数学を「深く考える」イギリスの大学・大学院で数学を学ぶ日本人インタビュー

今回は、Imperial College London(インペリアルカレッジロンドン)のMasters(修士課程)で、Mathematics(数学)を履修している岡野くんにインタビューしました。岡野くんとはKing’s College London(キングスカレッジロンドン)のUndergraduate(学士課程)時代に、大学のJapan Society*で知り合い、今はフラットメイトとして一緒に生活しています。

大学時代、僕はLiberal Arts(リベラルアーツ)、いわゆるArts and Humanities(文系)の科目を履修していました。基本的に理系、特に数学には昔から苦手意識があり、岡野くんは自分とは全く違う世界にいる印象を持っていました。しかし、今回インタビューをして実際にどんなことを学び、何を感じているのかを詳しく聞けたことで、数学の実態が少し分かったような気がします。数学をイギリスで勉強することに興味がある方や僕のように文系だけど、数学の魅力を感じてみたい方にとって、この記事が学びの様子を知るきっかけになれば幸いです。

*Japan Society=ソサエティは日本の大学でいうサークルのようなもので、Japan Societyは日本人や日本の文化に興味がある人が交流するコミュニティ


「数学」という分野

Q:最初に、大学時代、何学部に所属していたか、今は大学院で何を勉強しているか教えてください。

僕はKing’s College LondonでNatural, Mathematical & Engineering Science(自然科学、数学、工学数学)という学部で勉強していました。去年キングスカレッジロンドンを卒業して、今はImperial College LondonのMastersでPure Mathematics(純粋数学)を専攻しています。Pure Mathematicsっていうのは、数学的な構造や法則そのものを探究する分野です。実社会での応用を目的とするのではなく、定義、命題、証明を追究する、いわば数学そのものを考えるための学問です。大学院はより難しい大学でチャレンジして、そこからPhD(博士号)の取得にも繋がりやすそうだと思い、別の大学でMastersをすることにしました。

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Q:大学時代はどのようなことを勉強していましたか?

数学の理論的な部分を中心に、定義や証明、そこから導かれる定理を深く追究していました。King’sは特にGeometry(幾何学 – 図形や空間の性質について研究する数学の分野)に力を入れている大学で、Topology(位相幾何学 – 形の“つながり”や“連続性”に注目する数学)について詳しく学べたことはすごくアドバンテージになったなと思っています。

授業と研究内容

Q:Mathematicsの授業スタイルってどのような感じなんですか?

学部ではLecture(レクチャー – 講義)が中心で、先生が教科書をもとに進めていくスタイルです。加えて、Seminar(セミナー)形式の実践的な授業もあり、そこではPhD(博士課程)の学生と一緒に問題を解きます。特に試験対策になるような応用的な演習が多かったです。

岡野くんの代数学のノート
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Q:文系の場合、大学のFinal Grade(最終成績)はExam(試験)やCourse work(宿題)、プレゼンテーションだったり色々な課題で測られますが、Mathsの成績採点ってどんな感じなんですか?

えーとExamが成績の100%です!辛いです笑。もっと応用的な分野だったら、成績の40%ぐらいをCourse work*が占める場合もあるけど、基本的にはExamが中心ですね。キングスで勉強していた時、最終年には「King’s Project」と呼ばれる研究プロジェクトがありました。自分で設定したテーマを研究する、小論文のようなものです。

*Course work=コースワーク – 宿題のようなもの

Q:Mathsのプロジェクトってどんなものを研究するんですか?

大学で僕はWaring’s Problem(ウェアリングの問題)を研究しました。1770年にイギリスの数学者のEdward Waring(エドワード・ウェアリング)という人が提唱して、実際に解かれるまで130年ぐらいかかった問題です。

Q:… ?

一言で言うとwhether every natural number can be expressed as a sum of a fixed number of kth powers of natural numbers, for any integer k≥2. (「すべての自然数は、k乗の数(平方数、立方数、4乗数…)の和で表せるのか?」)という問題です。

Q:はい…?

この世の中の自然数って、実は4つ以内の平方数で表せるんです。何かランダムな数字を言ってみて?

Q:39!

39は36(6²)+1(1²)+1(1²)+1(1²)で表せます。

じゃあこれが3乗(立方数)になった場合は、どうなるか?

27(33)+8(23)+1+1+1+1で表せる。立方数になると7つ以内で表せます。

じゃあこれ以降は?k乗の数が増えていくとどうなるのか?最大で何個まで足せば、必ずどんな自然数をもk乗の数の合計で表せるようになるのか?そういうことを求める問題です。

Q:なるほど!わかりやすい。これだった自分が中学の数学で勉強したこととかを使ってでもできそう。

そう!特にNumber Theory(数論)の分野って、一見意味がわからないようなことをやっているように思えても、中学や高校で学んだ数学をより高等な技術で再構築している感じなんです。

数学に魅了され

Q:数学に興味を持ったきっかけって何だったんですか?

Quadratic Formula(2次方程式の解の公式)って覚えてる?

Q:こういうやつですよね。

そう。これがなぜそうなるのか、中学校の時に自分で導き出せたことがあったことがきっかけです。(https://sugaku.fun/quadratic-equation5/)

母親が運転する車に乗っている時、ふと自分で証明できました。

Q:すげー!

高校に入ってからも数学の大会に出る機会があって、そこから数学の分野にのめり込んでいった感じです。純粋に数学の問題を解く、証明するのが楽しいっていうのがMathsを追究していきたいと思った大きな理由でした。

イギリスの大学で数学を学ぶ意義

Q:大学でMathematicsを勉強することを決めた上で、なぜイギリスの大学を選んだのですか?イギリスの大学で数学を勉強するメリットってなんだと思いますか?

そもそも自分は国外に出て、英語で勉強したいという思いがまずあったからイギリスを選びました。イギリスだとどの大学にも世界的に有名な教授がいたりします。例えばUniversity of Oxford(オックスフォード大学)にはFermat’s Last Theorem(フェルマーの最終定理)を証明したAndrew Wiles(アンドリュー・ワイルズ)教授などのレジェンド級の教授達が在籍しています。

Q:聞いたことある定理!解かれるまでに300年ぐらいかかった問題ですよね。なるほど。先生で大学を選ぶっていうこともあるんですね。文系の学生が大学を決める時にはない感覚かもしれないです。

うーん。自分の興味のある分野を把握して、そこの有名な教授で志望校を決めるみたいなこともあるけど、注意点はあります。先生って色々な大学を転々とするので、自分が入った時とか最終学年とかになって、気になっている先生が大学からいなくなっている場合もあるのでリスキーかもしれない。そこは気をつけないといけないと思います。

数学を学んで感じたこと

Q:今、大学院に上がってMathsを続けて勉強していて、大学から変わったなと感じる部分はありますか?

単純に内容量やレベルが上がったのはあります。他にも前提知識みたいなものが増えて、授業スピードが上がるので、勉強は大変になりましたね。

Q:同じ学問をKing’s College LondonとImperial College Londonの2校で勉強している中で、大学間でのMathsの授業スタイル・教え方の違いなどは感じましたか?

Imperial College Londonの方がより先生がストイックな気がします。短時間の授業で色々なことをカバーするので、スピードがとにかく速い。一方、キングスの先生は優しくて、ゆっくり丁寧に教えてくれたかな。他にもインペリだと、授業以外で数学に触れられる時間がキングスよりも多いです。他の大学との交流会があって、University of Warwick(ウォーリック大学)とお互いに研究内容を発表し合うイベントもありました。

Q:イギリスでの学びを通して、自分の中の価値観や姿勢が変わったと感じる部分はありますか?

はい。特に「考えること」に対する姿勢が変わりました。やはり数学って「どう考えるか」「なぜそう考えたのか」というプロセス自体が凄く重視されます。学びを通じて、僕自身も単に答えを求めるのではなく、「問いを立てること」「考え続けること」の重要性に気づくきっかけになりました。同じ志を持った仲間が周りにいると、それだけでモチベーションが上がるし、日々の学習の刺激にもなります。教授のレベルも驚異的だったりします。すごい人は本当にありえないレベルです。どんな質問にも即座に正確に返してくれるんです。そういった本当に頭のいい人たちの中で学べるのは貴重な体験です。多文化環境の中で数学を学ぶことで、様々な価値観に触れ、自分の考え方も広がったなって感じます。図形

数学を学ぶ上で必要な特質

Q:数学を学ぶことに向いているのはどんな人だと思いますか?

僕は大きく分けて3タイプいると思います。一つ目は数学が好きな人。特に証明や定義、ロジカルな部分に面白みを感じる人。二つ目は数学が得意な人。これは他の分野に特に興味がないけれど、数学の力を何かに応用したいと思っている人です。僕が勉強した分野はPure Mathematics(純粋数学)でしたが、Mathsには他にもBiomathematics*やApplied Mathematics**みたいに色々な分野があります。Mathematicsは大学1年目で、他のNatural Science(自然科学)の分野で習う数学の内容を全部カバーしてくれたりするので、大学後のキャリアに繋げることもできたりします。そもそも論理を組み立てる力っていうのも養うことができますしね。で、最後は暇な人

*Biomathematics=生物数学 – 生物学的現象を数理モデルや数式を用いて解析・予測する分野
**Applied Mathematics=応用数学 – 現実世界の問題を数学的に定式化し、解決に導くことを目的とする分野

Q:笑笑

いや、でも本当に。究極的には、数学って紙と鉛筆と自分の頭だけで無限に楽しめる「最強の暇つぶし」なんです。広大なラボや膨大な量の本もいらないからコストがかからない。でも、その中でフェルマーの最終定理みたいな300年かけても解けない問題がまだ存在したり、Millennium Prize Problems(ミレニアム懸賞問題)という一つの問題に100万ドルの懸賞金がかけられていたりする世界なので、自分で考えて問題に挑戦すること自体が面白いっていうのはありますね。

Q:一緒に暮らしていて気づいたけど、すごい長い時間をかけて宿題とかやってるよね。1ヶ月間ぐらいあった試験期間とかは本当に大変そうなのが伝わってきました。

Mathsに興味ある人って、忍耐力が本当に必要だと思います。僕は一問解くのに3日ぐらいかかったこともあります。逆にそれぐらいかけて、解けなかったこともあります。問題を解いていくというプロセスを根気よくやっていかないと、数学が嫌いになることもあると思います。これだけ忍耐力が必要なのに試験になると、タイムリミットがある中で問題を解かないといけなくなるから、本当に試験が嫌いです。

Q:でも中学で初めて興味を持って、大学を経て大学院でも続けて勉強しているってことは本当にMathsに興味があるってことなんですね。

うん。ただ、試験はゴミです笑笑

Q:じゃあ最後に、好きな数字はなんですか?

2かな。まず2は最小の素数であること。2によって線分が成り立つこともあるし、自乗っていうのもすごく使いやすいのもある。んー、でもCharacteristics of field 2(標数2の体)の時はクソめんどくさいんだよな。でも、結局2なんだよな。

Q:やっぱりよくわかんないわ数学笑笑

文系の僕にとって、数学はずっと“遠い世界”でした。しかし、岡野くんとのインタビューを通じて、その世界が少しだけ近づいた気がします。

「深く考える」「論理を積み重ねる」「わかるまで粘る」。それらは数学に限らず、あらゆる学問や人生にも通じる価値かもしれません。

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The Department of Mathematics at Imperial College London is an internationally renowned department within one of the wor...

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すごく楽しいです。ハウスメートたちとは仲も良くトラブルもありません。これ以上良いハウスメートはいないんじゃないかと思うくらいです。 また、スーパーが近いというロケーションもすごく重要です。シェアハウスをすると話し合った時にスーパーから近いところにしようと決めました。夜、急にチョコチップアイスを⾷べたくなった時にすぐに買いに⾏けるんですよ。この利便性は本当に⼤事ですね。家でラグビーの試合を⾒ている時なんかは、ハーフタイムにダッシュで買いに⾏っても後半戦に間に合うんです。 食事はどうしていますか?ハウスメートと一緒に作りますか?それとも各自ですか? たまに⼀緒に作って⾷べることもあるんですが、基本的には各⾃で作りますね。⾷べたいものが全然違うので。僕はスパゲティを作ることが多いです。安くて簡単で速い、⼤学⽣に必要な三要素がそろっています。そしてビタミン不⾜には気をつけるようにしています。 マンチェスターは学生が住みやすい街 マンチェスターに2年間暮らしてみて、どうですか? とても住みやすい街だと思います。マンチェスターはシティセンターの端から端まで歩いて30分しかかからないです。⾏きたいは基本的に徒歩範囲内です。加えて、バスが24時間⾛っているのがありがたいです。 街と⼤学が⼀体になっているところも住みやすいと感じる理由です。ロンドンの⼤学だとキャンパスが街の中⼼から離れているところが多いのですが、マンチェスター⼤学はキャンパスの周りにいろいろな店や施設がそろっているので便利です。 日本の公立小学校を経てイギリスへ留学 11歳に渡英したとのことですが、どういう経緯でイギリスに来ることになったのですか? イギリスに⾏こうと思ったのは⼤きく2つの理由があります。1つは当時サッカーをしていて、海外のレベルで挑戦してみたかったからです。もう1つはハリウッド映画にすごくハマっていて、英語への憧れがあったからです。 ⼤⼈になるとアイデアが浮かんでもあれこれ考えてしまうと思うのですが、当時⼩学⽣の私は「サッカーがしたい」「英語がしゃべりたい」という2つの原動⼒だけで両親に相談したら背中を押してくれました。イギリス南東部の中⾼⼀貫のボーディングスクールに⼊学し留学⽣活が始まりました。両親は⽇本に残り、単⾝で渡英して今に⾄ります。振り返ると当時はよくやったなと思います。 最初の1年間はとにかく何をやっても⼤変でした。⾔葉が通じなくて、指⽰が理解できず何をすればいいか分からなかったです。授業にもついていけなかったです。意味が分からないことで怒られたこともありました。 高校時代の凌太朗さん 英語があまり話せなかったということで配慮してもらいましたか? 僕は11歳で⼊学しましたが、この年齢で英語ができないという⼦がそれほど多くなかったので特別扱いはなかったです。そういう体制が整っていなかったと言ったほうが正確かもしれません。⾼校⽣の学年になると留学⽣も増えるので英語の補習クラスなどがありました。ですが、私の⼊学した年齢ではそれがなかったので、英語の海に投げ込まれた感じです。今考えるとそれが良かったですね。最初からネイティブと⼀緒に授業を受けたので、現地の⼦たちとの関わり⽅が早いうちに分かり、彼らに溶け込むのが⽐較的スムーズでした。 つらいことだらけだった生活をどうやって乗り越えたんですか? 気合ですね。本当は諦めることもできました。両親に「もう無理」と⾔えばやめることができたと思います。でも自分としては諦めるという選択肢はなくて、何が何でもやり切りたかったです。我慢と忍耐⼒で乗り越えた当時の経験が今の私の礎になっています。 留学生活に慣れるまでどれくらいかかりましたか? 1年もかからないうちに慣れました。英語⼒に関しては、1年⽬は⾃分の気持ちを少し伝えられて、2年⽬は相⼿の話を聞いてしっかり受け答えができるようになりました。3年⽬になると思い通りに会話ができました。このように成⻑していることを⾃分でも段階的に実感しました。3年⽬が終わる頃にはいわゆる“英語ペラペラ”になっていたと思います。 その時点で英語が話したいという目標はクリアしたということですね。 はい、確かに英語が学びたいという1つの⽬的は達成しました。しかし私にとって英語は⽬標ではなく1つのスキルです。⽬標を達成したというよりはある1つのスキルを⼿に⼊れたと捉えています。 なるほど、ではもう1つの目的だったサッカーはどうなりましたか? 僕が⼊った学校にはChelsea Foundation(チェルシーファンデーション)がありました。Chelseaはイギリスプレミアリーグのサッカーチームで、そのアカデミーファンデーションに加⼊しました。このクラブがあったことが⼊る学校を選んだ理由の1つです。 でもラグビーをやってみて分かったのですが、⾃分のサッカーへの愛というか、情熱はラグビーに⽐べると全然⾼くなかったです。ラグビーの魅⼒には⼀試合で染まりました。今は「ラグビー⼤好き!」です。 ラグビーが好きになったのは試合を観戦したのがきっかけということですね。 いえ、16歳の時、他校との試合に「1⼈助っ⼈が欲しい」と⾔われたことが始まりです。「じゃあ俺がやるよ」と、タックルの仕⽅すら分からないのに出場しました。 初戦で相⼿のデッカい選⼿がボールを持ってこっちに向かってきました。私の後ろがタッチラインだったので抜かれたらアウトになってしまうと思い、必死に守ろうとしました。アタックのやり⽅が分からないのでその選⼿に抱きつき、どうにかして⽌めようとしました。だが次の瞬間、相⼿の肘がバーンと顔を直撃し、⿐が折れてしまいました。結局トライを決められ、「俺の⿐⾎はなんだったんだ」となりましたが……。 それでも、ラグビーのメンタリティーや団結感がすごく好きになりタックルも楽しいなと思い、サッカーを置き去りにしてラグビーに転向してしました。 普通はトラウマになると思うのですが、すごいですね。 それは両親と家族のお陰だと思います。 実はラグビーで前⻭が1回折れかけたことがあります。普通の親御さんですと動じて「そんなスポーツやめなさい」などと⽌めるのではないかと思うのですが、私の⺟は「しっかりやりなさいよ」と。こんな感じで、⼤変なこともサポーティブに前向きにしてくれたことでトラウマにもならずに続けることができています。また、そういう姿勢は海外⽣活する上での助けになっています。 海外大学生の就職: 日本の企業に就職したい 卒業後はどういう予定ですか? ⽇本の企業で働きたいです。 海外で勉強した学⽣は結構外資系企業に就職する⽅が多いと思います。でも私は⽇本⼈⼀⼈⼀⼈が⾃信を持ち、世界で戦うリーダーや組織の成功例を増やしていきたいからこそ、⽇本企業にこだわります。その理由は⽇本⼈の団結⼒というものはすごく強いと感じているからです。 例えばサッカーを⾒ても、ブラジルとの試合では、選⼿⼀⼈⼀⼈のレベルは圧倒的にブラジル⼈のほうが⾼いですが、最後は⽇本が勝ちます。なぜかというと団結⼒という⽇本の素晴らしさがあるからです。これはビジネスでも共通するところがあると考えています。⽇本企業で同じ⽬標に向かって団結すれば⼤きなものを⽣み出していけると思います。 https://www.manchester.ac.uk

