リベラルアーツって何を学ぶの?キングスカレッジロンドンでの3年間

僕は2021年から2024年までの3年間、イギリスのKing’s College London(キングスカレッジロンドン)のLiberal Arts(リベラルアーツ)で勉強していました。リベラルアーツという学問自体はアメリカで発祥・発展したと言われており、イギリス国内でリベラルアーツのプログラムを受講できる大学は現時点で全大学の約2割に当たる36校しかありません。そのため、色々な人から「リベラルアーツって何を勉強するの?」とよく質問されます。

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リベラルアーツはマイナーな学問と思われがちですが、僕はグローバル化などの変化が激しい現代社会においてとても役立つ学問だと考えています。最近はイギリスや日本などでもリベラルアーツ教育を取り入れている大学が増えてきた印象です。今回の記事では、リベラルアーツはどんなものなのか、僕の大学3年間の体験記のような形で説明できたらと思います。

リベラルアーツとは?僕がリベラルアーツを専攻した理由

リベラルアーツはInterdisciplinary Studiesと呼ばれており、複数の学問分野を横断的に学ぶ教育スタイルをとっています。キングスカレッジロンドンでは13の分野 –  Classical & Hellenic Studies(古典), Comparative Literature(比較文学), Digital Culture(デジタル文化学), English(英文学), Film Studies(映画研究), Geography(地理学), History(歴史学), Modern Languages(現代外国語学), Music(音楽), Philosophy(哲学), Politics(政治学), Theology & Religious Studies(神学・宗教学)から受ける授業を選択可能でした。

大学によっては勉強できる分野のオプションが多かったり少なかったりします。キングスはArts & Humanities(文系)の科目がメインですが、University of Birmingham(バーミンガム大学)だとNatural Science(自然科学)などと理系寄りの学問も履修できるそうです。

決め手は映画への興味

高校時代の僕は、特に大学でこれを学びたいと思える学問が明確にあったわけではなく、将来の進路も漠然としていました。そんな中、色々な分野を学びながら、自分の興味を探していけるというリベラルアーツの考え方に強く惹かれました。

数ある大学の中からキングスを選んだのはFilm Studies(映画研究)のオプションがあったことが大きかったです。小さい頃から映画を観ることが大好きで、自分の好きなことについて体系的に学べる機会があるならぜひ挑戦してみたいと思いました。そこでキングスに進学することを決め、Film StudiesをMajor(専攻)にしました。

キングスカレッジロンドンでの3年間

キングスカレッジロンドンでのリベラルアーツ課程は、非常に柔軟性が高く、多様な分野に触れながら自分の関心を深めていけるのが大きな特徴です。僕が過ごした3年間の学びの流れを振り返ると、それぞれの学年ごとに異なる特徴や目的があり、段階的に専門性を高めていく仕組みになっていました。

1年目: 多様な分野との出会い、興味を見つける「探索期間」

1年目は言わば手探り期間のような位置づけです。特定の専門に縛られず、様々な分野の入門的な授業(たとえば”Introduction to Digital Humanities”や”Introduction to Film Studies”といった科目)を自由に選択できます。

この時期は、自分の興味や適性を見極めながら、多角的な視点を身につける貴重な時間となりました。授業を通して学問の基礎的な考え方に触れ、大学での学びに慣れていくと同時に、「自分は何に惹かれるのか?」をじっくり見つめる機会にもなりました。

同時に、リベラルアーツ課程の特徴としてInterdisciplinary、いわゆる「分野横断的な思考力」や「分野間のつながりを理解する力」を養うための必修科目もあります。これらの授業では、文学、社会学、政治、歴史、メディアなど複数の視点から現代の課題を考察したり、異なる学問領域をどう統合・応用するかを学んだりします。

単なる知識の詰め込みではなく、それらをどう組み合わせて問題解決に活かすかという“思考の技術”が求められるため、非常に刺激的な学びができました。

リベラルアーツの授業が行われたキングスカレッジロンドンのStrand Campus
リベラルアーツの授業が行われたキングスカレッジロンドンのStrand Campus

2年目: 専門性の深化とリベラルアーツの横断的学び

1年目の終わりに、自分が今後より深く学びたい分野を選択しMajorを決定します。僕の場合はFilm Studiesを専攻に選び、2年目からはその分野を中心に授業を履修していきました。

また、希望者は2年次と3年次の間に1年間の海外留学を追加する4年制プログラムへ移行することも可能です。さらに、インターンシップの経験を単位として認定してもらえる制度もあり、実践的なスキルや社会経験を積む機会が用意されているのも大きな魅力でした。

3年目: 集大成としての学びとDissertation(卒業論文)

最終学年である3年目は、これまでに積み重ねてきた知識や経験をもとに、より高度で専門的な授業に取り組みます。多くの学生はこの年にDissertation(卒業論文)を執筆することが求められますが、分野によってはこれが免除されるケースもあります。

僕の専攻であるFilm Studiesでは卒業論文が必須ではありませんでした。その代わりに、自分たちで映画祭を企画したり、サイレント映画(音声と映像を合わせる技術がなかった時代に作られた映画)の効果音を録音するプロジェクトが課されたり、それまで勉強したことを活かす授業が多くありました。

また、特定の分野で一定の単位数を取得することでMinor(副専攻)を設定することもできます。僕はできるだけ多様な分野を幅広く学びたかったため、あえてMinorを設定せず、自分なりのバランスでカリキュラムを組みました。最終的にA Liberal Arts with a major in Film StudiesというDegree(学位)で卒業しました。

キングスカレッジロンドン: リベラルアーツの授業スタイル

リベラルアーツ課程に限らず、イギリスの大学の授業はLecture(講義)とSeminar(セミナー)に分かれています。Lectureで先生がプレゼン形式で授業をした後、Seminarで少人数のディスカッションを行います。

学生一人ひとりの意見が尊重され、教授も一方的に教えるというよりは「問いかける」スタイルが主流です。特にリベラルアーツのセミナーでは学生が授業中にどれだけ発言したかなどが成績に関与してくる場合もあります。正解はなく、質問や気づいたことを発言して、とにかく積極的にディスカッションを盛り上げることが求められていた印象です。

授業外でロンドンの博物館・美術館に行ったり、無料で演劇を見に行くといったField Trip(実習)もあり、充実したカリキュラムだったなと思います。

キングスカレッジロンドン: 授業の評価方法

Arts and Humanities(文系)の科目では、一般的にCoursework(コースワーク)を通じて成績が評価されます。Courseworkとは、学期を通じて課される様々な課題や活動の総称であり、最終試験だけでなく、日々の学習の積み重ねが重視される評価方法です。

