでも、学年で分け隔てなく交流する機会があり、先生方とも仲良くなれた場でした。今思えば、このような場があったからこそ、親元を離れても心理的安全性が確保されていたのだと思います。  放課後 放課後は自由時間です。部活、勉強、シャワー、寝るなど自由です。自習をしているのは私と高2、3年生だけで、あとの人は部活か寮でみんなとゲームをしたりして遊んでいました。時々、勉強が好きすぎる僕に質問をしにきたり、雑談をしにきたりする面白い友達を持てたのはとても幸せでした。夕食後は、皆夜まで自習をします。  立教英国学院の年間行事 最も盛り上がる行事: 文化祭 立英にはさまざまな行事があります。最も盛り上がるのがオープンデーです。日本でいう文化祭ですね。これには筆舌に尽くし難いほどのストーリーで満載になります。  企画から展示まで一気通貫で手掛け、皆の協力の元一つの作品を作り上げます。たった2日間の文化祭、されども私たちの情熱はどのクラスにも負けんとする心意気がありました。クラスの出し物と、個人で参加する部活動による出し物の2種類があり、どちらも大盛り上がりです。  私は、剣道とドミノ(ドミノ倒し)に所属していました。当日は、剣道の形を全校生徒と訪問者の前で披露し、実際に試合も行いました。ドミノは、さまざまな仕掛けを用いたりドミノを用いたりして、部屋一つを貸し切った壮大な作品を作りました。  クラスの出し物は、毎年創造性に富んだ素晴らしい展示でいっぱいです。どの教室も絵の具でデザインした模造紙を使って、教室がそのテーマ一色に大変身します!独特の世界観で見るものの想像を超える展示は、オープンデーの醍醐味です。  遠足、球技大会、テニス観戦、スクールコンサート、クリスマスキャロル それ以外にも、学校生活を彩ってくれるイベントは盛りだくさんです。例えば、4月には英国で満開になるブルーベルの丘に散歩に行き、5月には球技大会が開催されます。 6月は、テニスの発祥の地であるWimbledon(ウィンブルドン)へ赴き、テニスを観戦します。 ウィンブルドンでのテニス観戦 https://www.rikkyo.co.uk/ 7月にはスクールコンサートがあり、軽音部やダンス部などが大活躍します!冬はクリスマスキャロルがあります。このように、英国文化を感じられる、特別な時間を実感することができる機会が山ほどあります。  因数分解コンクール、漢字コンクール また、アカデミックなイベントもあります。年に一度、因数分解コンクールと、漢字コンクールが開催されます。全員参加するものですが、人によってどのくらい熱を入れてやるかはまちまちです。私は行事にどハマりするタイプだったので、やりこんでいました。  因数分解コンクールは、高校生が初めてやるものから、対称性を用いた難しいものまでさまざまな問題がありました。特徴として、その年の西暦にちなんだ難問が出題されます。素因数が多く存在する年は出題する内容が複雑になりやすく、対策にも苦労したものです。  漢字コンクールは、常用漢字(漢検2級レベル)が主な出題範囲でした。そちらは、数はあっても対策すれば取れますが、10問だけ難問が出ます。これは常用範囲外で、予想問題がありますが、実際に出ても1問でした。全て書き取りなので、ど忘れはかなり焦りましたね。  一年の締めくくり: 卒業式 一年の締めくくりは、卒業式です。卒業される先輩方の背中を見るのは、寂しくもあり、自らがその立場になるという責任感を感じる場でもありました。お辞めになる先生方はその時に明かされます。一人一人の話す言葉が力強く、立英で多くの時間を共にしてきた仲間としてとても多くの意味を感じ取ることができるものです。  卒業生は、基本的に立教大学に進学することができます。詳しく知りたい方は直接学校に問い合わせください。最近では、ロンドンの大学に進学する人も増えています。  終わりに 立英での3年間は今までの人生の中で最も密度が濃かった時間でした。そして、不思議なことに、数多くの他の卒業生も口を揃えてそう言います。だからそこには、それだけ特別な環境があるのだと信じています。皆さんもぜひ、かけがえのない時間を立教英国学院で過ごされてはいかがでしょうか。生徒としてでなくても、オープンデーに行く機会があれば、活気ある学校生活のことがよくわかると思います。  https://passport-to.com/articles/19/

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