【模擬国連】LIMUNとは?潜入レポートと参加者インタビュー

ロンドンでは毎年、LIMUN(London International Model United Nations / ライムン)というヨーロッパ最大規模のModel UN(Model United Nations - 模擬国連会議)が開催されています。模擬国連とは、学生が各国の大使になりきり、国連会議を模して議論を行う教育的な活動です。多くのイギリスの大学には模擬国連のSociety(日本の大学でいうサークルのようなもの)があり、LIMUNはそれらの団体が一堂に会する大きなイベントとなっています。 今回は、友人が模擬国連の最高責任者であるSecretary-General(事務総長)を務めることになり、その関係で僕も4月26日〜27日に開催された高校生向けのLIMUNであるLIMUN:HSの広報担当として企画・運営に参加しました。期間中には、過去にLIMUNの幹部として携わってきた友人へインタビューをしました。本記事が模擬国連の魅力を知るきっかけになれば幸いです。 模擬国連(LIMUN)の準備: 運営の舞台裏 友人からLIMUN:HSの企画・運営の打診があったのは、1年前の11月でした。大学時代、私は模擬国連に参加していませんでしたが、周囲には模擬国連のSocietyに所属している友人が多く、活動内容が気になっていたこともあって、彼女の誘いを受けることにしました。 自分のIDカード 本格的な準備が始まったのは、イベントの3か月前、今年の1月からです。最初はSNSやウェブサイトを通じた告知・募集業務が中心でした。開催が近づくにつれ、業務量が一気に増加。特に大変だったのは、11ある委員会それぞれの概要や議題の関連情報をまとめたStudy Guide(議題解説書)の編集と、約200人分の参加者情報をもとにプラカードやIDカードを作成する作業でした。直前のキャンセルや飛び入り参加もあり、当日までバタバタしていました。 プラカード 模擬国連(LIMUN)で扱われた多様な議題と委員会 模擬国連当日、参加者は委員会ごとに分かれて異なる議題で会議を行います。 今回のLIMUN:HSでは、‟The Rise of Mega-Constellations: Managing Space Debris and Orbital Congestion” -「巨大星座の台頭:宇宙デブリや軌道混雑にどう対応するか」という議題を扱うCOPOUS(Committee on the Peaceful Uses of Outer Space - 国連宇宙空間平和利用委員会)や、“Addressing Security Issues in the Sea of Japan” -「日本海の安全保障問題」をテーマとするUNSC(United Nations Security Council - 国連安全保障理事会、安保理)など、幅広いトピックが設定されていました。 なかには、‟Death of Julius Caesar” -「ジュリアス・シーザーの死」というテーマで、歴史上の人物になりきって議論を行うCRISISという変わり種の委員会もあり、特に人気がありました。Study Guideやプラカードなどをまとめているうちに、本当に色々な委員会やトピックがあると実感し、面白そうだなと思いました。 WHOのStudy Guideの表紙 会場はキングスカレッジロンドン: 当日の様子 実際にLIMUN:HSに参加してまず感じたのは、やはりそのスケールの大きさでした。とりわけ会場となったKing’s College London(キングスカレッジロンドン)のキャンパスは貸し切り。加えてロンドンやBath(バース)、Southampton(サウサンプトン)、南部のGildridge(ギルドリッジ)、Oxford(オックスフォード)、Cambridge(ケンブリッジ)などから10校以上、合計約150人の高校生が参加しました。 高校生向けのイベントを大学生が主催するということもあり、運営側には参加者の安全と満足を第一に考える責任がありました。準備期間中は各高校の生徒・そして先生方とも頻繁にコミュニケーションをとり、注意事項などを確認し合いました。イベント期間中は各会議室に加えて、Wellbeing Room(ウェルビーイングルーム - 精神的なストレスを抱えた場合によく使用される休憩室)やサポートスタッフの配置など、細かな配慮が求められました。運営中は常に緊張が抜けず、何かトラブルが起きないかと気が気ではありませんでした。 会議の様子を見学する機会がありました。生徒たちは事前にしっかり準備をしていて、非常に熱心にディベートに取り組んでいました。多くの生徒が大学でも模擬国連を続け、LIMUNに参加したいと話していたのが印象的です。閉会式では、各委員会で最も活躍した生徒や、著しい成長を見せた生徒に表彰状が贈られるセレモニーも行われました。 開会式前の様子 模擬国連(LIMUN)幹部経験者インタビュー: ガブリエル君(スペイン出身) Q:そもそも模擬国連とは? 模擬国連とはその名の通り、国連の活動を模擬的に体験する活動です。国連には業務を遂行する様々な機関があります。例えば、WHOと呼ばれる保健や医学事業などを専門分野とする世界保健機関(World Health Organization)やUNICEF(ユニセフ)と呼ばれる子供達の支援や保護をする国連児童基金(United Nations Children’s Fund)などがあります。期間中は各委員会に分かれて、定められたテーマの国際問題について議論や交渉を行います。 Q:あなたの模擬国連での役割は? 僕は来年行われるLIMUNにDSG(Deputy Secretary-General / 副事務総長)として参加する予定です。模擬国連の包括的な企画・運営をする役職です。また、過去には各委員会の企画を担当するUSG Chairing(Under-Secretary-General Chairing / 事務次長議会企画担当)という役職に就いたことがあります。 Q:模擬国連の面白さとは? どういう役割を持って模擬国連に参加するかによって、全然違った体験ができるところです。基本的には議長(Chair)か事務局(Secretariat)役で参加して模擬国連の企画・運営をするサイドになるか、大使(Delegate)役で会議に参加し、決議案の作成などを行うかの2つです。知人がChair役をやっており、それに興味を持ったのをきっかけに、僕はこれまでChairの立場で模擬国連に2年間参加し続けてきました。より深く、内部からこのイベント・活動に携われるのが楽しいところです。 Q:運営側としてのやりがいは? LIMUNはヨーロッパ最大規模の模擬国連イベントです。今年の2月に行われたLIMUNでは計1200人もの学生が集まりました。それだけの人数を集めて模擬国連を企画・運営するのはもちろん大変でもあります。そして1000人以上の参加者がトラブルなくイベントを終えるためには、随分前から準備を始めないといけないですし、プレッシャーや仕事量に押しつぶされそうになることもあります。学業との両立も大変でした。ただ、一から立ち上げたものに参加者が楽しんでくれている姿を見るとやりがいを感じます。 Q:模擬国連の活動を経て得た成長は? 模擬国連の活動・会議はディベートを中心に行われます。会議に向けての練習だったり、実際にディベートに参加したりすることで自分のスピーキング・ディベートスキルが特に上がったなと思います。最初はなかなかうまくいきませんでした。何回も会議に参加していくうちにどんどん自信がついていきました。他の人と意見交換をするのは自分の知らない国の政治事情などを知る機会でもあります。特にLIMUNのような規模になると違う地域の大学からも参加者が来ています。そのため、新しい友達を作るきっかけにもなりました。振り返ってみると心理的・社会的・精神的、様々な面で僕を成長させてくれた経験だと思います。 Q:模擬国連にはどんな人が向いていると思いますか? 当然、国際関係や国連、もしくはそこで働くことに興味がある人にはピッタリだとは思います。保健や医療に興味がある人はWHO、法学に興味がある人はICJ(International Court of Justice - 国際司法裁判所)、歴史や考古学に興味がある人はUNESCO(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization - 国際連合教育科学文化機関、ユネスコ)といった具合で、関心のあるトピックについて意見を交換し合います。特別国連に興味を持つ必要があるとは思いません。どんな人でも惹かれるテーマに出会えるはずです。 Q:将来への役立ち方は? 将来国連で働きたいと思うなら、模擬国連はその予行演習をできる貴重な機会だと思います。そうでなくても、さっき話したようにここは心理的・社会的・精神的に成長できる場なので、何かしらの形で必ず将来に役立つと思います。 Q:最後に、模擬国連に興味を持っている人へ一言 Just go for it! 僕にとって模擬国連は、大学生活で最も充実した活動でした。最初は不安があっても、思い切って参加すれば、必ず得るものがあります。LIMUNで出会った友人は今でもかけがえのない存在です。それが来年またChairとして参加することを決めた理由です。この記事が、少しでも多くの人に模擬国連の魅力を伝えられたら嬉しいです。 ありがとうございました! https://www.limun.org.uk

【IELTS勉強法】イギリス大学受験のための対策をキングスカレッジロンドン生が解説

イギリス留学とIELTSの関係 先日、イギリス留学を目指している日本の友達と通話した際に、IELTS(International English Language Testing System)で点を取るのが難しいという話題になりました。というのも、イギリスの大学や大学院に国外の学生(International students)が進学する場合、入学試験の一環として多くの教育機関がIELTSのスコアを英語力の証明として求めることが一般的です。これは、学術的な環境で英語を活用できる能力を示すために必要な試験とされています。 IELTSの種類 IELTSには主に2種類の試験があり、留学を目指す人が受けるアカデミック(IELTS Academic)と、移住や海外就労を目指す人が受けるジェネラル(IELTS General Training)に分かれます。一方のAcademicは専門的や学術的な内容です。他方、Generalの内容は日常生活で使う英語などが中心です。 IBやA-Levelなど国際的な教育プログラムを受けている場合、大学に出願する際のIELTSスコア提出が免除されることもあります。しかし、学生ビザ(Student Visa)を取得するためには、IELTS for UKVIという専用の試験(フォーマットはアカデミックと同じ)を受ける必要があり、最低スコアが5.5となっています。一方、トップクラスの大学や大学院の場合、必要なスコアは7.0~7.5という高いハードルが設定されています。したがって、イギリス留学にはIELTSを受けることがほぼ必須だと言えるでしょう。 ハイスコア取得には戦略が必要 僕自身も高校で国際バカロレア(IB)を受けており、普段から英語を使ってコミュニケーションする機会が多かったのですが、試験に求められる英語と日常的に使う英語との違いに最初は非常に困惑しました。IELTSでハイスコアを取るためには戦略的なアプローチが必要だと痛感しました。勉強方法を見直した結果、1年間でスコアを6.5から7.5に引き上げることに成功しました。 本記事では、イギリス留学を目指す方々のために、IELTS対策を徹底的に解説し、効率的にスコアを伸ばすための勉強法やおすすめ教材、試験当日のポイントについて紹介します。 IELTS対策前後のスコア IELTSの試験形式 IELTSはリスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を測定する試験です。まず、各セクションの特徴を解説します。 リスニング(Listening) 試験時間:30分(+解答を記入する時間10分) 問題数:40問(10問×4セクション) Part 1:日常会話 Part 2:説明や案内 Part 3:専門的なトピックについての会話や議論 Part 4:大学の講義 リーディング(Reading) 試験時間:60分 問題数:40問(3パッセージ) 問題形式は選択問題(Multiple Choice)や正誤問題(True or False or Not Given)、文や図の穴埋め問題(Completion)など様々なものがあり、どの形式になるかはランダムです。 ライティング(Writing) 試験時間:60分 問題数:2問 Task 1:グラフ、表、地図、図の説明(150語以上) Task 2:エッセイ(トピックについて意見や議論などを250語以上) スピーキング(Speaking) 試験時間:11~14分 形式 Part 1(自己紹介):自己紹介・日常的な質問(例: 趣味、家族、仕事) Part 2(スピーチ):トピックカードが渡されて1分間準備→2分間話す Part 3(ディスカッション):Part 2のトピックに関連したテーマについて議論 評価基準 Fluency and Coherence(流暢さと論理的なつながり) Lexical Resource(語彙力) Grammatical Range and Accuracy(文法の正確性と多様性) Pronunciation(発音) これらの基準に沿って、どれだけ自然で正確に英語を使用できるかが評価されます。 採点 4技能それぞれに0.0~9.0のスコアが0.5刻みで評価され、4技能の平均が最終的なスコア(Band Score)になります。 【IELTSの勉強法】 実際に僕がやったこと 高校2年の時、僕は初めてIELTSを受けました。当時は7.0以上を目指していましたが、最終的なスコアは6.5でした。その時僕はIELTSのスタイルをいまいち理解しきれておらず、特に対策が必要なライティングのスコアが目標とは程遠いものでした。大学進学前にもう一度受験した際は、IELTSで求められる英語と日常英語の違いを理解した上で、IELTSのフォーマットに慣れるための効果的な対策を行うようにしました。僕が行った対策は主に2つです。 アカデミックな英語に慣れる まず、僕が行ったのは普段の会話とは違う、学術的・専門的な英語に慣れるということでした。そのためにはネットのニュースを1日1記事、毎日違うトピックの文章(月曜日は科学、火曜日は経済、水曜日は政治...といった感じで)を読むことを習慣づけました。わからなかった単語・フレーズは全てメモし、その単語を使って1文作り、実際に使って覚えていくというスタイルが効果的でした。また、IELTS Essential WordsというIELTS対策用の単語帳を活用しました。 その他にもイギリス英語のアクセントや言葉遣いに慣れるため、BBC NewsやThe Guardianなどのイギリスのニュースメディアを積極的に利用しました。日本の学校で習う英語や僕たちの身近にある英語(YouTubeだったりポッドキャストだったり)ではアメリカ英語が使われることが多いのですが、イギリスに留学した時のことも考えて早い段階からイギリス英語に慣れる練習ができたのはよかったなと思います。 試験スタイルに慣れる 次に僕が行ったのはとにかく問題を解いて、IELTSの試験スタイルに慣れることでした。しかしIELTSの場合、英検と違って過去問が公開されていないですが、公式サイトにあるサンプル問題、ブリティッシュカウンシル公認の問題集、IELTSの設問を作成しているCambridge English Assessmentとケンブリッジ大学出版局による問題集などが役立ちます。問題を解くときは本番と同じ時間設定で、試験のプレッシャーに慣れるような模擬練習をしていました。 人に自分の解答を見てもらう ライティングやスピーキングに関して、僕は家庭教師を活用し、エッセイの添削・スピーキング(面接)の練習を手伝ってもらいました。自分で後から解答を見直すといった方法もありますが、他人に見てもらって客観的なアドバイスをもらうことは評価基準のFluency and Coherence(流暢さと論理的なつながり)、 Lexical Resource(語彙力)、 Grammatical Range and Accuracy(文法の正確さと多様性)、 Pronunciation(発音)の全部を改善できる良い機会になるので有効的に活用するべきだと思います。 IELTSが難しい理由 僕がIELTSを難しいと感じた理由は、独特の試験形式にありました。IELTSは単なる日常英会話の試験ではなく、学術的・専門的な場面でも通用する英語力を測定するものです。そのため、正確に英語を扱う力が求められます。普段の友達との会話だと、文法・語彙が完璧でなくても言いたいことは伝わりますが、IELTSだと要領が違います。そこが僕が苦戦した1番の原因でした。 試験のプレッシャーと制限時間 まず、IELTSは試験時間が限られており、速くかつ正確に解答するスキルが必要です。リスニングの英文は1回しか流れず、解答時間も短いです。ライティングは60分で2つのエッセイを書きます。リーディングは1時間で40問、3つの長文を読むので時間管理が重要です。そして、スピーキングはスピーチを考えるのにも実際にスピーチをするのにも制限時間があり、自分の言いたいことを簡潔にまとめる必要があります。加えて、ビザ取得・大学進学のために定められたスコアを取らなければいけないという不安なども出てくるので、思い通りに進めづらい試験でした。 専門的な内容が多い IELTS Academicでは、大学の講義や学術論文レベルの英語が出題されます。例えば、リーディングでは「環境問題」「医学」「心理学」「社会学」などの専門的なテーマが扱われ、ライティングでは社会問題について論理的に意見を述べることが求められます。他にもIELTSはイギリス英語の発音や単語が多く使われます。そのため、アメリカ英語に慣れているとスペルや表現の違いが混乱のもとになります。 正確な文法と語彙力が求められる IELTSでは、スピーキングとライティングの評価基準の一つに文法の幅と正確性(Grammatical Range and Accuracy)という項目があり、ちょっとした”the”や”a”忘れなどの文法ミスが減点の対象になります。また、同じフレーズの使い回しも減点に繋がるので、簡単な単語ばかり使うのではなく、アカデミックな語彙を適切に使うことが求められます。日常会話で使いがちなI wannaやI'm gonnaはI want to やI am going toに置き換える必要がありますし、I’mなどの短縮系もI amに変えた方がいいと言われています。他にも、以下のようによく使う語彙は言い方を変えてレベルアップする必要があります。 I think➡I believe/ I am convinced thatMany people➡A significant number of individualsGood➡Beneficial / AdvantageousBad➡Detrimental / HarmfulHelp➡Assist / Support まとめ IELTSが難しいのは正確な英語力が求められる試験スタイルにあると思います。試験のフォーマットを理解して、対策をすれば高得点は狙えるので、計画的に勉強しましょう。 https://passport-to.com/articles/5/

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イギリスの大学の成績評価方法と課題をこなすコツ【現役ロンドン大学生が伝授】