Essay(エッセイ)

中でも中心となるのは、Essay(エッセイ)の提出です。Essayでは、授業で学んだ内容をもとに自分の考えを論理的にまとめ、議論を展開することが求められます。テーマに対する理解だけでなく、自分の視点を持ち、それを裏付ける資料や文献を適切に用いる力も評価の対象となります。

プロジェクト

そのほか、グループワークやプレゼンテーションを通じて協働力や表現力が評価されることもあります。プロジェクト形式の課題では、チームで協力しながら1つの成果物を作り上げる経験を積むことができ、実践的なスキルも養われます。

Participation(授業への積極的な関わり)

また、発言や質問を通して授業にどれくらい積極的に参加したのかを評価するParticipationも重要な要素です。さらに、科目によってはQuiz(小テスト)やExam(試験)が成績評価の一部として実施されることもあります。文系科目では多様な評価方法が用いられており、思考力・表現力・積極性など、様々な能力が総合的に問われるのが特徴です。

リベラルアーツを勉強する意義とは?

リベラルアーツを勉強して一番良かったなと思う点は、物事を多角的に検証してより良い結論を導き出すCritical Thinking(批判的思考)のスキルが身についたことでした。リベラルアーツを履修していると、自分が勉強している学問は、一見全く関係がなさそうな分野とも実は繋がりがあると気づかされます。例えば、僕がFilm Studiesで勉強したことを例に、各分野との関係性を見てみましょう。

Film Studiesと……
Digital Culture映画制作・配信・視聴の方法はデジタル技術により変化している。ストリーミングの普及、VFX(Visual Effects/視覚効果)、VR(Virtual Reality/仮想現実)など
Geographyなぜハリウッドは映画制作のメジャーな場所とされているのか?ロサンゼルスやその近郊には海、山、砂漠、都市など多様なロケーションが存在しており、様々な舞台の撮影が可能といった地理的な要因がある
Musicサウンドトラックや音響・効果音などは物語の描写に大きな影響を与える要因
Politics国家が映画をプロパガンダとして利用した例、逆に映画監督が政治批判や風刺のメッセージを込める例がある。国によって、映画の内容・表現が検閲される場合もある

現代社会は情報があふれていて、多様な価値観や文化が交錯する中で、一つの専門知識やスキルだけでは対応しきれない複雑さを持っています。その中で物事を柔軟に考えられるようになったことはすごく良い経験だったと思いますし、何より自分が特に好きな映画という分野を深く広く勉強することができたことはとても楽しかったです。

仕事やプライベートでも役立つスキル

その他にも様々な知識を得ることができるので、お喋り上手になれるということも大きいと思います。現在、僕はマーケティングの仕事をしていますが、異業種や他分野の人と会話する場面で、リベラルアーツで培った幅広い知識や視点が役立っていると感じます。

仕事以外の場面で友達と話す時も、ちょっとした文化や歴史の話を交えることで、話題が広がったり、相手との距離が縮まったりすることが多いです。

特に異なる国籍・バックグラウンドを持つ学生が集まるイギリスという国でリベラルアーツを勉強すると、知識や考え方だけではなく、単純にコミュニケーション力や相手の価値観・考え方をリスペクトする力といった人間力の部分も養われます。

リベラルアーツならではの難点

リベラルアーツで勉強していて残念に感じた点があるとすれば、学科の中で友達を作りづらいことでした。リベラルアーツには専攻や選択する授業などたくさんのオプションがあるので、自分と全く同じ時間割を持つ子がまずいません。同じ授業になったとしても、セミナーで別々のグループになってしまうこともあります。

そもそもFilm Studiesの授業を受ける際は、Film Studies学部の学生たちに混ざって受講することになるので、クラスのどの子がリベラルアーツ出身なのかわからないということもよくあります。結果的に、卒業式に出席した際、同じプログラムなのに初めて会う・知らない人ばかりだったという経験をしました。学科内での一体感がイマイチ感じられないというのは注意するべき点かもしれないです。

おわりに

現実の社会や人生は単一の知識や視点だけでは理解しきれないほど複雑です。だからこそ、「広く、深く、柔軟に考える力」が必要です。リベラルアーツは、まさにそうした力を養う学問だと思います。ただの教養ではなく、自分の生き方そのものを支える軸になると、僕は3年間を通して実感しました。

次回は僕がキングスカレッジロンドンのリベラルアーツ課程で出会った印象深い先生のインタビュー記事です。「リベラルアーツとは何か?」を教育者の視点から深掘りしていきます。講義の裏側や、学生に対する思い、そしてこれからの時代に求められる学びについてなど、リアルな声をお届けします。どうぞお楽しみに。

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当日は女子が3km、男子は6km走ります。フィールドから裏のゴルフ場まで伸びるコースが定められていて、先生方が各ポイント地点に立ってエールを送りながら方向をガイドします。ゴール地点には先生や家族、そして選出されなかった生徒が花道を作りラストスパートを応援します。イベントが終わると順位が発表され、寮の順位も出されます。私の寮は運動が得意でない生徒がほとんどだったため毎年最下位の3位でした。 水泳大会 水泳大会前も練習が続き、女子は生理などの理由で逃れようとしてもタンポンが渡されほぼ強制参加でした。種目別に生徒が各寮から選ばれ、泳ぎ切ると点数がつきました。私は100メートルに出ましたが、50メートルやリレーもありました。これも私たちの寮は毎年最下位でした。それでもどちらもとてもいい運動になりました。 高校からのイギリス留学を振り返って 既に10年以上経ちましたが、こうして書いていると様々な思い出が蘇ります。色とりどりの思い出と共に、涙と汗をかきながら頑張った日々は一生忘れないと思います。 https://passport-to.com/articles/6/

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イギリス留学とIELTSの関係 先日、イギリス留学を目指している日本の友達と通話した際に、IELTS(International English Language Testing System)で点を取るのが難しいという話題になりました。というのも、イギリスの大学や大学院に国外の学生(International students)が進学する場合、入学試験の一環として多くの教育機関がIELTSのスコアを英語力の証明として求めることが一般的です。これは、学術的な環境で英語を活用できる能力を示すために必要な試験とされています。 https://www.eiken.or.jp/ielts IELTSの種類 IELTSには主に2種類の試験があり、留学を目指す人が受けるアカデミック(IELTS Academic)と、移住や海外就労を目指す人が受けるジェネラル(IELTS General Training)に分かれます。一方のAcademicは専門的や学術的な内容です。他方、Generalの内容は日常生活で使う英語などが中心です。 IBやA-Levelなど国際的な教育プログラムを受けている場合、大学に出願する際のIELTSスコア提出が免除されることもあります。しかし、学生ビザ(Student Visa)を取得するためには、IELTS for UKVIという専用の試験(フォーマットはアカデミックと同じ)を受ける必要があり、最低スコアが5.5となっています。一方、トップクラスの大学や大学院の場合、必要なスコアは7.0~7.5という高いハードルが設定されています。したがって、イギリス留学にはIELTSを受けることがほぼ必須だと言えるでしょう。 ハイスコア取得には戦略が必要 僕自身も高校で国際バカロレア(IB)を受けており、普段から英語を使ってコミュニケーションする機会が多かったのですが、試験に求められる英語と日常的に使う英語との違いに最初は非常に困惑しました。IELTSでハイスコアを取るためには戦略的なアプローチが必要だと痛感しました。勉強方法を見直した結果、1年間でスコアを6.5から7.5に引き上げることに成功しました。 本記事では、イギリス留学を目指す方々のために、IELTS対策を徹底的に解説し、効率的にスコアを伸ばすための勉強法やおすすめ教材、試験当日のポイントについて紹介します。 IELTS対策前後のスコア IELTSの試験形式 IELTSはリスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を測定する試験です。まず、各セクションの特徴を解説します。 リスニング(Listening) 試験時間:30分(+解答を記入する時間10分) 問題数:40問(10問×4セクション) Part 1:日常会話 Part 2:説明や案内 Part 3:専門的なトピックについての会話や議論 Part 4:大学の講義 リーディング(Reading) 試験時間:60分 問題数:40問(3パッセージ) 問題形式は選択問題(Multiple Choice)や正誤問題(True or False or Not Given)、文や図の穴埋め問題(Completion)など様々なものがあり、どの形式になるかはランダムです。 ライティング(Writing) 試験時間:60分 問題数:2問 Task 1:グラフ、表、地図、図の説明(150語以上) Task 2:エッセイ(トピックについて意見や議論などを250語以上) スピーキング(Speaking) 試験時間:11~14分 形式 Part 1(自己紹介):自己紹介・日常的な質問(例: 趣味、家族、仕事) Part 2(スピーチ):トピックカードが渡されて1分間準備→2分間話す Part 3(ディスカッション):Part 2のトピックに関連したテーマについて議論 評価基準 Fluency and Coherence(流暢さと論理的なつながり) Lexical Resource(語彙力) Grammatical Range and Accuracy(文法の正確性と多様性) Pronunciation(発音) これらの基準に沿って、どれだけ自然で正確に英語を使用できるかが評価されます。 採点 4技能それぞれに0.0~9.0のスコアが0.5刻みで評価され、4技能の平均が最終的なスコア(Band Score)になります。 【IELTSの勉強法】 実際に僕がやったこと 高校2年の時、僕は初めてIELTSを受けました。当時は7.0以上を目指していましたが、最終的なスコアは6.5でした。その時僕はIELTSのスタイルをいまいち理解しきれておらず、特に対策が必要なライティングのスコアが目標とは程遠いものでした。大学進学前にもう一度受験した際は、IELTSで求められる英語と日常英語の違いを理解した上で、IELTSのフォーマットに慣れるための効果的な対策を行うようにしました。僕が行った対策は主に2つです。 アカデミックな英語に慣れる まず、僕が行ったのは普段の会話とは違う、学術的・専門的な英語に慣れるということでした。そのためにはネットのニュースを1日1記事、毎日違うトピックの文章(月曜日は科学、火曜日は経済、水曜日は政治...といった感じで)を読むことを習慣づけました。わからなかった単語・フレーズは全てメモし、その単語を使って1文作り、実際に使って覚えていくというスタイルが効果的でした。また、IELTS Essential WordsというIELTS対策用の単語帳を活用しました。 その他にもイギリス英語のアクセントや言葉遣いに慣れるため、BBC NewsやThe Guardianなどのイギリスのニュースメディアを積極的に利用しました。日本の学校で習う英語や僕たちの身近にある英語(YouTubeだったりポッドキャストだったり)ではアメリカ英語が使われることが多いのですが、イギリスに留学した時のことも考えて早い段階からイギリス英語に慣れる練習ができたのはよかったなと思います。 試験スタイルに慣れる 次に僕が行ったのはとにかく問題を解いて、IELTSの試験スタイルに慣れることでした。しかしIELTSの場合、英検と違って過去問が公開されていないですが、公式サイトにあるサンプル問題、ブリティッシュカウンシル公認の問題集、IELTSの設問を作成しているCambridge English Assessmentとケンブリッジ大学出版局による問題集などが役立ちます。問題を解くときは本番と同じ時間設定で、試験のプレッシャーに慣れるような模擬練習をしていました。 人に自分の解答を見てもらう ライティングやスピーキングに関して、僕は家庭教師を活用し、エッセイの添削・スピーキング(面接)の練習を手伝ってもらいました。自分で後から解答を見直すといった方法もありますが、他人に見てもらって客観的なアドバイスをもらうことは評価基準のFluency and Coherence(流暢さと論理的なつながり)、 Lexical Resource(語彙力)、 Grammatical Range and Accuracy(文法の正確さと多様性)、 Pronunciation(発音)の全部を改善できる良い機会になるので有効的に活用するべきだと思います。 IELTSが難しい理由 僕がIELTSを難しいと感じた理由は、独特の試験形式にありました。IELTSは単なる日常英会話の試験ではなく、学術的・専門的な場面でも通用する英語力を測定するものです。そのため、正確に英語を扱う力が求められます。普段の友達との会話だと、文法・語彙が完璧でなくても言いたいことは伝わりますが、IELTSだと要領が違います。そこが僕が苦戦した1番の原因でした。 試験のプレッシャーと制限時間 まず、IELTSは試験時間が限られており、速くかつ正確に解答するスキルが必要です。リスニングの英文は1回しか流れず、解答時間も短いです。ライティングは60分で2つのエッセイを書きます。リーディングは1時間で40問、3つの長文を読むので時間管理が重要です。そして、スピーキングはスピーチを考えるのにも実際にスピーチをするのにも制限時間があり、自分の言いたいことを簡潔にまとめる必要があります。加えて、ビザ取得・大学進学のために定められたスコアを取らなければいけないという不安なども出てくるので、思い通りに進めづらい試験でした。 専門的な内容が多い IELTS Academicでは、大学の講義や学術論文レベルの英語が出題されます。例えば、リーディングでは「環境問題」「医学」「心理学」「社会学」などの専門的なテーマが扱われ、ライティングでは社会問題について論理的に意見を述べることが求められます。他にもIELTSはイギリス英語の発音や単語が多く使われます。そのため、アメリカ英語に慣れているとスペルや表現の違いが混乱のもとになります。 正確な文法と語彙力が求められる IELTSでは、スピーキングとライティングの評価基準の一つに文法の幅と正確性(Grammatical Range and Accuracy)という項目があり、ちょっとした”the”や”a”忘れなどの文法ミスが減点の対象になります。また、同じフレーズの使い回しも減点に繋がるので、簡単な単語ばかり使うのではなく、アカデミックな語彙を適切に使うことが求められます。日常会話で使いがちなI wannaやI'm gonnaはI want to やI am going toに置き換える必要がありますし、I’mなどの短縮系もI amに変えた方がいいと言われています。他にも、以下のようによく使う語彙は言い方を変えてレベルアップする必要があります。 I think➡I believe/ I am convinced thatMany people➡A significant number of individualsGood➡Beneficial / AdvantageousBad➡Detrimental / HarmfulHelp➡Assist / Support まとめ IELTSが難しいのは正確な英語力が求められる試験スタイルにあると思います。試験のフォーマットを理解して、対策をすれば高得点は狙えるので、計画的に勉強しましょう。 https://passport-to.com/articles/5/