はじめに こんにちは!Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを勉強しているKotokoです。 今はちょうど大学1年目が終わって夏休みに入り、1年次の成績も出ました。今回は、1年生の間に受けた授業のテストや課題をもとに、成績の評価方法についてお伝えしたいと思います。なお、ここで紹介する評価方法は私が通っているGoldsmithsでの一例であり、大学や専攻によって異なる場合があります。参考としてご覧ください。 イギリスの大学の学期と成績評価方法の概要 まず、イギリスの大学は日本と違い、秋入学で、秋(9〜12月)、冬(1〜3月)、夏(4〜6月)の3学期制を採用しているところが多いです。 また、評価方法も日本のように期末試験だけに重きを置くのではなく、エッセイや課題提出、プレゼンテーションなど多様な評価方法をバランスよく取り入れているのが特徴です。 私は1年生で秋タームに3つ、春タームに3つの授業を受けました。夏タームは授業がなく、主にテスト期間として設定されていたため、今回は秋と春の授業に絞って評価方法を詳しく紹介していきます。 秋タームの授業と評価方法 Introduction to Promotional Media この授業では、私の専攻であるPromotional Mediaの基礎について、歴史的背景や主要な理論を中心に学びました。広告、PR、ブランディングといったプロモーションの役割や、メディアとの関係性について、理論的に深掘りする内容でした。 評価方法①:エッセイ(800 words) – 30% 授業で扱った理論を使って、ある事例を分析する課題でした。初めての大学の評価課題だったこともあり、リサーチや構成にかなり時間がかかりましたが、テーマが身近だったので、取り組みやすかったです。 評価方法②:エッセイ(2000 words) – 70% 先生が提示した7つのテーマから1つを選び、授業で学んだ内容を活かして深く掘り下げる課題でした。最低5つの学術文献を引用する必要があり、リサーチ力と論理構成力が求められました。プレッシャーはありましたが、時間をかけてじっくり書き上げることができました。 Introduction to Marketing この授業では、マーケティングの基本についてセミナー形式で学びました。 評価方法①:エッセイ(1500 words) – 50% 授業で学んだマーケティングの理論を使って、最近のマーケティング関連ニュースを分析するという課題でした。冬休み前の提出だったので普段の授業の予習と並行して進める必要があり、正直なところ計画的に取り組むのが難しかったです。 評価方法②:試験(1時間半) – 50% 夏タームに行われた手書きの筆記試験で、当日提示された3つの質問の中から2つを選び、エッセイ形式で回答します。お題が事前に知らされなかったので、重要な理論や研究者の名前をしっかり暗記して、スペルミスなく書く必要がありました。私にとって、この試験が最も難しく感じました。 カフェで試験勉強に取り組んでいる様子 Writing for the Media この授業は、これまで紹介した2つの授業とは違って、より実践的な内容でした。専攻生全員が2つのグループに分けられ、少人数で行われたのも特徴です。授業時間も1〜2時間ではなく、お昼休みを挟んで午後4時ごろまで続く長めの授業です。先生との距離も近く、実際に手を動かしながら学ぶスタイルでした。主に、新聞記事やSNS投稿など、“書くこと”に特化したメディア表現について学びました。 評価方法①:エッセイ(1000 words) – 30% 授業で習った理論を使って、SNS投稿など実際のメディアの例を1つ選び、分析するという課題でした。 評価方法②:ポートフォリオ制作 – 70% 自分で1つキャンペーンを考案し、そのキャンペーンに関する以下の内容を含んだポートフォリオ(2500〜3000 words)を作成しました: スローガンと概要 Q&A(インタビュー内容を記事化) プレスリリース ソーシャルメディア投稿(10個) 冬休み明けの提出だったため、冬休み期間を使ってじっくり取り組むことができました。実際に手を動かして作る経験ができる授業で、学びがとても濃かったです。 また、このポートフォリオ制作に向けて、フォーマティブ課題※としてプレゼンテーションを行う機会がありました。これは成績には含まれませんが、先生からのフィードバックをもとに自分の企画をより良いものにブラッシュアップできたので、実践に活かせる貴重な時間でした。 ※評価の種類 イギリスの大学では、評価には大きく分けてFormative Assessment(フォーマティブ評価)とSummative Assessment(サマティブ評価)の2種類があります。 フォーマティブ評価:成績には影響しない練習課題やプレゼンテーションなどを指し、学びの途中でフィードバックをもらうためのものです。自分の理解度を確認したり、本番課題の準備をしたりする目的で行われます。 サマティブ評価:最終成績に反映される正式な課題(レポート、試験、ポートフォリオなど)で、学期の終わりや一定のタイミングで提出します。 春タームの授業と評価方法 Culture and Cultural Study この授業では、「文化」という広いテーマを、歴史、メディア、ジェンダー、ポピュラーカルチャーなど様々な視点から学びました。講義スタイルで進行し、理論的な内容が多かったのが特徴です。 評価方法:エッセイ(1000 words×2) – 各50% 春休みの2週間の間に、出された10個のトピックの中から2つを選んでエッセイを書く形式でした。 また、これに先立ち、春休み前にはフォーマティブ課題として500 wordsのエッセイがありました。TikTokの動画を選び、授業で習った材料を使って分析する内容です。私は先生からもらったフィードバックをもとに春休み中の本番エッセイに活かしました。 Media Art この授業では、メディアアートとは何かについて、様々なジャンルのメディアアート作品を通して学びました。 評価方法:メディアアート・プロジェクト(動画+エッセイ) – 100% この授業の評価は1つの課題に集約されていて、メディアアート・プロジェクトとして、自分で1〜2分の動画作品を制作し、さらにその作品のコンセプトや使用した手法などを900 wordsのエッセイで解説するものでした。動画はTikTokやCapCutなどの編集アプリを自由に使って制作し、YouTubeにアップロードして提出しました。春休み明けの提出だったため、時間をかけて仕上げることができました。 またこの課題に向けたフォーマティブ課題として、春休み前にエキシビションレポート(750〜800 words)がありました。メディアアートの展示を実際に見に行き、そこで出会ったアートワークとアーティストについて分析する内容で、本課題に向けた良い準備になりました。実際に自分で作品をつくるというユニークな経験ができた授業で、表現と分析を同時に学べる貴重な機会でした。 Tate Modernで見たCildo Meireles Web Design この授業は、先に紹介したWriting for Mediaと同様に、少人数グループでの実践的な内容でした。授業は朝10時から夕方4時までの長時間で、じっくりと制作に取り組める環境でした。 授業では、秋タームに作成したキャンペーンのポートフォリオをもとに、Webサイトを一から制作し、そのアクセス状況をGoogleアナリティクスを使って分析することが求められました。 評価方法①:Webサイトプランの提出 – 10% どんなWebサイトを作るか、ロゴやカラーなどのデザイン要素をまとめた企画書を提出しました。 評価方法②:Webサイトポートフォリオ – 90% 完成したWebサイトのリンクに加え、500〜800 wordsのGoogleアナリティクスを用いたアクセス分析レポート、そして1000〜1500 wordsのSelf-reflective essay(自分がWebサイト制作を通じてどのように成長したかを振り返るアカデミックなエッセイ)を含むポートフォリオを提出しました。 この授業では、企画から制作、分析、振り返りまで一連のプロセスを実践的に学べ、非常に充実した内容でした。 最終評価の仕組み ここまで秋タームと春タームでの各授業の評価方法をご紹介しましたが、最終的にPass(合格)かどうかは、それぞれの授業で得た成績の合計点に基づいて判断されます。私の通うGoldsmithsでは、各授業の評価で40%以上を取るとその授業はPassとみなされます。 秋の授業の評価結果は、冬休み明けに発表され、冬の授業は春休み明けに発表されます。そして、それらを合わせた1年次全体の成績は夏休みの初め頃に届きました。 私は無事すべての授業に合格することができましたが、万が一落ちてしまった場合でも、夏休み中に再提出や再試験の機会があるので、あまり過度に心配する必要はないと思います。 良い評価をとるためのコツ 実際に1年間、課題やエッセイに取り組んでみて、「これは大事だな」と感じたポイントを紹介します。 課題の指示書は注意深く読む エッセイやプレゼンの課題には、必ずassignment brief(指示書)があります。そこにはトピックだけでなく、フォーマット(段落構成・引用方法など)や評価基準も書かれています。書いている途中でも、何度も見返してちゃんと指示通りにできているか?を確認することがとても大事です。 言いたい内容を最初に伝える 英語のエッセイやプレゼンでは、最初のパラグラフで自分の主張やトピックをはっきりと伝えるのが基本です。これをthesis statementと言います。日本語の文章のように結論を最後に持っていくのではなく、英語では最初に要点を伝えるスタイルが好まれるので、意識してみてください。 指定のリーディングから引用する 授業ごとに、先生が選んだreading list(リーディングリスト)があります。そこに載っている文献や資料からの引用は、課題の評価を上げる上でとても効果的です。先生が大事と思っている資料を理解し、それを課題で活用することで、評価につながりやすくなります。 大学のサポートを活用する 多くの大学には、留学生や英語が母語でない学生向けに、文法やエッセイ構成を見てくれるAcademic Writing Supportのようなサポートがあります。Goldsmithsにも図書館にそのスタッフがいて、私は毎回予約してチェックしてもらっていました。質問もできて、エッセイの質がかなり上がるのでとてもおすすめです。 エッセイや課題で使える便利ツール&ウェブサイト 1年間を通して、課題などを進める中で先生や友達から教えてもらった、勉強に役立つ便利なツールを3つ紹介します。 Canva 私はプレゼン資料(パワーポイント)の作成や、エッセイの構成を考えるためのマインドマップとしてよくCanvaを使っていましたが、他にもチラシや履歴書(CV)、Webサイトまで簡単に作成できるのでとても便利です。テンプレートが豊富で、初心者でも見やすくおしゃれなデザインがすぐに作れます。私も春タームのWeb Designの授業でマインドマップをCanvaで作りました。 Web Designの授業で作ったマインドマップ My Bib My Bibでは、エッセイの最後に載せるreference list(参考文献リスト)を簡単に作ることができます。まず、大学に指定されている引用スタイル(例:Harvardなど)を選び、そのあと参考文献のタイトルやURLなどを入力すると、自動的にリストに追加してくれます。In-text citation(文中引用)にも対応していて、私はエッセイを書くときに毎回使っています。 Plagiarism / Grammar Checker エッセイを書くときに特に注意したいのがplagiarism(盗作)です。誰かの文章をそのまま使うときは “ ”(ダブルクォーテーション)で囲む必要がありますし、パラフレーズ(言い換え)をする場合も出典を明記する必要があります。私はエッセイを書き終えたら、Plagiarismで自分の文章をチェックし、無意識に盗作になっていないか確認しています。 同じサイトにはGrammar Checkerの機能があり、文法やスペルミスをチェックできます。特にイギリス英語とアメリカ英語でスペルが違う単語(例:colour / color)なども見直せるので、提出前の最終チェックにおすすめです。 まとめ ファウンデーションコースと比べて、大学1年生では毎週の予習(リーディングリストに沿った文献を読むこと)が増え、最初は少し大変に感じました。でも、留学生でもしっかり授業に参加し、課題にも時間に余裕を持って取り組めば、十分やっていけると実感しました。 今回紹介した授業の内容や評価スタイル、アドバイス、便利なツールなどが、これから入学される方や1年次を迎える方の少しでも参考になれば嬉しいです。 そして何より大切だと感じたのは、わからないことは遠慮せず質問すること、大学のサポートサービスを積極的に活用すること、そして無理をしすぎず、自分のペースを大事にすることです。 これからの大学生活が、皆さんにとって実りあるものになりますように。応援しています! https://passport-to.com/articles/16/

交換留学はラク?立教→マンチェスター大学の交換留学生に聞いた

Risakoさん 神奈川県出身。立教大学異文化コミュニケーション学部の選抜コース「Dual Language Pathway(DLP)」に在籍。現在マンチェスター大学(The University of Manchester)に交換留学中で、主に紛争研究学を履修している。仲間とバンドを組み、ボーカルとして活動中。 Ikoneさん 東京都出身。中学時代に3カ月、高校時代に1年間カナダに留学していた。高校時代にイギリス・エディンバラで語学留学も経験。立教大学異文化コミュニケーション学部に在籍。現在マンチェスター大学に交換留学中で、主に言語学の授業を履修している。趣味はカフェ巡り。 RisakoさんとIkoneさんはともに立教大学異文化コミュニケーション学部に在籍しています。昨年9月からマンチェスター大学に1年間の交換留学中です。日英どちらの大学生活も経験した2人にインタビューしました。 マンチェスター大学への留学を決めた理由 マンチェスター大学に留学すると決めた理由は何ですか? Risako:昔から留学したかったが、高校時代はコロナ禍で留学が中止となりました。マンチェスター大学にしたのは協定校一覧の中で世界大学ランキングが一番高かったからです。また、世界トップレベルを誇る紛争研究学と平和構築学を学びたかったです。あとはハリーポッターの中で話されているイギリス英語に憧れ、イギリスにしました。今までヨーロッパに行ったことがなかく、留学のついでに周辺国にも行きたいと思いました。 晴れた日のキャンパス Ikone:私も世界大学ランキングを参考にしました。留学するならレベルの高いところに挑戦したいです。そういうところの学生は優秀で、人種などを理由に差別されることも少ないと考え、気楽に過ごせると思いました。学生の3割が留学生だという点も重視しました。というのも、高校時代に留学したカナダ・バンクーバー郊外の学校では、ほぼ全員が白人でした。留学生は同じ高校から来た自分を含め5人だけだったのでかなり孤立感がありました。また、姉が昔エディンバラ大学(The University of Edinburgh)に留学していました。その時に自分もエディンバラで1カ月の語学留学をしました。そのためイギリスはなじみのある国で、安心して留学できる場所だと思いました。 https://jp.education-moi.com/article-28 日本とイギリス: 大学の授業を比較 日本とイギリスの大学で授業を受けた経験から、感じた共通点や相違点を教えてください。 Risako:そこまで大きな違いは感じなかったです。私は異文化コミュニケーション学部のDLPという15人しかいないコースにいます。どの授業も少人数で日本語なり英語なり、授業中話し合いをすることが多々ありました。こちらの授業でもディスカッションをします。 Ikone:lecture(講義)は大人数で行われ、聴くことがメインです。seminar(セミナー)とtutorial(チュートリアル)は講義を履修している学生が少人数クラスに分かれて、講義内容についてディスカッションします。日本でやったディスカッションは結構一般的な話をしていたと思います。こちらではより個人にフォーカスしていて、「あなたはどう思いますか」を聞かれます。 講義の様子 Risako:日本では「今からこのテーマについて話し合ってください」という感じで教員主導でした。こちらはそれに加え、学生が授業の途中で質問したり反対の意見を述べたりします。そこからディスカッションに発展するパターンが多くて、学生主体だと感じました。 Ikone:だからセミナーやチュートリアルは同じ講義の内容について議論するけど、クラスによってディスカッションの方向性が全然違います。 予習・復習量は日本と同じ 課題の量はどうですか? Ikone:日本では毎回リアクションペーパーが出されて、毎週提出しないといけない課題がありました。こちらではチュートリアルの準備としてリーディングと事前に出された質問の答えを考える課題があります。でも提出する必要はなく、ディスカッションをスムーズに進めるために各自やるものです。提出物の数でいえば日本のほうが多かったけど、結局やることの量はあまり変わらないです。期末レポートは日本と同じですが、こちらのほうが字数が多いですね。 Risako:私も同じことを感じます。日本は面倒見が良くて、学生に学習習慣をつけてもらうようにします。また、欠席を3回以上すると単位が取れなくなります。私の場合、少人数のコースだったので顔を覚えられてなおさら欠席しづらいです。どの授業も何かしらの課題が出されるから毎週課題に追われていました。イギリスだと確かにチュートリアルのために準備しないといけないけど、提出は求められないので勉強したい人が頑張る感じです。 教育の現場も実力主義 Ikone:来る前はイギリスの学生のほうが真面目だと思っていました。でも意外と授業に来ない人もいたりと、日本とあまり変わらないと感じました。 Risako:こちらでは出席しようがしなかろうが、成績に関係するのは課題と試験です。そこさえちゃんとできていればいいので、そういう意味では実力主義ですね。授業の全てに力を入れる必要があるわけではなく、興味を持った部分や難しい箇所を重点的に勉強するなどというように自分で決められます。個人的にはこちらの制度のほうが好きです。 マンチェスター大学留学生の課外活動 続いては課外活動について聞きます。ご自身の体験や周りの人の活動を見て、日英の課外活動面での違いは何か感じましたか? Risako:サークル活動はどちらも活発ですが、やり方の違いを感じました。日本は友達を作る場としてサークルを活用している人が多いと思います。例えば私はバドミントンよりもイベントが中心のバドミントンサークルに入っているのですが、飲み会などをしてメンバー同士の仲を深めています。 イギリスのサークルはsociety(ソサエティ)と呼ばれていて、目的がはっきりしています。マンチェスター大学は留学生が多いので、中国人ソサエティ、日本人ソサエティなど、その国の人たちの集まりもあります。そこは単なる同じ国の友達作りの場だけでなく、その国に興味がある人に対してもウェルカムです。また、Manchester Japan Society(日本人会)の活動内容がとても濃いと感じました。実際に企業の担当者を招いて毎週のように就活イベントを開催して、日本人学生の就活を手伝うなどしています。 Ikone:私が思ったのは、日本のサークルには年度初めに入らないとそこから1年間入る機会を失います。でもイギリスは1年間のどのタイミングに入ってもいいです。なんならそのソサエティのメンバーでなくても活動に参加できて、結構オープンです。日本のサークルは閉塞的な環境ですが、その反面、内部のコミュニティが確立されていて、団結力が強いです。イギリスのソサエティは固定のメンバーではなく、毎回新しい人が参加するので、留学生にとっても行きやすいです。 Risako:そうですね。日本のサークルは決まったメンバーで活動するので同じ人との付き合いがずっと続きます。一方でイギリスはどんどん人脈が広がっていく感じです。 柔軟な対応で可能性広がる Ikone:私は今学期Language Societyで日本語チューターをしました。当初は期限が過ぎていて申し込みができなかったです。でもチューター経験者の友達が担当者につないでくれて、期限が過ぎてもできることになりました。このように、フレキシブルに対応してくれる環境があるので何事にも挑戦しやすいです。 Language Societyで日本語チューターとして教えた学生たちと Risako:イギリスはソサエティという枠組みじゃなくても活動の幅は広いと感じました。私はバンド活動をしています。自分たちでメンバーを見つけ、場所を取って楽器も自分たちで用意しました。いろいろなコミュニティとコネクションを作って発表の場をもらえました。マンチェスターは音楽の街ということもあり、このような有志バンドの活動が結構盛んです。 バンドのパフォーマンスでボーカルとして活動 イギリスに留学して感じた日常生活の違い 日常生活について聞きます。2人とも筆者と同じ寮に暮らしていますが、生活はいかがでしょうか? Ikone:まずは暮らしについて言うと、こちらの人の衛生観念が日本人とあまりにも違いますね。寮に入居した当初は全体的に想定よりきれいだと思いました。しかし過ごしていくうちに衛生観の違いが現れます。具体的に言うとシャワーに髪の毛が詰まって浸水したり、トイレを流さなかったり、キッチンを汚く使ったり、他人の食材を盗んだりですね。しかもみんなが寮のグループチャットでこれらの問題について怒ったり指摘したりするにもかかわらず改善されないです。 Risako:私の階のシャワーには一時期髪の毛を丸めたマリモみたいなやつがありました……。 食事はやっぱりまずい!? Ikone:食事付きの寮なので、朝夕は食堂で済ませます。最初は問題なく食べられたのですが、中華街などでアジア料理を食べてからは寮の食事がまずいと感じるようになりました。お腹を満たす分には良いのですが、それ以上のものは期待できないですね。 寮の食堂で出された夜ご飯 Risako:寮の食事について言うと、時間帯が早いです。夕食は5時から7時の間に提供され、早すぎじゃないかといつも思います。授業が6時に終わる人もたくさんいるはずだし、そこから課外活動に参加したら絶対に間に合わないです。私もいつも時間内に行けないです。 Ikone:確かに、日本にいた時は8時、9時に夜ご飯を食べていました。こちらはご飯が早いせいで、深夜になるとお腹が空きます。 自炊と寮のケータリングサービス Risako:寮が食事付きだから自炊するのが微妙に難しいです。キッチンは大人数で共用している割に狭く、収納スペースもあまりないです。食事がない寮だと、キッチンが広く、隣には食事スペースがあって自炊しやすくなっています。なので食事が合うか合わないかは食べてみないと分からないかもしれませんが、さっき言った食事時間も併せて、選ぶ時に考えたほうがいいポイントだと思います。 Ikone:食事時間に関してはルーティン化できるかどうかだと思います。私は食事時間に合わせて、何時までに何をしてから食堂に行くとか、朝ご飯に合わせて何時に起きようとかを決めています。 夜遊び文化から見える食習慣 Risako:夕食の時間が早いのは、イギリス人は夜遊び文化があるからだと思います。夕食後クラブやパブに出かけることが前提になっているのではないかと考えます。私も最近はほぼ毎日のように夜に出かけ、昨日は10時から友達と映画を観ました。その後も解散するわけでもないです。終電がなく、徒歩でどこにでもアクセスできてしまいます。そのため、そこから飲みに行ったり、誰かの家に行って映画を観たりおしゃべりしたりと、深夜でも選択肢がたくさんあります。 Ikone:そうですね。Uberが安いし、バスも走っているので、深夜でも移動手段には困らないです。そういう意味では日本より夜遊びがしやすいです。 イギリス大学留学を目指す人へのアドバイス これから交換留学でイギリス、あるいはマンチェスター大学に来る人へのアドバイスをお願いします。 Ikone:マンチェスターに関しては、特にシティセンターに行けばカフェやレストランがものすごく多いです。観光地ではないので、住むのに適しています。 Risako:そうですね、全てがちょうどよくそろっています。中華街や新宿二丁目みたいなゲイビレッジもあるし、ショッピングモールも空港もあります。観光地以外だと田舎過ぎる場所が多いイギリスですが、マンチェスターはそういうわけでもなく、過ごしやすいです。 やりたいことを事前に調べる Risako:さっき日本のサークルは年度初めに参加しないとその1年入るチャンスがなくなる話がありましたが、こちらの体育会系のソサエティに関しても同じことが言えます。年度初めにFreshers’ Weekという、ソサエティがブースを出して勧誘活動をする週があり、そこでチアダンスやアイスホッケーなど面白そうな団体を見つけました。 私は当時留学生活に慣れることに集中したいと思っていました。そのため、2学期に入ってから申し込めばいいと思ったのですがその時はもう手遅れで、結局参加できませんでした。留学が始まる前にやりたいことを調べ、到着したら一直線で向かえるようにするといいです。 Ikone:体育系は結構活動に参加するに当たり、テストセッションがあるとこもありますからね。 Risako:あとは自分でソサエティを作ることもできます。マンチェスター大学に剣道ソサエティがあるのですが、それはこっちに来たばかりの日本人留学生が、留学が始まった瞬間に作ったと聞きました。2学期のFreshers’ Weekでは既にブースを出していました。行動力がすごいですね。就活ではこういうところが評価されるので、希望者は事前に調べておくと良いと思います。 長期休みは旅へ Ikone:マンチェスター限定で言うと、思ったより雨は降らなかったです。曇りがほとんどで、特に12月、1月はいつ見ても空が真っ白です。なのでこの時期はマンチェスターに残らず、他国に旅に行ったほうがいいです。 クリスマス休みやイースター休みになるとイギリス人学生は地元に、正規留学生の多くは母国に帰るので人が一斉にいなくなります。そのため長期休みは他の交換留学生や日本の友達・家族と旅行に行ったほうがいいです。 Risako:友達と友達をつなげることをもっとしておけばよかったと思います。日本だと失礼に思われますが、こちらだとみんな普通にやっているので、誰かとの約束に別の人を連れて行くことはよくあります。そこで友達関係が広がり、いろんなチャンスが巡り込んできます。実は私バンドを2つ掛け持っているのですが、2つ目のバンド結成につながったのもそのように人脈を広げたからです。 新学期のワクワク感を駆使する Ikone:社交があまり得意でない人は最初だけ頑張る!という気持ちで挑めば良いと思います。私も年度初めは自分からいろんな学生に話しかけるように心がけましたが、途中から疲れてしまいあまり話さなくなりました。でも最初の頑張りがあったおかげで、その時に仲良くなった人と一緒にポルトガル旅行に行ったし、留学1週目に布団や飲み物をくれたりしました。 Risako:そうですね。留学し始めた頃のほうがエネルギーがたくさんあるので、その時の体力でうまくいく・いかないに関わらずたくさん挑戦したほうがいいです。 Ikone:あとは新学期特有の全員期待感が高いムードをうまく使いましょう。寮のコミュニティに溶け込んだり、ソサエティの活動に参加したりして友達を作ることも大事です。 国籍にとらわれず交友関係を広げる Risako:これはよく悪と言われるのですが、日本人と仲良くするのも重要だと思います。限度にもよるけど、やはり精神状態を良好に保つことが一番重要で、心が健康じゃないとできるものもできなくなります。それをする最たる例として日本人に悩み相談とか、心の拠り所にするのが大事だと思います。私たちもよく一緒に鍋をしながら語り合っていましたね。 Ikone:日本人とつながると交友関係が狭まるどころか、そこからどんどん広がっていきます。大学から留学する人は自分の意思で行くので、面白い人が多いと感じます。「日本人」という理由だけでその人たちと関係を経つのはとてももったいないです。 マンチェスター大学留学で学んだことを将来に生かす では最後に、この1年間の交換留学生活で学んだことをどのように生かしていきたいですか?意気込みをお願いします。 Ikone:今回の留学を通して、異文化の中でも落ち着いて主体的に行動することを学びました。英語でのコミュニケーションも以前によりスムーズに、自然に楽しめるようになりました。特に、イギリスのsarcasm(皮肉)文化は最初あまり理解できませんでしたが、今では私も使えるようになりました。帰国してからはインターンや就活など、新しい環境に飛び込む機会がたくさんあるため、そのような環境でも今回得た姿勢を応用して楽しんでいきたいと思います! Risako:この1年間、さまざまな人と交流する中で、特に人脈の大切さを学び、それが秘める可能性に気づきました。こちらでは人の輪の広がり方が非常に速く、また大きいです。そのつながりがあったからこそ、私も自分の夢をどんどん実現させていくことができました。時には既に叶った夢が思いもよらぬ形で発展することもありました。 日本にいた時から社交が好きでしたが、他人を先回りして気にし過ぎていて、違うグループの人を混ぜることは特段避けていました。しかし、人の輪が生み出す可能性を知った今、活用しない手はありません。今後は日本の他者を重んじる文化を尊重しながらも、人とのつながりを大切に、新しいチャンスを掴み人生を切り拓いていきたいです。 https://www.manchester.ac.uk

ファウンデーションコース【イギリス大学留学向け】授業内容と学部進学方法

こんにちは! Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを勉強しているKotokoです。 今回は日本の高校卒業後に受講したファウンデーションコースでの1年間をご紹介します。どんなことを学んだのか、英語力がどれくらい伸びたのかなど、リアルな体験をお伝えします! ※私が経験したのはGoldsmithsのファウンデーションコースなので、他の大学とは違う部分もあるかもしれません。あくまで1つの体験談として読んでもらえたらと思います! 前回の記事では、「ごく普通の高校生だった私がイギリスの大学に合格するまでの道のり」について書きました。まだ読んでいない方はぜひそちらもチェックしてみてくださいね! https://passport-to.com/articles/14/ ファウンデーションコースとは? ファウンデーションコースは、主に留学生を対象とした、イギリスの大学に進学するための準備プログラムです。英語力や学問的な基礎を1年間かけて学び、大学の授業についていける力を養います。 イギリスの大学は通常、A-levelやIB(国際バカロレア)などの国際的な資格を入学基準としています。日本の高校卒業資格だけではそのまま入学できないです。そのため、多くの日本人学生はこのコースを経て進学します。 https://jp.education-moi.com/universities/uk/foundation ロンドン大学ゴールドスミスカレッジのファウンデーションコース キャンパスはロンドン郊外 私が受講したのは、ロンドン南東部にあるGoldsmithsが提供しているファウンデーションコースです。 キャンパスはOverground(地上を走る鉄道)のNew Cross駅から歩いてすぐです。ロンドン中心部からは電車で30分ほどかかります。近くにはRoyal Observatory(グリニッジ天文台)で有名なGreenwich Park(グリニッジ・パーク)があります。 住宅街に位置しているため、中心地ほど便利なわけではありません。その反面、落ち着いたローカルな雰囲気の中で大学生活を送ることができます。 ただし、夜は少し治安が悪いという声もあり、注意が必要なエリアだと感じます。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジのRichard Hoggart Building キャンパスの雰囲気と施設 Goldsmithsは、アート、デザイン、メディア、カルチャーなどクリエイティブな分野に強いことで知られています。それを体現しているように、キャンパス全体に自由な表現があふれています。壁にはアート作品が展示されていたり、学生によるエキシビションが定期的に開催されたりしています。 キャンパスの中心にはRichard Hoggart Buildingというメインの建物があります。それを囲むようにアート系やメディア系など、専門分野ごとに建物が分かれています。 私が所属しているメディア学科にはラジオ制作のためのブースなどがあり、技術的なスキルを学ぶ環境がしっかり整っています。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ: キャンパス内にあるラジオ制作のためのブース Richard Hoggart Buildingの隣には24時間利用可能な図書館があります。豊富な蔵書はもちろん、パソコンの貸し出しや印刷機、会議室なども充実しています。このように、学習をサポートする設備には困りません。 また、キャンパスの中央には芝生が広がっています。春から夏にかけてそこで昼食をとったり、お昼寝したりと、のんびりと過ごす学生が多いです。 キャンパス内にはいくつかのカフェがあります。中でもGoldsmiths Students' Union※(学生組合)が運営するカフェは、他のカフェよりも価格が手頃です。飲み物や軽食も美味しく、私のおすすめスポットです。 ※Students' Unionは学生の声を大学に届けたり、クラブ活動やイベントの企画・運営、サポートを行う組織です。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ: Students’ Unionが運営するカフェのストロベリー抹茶 ファウンデーションコースの授業内容と評価方法 私はメディアについて勉強したかったので、 GoldsmithsのInternational Foundation Certificate in Media, Culture & Societyを選びました。 授業は週3日で、1日に2コマ(1コマ約1時間半)あることが多かったです。 カリキュラムは3学期制です。秋から冬までの1学期は専門分野の授業と英語の授業を受けます。冬休み明けからイースター休みまでの2学期も同じような形で授業が続きます。 3学期は復習期間で、毎週授業があるわけではないです。3回ほどの復習授業があるほか、主に最後の試験に向けて自分で勉強するスタイルでした。  専門分野の授業 ファウンデーションコースは大学での学びに備えるための準備コースであり、進学後を見据えた専門的な授業を受けられるのも魅力の一つです。 専門分野の授業では、1コマ目に大学1年次のlecture(講義)を受けます。続く2コマ目にファウンデーションコースの学生向けseminar(セミナー)が行われます。セミナーでは、先生が講義内容をわかりやすく解説してくれます。 初めて講義を受けたときは、教授の話がほとんど理解できず、正直かなり焦りました。その後のセミナーは留学生向けに行われるため、先生が簡単な英単語を使って丁寧に説明してくれたので、ほっとしたのを覚えています。 セミナーは解説を聞くだけでなく、discussion(ディスカッション)が中心です。クラスメイトは同じ学科の学生たちで、人数が少なく、アットホームな雰囲気があります。最初は緊張しながらも発言しやすかったです。専門知識の理解だけでなくスピーキング力も自然と伸ばすことができました。 評価方法 基本的に学期ごとに出されるエッセイで行われます。トピックや文字数は授業や先生によってまちまちです。ファウンデーションコースの学生にはtutor(チューター)と呼ばれる担当教員が付いていて、エッセイのテーマ決めから構成、内容まで相談することができます。チューターと一緒にプランを立てたあと、自分でエッセイを書き上げて提出します。 英語の授業(Reading/Writing/Speaking) ここでは、アカデミックな英語力を身につけるために、Reading, Writing, Speaking(リーディング、ライティング、スピーキング)の3つのスキルに分かれて授業が行われました。リスニングに関しては、授業全体が英語で行われるため、リスニング専用の授業はありませんでした。専門分野の授業と異なり、ここでは他の学部を目指している学生たちと一緒に学びました。 ここからは、スキルごとにどのような内容の授業があったのかをご紹介していきます。 Reading リーディングの授業は、1学期と2学期を通して行われました。初回の授業で、リーディングの問題がたくさん載っている冊子が配られました。そこには1週間ごとに課題が設定されており、順番に解いていく形式で進められました。 宿題は、例えば次の週がWeek 3の場合、「Week 3」と書かれた長文を読み、それに付随する設問をできるだけ自力で解いてくる、という感じでした。そして授業で答え合わせをしながら、内容に関連したディスカッションをします。 評価方法 学期末には、それまで取り組んできたのと似た問題が出題され、時間内に長文を読んで設問に答える形式のテストが行われました。 時間制限がある中で集中して解くプレッシャーもあり、特に最初のテストは思うように力を発揮できなかった記憶があります。それでも回を重ねるにつれ、読み取りのスピードや精度が上がっていくのを実感できました。 Writing リーディングの授業と同様に、ライティングの授業も1学期と2学期を通して行われました。 1学期は、基本的なエッセイの構成方法について学びました。具体的には、thesis statement(主張文)の書き方、conclusion(結論)のまとめ方、reference(参考文献の記載)の方法など、アカデミックライティングの基礎を一つひとつ丁寧に学びました。 2学期には、週ごとに構成や段落、リサーチを積み重ねながら、1本のエッセイを完成させていきました。 評価方法 2学期に提出したエッセイが評価されました。評価のポイントは、文法の正確さ、アカデミックな語彙の使い方、そしてreferenceの形式が正確かどうかなどです。授業で学んできたことを総合的に活かす機会になりました。 Speaking 1学期はプレゼンテーション、2学期はディスカッションに向けて、スピーキング力を伸ばしました。この授業では毎回出されたトピックについてクラス内でディスカッションを行います。その中でプレゼンテーションのコツや、ディスカッションで使えるフレーズなどを習得しました。 クラスメイトとのディスカッションを通して、英語で意見を述べることにも少しずつ慣れていき、話すことへの抵抗がだんだんと減っていきました。 評価方法 1学期のテストでは、プレゼンテーションを行いました。与えられたトピックに対して自分でリサーチし、引用を交えながらPowerPointを作成して、クラス内で発表しました。 2学期のテストでは、4人1組のグループでディスカッションを行いました。トピックは1週間前に発表されます。それに関連する情報を自分たちで調べて、当日のディスカッションで意見を述べました。グループディスカッションでは、他の人の意見に応じて柔軟に会話を展開する力も問われ、とても良い実践の場となりました。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ: 授業前の様子 授業の雰囲気 大学1年生と一緒に受ける講義を除けば、ほとんどの授業は15人未満のクラスで行われました。最初は緊張しましたが、発言や質問がしやすい雰囲気で、自然とクラスになじむことができました。授業はキャンパス内の教室で行われ、毎週同じ教室を使っていたので安心感がありました。 先生方のスタイルは人それぞれですが、基本的にはフレンドリーで話しかけやすいです。また、わからないことも気軽に質問できました。日本と違って、授業の途中で抜けたり、お菓子を食べていたりしても注意されないなど、かなり自由な雰囲気でした。ただし、中には食べ物の匂いが気になるから教室内での飲食はやめてくださいと言う先生もいて、先生によってルールや雰囲気に違いがあると感じました。 クラスメイトの雰囲気 クラスメイトの国籍や雰囲気は、大学、進学予定の学部によって大きく異なると思います。私が受講したコースではアジア系の学生が多く、特に中国人が大半を占めていました。日本人は私を含めて4人だけで、少数のヨーロッパ系の留学生もいました。 さまざまなバックグラウンドを持つ学生たちと一緒に学ぶことで、日常の会話だけでも刺激がありました。最初は緊張しましたが、少人数ということもあって自然と会話が生まれます。友達もできて、ペアワークやグループディスカッションの時間が楽しみになっていきました。 ひとつ驚いたのは、学生たちがかなりゆるいことです。時間ぴったりに授業が始まることはほとんどありませんでした。先生が来るのも生徒が集まるのも開始時間の10分後くらい、ということが多かったです。欠席者もわりといて、日本との違いを感じました。カルチャーショックというよりは、むしろ面白いなと思いました。 受講後に感じた効果と学部進学 英語はどれくらい伸びたの? ファウンデーションコースを始める前に受けたIELTSはOverall 5.5でした。それ以降はIELTSを受けていないため、数字で比較することはできません。しかし英語力は着実に伸びたと感じています。特に、英文を読むスピードが上がったと実感しています。スピーキングでも自分の考えを何とか英語で伝えられるようになりました。 中でもライティングの成長は大きいと感じました。コースを受講する前までは、英検で出題されるような短いエッセイを書くのが精一杯でした。当然引用の方法などは全くわかりませんでした。このコースを通して、エッセイの構成や書き方、参考文献の引用方法など、アカデミックライティングの基礎をしっかり身につけることができました。 正直に言うと、1年間で英語がペラペラになるのは簡単ではありませんでした。それでも英語を話すこと、そして失敗を恐れずにコミュニケーションがとれるようになったことは、自分にとって大きな成長だったと感じています。 ファウンデーションから大学1年生への進み方 私が通っていたファウンデーションコースでは、1・2・3学期に行われるテストでそれぞれ合格点を取ることができれば、そのままGoldsmithsの学士課程に進学できる仕組みでした。 そのため、普段の授業にきちんと出席し、課題やテストに真面目に取り組んでいれば、進級できないということはあまりないと思います。実際、私のクラスメイトの中で進学できなかった人は一人もいませんでした。ですので、過度に心配する必要はないと思います。 すべての試験に合格したあと、大学側から進学の手続きに関する案内メールが届きました。それに従って準備を進め、私も無事に大学1年生としての学びをスタートしました。 なお、ファウンデーションコースを修了したからといって、必ずしも同じ大学(私の場合はGoldsmiths)にしか進学できないわけではありません。成績次第では他大学への出願も可能な場合があります。 私の友人の中には、他大学への進学を希望して出願していた人もいました。その場合の出願手続きは先生がサポートしてくれるようです。ただ、保証があるのはGoldsmithsの学部であるため、私は迷わずそのまま進学しました。 ファウンデーションコースはイギリス大学留学の自信に繋がる 1年間のファウンデーションコースは、大学進学の準備だけではないのです。英語力の向上や、異文化の中での生活力を身につける貴重な経験になりました。最初は不安もありましたが、授業を通して少しずつ自信を持てるようになりました。そして大学1年生としてのスタートラインに立てたことをとても嬉しく思います。 これからイギリスでの進学を考えている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。興味のある方はぜひ、Goldsmithsのファウンデーションコースを検討してみてくださいね! https://www.gold.ac.uk

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【実体験】イギリス留学準備術:合格通知からビザ取得までの記録