ごく普通の高校生がロンドンの大学生に: 留学までの道のり

はじめまして。Kotokoです。現在、Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)のMA Promotional Media(プロモーショナルメディア修士課程)に通っています。今回は、東京で生まれ育った私が2023年にロンドンへ来るまでの道のりを皆さんにシェアしたいと思います。 英語が身近にあった幼少期〜高校時代 私は、小・中学校は地元の学校に通い、友達と外で遊ぶのが日課の、ごく普通の子どもでした。昔から海外に行く機会はあまりなかったものの、父はアメリカの大学を卒業していることから外国人の方との交流は他の人より多く、その影響もあって英語を勉強したいと思うようになりました。 高校は都立の外国語コースがある学校に進学しました。このコースでは、数学や理科の授業が少ない分、普通科で行われる文法に加え、ディスカッションや英作文に力を入れた授業がありました。 受験英語は得意な方でしたが、スピーキングやリスニングの能力はあまり高くなく、英語が少し得意な高校生だったと思います。 きっかけは「留学プロジェクト・次世代リーダー育成道場」 そんなふうに高校生として日々を過ごしていたある日のこと。学校の先生から、東京都が主催する留学プロジェクト(次世代リーダー育成道場)について全体に案内がありました。そしてこれが、私の運命を大きく変えることになるのです。 海外の高校に1年留学できる「次世代リーダー育成道場」とは 「次世代リーダー育成道場」は、東京都教育委員会が実施している、都立高校・中等教育学校・都立中学校に在籍し、校長の推薦を受けた生徒を対象とした留学支援プログラムです。この制度では、参加者は海外の高校に1年間通いながらホームステイをすることができます。派遣時期により冬出発のオセアニア地域と夏出発の北米地域の2つのコースから選べます。 出典: 東京都教育委員会「次世代リーダー育成道場」公式サイト (https://www.ryu.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp/about.php) このプログラムは事前・事後研修もあり、留学中のみならず学ぶチャンスが多くあります。 ① 留学前の国内事前研修 研修は月に2回程度、主に日曜日に実施されます。参加者全員が集まり、語学力の向上に加えて、講演会などを通じて日本の伝統・文化・歴史への理解を深め、自分の目標について考える機会も得られます。 この事前研修の中でも特に重要なのがゼミナール研究です。 研修生はそれぞれ現代社会の課題を見つけ、国内での調査を行いながら、留学先での調査へとつなげていく研究のアウトラインを作成します。そして、留学期間を通じてこの研究を発展させ、論文としてまとめていきます。 ②ホームステイをしながら送る留学生活 現地の高校に入学し、授業を受けながら実践的な英語力を養います。 また、ホームステイ先が用意され、現地の家族との交流や多文化に触れる体験を通して、大きな成長が期待されます。 ③帰国後の成果発表会 留学での経験や学びをしっかりと形にするために、帰国後には成果発表会が行われます。 そこで出発前から取り組んできたゼミナール研究の成果を発表し、自らの成長や仲間たちの変化を改めて感じることができます。 ここまで紹介してきたように、語学力だけでなく、文化理解や社会課題への探究心を育てられるこのプログラムですが、実はもうひとつ大きな魅力があります。それは、費用面のハードルが非常に低く、手の届きやすいプログラムであるという点です。 参加するための費用は? 費用は、渡航費・滞在費・学費などの基本的な留学経費として80万円が必要です。 それ以外にかかる費用(パスポート取得、ビザ申請、保険、健康診断、予防接種、事前研修への交通費、制服代や教材費など)は、別途約70万円が自己負担となります。 そのため、総額はおよそ150万円です。しかし、通常の1年留学(200〜400万円程度)と比べると、非常にリーズナブルです。多くの生徒にとって現実的な選択肢となっています。 ※1ポンド=190円で換算しています 募集人数 令和7年度の募集人数は、A(冬出発)コース、B(夏出発)コースともにそれぞれ75名以内、合計150名以内となっています。 ただし、募集人数を含めた詳しい要項は毎年変わります。最新の情報は東京都教育委員会の公式ホームページに掲載されます。必ずその年度の次世代リーダー育成道場研修生募集要項でご確認ください。 コロナで留学断念!でも再び現れたチャンス ここまで次世代リーダー育成道場の概要や費用、応募条件について紹介してきましたが、実は私自身もこのプログラムに応募し、無事に合格。研修生として参加することができました。 しかし残念ながら、私が参加した年はコロナ禍と重なってしまいました。そのため本来予定されていたオセアニア地域への留学は叶いませんでした。それでも、事前研修を通して語学力だけでなく、社会課題への関心や自分自身の目標について深く考える機会を得ることができました。この経験から、日本を飛び出して、もっと広い世界を自分の目で見てみたいという思いが一層強くなりました。 そして高校3年生の夏前、幸運にも父のロンドン転勤が決まりました。これをきっかけに、ロンドンの大学を目指してみようと本気で決意したのです。 ロンドン大学に出願するまでの道のり: ファウンデーションコース 私はただ英語が好きなだけで英語力に自信もなくA-levelやIBといったイギリスの学部に直接入学が可能な国際教育資格を持っているわけではなかったのでFoundation Course(ファウンデーションコース)に入ることにしました。このことを担任の先生に相談すると、留学エージェントを紹介されました。それ以降、出願手続きやビザ申請など、専門的なサポートをエージェントにしてもらいました。 https://jp.education-moi.com/universities/uk/foundation 海外大学の情報収集 まず、大学で何を学べるのかを調べることから始めました。イギリスの大学では、1年次から専攻分野の学習が始まります。そのため出願時に専攻を決めておく必要があります。また、イギリスにはビジネス、アート、コンピューターなど、幅広い分野の学科があるため、自分に合った学科を見つけることができます。 私はメディアに興味があったので、「ロンドン」「メディア」「大学」といったキーワードで調べ、各大学の公式サイトで学費や必要なIELTSスコアを確認しながら検討を進めました。その結果、Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)とUniversity of Westminster(ウェストミンスター大学)それぞれのファウンデーションコースに出願することにしました。 必要書類について 出願を決めてから、各大学のファウンデーションコースのウェブページから必要書類や資格を調べました。