3月に入り、イギリスの大学や大学院から合否結果が届いてきたと思います。大学からオファー(合格通知)を受け取るといよいよ本格的な留学準備が始まります。入学までには多くの手続きがあり、スムーズに進めるためには計画的な準備が必要です。本記事では、オファーを受け取った後の具体的な準備プロセスについて、僕の経験を踏まえて詳しく解説していきます。 合格結果の確認と入学手続き 出願してからオファーをAcceptするまで 合格結果が届く時期は大学や学科によって異なり、ここは待つしかありません。僕は出願した5校のうち4校は2月初旬までに結果が届きました。しかし第一志望の大学だけ3月までオファーが来ず、もどかしさを覚えました。遅くて7月ごろに結果が出る場合もあるそうなので、気長に待つことが大事だと思います。UCASのTrackシステムをこまめにチェックしましょう。 オファーの種類(Conditional・Unconditional) イギリスの大学からのオファーには、「条件付きオファー(Conditional Offer)」と「無条件オファー(Unconditional Offer)」の2種類があります。条件付きオファーは、IELTSスコアや最終成績の提出といった特定の条件を満たすことで合格となります。UCASで出願した全ての大学から合否が届いた後は、Firm Acceptance(第一希望)とInsurance Acceptance(第一希望に合格できなかった場合の第二希望)の大学とコースを選択します。第一希望の大学からUnconditional Offerをもらった場合はInsurance Acceptanceを選択する必要はありません。 オファーを受け取った後の対応 自分が受け取ったのが条件付きオファーの場合は手続きを早めに済ませることが大切です。通常、オファーの承諾期限が設定されているため、遅れないように注意しましょう。一部の大学ではInternational Students(留学生)がオファーを承諾する際、デポジット(Deposit - 入学金)の支払いが必要です。この金額は大学によって異なりますが、£1,000~£5,000が一般的です。支払期限も設けられているため、期日を確認して早めに対応しましょう。 不合格だった場合の選択肢(Extra・Clearing) もし出願した全ての大学が不合格(Unsuccessful)だったとしても、結果をもらった後に追加で一つのコースに出願できる「エキストラ(Extra)」と定員に達していないコースに出願できる「クリアリング(Clearing)」というシステムがUCASにあります。Extraは2月末から7月初旬まで、Clearingは7月中旬から9月~10月ごろまで行われます。期待した結果が出なかった場合でも諦めずに他の大学やコースにトライしてみましょう。  イギリス学生ビザ(Student Visa)の申請を徹底解説 イギリスでの長期留学には学生ビザ(Student Visa)が必要です。申請にはいくつかの書類が必要で、その用意やビザ発行までに時間がかかります。とにかく早めの行動が大事です。  必要書類 CAS 大学からのオファーを承諾し、パスポートなどの書類を提出すると、「CAS(Confirmation of Acceptance for Studies)」という入学許可証が発行されます。CASはビザ申請に必須な書類で、入学証明となる番号(CASナンバー)が書かれています。発行には通常数週間かかりますので、余裕を持って手続きを進めましょう。  パスポート パスポートの有効期間が留学期間をカバーしている必要があります。期限が短い場合、事前に更新しておきましょう。申請時にパスポートを提出し、そこにビザが発給されることになります。また、見開き2ページ以上の余白ページがあることも確認しておきましょう。  過去のパスポート 過去10年間の渡航歴を聞かれた時、昔使っていたパスポートがあると便利です。ただし、トランジットで立ち寄り、滞在期間が1日未満だった国も渡航歴に含まれます。こういった場合はパスポートにその記録がない時があります。できるだけ正確な情報を書くことが推奨されているので、僕は法務省の出入国在留管理庁というところで自分の渡航歴に関する開示請求を行いました。500円程度で調べてもらえます。https://www.moj.go.jp/isa/publications/privacy/record.html 英語力の証明書 大学によってビザ申請時に英語力の証明を求めるところもあります。GCSEやIBなどのスコアで証明できる場合と、イギリス政府が認定するSELT(Secure English Language Test)の結果しか受け付けてくれない場合があります。このSELTはイギリスのビザ取得専用の英語力試験です。中には「IELTS for UKVI」や「Pearson PTE Academic UKVI」などがあります。IELTSとは異なるもので、指定のスコアを満たすため改めて受験する必要があります。 申請費用と健康保険料(IHS) 申請時にはビザ申請料(£490)の支払いが必要です。さらにIHS(Immigration Health Surcharge)という健康保険料(£776×コースの年数)も支払います。IHSを支払うと、イギリス滞在中にNHS(国民保健サービス)を原則無料で受けられます。 ビザ申請の流れ 書類の準備ができたら、イギリス政府のUKVI(UK Visas and Immigration)の公式サイトから専用の申請フォームに情報を入力し、書類をオンラインで提出します。オンライン上の手続きが済んで、申請料及びIHSを支払うとVFS Globalのビザ申請センターの来館予約ができるようになります。日本には東京と大阪にビザ申請センターがあります。予約した日にパスポートを提出し、生体認証情(指紋と顔写真)を登録します。審査は通常3週間ほどかかり、終了しないとパスポートが返却されません。ビザはパスポートと共に返却されます。ビザ申請センターで受け取るか、郵送してもらうかを選べます。 審査開始後に財政能力証明書の提出を要求される場合があります。これはイギリスでの生活費をカバーできる資金があることを証明するためのものです。ロンドンの大学で勉強する場合は£12,492以上。ロンドン以外の場合は£10,224以上(授業料を除く)。つまりロンドンでの生活費: £1,438/月、ロンドン以外での生活費: £1,136/月: 9ヶ月分の生活費をカバーできる証明が必要です 。預金通帳や金融機関の取引明細書を英文に翻訳したものが必要です。あらかじめ準備しておくとビザ申請がスムーズに進むでしょう。  より詳しい流れについては下のサイトに説明してあるので、確認してください。https://www.westminster.ac.uk/sites/default/public-files/general-documents/student-visa-application-guide-applying-from-outside-uk-v2.pdf  申請は「何事も早めに」が鉄則! 前述の通りビザの審査には通常3週間ほどかかると言われています。繁忙期にはそれ以上の時間がかかることもあります。ビザ発行が渡英日に間に合わずフライトを変更せざるを得なかった友達が何人かいました。審査期間が多少長くなってもいいように、早めに必要書類を集めて申請することが大事です。「ビザ申請ドットコム」や「IMMIGRATION.UK」といったビザ申請を代行してやってもらえるサービスがあり、書類の翻訳など自分でできるか不安があった僕は活用しました。利用すれば必要な書類を揃えて代行者に提出するだけです。その後の申請フォームの入力やビザ申請センターの予約などは全部やってもらえます。  寮とシェアハウスの探し方 ビザ申請と並行して、イギリスでの住居を確保する必要があります。選択肢としては大学が運営している大学寮、民間の学生寮、シェアハウスなどがあります。 大学寮 vs 民間の学生寮の違い 同じ大学の人と交流できる大学寮は、初めての留学で最も安全で便利な選択肢だと思います。特にロンドンなどの都市部では、民間の賃貸物件の家賃が高いです。そのため、大学寮を利用することでコストを抑えられます。僕は大学1年の時に大学寮で暮らして、2、3年の時は民間の学生寮で暮らしていました。民間の学生寮だと、ロンドン中の大学から学生が集まるので他大学生との交流が深まります。ただし、これらの寮は人気が高く、申込期限が早いです。オファーを受け取ったらすぐに申し込むことをお勧めします。早めに申し込みをしなかったせいで、キャンパスから遠い場所にあったり、家賃が高い寮しか残っていなかったりという話も友達から聞きます。 大学が寮の情報を発信していますし、部屋の予約ができるResidence(住居)のサイトやWebポータルにも情報があるので、そこのSNSなどに登録して最新情報をチェックしましょう。  僕が住んでいた民間の学生寮 シェアハウス探しの注意点と便利サイト シェアハウスは費用を抑えつつ、学生のみならず現地の人々と交流できる点が魅力的です。ただし、契約詐欺や知らない人とシェアしなければいけないというリスクもありますので、信頼できるサイトを利用して物件を探し、可能であれば現地で内見してから契約を結ぶことが望ましいです。住居探しには、Rightmove(https://www.rightmove.co.uk/)やZoopla(https://www.zoopla.co.uk/)などの物件検索サイトが便利で、よく使われています。また、SpareRoom(https://www.spareroom.co.uk/)を利用すれば、ルームシェアの相手を見つけることもできます。  必須手続き: eVisaについて 返却されたパスポートに載っているビザはあくまで仮のEntry Clearance Visa(入国許可証)というもので、発行されてから90日まで有効です。正式なビザはeVisa(Online immigration status)という電子書類です。UKVIから送られてくる案内に従い、オンライン上でビザの申請番号やパスポート番号を登録して、アカウントを作成します。 イギリスに入国する際、パスポートのビザだけでなくeVisaの提示が求められる場合があります。そのため渡航前に手続きを済ませておくといいでしょう。これまではBRP(Biometric Residence Permit)カードという物理的な書類だったのでした。2025年の1月からオンラインに置き換わりました。 今回紹介したプロセスの他にも航空券を予約したり、持ち物を準備したりするなど、渡英までにやっておく必要があることはたくさんあります。それらについてはまた別の記事で書きますので、楽しみにしていただければ幸いです。CASやビザの発行などには思っている以上に時間がかかるものもあります。留学生活がスムーズに始められるよう、計画的に準備を進め、安心して渡英しましょう。  https://www.gov.uk/student-visa

僕がイギリスの大学を選んだ理由。留学先の決め方は?

僕は2021年にイギリスのKing’s College London(キングスカレッジロンドン)に進学し、2024年の8月に卒業することができました。生まれてからずっと日本で育ってきた僕は、高校で国際バカロレアコースを履修し始めたあたりで海外の大学に進学することを意識し始めました。今回の連載では、自分がキングスカレッジに進学することに決めた経緯とそこでの経験とを照らし合わせて、イギリス留学のメリットと留学先の決め方を紹介していきたいと思います。 King’s College London(キングスカレッジロンドン)のMaughan Library イギリスの大学に留学するメリットとは イギリスに留学するメリットは、世界トップクラスの大学で質の高い教育はもちろん、それ以外にも幅広い経験を積むことができるところにあります。ここではそんなイギリスの大学の特徴を紹介していきます。 質の高い教育 イギリスの高等教育機関の教育と研究は世界の中でも、高い水準を保っていることで知られています。様々な学部や学科があり、特に芸術系(アートやデザインなど)の学部などで日本にはないような幅広い専門分野を勉強することができます。僕は元々リベラルアーツ学科(Liberal Arts - 人文学・芸術などの知識を断面的に学ぶ学問)に興味があり、King’s College Londonのリベラルアーツでは自分が特に興味がある音楽や映画の授業を履修できるというのが大きかったです。インターンシップができる履修科目(イギリスではモジュール - Moduleという)があり将来のキャリアにつながるようなプログラムが組み込まれている学科もあります。 キャンパスの設備が豊富 イギリスの大学のキャンパスは設備が豊富で、図書館や研究室の他にも劇場や映画館がある大学もあります。高校2年生の冬に大学を見学しに行った時に、僕は大学の大きな図書館に強い印象を持った覚えがあります。King’s College Londonの他にも見学しに行ったUniversity of Leeds(リーズ大学)やThe University of Sheffield(シェフィールド大学)などはロンドンから離れた町にある分、静かな環境に大きなキャンパスがあり、勉強に集中できそうだなという印象を持ちました。 手厚いキャリアサポート 大学によっては卒業後もキャリアをサポートしてくれるところがあります。キングスカレッジには履歴書の添削や面接の練習を行なってくれるキャリアセンターがあり、僕も卒業前後にそれらをうまく活用しました。これらの充実した教育や設備があって、教育力や研究力などで世界中の大学の水準を評価するTimes Higher Education(THE)ランキング(2024年時点)ではトップ10にイギリスから3校、トップ100には11校が選出されています。 3年制なので学費を抑えられる 留学先で人気があるのはアメリカ、イギリス、カナダというイメージがありますが、イギリスは留学資金(学費・生活費)含めて残りの2カ国より割安というデータがあります。アメリカの大学が学士課程に4年間かかる中で、イギリスのほとんどの大学は学士課程が3年間で、2年制の学位を提供しているコースもあり留学費用の節約にもつながります。もちろん留学生向けに様々な奨学金制度があるのでそれらを調べることも大切です。 ロンドンの景色 ロンドン留学生の課外活動について 留学先を決める時は、授業外で何ができるかも考慮するべきポイントです。 ロンドン大学のサークル イギリスの大学にはSociety(日本でいうサークルのようなもの)があり、スポーツ系や芸術系など様々なジャンルのものが存在します。King’s College Londonには300種類近くのソサエティがありました。僕は小さい頃からバイオリンを弾いていて、大学に大きなオーケストラのソサエティがあると知った時、楽しそうだなと覚えがあります。ソサエティによっては気軽に参加できるものもある一方、賞や大会などの目標に向けて本格的に活動しているものもあります。 その他にも、イギリス、特にロンドンには博物館や美術館などがたくさんあり娯楽の選択肢がたくさんあることも魅力的です。特に僕は小さい頃からイギリスの音楽やサッカーが好きで、なかなか来日しないミュージシャンのコンサートに行ったり好きなサッカーチームの試合を現地のスタジアムで観戦できるのは憧れでした。イギリスは他のヨーロッパ諸国にすぐ旅行できる場所にあり、大学の休暇を利用して様々な文化を体験しに行くこともできます。 ロンドン中心部のレスタースクエア(Leicester Square) イギリスの多様性から得られるもの イギリスは移民の受け入れに積極的で多様な文化が共存しています。大学にも様々な国から学生や教員がやってきており、様々な文化を知ったり、物事を多角的な視点で考える力などを養うのに最適な場所です。国や地域ごとのSociety(King’s College LondonのJapan Societyには日本人の他にもアジア系の人だったり日本の文化に興味があるイギリス現地の人が集まる人気のソサエティです。日本語教室を開催したり、お正月の書き初めなどのイベントをしたりします。)もあり、様々なバックグラウンドを持つ人と交流できる機会があります。特にロンドンのような大都市では街を歩いているだけでも、様々な人にすれ違い様々な言語が聞こえてきます。ここで勉強できるのは自分の視野を広げるのにピッタリだなと思ったのも、イギリスに進学することを決めたきっかけでした。 【イギリスの大学】留学先を決める時のポイント 僕が志望校を選択したのは高校1年の終わりのことでした。大学進学に向けて目標(大学ごとに定められたIB、A-Levelの入学基準スコアなど)を設定したりPersonal Statement(パーソナルステイトメント)などの出願準備をするためにも、志望校は早めに絞った方がいいと思います。UCAS(イギリスの大学出願機関)を使って出願する際、第5希望まで決めることができます。ここでは志望校を選択する時にするべきこと、考えるべきポイントを書きたいと思います。 大学を徹底リサーチ 大学の教育・設備やそこでどのようなキャンパスライフが送れるかは場所によって全く違うので、各大学のリサーチは慎重にする必要があります。 まず参考にしたのは世界大学ランキング 僕の場合、まずは先ほど紹介した大学ランキングを見て、どの大学に自分の勉強したい学科があるのか調べるところから始めました。Times Higher EducationやQS World University Rankingsなどの大学ランキングは総合ランキングだけではなく、専攻別などのランキングも発表されているので調べる上でとても参考になります。 大学の公式サイトを読み込む 自分の気になる大学・学科を絞り出した後はその大学のウェブサイトを見てみました。イギリスでは大学の総合案内書をprospectus(プロスペクタス)と言い、ウェブサイトで紙のバージョンを申請できる大学もあります。大学のprospectusやウェブサイトには卒業生の就職率や留学生の割合などが書かれているので、大学でどのような生活を送れるかの大体の指標にもなります。 留学イベントに参加 日本ではSI-UK(Study International UK Limited)やbeoと言ったコンサルタント会社などが主催となって留学フェアや進学セミナーが毎年行われています。実際に現地の大学の教員の方と交流できたり資料をゲットできる機会なので、効率的に活用しました。一つの大学が日本に来て(もしくはオンラインで)説明会を行うこともあります。 オープンキャンパス(Open Day) 日本の大学と同じようにイギリスの大学もオープンキャンパス(Open Day)を開催しています。実際に大学内を見学するのは、学校への理解が深まるので志望校を絞るのにとても効果的でした。大学によって開催される時期は違うので、もしオープンキャンパスに行けない場合はオンラインでバーチャルツアーができる大学もあります。その他にもソーシャルメディア(Instagramなどの大学の公式アカウント、学部やソサエティのアカウントなど)を活用して、現地の学生や卒業生の声を聞いたりするのも1つの手段です。 大学の環境が自分に合っているか考える 志望校を選ぶ場合、大学の教育内容や設備などに目が行きがちですが、その大学が自分の性格や目標に合っているのかも考えるべきポイントです。例えばイギリスに留学する際は、ロンドンの大学で勉強するか、それ以外の都市に行くかの二択に分かれますが、結果的に自分に合ってない環境で3年間勉強することになるのは辛いので、自分が納得できる選択をするべきです。世界の中心地の一つであるロンドンでの生活は都市のスピード感が速く、多文化的な環境であることも含めて刺激的な経験をすることができます。その一方で、地方都市ではOxford(オックスフォード)やCambridge(ケンブリッジ)などその地域特有のコミュニティがあります。ロンドンに比べて物価が比較的安いことも含めて、リラックスした環境で勉強できる利点があると思います。 イギリスの大学選びは「自分軸」で決めよう 最終的に僕はロンドンの大学を3校、ロンドン以外の大学を2校選択して出願しました。どちらを選ぶかは、あなたが何を大学生活に求めているか、自分に合った生活スタイル、予算などで変わってくると思います。ここはランキングなどに流されず、自分がどうしたいかを大切にしましょう。 イギリス留学には多くの魅力があり、まず自分に合った大学を選ぶことがそこで充実した経験をすることへの第一歩です。今回紹介したポイントを参考にしながら、ぜひ理想の留学先を見つけてください。 https://jp.education-moi.com/article-30

UCL現役大学生の留学体験記!イギリス留学のリアルと道のり

京都からイギリスへ: UCL大学留学を決めるまで 自己紹介・バックグラウンド  はじめまして。Nanaです。京都市出身で、中学まで地元で過ごし、高校からイギリスの学校に進学しました。  現在は、University College London(UCL、ユニバーシティカレッジロンドン)でArts and Sciences(アーツアンドサイエンス)学科で勉強しています。一つの専門分野を3年間かけて学ぶ一般的なイギリスの大学とは異なり、この学科ではリベラルアーツ教育に似ていて、文理問わず幅広い分野の科目・デパートメントの授業を取ることができます。  留学を決意したきっかけ 中学2年生の時にスイスでサマースクールに参加した体験が留学を志した原点です。いろいろな国から生徒が来ていて、英語だけでなく、ドイツ語、イタリア語、フランス語などを操る同年代の生徒と出会いました。言語がもたらす新しい人との出会い、つながりや発見に心躍らされました。私もグローバルな世界で過ごしたいと強く思った経験でした。 学校選びから出発まで 本格的に留学を考え始めたのは中学2年生の冬あたりでした。サマースクールで訪れたスイス、友人がすでに留学していたアメリカとイギリスを留学先の候補にしましたが、結局イギリスとアメリカの学校に出願し、先にオファーが来たイギリスの学校に入学することに決めました。友人に紹介してもらった留学エージェントを通して、学校の選定、受験、インタビュー(面接)を経て、イギリス南西部にあるTaunton School International(TSI、トーントンスクールインターナショナル)への入学が決まりました。インタビュー(面接)や試験はすべて、オンラインで行いました。 Taunton School International(トーントンスクールインターナショナル) の校舎 しかし、この時期(2020年)にちょうど新型コロナウイルス感染症が流行り始め、4月に予定していた渡英は先送りされてしまいました。イギリスには行けなかったものの、学校側がいち早くオンライン授業を導入したため、4月-6月の1学期間は日本の自宅で授業を受けました。思い描いていた留学の始まりではありませんでしたが、振り返ってみればホームシックにならず、少しずつ英語に慣れていく良い機会だったと思います。 TSIではGCSEと呼ばれる中学課程に当たるものを1年間学習しました。2年目からはLancing College(ランシングカレッジ)という現地校に入学し、A-level経済、数学、応用数学、日本語を履修し、受験を経て、UCLに入学しました。 Lancing College(ランシングカレッジ)のチャペル UCL大学生のキャンパスライフ ロンドンならではの魅力と学びの日々 現在通っているUCLはロンドン中心部にあり、1826年に設立された大学で、150を超える国から学生が集まる国際性と400以上のコースを提供し幅広い研究分野を持っているのが特徴です。ロンドンという大都市ならではの刺激的な環境もあり、学びだけでなく生活面でも多くの発見がある大学です。 University College London(UCL)に入学 リベラルアーツ型の学び: Arts and Science学科の特徴 大学ではArts and Science(アーツアンドサイエンス)と呼ばれるリベラルアーツの学科で勉強しています。この学科はイギリスの大学にしてはとてもユニークです。イギリスの大学では基本的に高校で専攻した教科を中心により深く学びます。例えば高校で経済を専攻すると大学でも経済学部やビジネス系の学部に進み、その学部で必修授業をとります。しかし私の学部では多くの学問の知識をいかに融合させて社会課題の解決策にアプローチするのかに重きを置いています。こういった学問を英語ではInterdisciplinary studiesと呼び、分野横断的(学際的)な学びを意味します。社会課題を解決するのにもさまざまな切り口や専門知識が必要なうえ、分野が異なる人々と協力することも欠かせません。そのようなことを中心に学んでいます。 そのため、履修する授業の半分以上を自分で選択できます。学科の中で、3年間を通して全く同じクラスの組み合わせを取っている学生は誰一人いません。こういった環境が自分の学習生活を唯一無二にします。 実際に履修している授業紹介 私が今年取っている科目は、Principle of international public law(国際法)、Mathematical analysis, Real analysis(解析学)、Database system(データベースシステム)、Macroeconomics/Open and Closed economy(マクロ経済学)、Quantitative methods(定量調査)、Sustainable energy(持続可能エネルギー)、Mandarin(中国語)です。分野がバラバラでそれぞれ全く関係なさそうに見えますが、Sustainable energyで学ぶエネルギー政策はMacroeconomicsの経済政策につながっていたり、Quantitative methodsで習得する基礎プログラミングはDatabase systemで応用できたりと、他の学生とは違った視点で問題の解決法を見いだすことができます。 課外活動とロンドンでの暮らし 日本語を教えるJapan Societyでの活動 授業外では、Japan Societyと呼ばれるソサエティ(サークル)に参加していて、2週間に1度、学生に日本語を教えています。 Finance and Economics Societyで得た学びと人脈 また、Finance and Economics Societyにも参加しており、週1くらいの頻度で開催されるロンドンの投資銀行などの金融業界で働く方によるセミナーに参加しています。UCLのネットワークはかなり広く、トップ企業で働く卒業生も多いので、いろんな人から話を聞けるチャンスがたくさんあります。 ロンドンの美術館・博物館巡りで深める学び ロンドンには大英博物館(British Museum)やナショナルギャラリー(National Gallery)など、たくさんの権威ある美術館と博物館が集まっていて、ほとんどが入場無料ということもあり、休日にはなるべく行くようにしています。 昨年取ったSocial Theoryの授業ではオリエンタリズム(西洋が東洋をどのようにとらえていたのかを研究する学問領域)のトピックを扱ったのでテムズ川畔にあるTate Britain(テート・ブリテン) の絵画を見に行きました。Colonialism(植民地主義)などのトピックを考える際、博物館の作品は貴重なソースとなり、実際に鑑賞することでコンテンツの理解をより深めることができます。 高校留学・大学留学を通じて得た学び 広がった視野と情報へのアンテナ 留学して良かったことは、視野が広がったことと得られる情報が増えたことです。異なる文化や価値観を持つ人たちと関わる中で、自分が当たり前だと思っていた考え方が、実は国や環境によって大きく異なることに気づきました。Taunton School時代のルームメートはブルンジ人でした。初めて聞く国からの生徒だった彼女とどうしても話をしたくて、どんな国なのか、何語を話すのかなどを調べた記憶があります。 多様な視点を学べる国際的なクラスメートとの出会い 授業では、さまざまなバックグラウンドを持つクラスメートと意見を交わす機会が多く、同じテーマでも多様な視点があることを学べたのは、とても刺激的でした。日本では、自分がどの政党を支持しているか、政策まで議論することはなかったですが、イギリスでは自国の政策はもちろん、他のヨーロッパ諸国の政策まで網羅している学生も何人かいて、意識の高さがうかがえました。経済の授業では特に、GDP(国内総生産)成長率やインフレ、利子率を必ず頭に入れておく習慣ができました。円安など、身の回りで起きていることが身につけた知識で理解できるようになっていくのが楽しかったです。 英語力と自己発信力の向上 また、英語でコミュニケーションを取る力が自然と身につき、自信を持って自分の意見を発信できるようになったのも大きな成長です。さらに、留学生活を通じて新しい友人や経験に出会い、自分自身の挑戦する力や柔軟性も養われたと感じています。 留学生活で感じた辛さと乗り越えた経験 言語の壁とコミュニケーションの葛藤 留学で辛かったことのひとつは、最初の頃に感じた言語の壁です。英検2級を取得後に渡英しましたが、授業では、ネイティブスピーカーや先生たちのスピードについていけなかったです。留学当初は宿題を終わらせるのにも、クラスメートの3倍時間がかかりました。授業がわかるようになっても、友達との会話や冗談を理解し、話すまでにはかなり時間がかかりました。小学校の間に英会話塾に週1で通っていましたが、実際に会話しようとすると、自分のシャイな性格も相まって単語が出てこない場面が多くあり、自分の意見を思うように表現できず、もどかしさを感じることがありました。 辞書を片手に専門用語と格闘する日々 大学に入ってからは、専門的な単語も多くて、今でも辞書は手放せません。ですが、一つ一つの単語の意味を調べる習慣がついたことで、理解できない単元があっても、わかるまで調べたり文献を読んだりして、人一倍深い学びを得たと思います。 これからイギリス留学を目指す人へのメッセージ 留学は挑戦の連続ですが、ぜひ恐れずに一歩踏み出してみてください。その経験が、自分自身を大きく成長させ、未来への大きな力になるはずです。 https://www.ucl.ac.uk

【イギリス高校留学】15歳で親元を離れたボーディングスクールでの生活

私は15歳から親元を離れ、イギリス留学を始めました。大学もイギリスで、卒業後もしばらく滞在していたため、気づいたら14年間イギリスにいることになっていました。苦あり楽ありの留学体験をお届けします。 イギリス全寮制高校への道: 留学を決意するまで 小さい頃、父の仕事でアメリカに行っていたことがあり、英語には多少自信がありました。しかし、滞在は4歳から6歳までのわずか2年半だったため、帰国し中学生になった頃には英語力がかなり落ちていました。ある日、母と当時の英語の家庭教師からの要望に応じ、英語のエッセイを書いてみました。すると「アメリカの小学校2年生レベルだね」と言われ、ショックを受けました。これを機に、英語をちゃんと勉強しようと決意しました。 ちょうどその頃、インターナショナルスクールに通っていた2つ上の兄がイギリスの大学に進学したいと言ったので母と3人でイギリスの大学の下見に行くことになりました。自分にとって未知の国だったイギリスに惹かれていたのと、いつかは留学したいという思いが相まって、ついでに高校も見ようと母と決めていました。 ノッティンガムシャーの高校見学 複数の大学や高校を巡り、その中のひとつの高校にとても良い印象を持ちました。イギリス東中部、Nottinghamshire(ノッティンガムシャー州)のWorksop(ワークソップ)というところにある高校です。先生が優しく、校舎も広くてかっこよく、生徒達の行儀もとてもよかったです。みんな紳士的で礼儀正しく、先生方の指導が行き届いていることが伝わってきました。 若くして単身留学することを心配していた母も、このしっかりした校風が気に入りました。校長先生とお話をし、その後校舎見学をしました。また、私が医学部志望だったため、英語力をネイティブ並みに上げる必要があると言われ、もうその夏から入学することを勧められました。もともとイギリスでそのまま医学部に行くつもりはなかったのですが、先生方や両親と相談し、見学に行った2ヶ月後には留学を決心しました。 学校の校舎 イギリス高校留学|ボーディングスクールの生活とは? 寮のシステムと制服 イギリスに着いてすぐ、寮長さんや寮母さんに挨拶しました。説明を受け、私はYear 10(日本の中学3年に該当)に入学しました。日本の中学に相当する学年では制服が決まっています。ブレザー、シャツ、スカート、そしてcravatと呼ばれるネクタイのようなものに加え、靴下も学校指定のものを着用しました。 この学校には数種類の寮があり、女子は学期中ずっと過ごす「Full boarding(フルボーディング)」用、平日だけ暮らす「Weekly boarding(ウィークリーボーディング)」用、そして「Daily student(夜には家に帰る通学生)」用の寮がそれぞれ1つです。男子寮はDaily studentと住み込みの生徒が混ざっていて5~6つの寮がありました。各寮には30~40人くらいの生徒がいました。 1つの寮には最下級生のYear 9(中学2年生)から最上級生のYear 13(高校3年生)までが一緒に暮らしており、2、3人部屋もあれば1人部屋もあります。新入生は基本的に多人数部屋に割り振られ、最高学年の生徒は1人部屋が与えられました。私は最初3人部屋に入りました。その後2人部屋になったり3人部屋になったりの繰り返し。最終学年になったらついに1人部屋を手に入れました。毎学期、部屋のメンバーは先生が決めて変えていました。 校長先生の住むお家。学校の入口のすぐ隣にある 深夜の勉強と寮のおきて 渡英当初の英語力では会話についていくのが精一杯で、授業は全く理解できませんでした。現地の生徒ばかりの学校で、私の学年にいた留学生は他に男子2人だけでした。英語の授業以外は現地の生徒達と一緒に受けるため、取り残されないように懸命でした。深夜と早朝の時間を活用し、ひたすら教科書の翻訳をする日々が続きました。 ある明け方、普段電気が点いている部屋が消灯されたので階段に座って勉強していました。すると寮母さんが駆けつけてきて、「Yui、こんな時間に勉強しないの!ここはアラームがついているの。勉強は日中だけでも十分なのだから夜はしっかり休みなさい」と注意されてしまいました。どうやらこの階段にはアラームが設置されていて、人が入ると寮母さんなどの責任者だけが知らされるようになっていました。それ以来、夜中の勉強はやめました。 ホームシックと戦う日々 寮生活はとても厳しく、朝1回、お昼前に1回、お昼後から夕方にかけて3回、そして夕飯後の宿題時間に3回、点呼がありました。そして寝る前には先生が各部屋を回って携帯電話を没収し、電気も強制的に消されます。しかしほとんどの子は偽物の携帯を預けていました。 留学した最初の年はスマホもWi-Fiもなかったので私はガラケーを使っていました。インターネットは共用のパソコンルームのみで使うことができます。家族と連絡を取るときは国際電話でした。 週に1回、Skypeが使えるパソコンを予約して家族とビデオ通話することができました。しかし世界中から留学生が来ているので常に予約枠の取り合いでした。日本との時差の関係で都合の良い時間帯が限られ、目当ての時間枠が取られてしまってよく落ち込んでいたものです。 最初の1年間はホームシックでほぼ毎日泣いていました。言葉があまり通じなかったため友達もできなかったです。「かわいそう」と寄ってきてくれる生徒や授業で一緒になった生徒とたまに話す程度でした。都会ではなかったので、アジア人が少なく、奇異の目で見られているように感じました。 留学1年目の冬。膝下まで雪が積もるほどの大雪でした 辛かった陸軍の訓練 私の学校はCCF(Combined Cadet Force)という連合将校養成隊の時間があり、Army(陸軍)の訓練をしました。陸軍の他に、Navy(海軍)、Royal Air Force(空軍)もあり、現地の生徒は選択が可能でした。その頃、私たち留学生は選べず、一番人数の多い陸軍に自動的に振り分けられました。軍隊用の重たい迷彩服を着て寒い中2時間くらいマーチングし、銃の練習や匍匐前進などをするのはとても苦痛でした。また、落ち葉や枝を集めたり、数人組で運動させられたりと、グループでの活動が多かったです。友達の少ない私には楽しくはありませんでした。 礼拝の時間でスピーチに挑戦 一方で、週5回の朝のChapel(礼拝)の時間は比較的平和な時間だと感じました。讃美歌を歌い、お話を聞くだけの時間でした。木曜と土曜日以外の曜日に毎週、礼拝が行われました。日曜日だけ、朝の礼拝は全校生徒ではなく、寮生のみの参加で人数が少なかったです。そのため留学生にも皆の前で話をする機会が与えられました。 私も数回日曜日にスピーチした後、全校生徒の前で話す機会をもらい、3.11の出来事などを話しました。現地の生徒が多かったので、彼らにとって海外に触れられる貴重な機会だったと思います。その他、日本や中国の祝日の時には文化のお話もしました。 日本ではクリスマスは外で過ごし、お正月は家族で過ごすものだと伝えたら、イギリスとは真逆なので驚かれました。話した内容に興味を持ってくれ、それをきっかけに会話が弾むことがよくありました。先生方は、私たち留学生が学校に溶け込めるよう、常に様々な工夫をしてくれていました。 チャペル 深める交流: スポーツとイベントの舞台裏 ハリーポッターの世界!イギリスならではのスポーツ イギリスのBoarding school(ボーディングスクール・全寮制学校)特有のスポーツの時間もありました。季節や性別によって競技が分けられています。秋には男女共にもホッケー、冬は女子がネットボール、男子がラグビー、夏は水泳、クリケット、クロスカントリー、ラウンダースなどから自由に選択できました。ハリー・ポッターに出てくるような寮対抗の大会や他校との試合もありました。他校との試合では、全生徒が実力別に分けられ、相手校の同じレベルのチームと戦います。そして試合後は相手チームと一緒にSupper time(おやつの時間)があり、ポテトやパン、フルーツ、ケーキなどを一緒に食べました。 ラグビーコートが9面もある広大な敷地を持つ学校。裏にはゴルフコースも プロムやダンスパーティー 年に数回、寮ごとのパーティーがあり、他の寮の子も主催寮の生徒に招待されれば参加できました。男子寮が開催するダンスパーティーに出席する際はProm(プロム)に行くような感じのドレスアップをしました。また、冬休みに入る前は各寮の寮生全員が一丸となって練習したダンスを全校生徒の前で発表するイベントもありました。 その他にも私はInternational Eveningを主催したことがあります。各国の生徒が協力して国の料理を作り、みんなでビュッフェスタイルで食べるイベントです。先生方に協力していただき、ダイニングホールとキッチンを借りて行いました。そこで日本人チームはトンカツを作りました。 日本人チームが作ったトンカツ 英国ボーディングスクールの授業内容 1年目はGCSEを勉強しており、Science(理科)、Mathematics(数学)、English as a Second Language(英語), Religion(宗教学)とStudent Selected Studies(選択科目)でした。選択科目にはGeography(地理)、History(歴史)、Art(美術) , Design and Technology(デザインとテクノロジー)、Food and Nutrition(料理と栄養学)などがありました。 私は理系だった上、英語の授業についていくのに必死だったこともあり選択科目ではArt、Design and Technology、そしてFood and Nutritionを選択しました。英語がネイティブの生徒はフランス語なども選択可能でしたが、留学生は必ずEnglish as a Second Language(ESL)をとらなければならず、他の言語は選択できませんでした。ESL以外の授業は全て現地の生徒たちと一緒でした。 私は日本で購入した電子辞書をどの授業にも持っていき、常に単語の意味を調べながら受けていました。最初の1年は辞書を使用して試験を受けることが許されていました。試験の際には先生から英和辞典が手渡され、それを使って試験に挑んでいました。 イギリス高校留学で得たこと 先生のサポートに感激した日 特に印象に残っているのは理科の授業で試験が返却された時のことです。私は60%しか得点できず、周りの不真面目な子たちと同じくらいの点数でとても悔しかったのですが、先生は私の努力を褒めてくれました。しかし他の生徒がそれを聞いて「でも辞書を使ってるしね」と嫌味を言いました。それに対し先生は「じゃあ君は他の国に行ってその国の言語でテストを受けた場合、辞書を使えばこの点数取れるのか?簡単なことではないよ、母国語で受けても簡単じゃないんだから」と返してくれました。この先生のサポートは今でも忘れられません。このように素晴らしい先生方がたくさんいる学校でした。  Comfort zoneに戻るか挑戦を続けるかの決断 渡英してから1年経った時の夏休みに帰国した際、正直イギリスに戻るか少し悩みました。友達が少なく、授業も難しい。でもやっと英語にも慣れてきたこと、そして何よりも先生方の期待に応えたい気持ちがあり、もう1年、せめてGCSEだけでも終えようと、戻る決心をしました。重たい足を引きずり、再び寮に戻ると、先生が「戻ってきてくれてよかった」と声をかけてくれました。複雑な心情で戻ってきたけれど先生方がいれば頑張れると思いました。 私の学年に新しい留学生が増え、寮にも何人か入ってきました。英語が全く話せなかった中国人の生徒が1人いて、その子に英語を教えながら暮らしていたらいつの間にか自信もつき、留学生活が楽しくなっていました。そして授業にもついていけることに気が付きました。友達も増え、去年から同じクラスだった生徒達に「Yui、英語すごく上達したね」と言われたときは本当に嬉しかったです。 おかげでGCSEは良い成績で卒業できました。次回はA-level、やホストファミリー、休暇の過ごし方について書きたいと思います。 https://passport-to.com/articles/9/

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イギリスの大学の成績評価方法と課題をこなすコツ【現役ロンドン大学生が伝授】