大学によって多少異なりますが、一般的に求められる書類は以下のとおりです: 高校の成績証明書(英文) 卒業証明書(英文) 高校の先生からの推薦状1通(英文) personal statement(志望動機をまとめた英文エッセイ) パスポートのコピー IELTSスコア 私の通っていた高校には非常勤のALT(外国語指導助手)がいました。その先生に添削してもらいながらエッセイを完成させました。英文の成績証明書は英語の先生に相談したら作成してくれました。これらの書類がそろったら、留学エージェントに提出し、出願を代行してもらいました。 イギリスの大学出願は、UCAS(Universities and Colleges Admissions Service/ ユーカス)という専用のプラットフォームを通して行う必要があり、操作や手続きが少し複雑です。私の経験から言えば、エージェントのサポートを受けるのがおすすめです。 IELTSの勉強と必要スコア獲得 情報収集や必要書類の準備と並行して、IELTS対策もしっかりと進めました。  当時高校3年生だった私は、英検2級しか持っておらず、正直なところIELTSって何?という状態からのスタートでした。まずは出題傾向を理解することから始め、4技能それぞれに対して計画的に対策しました。ここでは、私が行った対策をスキル別にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください! Reading 時間内に問題を解けることを目標に、毎日時間を測って大問ごとに練習していました わからなかった単語はノートに意味と一緒にメモ。オリジナル単語帳を作って通学時などに繰り返し復習。毎日少しずつ語彙を増やすことを意識していました 私が作った単語帳 自作の単語帳では、左側に単語を、右側に品詞と意味を書いています。使い方も同時に調べました。特殊な使い方をする単語には例文をつけて使い方までマスターできるようにしています。 Listening 専門的な語彙も出てくるため、問題を解くだけでなく、BBCニュースを定期的に視聴して耳を慣らしました 特に聞き取れなかった単語は、スペルや発音をしっかり確認しました。意味はわかるのに聞き取れないのを防ぐようにしていました。ここでも単語帳が大活躍しました Writing 毎日1~2行でもいいので英語で日記をつけ、自分の考えを英語で表現する練習をしました。わからない表現は調べながら書くことで、語彙力と構文力が自然と身につきます 問題集を解き終わったら、ただ答え合わせするのではなく、英語の先生に添削してもらい、文法の細かいミスや表現の言い換えなどを学びました Speaking 動画に英語・日本語の同時字幕をつけられる拡張機能「Language Learning with Netflix」を使って、日常会話で使われるフレーズを中心にshadowing(シャドーイング)の練習をしました 学校のALTにお願いして、放課後に会話練習をさせてもらいました。最初は緊張してなかなか声をかけられませんでしたが、先生は初心者に慣れているので、思い切ってお願いすることが上達の近道だと感じました このような形で、4技能バランスよくIELTS対策を行っていました。 もちろん、高校3年生だったので定期テストもありました。成績も出願に必要な書類のひとつです。そのためテスト勉強とIELTS対策を並行してコツコツ取り組むことが大切です。 また、英検と違ってIELTSは受験料が通常 27,500円と高額です。そのため何度も気軽に受けることはできませんでした。そこで、留学エージェントが提供していた模擬テスト(公式IELTSの受験料の1/4ほど)を活用して、実力を確認したうえで本番に臨みました。 その結果、必要スコアであるoverall 5.5を無事に取得し、出願に至りました。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジに無事合格! 2月中には、出願していた2校どちらからも結果が届きました。ありがたいことに両方とも合格し、第一希望のGoldsmiths, University of London(ゴールドスミス大学)に進学することを決めました。 ただし、2月の時点ではまだ高校を卒業していなかったため、合格はConditional Offer(条件付きオファー)という形式でした。その後、高校を卒業し、証明書を提出したことでUnconditional Offer(無条件オファー)に切り替わり、ビザの申請手続きへと進むことができました。 メモ イギリスの大学からの合格通知には、大きく分けてConditional Offer(条件付きオファー)とUnconditional Offer(無条件オファー)の2種類があります。 ・Conditional Offer(条件付きオファー)→あとでIELTSスコアの提出や高校の卒業成績が一定以上であることなど、いくつかの条件をクリアすれば正式に合格になる ・Unconditional Offer(無条件オファー)→すでにすべての条件を満たしている場合に出される、正式な合格通知 詳しくはこちらの解説記事にわかりやすく説明されています。 イギリス留学: 出発までの日々 高校を卒業した後も、英語の勉強は続けていました。IELTS対策のときに使っていた単語帳を引き続き活用し、新しい単語にできるだけ多く触れるよう意識していました。それに加えて、今度は会話で使えるカジュアルなフレーズを中心に学ぶようにしました。 特に、私が今でも続けているのが、InstagramやTikTokで紹介されている英語フレーズの動画を活用した学習です。さらに、特定のフレーズが映画やドラマの中でどのように使われているかを検索できるplayphrase.meというサイトを使って、実際に使われる生きた英語を身につけるよう心がけていました。 もちろん、勉強だけでなく友達との時間も大切にしていました。イギリスに行ってしまうと日本の友達と気軽に会うのが難しくなります。高校卒業後の時間は、思い出をたくさん作る良い機会でもありました。 そうしているうちにあっという間に8月になり、イギリスでの大学生活がスタートしました。 イギリスへ飛び立った ロンドンで見た景色ービッグベン 「普通の高校生」だった自分が今思うこと この体験談を読んでいただければ分かるかと思いますが、私は特別な存在ではなく、どこにでもいる「英語が好きな高校生」でした。そんな私が今、ロンドンの大学に通いながら、毎日新しい発見に満ちた日々を過ごしています。 もちろん、言葉の壁は高く、今も決して楽な毎日ではありません。それでも、日本では出会えなかった人々や経験に触れ、かけがえのない学びを得ています。 だからこそ、皆さんに伝えたいです。英語が好きという気持ちと、努力があれば、イギリス留学は決して夢ではないです。この記事が、少しでも「自分も挑戦してみたい」と思うきっかけになってくれたら、とても嬉しいです。応援しています! https://www.ryu.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp https://www.gold.ac.uk