はじめに こんにちは!Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを勉強しているKotokoです。 今はちょうど大学1年目が終わって夏休みに入り、1年次の成績も出ました。今回は、1年生の間に受けた授業のテストや課題をもとに、成績の評価方法についてお伝えしたいと思います。なお、ここで紹介する評価方法は私が通っているGoldsmithsでの一例であり、大学や専攻によって異なる場合があります。参考としてご覧ください。 イギリスの大学の学期と成績評価方法の概要 まず、イギリスの大学は日本と違い、秋入学で、秋(9〜12月)、冬(1〜3月)、夏(4〜6月)の3学期制を採用しているところが多いです。 また、評価方法も日本のように期末試験だけに重きを置くのではなく、エッセイや課題提出、プレゼンテーションなど多様な評価方法をバランスよく取り入れているのが特徴です。 私は1年生で秋タームに3つ、春タームに3つの授業を受けました。夏タームは授業がなく、主にテスト期間として設定されていたため、今回は秋と春の授業に絞って評価方法を詳しく紹介していきます。 秋タームの授業と評価方法 Introduction to Promotional Media この授業では、私の専攻であるPromotional Mediaの基礎について、歴史的背景や主要な理論を中心に学びました。広告、PR、ブランディングといったプロモーションの役割や、メディアとの関係性について、理論的に深掘りする内容でした。 評価方法①:エッセイ(800 words) – 30% 授業で扱った理論を使って、ある事例を分析する課題でした。初めての大学の評価課題だったこともあり、リサーチや構成にかなり時間がかかりましたが、テーマが身近だったので、取り組みやすかったです。 評価方法②:エッセイ(2000 words) – 70% 先生が提示した7つのテーマから1つを選び、授業で学んだ内容を活かして深く掘り下げる課題でした。最低5つの学術文献を引用する必要があり、リサーチ力と論理構成力が求められました。プレッシャーはありましたが、時間をかけてじっくり書き上げることができました。 Introduction to Marketing この授業では、マーケティングの基本についてセミナー形式で学びました。 評価方法①:エッセイ(1500 words) – 50% 授業で学んだマーケティングの理論を使って、最近のマーケティング関連ニュースを分析するという課題でした。冬休み前の提出だったので普段の授業の予習と並行して進める必要があり、正直なところ計画的に取り組むのが難しかったです。 評価方法②:試験(1時間半) – 50% 夏タームに行われた手書きの筆記試験で、当日提示された3つの質問の中から2つを選び、エッセイ形式で回答します。お題が事前に知らされなかったので、重要な理論や研究者の名前をしっかり暗記して、スペルミスなく書く必要がありました。私にとって、この試験が最も難しく感じました。 カフェで試験勉強に取り組んでいる様子 Writing for the Media この授業は、これまで紹介した2つの授業とは違って、より実践的な内容でした。専攻生全員が2つのグループに分けられ、少人数で行われたのも特徴です。授業時間も1〜2時間ではなく、お昼休みを挟んで午後4時ごろまで続く長めの授業です。先生との距離も近く、実際に手を動かしながら学ぶスタイルでした。主に、新聞記事やSNS投稿など、“書くこと”に特化したメディア表現について学びました。 評価方法①:エッセイ(1000 words) – 30% 授業で習った理論を使って、SNS投稿など実際のメディアの例を1つ選び、分析するという課題でした。 評価方法②:ポートフォリオ制作 – 70% 自分で1つキャンペーンを考案し、そのキャンペーンに関する以下の内容を含んだポートフォリオ(2500〜3000 words)を作成しました: スローガンと概要 Q&A(インタビュー内容を記事化) プレスリリース ソーシャルメディア投稿(10個) 冬休み明けの提出だったため、冬休み期間を使ってじっくり取り組むことができました。実際に手を動かして作る経験ができる授業で、学びがとても濃かったです。 また、このポートフォリオ制作に向けて、フォーマティブ課題※としてプレゼンテーションを行う機会がありました。これは成績には含まれませんが、先生からのフィードバックをもとに自分の企画をより良いものにブラッシュアップできたので、実践に活かせる貴重な時間でした。 ※評価の種類 イギリスの大学では、評価には大きく分けてFormative Assessment(フォーマティブ評価)とSummative Assessment(サマティブ評価)の2種類があります。 フォーマティブ評価:成績には影響しない練習課題やプレゼンテーションなどを指し、学びの途中でフィードバックをもらうためのものです。自分の理解度を確認したり、本番課題の準備をしたりする目的で行われます。 サマティブ評価:最終成績に反映される正式な課題(レポート、試験、ポートフォリオなど)で、学期の終わりや一定のタイミングで提出します。 春タームの授業と評価方法 Culture and Cultural Study この授業では、「文化」という広いテーマを、歴史、メディア、ジェンダー、ポピュラーカルチャーなど様々な視点から学びました。講義スタイルで進行し、理論的な内容が多かったのが特徴です。 評価方法:エッセイ(1000 words×2) – 各50% 春休みの2週間の間に、出された10個のトピックの中から2つを選んでエッセイを書く形式でした。 また、これに先立ち、春休み前にはフォーマティブ課題として500 wordsのエッセイがありました。TikTokの動画を選び、授業で習った材料を使って分析する内容です。私は先生からもらったフィードバックをもとに春休み中の本番エッセイに活かしました。 Media Art この授業では、メディアアートとは何かについて、様々なジャンルのメディアアート作品を通して学びました。 評価方法:メディアアート・プロジェクト(動画+エッセイ) – 100% この授業の評価は1つの課題に集約されていて、メディアアート・プロジェクトとして、自分で1〜2分の動画作品を制作し、さらにその作品のコンセプトや使用した手法などを900 wordsのエッセイで解説するものでした。動画はTikTokやCapCutなどの編集アプリを自由に使って制作し、YouTubeにアップロードして提出しました。春休み明けの提出だったため、時間をかけて仕上げることができました。 またこの課題に向けたフォーマティブ課題として、春休み前にエキシビションレポート(750〜800 words)がありました。メディアアートの展示を実際に見に行き、そこで出会ったアートワークとアーティストについて分析する内容で、本課題に向けた良い準備になりました。実際に自分で作品をつくるというユニークな経験ができた授業で、表現と分析を同時に学べる貴重な機会でした。 Tate Modernで見たCildo Meireles Web Design この授業は、先に紹介したWriting for Mediaと同様に、少人数グループでの実践的な内容でした。授業は朝10時から夕方4時までの長時間で、じっくりと制作に取り組める環境でした。 授業では、秋タームに作成したキャンペーンのポートフォリオをもとに、Webサイトを一から制作し、そのアクセス状況をGoogleアナリティクスを使って分析することが求められました。 評価方法①:Webサイトプランの提出 – 10% どんなWebサイトを作るか、ロゴやカラーなどのデザイン要素をまとめた企画書を提出しました。 評価方法②:Webサイトポートフォリオ – 90% 完成したWebサイトのリンクに加え、500〜800 wordsのGoogleアナリティクスを用いたアクセス分析レポート、そして1000〜1500 wordsのSelf-reflective essay(自分がWebサイト制作を通じてどのように成長したかを振り返るアカデミックなエッセイ)を含むポートフォリオを提出しました。 この授業では、企画から制作、分析、振り返りまで一連のプロセスを実践的に学べ、非常に充実した内容でした。 最終評価の仕組み ここまで秋タームと春タームでの各授業の評価方法をご紹介しましたが、最終的にPass(合格)かどうかは、それぞれの授業で得た成績の合計点に基づいて判断されます。私の通うGoldsmithsでは、各授業の評価で40%以上を取るとその授業はPassとみなされます。 秋の授業の評価結果は、冬休み明けに発表され、冬の授業は春休み明けに発表されます。そして、それらを合わせた1年次全体の成績は夏休みの初め頃に届きました。 私は無事すべての授業に合格することができましたが、万が一落ちてしまった場合でも、夏休み中に再提出や再試験の機会があるので、あまり過度に心配する必要はないと思います。 良い評価をとるためのコツ 実際に1年間、課題やエッセイに取り組んでみて、「これは大事だな」と感じたポイントを紹介します。 課題の指示書は注意深く読む エッセイやプレゼンの課題には、必ずassignment brief(指示書)があります。そこにはトピックだけでなく、フォーマット(段落構成・引用方法など)や評価基準も書かれています。書いている途中でも、何度も見返してちゃんと指示通りにできているか?を確認することがとても大事です。 言いたい内容を最初に伝える 英語のエッセイやプレゼンでは、最初のパラグラフで自分の主張やトピックをはっきりと伝えるのが基本です。これをthesis statementと言います。日本語の文章のように結論を最後に持っていくのではなく、英語では最初に要点を伝えるスタイルが好まれるので、意識してみてください。 指定のリーディングから引用する 授業ごとに、先生が選んだreading list(リーディングリスト)があります。そこに載っている文献や資料からの引用は、課題の評価を上げる上でとても効果的です。先生が大事と思っている資料を理解し、それを課題で活用することで、評価につながりやすくなります。 大学のサポートを活用する 多くの大学には、留学生や英語が母語でない学生向けに、文法やエッセイ構成を見てくれるAcademic Writing Supportのようなサポートがあります。Goldsmithsにも図書館にそのスタッフがいて、私は毎回予約してチェックしてもらっていました。質問もできて、エッセイの質がかなり上がるのでとてもおすすめです。 エッセイや課題で使える便利ツール&ウェブサイト 1年間を通して、課題などを進める中で先生や友達から教えてもらった、勉強に役立つ便利なツールを3つ紹介します。 Canva 私はプレゼン資料(パワーポイント)の作成や、エッセイの構成を考えるためのマインドマップとしてよくCanvaを使っていましたが、他にもチラシや履歴書(CV)、Webサイトまで簡単に作成できるのでとても便利です。テンプレートが豊富で、初心者でも見やすくおしゃれなデザインがすぐに作れます。私も春タームのWeb Designの授業でマインドマップをCanvaで作りました。 Web Designの授業で作ったマインドマップ My Bib My Bibでは、エッセイの最後に載せるreference list(参考文献リスト)を簡単に作ることができます。まず、大学に指定されている引用スタイル(例:Harvardなど)を選び、そのあと参考文献のタイトルやURLなどを入力すると、自動的にリストに追加してくれます。In-text citation(文中引用)にも対応していて、私はエッセイを書くときに毎回使っています。 Plagiarism / Grammar Checker エッセイを書くときに特に注意したいのがplagiarism(盗作)です。誰かの文章をそのまま使うときは “ ”(ダブルクォーテーション)で囲む必要がありますし、パラフレーズ(言い換え)をする場合も出典を明記する必要があります。私はエッセイを書き終えたら、Plagiarismで自分の文章をチェックし、無意識に盗作になっていないか確認しています。 同じサイトにはGrammar Checkerの機能があり、文法やスペルミスをチェックできます。特にイギリス英語とアメリカ英語でスペルが違う単語(例:colour / color)なども見直せるので、提出前の最終チェックにおすすめです。 まとめ ファウンデーションコースと比べて、大学1年生では毎週の予習(リーディングリストに沿った文献を読むこと)が増え、最初は少し大変に感じました。でも、留学生でもしっかり授業に参加し、課題にも時間に余裕を持って取り組めば、十分やっていけると実感しました。 今回紹介した授業の内容や評価スタイル、アドバイス、便利なツールなどが、これから入学される方や1年次を迎える方の少しでも参考になれば嬉しいです。 そして何より大切だと感じたのは、わからないことは遠慮せず質問すること、大学のサポートサービスを積極的に活用すること、そして無理をしすぎず、自分のペースを大事にすることです。 これからの大学生活が、皆さんにとって実りあるものになりますように。応援しています! https://passport-to.com/articles/16/

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イギリスの名門ボーディングスクール【コンコルドカレッジでの1日】

こんにちは、Kenshuです。4年前にイギリスの全寮制学校(ボーディングスクール)であるConcord College(コンコルドカレッジ)に入学し、今年の6月に卒業しました。コンコルドカレッジでの1日を振り返ってどのようなものかを共有できればなと思います! 寮生活で住民同士の交流が盛ん 僕がForm 4(中学3年生)の時にBell House という名前の寮に入っていました。この寮はほとんどのForm 3、Form 4、Form 5の男子生徒が暮らす学校内で一番大きい寮でした。Bellの中ではAからGブロックに分かれていて、自分はForm 4の時にAブロック、Form 5ではBブロックに住んでいました。各ブロックには10人ぐらいいました。 学年が上がるごとに部屋が広くなりました。部屋の中には机、ベッド、棚、クローゼットの他に洗面台も備え付けられていました。トイレとシャワーは5人で共用です。大人数が使うので朝のシャワーの時間帯になると渋滞していたのを覚えています。寝過ごした時や超渋滞していた時は朝シャワーを諦めて中休み中にシャワーを浴びていました。 雪の日の寮(Bell House) Bellには寮の先生が4人いて、交代で朝と夜の点呼や寮の管理をしていました。AからGブロックの他、Common RoomというBellに住んでいる生徒全員が使える場所があります。そこにはキッチンやゲーム(スイッチやPS4)、ソファなどがありました。授業が終わるとみんなでそこに集まって料理やゲーム(マリオカートやFIFA)をして、すごく賑わっていました。 Common Roomの横には寮の先生のオフィスがあり、何か問題などがあればすぐに助けてもらえます。毎週土曜日の夜には先生主催のパーティーがあり、アイスクリームやワッフルなどのデザートやタコスなどの料理が振る舞われました。 点呼は毎朝7時半と夜10時の2回ありました。夜10時までに寮に戻らないとStrike(注意)をもらい、それを3回もらうとDetention(罰としての居残り)を受けます。 毎日の3食は学校の食堂で食べる コンコルドでは毎日3食が提供されます。食堂は一つしかなく、しかも学校の一番端にあるのでたどり着くまで歩いて5分ぐらいかかりました。生徒全員が長いテーブルに座り一緒に食事を取ります。定位置はありませんが、みんなほとんど毎日同じテーブルに友達と座っています。 朝ご飯は8時からで、メニューは毎日ほぼ同じです。典型的なイギリスの朝食がビュッフェ式で用意され、欲しいものをなんでも食べられます。ソーセージとベーコン、スクランブルエッグと目玉焼きはそれぞれ日替わりです。パン・オ・ショコラ、クロワッサンと食パンは毎日出てきます。4年間も通ってると本当に飽きました。他にもいろんな種類のコーンフレークがあり、加えて牛乳や豆乳、アーモンドミルクも充実しています。個人的にコンコルドの朝食はイギリスのボーディングスクールの中でもいい方だと思います。 朝ご飯のパン・オ・ショコラとクロワッサン 昼ご飯は12時ごろで夜ご飯は午後5時半から始まります。朝食とは違って肉、魚、ベジタリアンの三つからメインディッシュを選べます。肉はポーク、ビーフ、チキン、ラム、ダックなどが日替わりで出てきました。魚は主にハドック(フィッシュ&チップスなどに使われる魚)しか出てきません。イギリス特有の文化で金曜日の昼ご飯には必ずフィッシュ&チップスが出ます。4年間のほとんど毎週フィッシュ&チップスを食べていたので日本に戻ってくるとたまに恋しくなります。 毎週金曜日に出されるフィッシュ&チップス 日曜日は特殊でBrunch(ブランチ)が朝ご飯と昼ご飯の代わりに、11時ぐらいからあります。BrunchではScampi(えびの揚げたやつ)やブリティッシュソーセージ、オムレツなどまさにイギリスのBrunchの定番メニューが出されました。個人的にBrunchが一番好きでした。 ブランチ 授業時間とA-levelでとった科目 朝の点呼を終え、朝食も済ませて8時35分にTutor(ホームルーム)が始まります。Tutorでは最近の出来事や連絡事項などを話し合います。1限目は9時に始まり、中休みと昼休みを挟み9限目、4時まで授業があります(1限35分)。 昼休みは40分しかなく、しかも食堂で長蛇の列ができるので実質食べる時間は20分しかありません。いつもめちゃくちゃ急いで食べていたのを覚えています。本当に時間がない時には全部食べ終わらないまま次の授業に出ていました。その後空腹で授業に集中できなくなり、途中で寮の部屋に帰ってお菓子などを食べていました。 Form 6からのA-levelでは4教科(物理、化学、数学、応用数学)と英語(IELTS)の授業をとっていました。一般的にA-levelでは3教科しかとらなくていいので自分は他の生徒よりも授業量が多く、Free Period(自由時間)が少ししかありませんでした。一週間のうち、1教科あたり8授業分あり、英語は4授業分ありました。 授業後の課外活動 4時に授業が終わるとTwilight という自由時間があります。Twilightではスポーツやクラブ活動、補習などいろいろなことが行われます。僕はほとんどの場合寮に帰って昼寝をするか、テスト期間だったら勉強をしていました。たまにバレーボールやサッカーの練習があり参加していました。他の生徒たちは音楽室を借りてバイオリンやピアノの練習などをしていたり、ランニングなどに行っていたりしていました。 5時半からはSupper(夜ご飯)の時間になり食堂に行きます。1年目から3年目まで同じようなメニューを食堂で食べていたので4年目になるとさすがに飽きるので出前を頼むようになりました。しかし配達料金が8ポンド(約1520円)※だったのを見てすごく驚きました。日本では200円から500円のところイギリスでは3倍以上かかるのでショックを受けました。食べ物自体も結構な値段をするので週に数回しか頼みませんでした。 ※1ポンド=190円で換算 Prep Time(自習時間) 夜ご飯が終わると、6時半から8時10分(100分間)までPrep Timeという時間があります。これは生徒全員が各教室に集まり、自習をする時間です。Prep Timeでは宿題をやったり土曜日のテストに向けて復習したりします。僕は通常月曜日と火曜日は宿題や他の課題をやり、水曜日、木曜日、金曜日はテスト対策をしていました。Prep Time中は先生たちが見回りに来るのでサボったりゲームをしたりしているとDetentionをもらいます。 Prep Time後の自由時間 Prep Timeが終わったら夜の自由時間に入ります。この時間では基本的にクラブ活動があまり行われず、まさに生徒たちの「真の自由時間」と言えます。 この時間は体育館が開かれているので希望者はバドミントンやバスケットボール、バレーボールなどを行うことができます。例えば月曜日はバスケットボール、火曜日はバレーボール、水曜日はフットサルみたいなスケジュールでした。コンコルドには体育館が二つあり、一つはバドミントン専用、もう一つは他のスポーツ用に分かれていました。バドミントンだけが一つのコートを独占できるのは、コンコルドのバドミントンチームがすごく強いからです。スポーツ終了後、10時までに寮に帰らなければいけませんでした。 10時以降は勉強したり友達と遊んだりしていました。11時になるとWi-Fiが切れます。加えてコンコルドはすごく田舎なところにあるので自分のモバイルデータ通信を使おうとしても電波が悪く、ユーチューブやインスタグラムなどインターネットを使うアクティビティが封じられました。そのためほぼ半強制的に11時に寝させられていました。ただ4年目のテスト期間中などは1時まで勉強することもありました。 毎週行われるSaturday Test Saturday Testとは毎週土曜日のテストのことです。テストは9時に始まり、11時ぐらいに終わります。各教科40分のテストが毎週2か3教科あります。テストの成績は次の週の月曜日か火曜日に返されます。Saturday Testの結果はEnd of Term Reportにも記載されるので毎週必死に復習していたのを覚えています。 End of Term Reportというのは毎学期の終わりに親に送られる通知表的なもの(レポート)です。このレポートでは各教科の先生からのコメント、全てのSaturday Testの平均点、End of Term Testの成績とEffort Grade(学習態度やクラスでの貢献度などの総合評価)が書かれます。このレポートは親に届くのでみんな親に怒られないよう(中にはあんまり気にしてない生徒もいました)に必死に勉強していました。 大事なEnd of Term Test(期末テスト) Saturday Testの他にEnd of Term Test(期末テスト)が年3回あります。このテストはSaturday Testよりも重要で、生徒全員のストレスの源です。 End of Term Testは科目と学年によりテスト数が異なります。 End of Term Testの時間割 息抜きの時間:Saturday Town Trip 毎週土曜日に学校から無料でShrewsbury(シュルーズベリー)という街行きのバスが出ています。Shrewsburyはコンコルドから一番近い町で、どちらもShropshire(シュロップシャー)郡にあり、Shrewsburyが郡庁所在地です。そこまでバスで20から30分かかります。 バスはSaturday Testの後に3台出ていて、毎週結構な人数が乗ってShrewsburyに行きます。そこで昼ご飯を食べたり、買い物をしたり、髪を切ったりしていました。僕はよくThe Beefy BoysやHickory’s Smokehouseなどのレストランに行っていました。 帰りのバスは4時半にShrewsburyから学校に帰るので4時間ぐらいしか街にいられませんでした。 最後の2年間(Form 6.1、6.2)になると水曜日にもShrewsburyに出られるようになりました。 Shrewsburyの街の様子 特に何もすることがない日曜日 日曜日は基本的に何もすることがなく、僕は昼にサッカーチームの練習、夜はバレーボールチームの練習をしていました。日曜日にはよく友達とかとピザの出前を頼み一緒に食べていました。 最後に 以上がコンコルドでの1日でした。「ボーディングスクールってどんなところ?」とて気になっている人にとって、この1日の流れが少しでもイメージの助けになればうれしいです。イギリスでの留学生活に進む一歩のきっかけになれたらいいなと思います。 https://passport-to.com/articles/18/

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イギリス留学の持ち物リスト | 現役ロンドン大学生による完全ガイド

はじめに こんにちは! Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを勉強しているKotokoです。 9月入学が主流のイギリス留学。渡航を控えた皆さんは、そろそろ荷物の準備を始める時期ですね。実は私も渡英前は「何を日本から持っていけばいいのか」とずいぶん悩んだものです。限られたスーツケースのスペースを有効活用するためには、日本から持っていくべきものと現地調達可能なものをしっかり区別することが大切です。 今回は、実際にイギリスで生活している私の経験から、日本から持ってきたほうがいいものと現地でも購入できるものに分けてお伝えします。荷物を最小限に抑えつつ、留学生活に本当に必要なものだけをピックアップできるよう、この記事を参考に準備を進めてください! 日本から持参すべきアイテム 基本的に多くの必要なものはイギリスでも買えますが、日本のように便利でコスパの良い商品はなかなか見つかりません。物価が高い上に、機能性やデザイン性で物足りなさを感じることも。 ここでは、実際にイギリス生活を送る中でこれは持ってきて正解だった!と実感したアイテムを厳選してご紹介します。 医薬品 普段から使い慣れている薬は、日本から持参することをおすすめします。急な環境の変化で体調を崩しやすい上に、イギリスの冬は厳しい寒さが長く続くため、風邪薬などの常備薬があると安心です。(私個人の経験ですが、イギリスの風邪薬はあまり効きませんでした) さらに、イギリスでは夏以外は晴天が少なく、冬場は午後4時頃には暗くなってしまいます。このため、日光を浴びることによって体内で生成されるビタミンDが不足しがちで、気分が沈みやすくなることも。そんな時に備えて、あらかじめ日本の薬局でビタミン剤を購入しておくと安心です。 使い捨てカイロ イギリスの厳しくて長い冬を乗り切るには、使い捨てカイロが必須アイテムになります。現地ではDisposable heat packとしてAmazonなどで購入できますが、スーパーなどではほとんど見かけません。特に靴用の小さなカイロはイギリスでは売っているのを見たことないので、日本から多めに持参することを強くおすすめします。寒さ対策として重宝すること間違いなしです。 ユニクロのヒートテック イギリスにもユニクロの店舗はありますが、日本の方が価格が安く、特に薄手で保温性の高いヒートテック商品は現地調達よりも日本から持参することをおすすめします。コンパクトに畳めるので、複数枚持って行ってもかさばらないのがおすすめポイントです。 ユニクロのウルトラライトダウン(コンパクト)ジャケット イギリスの気候にピッタリなのがユニクロのウルトラライトダウン(コンパクト)ジャケット!とにかく軽くて、かばんにサッと入れられるからいつでも持ち歩けるのが最高。寒い朝はジャンバーの下に着込んで、教室で暑くなったらサッと脱ぐ――という具合で、脱ぎ着しやすいのが本当に助かります。ウルトラライトダウンコンパクトジャケットのほうは折り畳み傘くらいの大きさにまとめられるのでどこにでも持っていけます! 厚手のもこもこ靴下 イギリスでもPrimark(プライマーク)※でもこもこ靴下は買えますが、個人的に超おすすめなのは日本から持ってきたカイロソックス!今年の冬、日本の友達からプレゼントでもらって大活躍しました。普通のもこもこ靴下と違って、冷えがちな足先までしっかり温めてくれる優秀アイテムです。 ※日本でいう「しまむら」のようなお手頃ファストファッションブランドで衣類から日用品までなんでも揃います。 歯ブラシ イギリスでも歯ブラシは買えますが、個人的には日本のものが断然おすすめ!特にヘッドの大きさが全然違います。イギリスの歯ブラシは全体的に大きめで、口の中でゴシゴシしづらい印象があります。かさばらないし、数本まとめて持ってきても荷物にならないので、使い慣れた日本製を持参するのがベストです。 イギリスのスーパーで販売されている歯ブラシ ヘアケア用品 イギリスの水は硬水であるため、同じヘアケア用品でも日本で使っている時と比べて髪がパサつきやすくなります。さらに、現地の美容院は日本に比べて料金が高く、気軽に通えないのも悩みどころです。とはいえシャンプーなどは毎日使うものなので、大量に持っていくのはスーツケースの容量的に現実的ではありません。そのため、個人的には小さめのヘアオイルやヘアミルクを持参することで、髪のダメージを多少でも抑えられると思います。 ハンディファン イギリスの夏は基本的に20℃前後で過ごしやすい気候ですが、まれに30℃を超える日もあります。また、電車やバス、一般家庭にはクーラーが設置されていないことがほとんどなので持っておくと快適に過ごせます。 日本食 イギリス生活では、ふと日本食が恋しくなる瞬間が必ずあります。しかし、現地の日本食レストランは値段が高く、いつも行けるわけにはいかないです。そのため、手軽に食べられるカップラーメンやレトルト食品、インスタント味噌汁、ふりかけ、お菓子などを持参しておくといいでしょう。 ※肉製品・乳製品・生の果物野菜は、イギリスへの持ち込みが禁止されています(検疫対象)のでご注意ください。 ミニ炊飯器 私は父と同居しているため普通サイズの炊飯器を現地で購入しましたが、イギリスで一人暮らしをするなら、100均で売っているような一合用の電子レンジ炊飯器があると便利です。 変換プラグ 日本のプラグとは違いイギリスはBFタイプ(3ピン角型)です。現地でも買えますが、すぐに必要なので渡航前に買っておいたほうが便利でしょう。イギリスからヨーロッパ旅行に行く際は違うタイプのものが必要となるため、マルチタイプを買うのがおすすめです。 イギリスのプラグと変換プラグの使い方 イギリスで手軽に買える物(事前に買わなくても大丈夫な物)  イギリスに来てから「あれ、日本から持ってこなくても、ここで買えたんだ!」と気づくものが意外とたくさんあります。特に生活必需品や毎日使う消耗品は、現地で調達した方が荷物を減らせます。ここでは日本からわざわざ持っていかなくてもイギリスで手に入るものを紹介します! 衣類 イギリス留学で荷物を圧迫するのが洋服類。でも安心してください!日本でもおなじみのユニクロがロンドンをはじめ主要都市にあり、PrimarkやH&Mなどお手頃ファストファッションも充実しています。なので必要最低限な量だけで大丈夫です! 調理器具 イギリスでもスーパーやIKEAで基本的な調理器具は揃えられます。ただ、日本の100均にあるような便利でお手頃なキッチン用品はあまり見かけないので、特に愛用している調理器具があるなら持っていくことをおすすめします。 スキンケア用品 スキンケア用品は、日本製品の方が価格も品質も優れている場合が多いですが、化粧水など液体のものを大量に持っていくのは現実的ではありません。幸い、イギリスでも無印良品でスキンケア商品が購入できますし、最近では韓国コスメ専門店も増えてきて選択肢が広がっています。お気に入りの基礎化粧品を1、2週間分ほど持参し、あとは現地で調達するのがおすすめです。 生理用品 生理用品については「日本のものの方が良い」という意見もありますが、私自身はそれほど違いを感じませんでした。かさばる上に、長期留学の場合必要な量を持っていくのは現実的ではないので、現地調達で十分だと思います。イギリスでもスーパーや薬局でさまざまなタイプの生理用品が手に入りますし、特に困ることはありませんでした。荷物のスペースを節約したいなら、現地で購入するのがおすすめです。 現地のおすすめ買い物スポット このセクションでは、私が実際にイギリス生活で欠かせないお店を、スーパー・ドラッグストア・日本関連商品の3つのカテゴリーに分けてご紹介します。 スーパー イギリスには様々な価格帯のスーパーマーケットが存在します。低価格チェーンのLidl(リドル)やALDI(アルディ)から、高品質な食品を扱うM&S(Marks & Spencer/マークス&スペンサー)やWaitrose(ウェイトローズ)まで、選択肢は豊富です。特に印象的だったのは、どのスーパーでも日本と比べて手頃な価格で新鮮なフルーツが手に入ること。また、焼き立てのパンの種類の多さにも驚かされました。 イギリスのスーパーで販売されている焼き立てのパン ドラッグストア イギリスで主流なドラッグストアはBoots(ブーツ)とSuperdrug(スーパードラッグ)の2大チェーンです。Bootsは品揃えが非常に豊富で、医薬品から化粧品まで幅広く取り扱っています。一方SuperdrugはHealth&Beautycard(ヘルス&ビューティーカード)のポイントサービスが特徴で、会員登録をするとポイントが貯まり、会員限定価格でお得に購入できます。 日本の物が手に入るお店 ロンドンで日本食材を手に入れるなら、Japan Centre(ジャパンセンター)が便利です。Leicester Square(レスター・スクエア)駅近くにあり、様々な日本食材が揃っているだけでなく、ラーメンなど日本食も楽しめます。また、重たいお米や冷凍食品などはWASO(ワソ)というオンラインショップで購入可能です。私は特にお米やレンジでチンしてすぐ食べられる冷凍惣菜をこちらでよく購入しています。 日本のスキンケア・ヘアケア製品が欲しくなった時、私のおすすめはロンドンのチャイナタウンにあるP2Bus(ピー・ツー・バス)です。Leicester Square(レスター・スクエア)駅からすぐの好立地で、日本の人気美容製品から韓国コスメまで幅広く取り揃えています。 日本価格と比べると割高にはなりますが、いざという時の緊急購入先として重宝しています。また、オンラインストアでも限定品を扱っているので、ロンドン郊外にお住まいの方も要チェックです! パッキングのコツ イギリスで実際に生活している私が、これだけは絶対に押さえておいてほしいパッキングのコツをまとめました。渡航前にぜひチェックしてから荷造りを始めてください。 荷造りを始める前に、まずは航空会社の荷物規定を必ずチェックしましょう。エコノミークラスの場合、一般的に預け入れ荷物は23kgまで(1個)、手荷物は7~10kgが目安です。ただし航空会社によって規定が異なるので、必ず最新情報を確認してください。荷物を詰め終わったら、事前に重量計で量ることを強くおすすめします。 衣類を詰める際は、圧縮袋を使うとスペースを大幅に節約できます。さらに、衣類をロール状に丸めて収納すると、しわになりにくく隙間にも詰めやすくなります。 貴重品や重要書類(パスポート、入学許可証、保険証など)は必ず機内持ち込み手荷物に入れましょう。万が一預けたスーツケースの遅延や紛失に備え、1、2日分の着替えと洗面用具を機内持ち込み手荷物に入れておくと安心です。液体物を持ち込む場合は、100ml以下の容器に入れ、透明なジップロックにまとめる必要があります(1人1袋のみ)。 機内は思ったより寒くなることがあるので、チャック付きパーカーなど温度調節しやすい服装がおすすめです。乾燥対策としてマスクやハンドクリームがあると快適に過ごせます。 まとめ 今回の記事では、実際にイギリスで生活する私が厳選した日本から持参すべきアイテムと現地調達が可能なアイテムをご紹介しました。日本製品は品質が良く価格も手頃なものが多いため、可能な限り持参すると便利ですし、安心感もあります。 一方で、意外と多くの日用品が現地で調達できることもお分かりいただけたかと思います。現地に到着してから「あれを持ってくればよかった......」と後悔することのないよう、ぜひ計画的に準備を進めてください。この記事が、皆さんの荷物準備の参考になれば幸いです! https://passport-to.com/articles/14/

英国ボーディングスクールから理系の名門大学インペリアルカレッジロンドンへ

 初めまして、Kenshuと申します。19歳で、香港で生まれ育ちました。幼少期から香港のインターナショナルスクールに通い、4年前からイギリスに留学しています。現在ロンドンのImperial College London(インペリアカレッジロンドン)でChemical Engineering(化学工学)を学んでいます。 留学の経緯:香港で生まれ育ち、イギリス留学へ 小さい頃、父のお仕事の影響で日本と香港を行き来していました。小学校から中学2年生までは香港のインターナショナルスクールに通っていました。途中、日本の中学受験をしたものの、香港に残ることにしました。2019年以降新型コロナウイルス感染症が世界各地で繰り返し流行り、深刻な問題になっている真最中、私はイギリス留学を決め、海を渡りました。2021年の9月に一人でイギリスに渡り、今までの4年間を過ごしてきました。 イングランド西部にあるConcord Collegeに進学 イギリスでの学校選びにはそれほどの時間をかけませんでした。いくつかの学校に応募し、最初に合格が決まったところに行くことにしました。私が行くことになったボーディングスクール(全寮制学校)はイングランド西部のShrewsbury(シュルーズベリー)にあるConcord College(コンコルドカレッジ)という高校です。 Concord Collegeの校舎 戸惑いとホームシックの日々 最初の数日は英語で流暢に話し合う生徒たちを見て、会話にうまく入れなかったです。イギリス英語特有のアクセントやスラングを理解しようと必死でした。英語は何年も勉強していましたが、実際に学業や日常生活で使うのはまったく別の経験でした。 戸惑いは言語だけではありませんでした。イギリスの気候は日本とは大きく異なり、灰色の空と頻繁な雨が毎日続き憂鬱でした。食事にも全く慣れず、食堂で出会ったのはシェパーズパイやジャケットポテト、フィッシュアンドチップスばかり。日本のご飯が恋しくてたまりませんでした。 Concord Collegeのグラウンド 寮生活の思い出 Concord Collegeでは70%が寮生徒、30%が現地生です。全寮生徒には一人部屋を与えられました。私がForm4(中学3年)、Form5(高校1年)にいたときは小さい部屋でしたが、Form 6(高校2、3年)に入るともっと大きい部屋を与えられました。そこで夜遅くまで友達とゲームをしたりするのが一番の思い出です。 毎朝7時半に点呼があり、8時にダイニングホールで朝食を食べます。8時半に授業が始まり、午後4時まで9時限(1時限35分)あります。その間に昼休みと中休みが挟みます。4時に授業が終わると自由時間になり、私は毎日自由時間に昼寝をしていました。 6時半から8時10分までの100分間はprep timeという自習時間があります。全生徒が教室などに集って自習します。最初はすごく面倒で退屈な時間だなって思っていましたが勉強が忙しくなるにつれ、とても重要な時間になってきました。prep timeが終わると10時まで課外活動やクラブ活動が始まります。 課外活動:バレーボールとサッカーに打ち込んだ日々 私は学校のバレーボールとサッカーのチームに所属していました。毎週火曜日と日曜日はバレーボールの練習です。水曜日には他校との親善試合があり毎週それに向けて練習をしていました。Concord Collegeでの一番の思い出はバレーボールチームにいたことかもしれません。 一緒にバレーボールに打ち込んだ仲間たちと サッカーは毎週日曜日の午後にトレーニングがありました。イギリスはサッカー大国なのでみんなすごく上手でAチームに入るのにすごく大変でした。最終学年になった時にやっとAチームのセンターバックのスタメンをもらって嬉しかったのを鮮明に覚えています。 Aチームは日本で言う1軍のことで、全部で50人以上いる部員から15人ほどしか選ばれません。Aチームに入るには基本的に監督による評価、練習試合のパフォーマンスなどを総合的に見て選抜されます。Aチーム以外にもBチームがあり主に下の学年の生徒たちが所属します。 日本と香港には無いイベントの数々 クリスマスやハロウィーンになるとディスコやパーティーがよく開催されます。日本や香港の学校ではあまりない経験だったので友達とディスコに行ったときは圧倒されました。学外からDJを呼んでいたのでやっぱりイギリスの学校はすごいな〜って思いました。 毎年11月5日にあるBonfire Nightという日には学校で大きな花火が打ち上げられ、すごく綺麗です。 Concord Collegeで毎年Bonfire Nightで打ち上げられる花火 GCSE:理系科目が得意で、文系科目は必死 Concord Collegeのカリキュラムは、私がそれまで経験してきたものとは大きく異なっていました。最初の2年間では、GCSE(イギリスの中等教育修了試験)に取り組みます。選択科目からはHistory(歴史)、Geography(地理)、Computer Science(コンピューターサイエンス)、Statistics(統計学)の4つを履修しました。それからPhysics(物理)、Chemistry(化学)、Biology(生物)の3つの理系科目、English(英語)、Mathematics(数学)、Advanced Mathematics(応用数学)を選択しました。私は理系だったので地理、歴史、英語などの科目は苦手で、他の生徒たちについていくのに必死でした。 Concord College で一番ユニークだなって思うところがSaturday Testsという制度です。毎週土曜日に3つの科目の小テストがあります。科目は毎週ローテーションします。例えば、1週間目はMaths、Physics、Biology、2週間目はGeography、History、Computer Science、3週間目はEnglish、Statistics、Chemistryという感じです。特に2週間目はエッセイ科目が多く、その週の月曜日に復習を始めていたのですごく苦労しました。 2年目の5、6月になるとGCSEの試験が始まり、週に3、4つテストがありそれが2ヶ月間続きました。合計25テスト(9教科)を終えた後、2ヶ月間の溜まった疲れがどっと出てきてそれからの1週間は何もやる気が起きなかったです。 2年間のGCSEカリキュラムを終え、そのままConcord CollegeでA-levelに残ることを決めました。 A-Level:科目数が減り、内容が難しくなった イギリスでは2年間のGCSEを終えた後A-levelカリキュラムに2年間取り組みます。A-levelでは数学、応用数学、物理、化学を選びました。どれも理系科目で自分の得意分野でもあり、大学でChemical Engineering(化学工学)を専攻したいと思っていたのでこの4つを選択しました。 選択する科目がGCSEより少ない分、内容は難しくなり、特に物理は理解するのにすごく時間がかかりました。A-levelでもSaturday Testsは引き続き実施され、毎週2科目になりました。A-levelではGCSEとは違って授業がないfree periodという時間も増え、より自由な時間割になりました。でも私は勉強ではなくほとんどの時間を寮に戻って昼寝をしていました。 GCSEと同様、A-levelを始めてから2年目の5、6月になると試験があり、6月末までに10テストを終えました。志望大学の進学条件で、私は化学で最高評価のA*をとらなければいけなかったので化学の試験当日は落ち着かなかったのを覚えています。化学のA*を取るには90%以上得点する必要があります。そのため、化学の復習には他の教科より多くの時間を費やしていました。 A-levelが終わるとConcord Collegeから卒業し、夏休みに入りました。 https://jp.education-moi.com/boarding-schools/uk#a-level 高校の勉強と両立しながら挑んだ大学受験 私はイギリスの大学に行きたいという思いが昔からあり、Personal statement(志望理由書)などの準備に力を入れていました。Engineering and Science Admission Test(ESAT)※の勉強だったり面接の準備だったり色々なことをやる必要がありました。Concord Collegeにいた最後の年は勉強と受験対策の両立で忙しくて大変でした。2025年の1月に運よくImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)からのオファーレターをもらうことができました。今でもその瞬間だけは忘れられないです。 ※ESATは、University of Cambridge(ケンブリッジ大学)やインペリアルカレッジロンドンなどの理工系学部への出願者に課す入学試験です。 https://esat-tmua.ac.uk/about-the-tests/esat-test インペリアルカレッジロンドンに進学 今年の9月にImperial College Londonに入学し、化学工学を専攻しています。 今はロンドンで大学生活を送っていますが、振り返ってみると15歳でイギリスに渡ったとき、不安だらけでした。言葉も文化も違う環境に飛び込んで、自信をなくしたこともあります。でも、その経験を通して、今まで気づかなかった自分の強さや、新しい視野を得ることができました。これからも留学に関する情報や経験を共有していき、少しでも同じ道を考えている皆さんの参考になれたらうれしいです! https://jp.education-moi.com/article-50-imperial

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