早稲田大学→UCL: イギリス留学への道

 こんにちは、イギリスのUniversity College London(UCL)で物理を専攻しているAyatoと申します。今回は海外留学についてネットで調べても出てこないようなイギリスの留学事情や、個人的な選択についての情報を提供したいと思います。 私の略歴: 熱海からロンドン立教英国学院へ 基礎プロフィールとして、自己紹介を簡単にしておきます。生まれ育ちは静岡県の熱海です。海のそばや山の上に住んでいて、自然に囲まれた生活をしていました。中学からロンドンの南西部に位置する立教英国学院という日本人学校に進学して、その後日本の高校に戻りました。卒業後は一度、早稲田大学の先進理工学部に入学しました。物理をやりたいことはその前から決まっていましたが、私にとって望ましい環境はUCLにしかなかったので、UCLへ進学しました。  イギリスの日本人学校に進学した経緯  将来は英語を使って世界で活躍したいと昔から漠然と思っていました。小学校高学年のとき、イギリスで学べるチャンスがあることを知り、すぐに受験の準備を始めました。無事志望校の立教英国学院に合格し、ボーディングスクール(全寮制学校)に入学しました。 その学校では、食事も勉強もみんなで一緒にします。そのため、自然と家族のようなつながりが生まれると感じました。仲間と共に過ごすことを前向きにとらえていたので、親元を離れることに不安はなかったです。実際に入学後も、同じ部屋の仲間とうまくいかないことがありながらも、大家族のような温かい環境に魅力を感じ、仲間意識を深めていきました。 なぜ日本の高校に戻ったのか 中学で3年間イギリスにいたので、イギリスでの文化や集団生活には十分に慣れました。そのとき、将来日本で働くことになっても、海外で働くことになっても、日本独自の文化や常識を自分自身の経験に基づいて理解しておくことが大切だと考え、高校から日本に戻る決断をしました。特に、日本と海外の文化の違いを肌で感じ、比較しながら理解できることは将来大きな強みになると確信していました。 早稲田大学で半年の学びを経てUCLに進学  物理を深く学びたいという強い思いがあり、高校卒業後は早稲田大学の先進理工学部で学びました。集合論など日本の大学が強みとする分野の学びも積極的に取り入れて最大限の知識を吸収しました。早稲田大学での電磁気学の講義や実験は特に面白く、非常に刺激的な経験でした。  早稲田大学の大隈記念講堂 芽生えはじめた成長への意欲 しかし、グローバル人材としてさらに成長するためには、もっと多様で厳しい環境に身を置く必要があると感じるようになりました。自らの興味のある分野にさらに近い教授や学生と切磋琢磨できる環境で、自分を鍛えたいという気持ちが強まり、UCLへの進学を決意しました。 実際に、UCLでは多くの困難がありましたが、その挑戦が自分を成長させる確かな糧となり、選択は間違っていなかったと確信しています。早稲田大学も素晴らしい学びの場でしたが、私は「今しかできない挑戦」を選びました。  UCLファウンデーションコースでの学び A-levelやIBを修了していない限り、日本の高校卒業資格では直接イギリスの学士課程を受験することができないです。そのため、私はUCLのファウンデーションコース「Undergraduate Preparatory Certificate for Science and Engineering(UPCSE)」に進学しました。このコースで学問的知識と実践的なスキルの双方を高い水準で身につけることができました。 https://jp.education-moi.com/universities/uk/foundation カリキュラムの内容 コースは Science and Society(科学と社会)、Mathematics(数学)、English(英語)、Physics(物理)の4つの柱で構成されており、そのすべてが密度の高い内容でした。中でもMathematicsとPhysicsは、通常2年かけて学ぶ内容を1年間で修了するという厳しいカリキュラムで、知識を短期間で体系的に深める力が養われました。  鍛えられる英語力 Englishの授業は単なる語学の習得を目的とするものではなく、プレゼンテーション、ディスカッション、アカデミックライティング、リーディングなど、すべての技能を実践的に鍛えるものでした。特に印象的だったのはリーディングの授業です。文章を読んだらすぐにアウトプットが求められるため、読む際には内容を深く理解し、論旨や構造を意識する姿勢が身につきました。授業の終わりには、頭を使い切った達成感と心地よい疲労感を味わったことをよく覚えています。  Science and Societyの授業 Science and Societyの授業では、たとえば2型糖尿病についてリサーチを行い、プレゼンテーションやポスターを作成します。自分で調べ、考え、他者に分かりやすく伝える力が磨かれたと感じています。さらに、seminar(セミナー)と呼ばれるディスカッション形式の授業では、対話の意義を学び、相手の意見を尊重しつつ、自らの考えを論理的に述べる力が大きく成長しました。これらの経験を通じて、私の英語力は単なる語学力の枠を超えて、実践的で応用力のあるスキルへと飛躍することができたと確信しています。  このコースでの学びは、私の価値観や学びへの姿勢そのものを大きく変えるものであり、「人生が変わる」という言葉が決して誇張ではないと実感する日々でした。  UCL(University College London)のWelcome Weekの様子 UCL: Physics and Astronomy専攻内容  ファウンデーションコースを終え、無事に希望通りUCLのPhysics and Astronomy(物理と天文)学部に進学できました。専攻は理論物理学です。 理論物理学を専攻してみて 理論物理学とは、コンピュータ、数学、統計、物理学の力を使い、自然現象を理解しようとする学問です。純粋に興味の赴くままに私は学んでいます。 具体的な学習内容は以下のようなものです。古典力学、量子物理、電磁気学、熱統計力学、統計学、光学、振動、微分方程式、微分積分、線形代数、複素解析、Mathematica、Python、天文学、原子・分子物理学、種々の数学的手法/構造。 プログラミングの面白さ どれも興味深いものばかりですが、特に自分が面白いと感じたのは上記を用いたプログラミングです。手計算や頭でロジックを考えるというプロセスと比較した時に、プログラムは複雑な計算を一瞬で実行でき、とてもスマートだと感じます。もちろん、自分の頭で考え抜いた末に理解した事柄が増えていくことや、内容について学友と議論することに勝る喜びはありません。  UCL(University College London)の講堂 最後に UCLでの生活は、試行錯誤の連続であり、苦労もありましたが、その一つひとつが自分自身を成長させる大切な糧になったと感じています。多様で優秀な仲間たちと出会い、刺激を受け、時に自分の立ち位置や価値観を問い直す日々は、今振り返ればとても贅沢で貴重な時間でした。  これから挑戦しようとしている方へのアドバイスがあるとすれば、「なぜ自分は今その行動をしようとしているのか」を自分自身に問いかけることを忘れないでほしい、ということです。情報に触れることは大切ですが、目的を持たないままでは時間を浪費してしまうこともあります。自分の意思と向き合いながら、ぜひ納得のいく進路を選んでください。  最後まで読んでくださり、ありがとうございました。皆さんの挑戦を心から応援しています。  https://jp.education-moi.com/article-51-ucl https://www.ucl.ac.uk

LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)現役生 | 英語との出会い〜イギリス留学まで

こんにちは。ロンドンにあるLSE(London School of Economics and Political Science)に通う大学1年生のRunaです。日本の中学校とイギリスのボーディングスクール(全寮制学校)を卒業し、現在に至ります。  英語に出会って、留学をしてから私の人生がガラリと変わりました。イギリスで何を学び、何を感じ、何が変わったのか。そんなことをこれからお話ししていけたらいいなと思います。  カナダで短期留学: 他国の生徒の英語力に圧倒され 中学2年生の時に初めてカナダのサマースクールに2週間参加しました。勉強がメインのプログラムで、英語だけでなくカナダの歴史なども学びしました。英語がほとんど喋れなかった私は他の国からの留学生とカタコトで喋るのが精一杯でした。 そこで目の当たりにしたのは英語がものすごくできる留学生たち。同じ年齢でも、みんな流暢に英語を話します。自己主張も強く、授業中にみんな手を挙げて発言していました。同じアジア人で母国語は英語ではないにもかかわらず、同世代の子たちがコミュニケーションを取れている!と驚きました。  この時、英語は違う文化で育ってきた人を繋いでくれるんだと気づき、「もっと英語が上手くなりたい」「もっと話せるようになって他の文化や国について知りたい」と決意しました。 高校からの留学を決意した理由と海外への憧れ  サマースクールをきっかけに、他の外国人留学生に感化され、それまで以上に海外への憧れを抱くようになりました。小学生の頃から周りの友達が単身で海外へ行き、帰ってくるたびにネイティブのように英語を喋っていました。そういう姿を見て、私も将来は留学したいと思っていたのですが、実際に短期留学をしてから初めて本格的に留学を決意しました。 義務教育までは日本で受けてほしいと親から言われていたので、中学校は日本でした。でも自分の中では一刻も早く行きたかったので中学卒業時に高校留学を決めました。憧れと思いつきから始まった高校からの留学でしたが、親と何度も話し合いを重ね、理解と応援を得ることができました。そして、ようやく留学への気持ちが固まり、一つずつ準備を進めていきました。 イギリスという国に留学先を決定  アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなど、英語圏の国を中心に留学先を考え始めました。イギリスに決定した理由は、  ボーディングスクール(全寮制学校)の数が他の国と比べて圧倒的に多い  国自体の歴史が古く、伝統がある バレエやミュージカルなどの文化が根強く、私の好きなことが生活の中にある  ブリティッシュイングリッシュのアクセントがかっこいい  治安が比較的良い  日本人留学生が他の国に比べて少ない  美術館やお城など、歴史的建物が点在していて、日本では見られないような光景が広がっている  という憧れがあるからでした。  通っていたボーディングスクールの校舎 ボーディングスクールでGCSEとA-levelを修了 GCSEとA-Levelの4年間、イギリスの地方にあるボーディングスクールに通いました。A-levelでは別の学校に通ったので1回6th formを受験しました。詳しい受験プロセスは別の回で紹介したいと思います。  寮生活した高校時代は人生でまた二度と体験のできない、とても充実した濃い時間でした。一番成長できた日々でもあり一番辛かった日々です。  通っていたボーディングスクールの校門 https://jp.education-moi.com/boarding-schools/uk#a-level LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)経済・経営の学びとロンドン生活 ボーディングスクールを卒業後、ロンドンにあるLondon School of Economics and Political Science(LSE)に進学しました。現在は大学1年生として経済と経営を学んでいます。大学生活はボーディングスクール時代とはまったく異なります。入学から1年が経った今振り返ってみると、本当に学びの多い1年間でした。 ボーディングスクールとの一番の違いは、すべてのことが自分次第であるという点です。スケジュール管理、課外活動への参加、宿題の量やタイミング、私生活と学業のバランスなど、どれも自分から動かなければ何も始まりません。誰も代わりにやってくれない、というのが大学生活の現実です。  特に誘惑の多いロンドンという街で、すべてが自己責任という環境は多くの気づきを与えてくれました。  ロンドンの大学生として見る日常生活の光景 以上、私の高校留学から大学までの経緯をまとめてみました。これからそれぞれを深掘りして書いていけたらいいなと思います。  https://www.lse.ac.uk

【イギリス高校留学】15歳で親元を離れたボーディングスクールでの生活

私は15歳から親元を離れ、イギリス留学を始めました。大学もイギリスで、卒業後もしばらく滞在していたため、気づいたら14年間イギリスにいることになっていました。苦あり楽ありの留学体験をお届けします。 イギリス全寮制高校への道: 留学を決意するまで 小さい頃、父の仕事でアメリカに行っていたことがあり、英語には多少自信がありました。しかし、滞在は4歳から6歳までのわずか2年半だったため、帰国し中学生になった頃には英語力がかなり落ちていました。ある日、母と当時の英語の家庭教師からの要望に応じ、英語のエッセイを書いてみました。すると「アメリカの小学校2年生レベルだね」と言われ、ショックを受けました。これを機に、英語をちゃんと勉強しようと決意しました。 ちょうどその頃、インターナショナルスクールに通っていた2つ上の兄がイギリスの大学に進学したいと言ったので母と3人でイギリスの大学の下見に行くことになりました。自分にとって未知の国だったイギリスに惹かれていたのと、いつかは留学したいという思いが相まって、ついでに高校も見ようと母と決めていました。 ノッティンガムシャーの高校見学 複数の大学や高校を巡り、その中のひとつの高校にとても良い印象を持ちました。イギリス東中部、Nottinghamshire(ノッティンガムシャー州)のWorksop(ワークソップ)というところにある高校です。先生が優しく、校舎も広くてかっこよく、生徒達の行儀もとてもよかったです。みんな紳士的で礼儀正しく、先生方の指導が行き届いていることが伝わってきました。 若くして単身留学することを心配していた母も、このしっかりした校風が気に入りました。校長先生とお話をし、その後校舎見学をしました。また、私が医学部志望だったため、英語力をネイティブ並みに上げる必要があると言われ、もうその夏から入学することを勧められました。もともとイギリスでそのまま医学部に行くつもりはなかったのですが、先生方や両親と相談し、見学に行った2ヶ月後には留学を決心しました。 学校の校舎 イギリス高校留学|ボーディングスクールの生活とは? 寮のシステムと制服 イギリスに着いてすぐ、寮長さんや寮母さんに挨拶しました。説明を受け、私はYear 10(日本の中学3年に該当)に入学しました。日本の中学に相当する学年では制服が決まっています。ブレザー、シャツ、スカート、そしてcravatと呼ばれるネクタイのようなものに加え、靴下も学校指定のものを着用しました。 この学校には数種類の寮があり、女子は学期中ずっと過ごす「Full boarding(フルボーディング)」用、平日だけ暮らす「Weekly boarding(ウィークリーボーディング)」用、そして「Daily student(夜には家に帰る通学生)」用の寮がそれぞれ1つです。男子寮はDaily studentと住み込みの生徒が混ざっていて5~6つの寮がありました。各寮には30~40人くらいの生徒がいました。 1つの寮には最下級生のYear 9(中学2年生)から最上級生のYear 13(高校3年生)までが一緒に暮らしており、2、3人部屋もあれば1人部屋もあります。新入生は基本的に多人数部屋に割り振られ、最高学年の生徒は1人部屋が与えられました。私は最初3人部屋に入りました。その後2人部屋になったり3人部屋になったりの繰り返し。最終学年になったらついに1人部屋を手に入れました。毎学期、部屋のメンバーは先生が決めて変えていました。 校長先生の住むお家。学校の入口のすぐ隣にある 深夜の勉強と寮のおきて 渡英当初の英語力では会話についていくのが精一杯で、授業は全く理解できませんでした。現地の生徒ばかりの学校で、私の学年にいた留学生は他に男子2人だけでした。英語の授業以外は現地の生徒達と一緒に受けるため、取り残されないように懸命でした。深夜と早朝の時間を活用し、ひたすら教科書の翻訳をする日々が続きました。 ある明け方、普段電気が点いている部屋が消灯されたので階段に座って勉強していました。すると寮母さんが駆けつけてきて、「Yui、こんな時間に勉強しないの!ここはアラームがついているの。勉強は日中だけでも十分なのだから夜はしっかり休みなさい」と注意されてしまいました。どうやらこの階段にはアラームが設置されていて、人が入ると寮母さんなどの責任者だけが知らされるようになっていました。それ以来、夜中の勉強はやめました。 ホームシックと戦う日々 寮生活はとても厳しく、朝1回、お昼前に1回、お昼後から夕方にかけて3回、そして夕飯後の宿題時間に3回、点呼がありました。そして寝る前には先生が各部屋を回って携帯電話を没収し、電気も強制的に消されます。しかしほとんどの子は偽物の携帯を預けていました。 留学した最初の年はスマホもWi-Fiもなかったので私はガラケーを使っていました。インターネットは共用のパソコンルームのみで使うことができます。家族と連絡を取るときは国際電話でした。 週に1回、Skypeが使えるパソコンを予約して家族とビデオ通話することができました。しかし世界中から留学生が来ているので常に予約枠の取り合いでした。日本との時差の関係で都合の良い時間帯が限られ、目当ての時間枠が取られてしまってよく落ち込んでいたものです。 最初の1年間はホームシックでほぼ毎日泣いていました。言葉があまり通じなかったため友達もできなかったです。「かわいそう」と寄ってきてくれる生徒や授業で一緒になった生徒とたまに話す程度でした。都会ではなかったので、アジア人が少なく、奇異の目で見られているように感じました。 留学1年目の冬。膝下まで雪が積もるほどの大雪でした 辛かった陸軍の訓練 私の学校はCCF(Combined Cadet Force)という連合将校養成隊の時間があり、Army(陸軍)の訓練をしました。陸軍の他に、Navy(海軍)、Royal Air Force(空軍)もあり、現地の生徒は選択が可能でした。その頃、私たち留学生は選べず、一番人数の多い陸軍に自動的に振り分けられました。軍隊用の重たい迷彩服を着て寒い中2時間くらいマーチングし、銃の練習や匍匐前進などをするのはとても苦痛でした。また、落ち葉や枝を集めたり、数人組で運動させられたりと、グループでの活動が多かったです。友達の少ない私には楽しくはありませんでした。 礼拝の時間でスピーチに挑戦 一方で、週5回の朝のChapel(礼拝)の時間は比較的平和な時間だと感じました。讃美歌を歌い、お話を聞くだけの時間でした。木曜と土曜日以外の曜日に毎週、礼拝が行われました。日曜日だけ、朝の礼拝は全校生徒ではなく、寮生のみの参加で人数が少なかったです。そのため留学生にも皆の前で話をする機会が与えられました。 私も数回日曜日にスピーチした後、全校生徒の前で話す機会をもらい、3.11の出来事などを話しました。現地の生徒が多かったので、彼らにとって海外に触れられる貴重な機会だったと思います。その他、日本や中国の祝日の時には文化のお話もしました。 日本ではクリスマスは外で過ごし、お正月は家族で過ごすものだと伝えたら、イギリスとは真逆なので驚かれました。話した内容に興味を持ってくれ、それをきっかけに会話が弾むことがよくありました。先生方は、私たち留学生が学校に溶け込めるよう、常に様々な工夫をしてくれていました。 チャペル 深める交流: スポーツとイベントの舞台裏 ハリーポッターの世界!イギリスならではのスポーツ イギリスのBoarding school(ボーディングスクール・全寮制学校)特有のスポーツの時間もありました。季節や性別によって競技が分けられています。秋には男女共にもホッケー、冬は女子がネットボール、男子がラグビー、夏は水泳、クリケット、クロスカントリー、ラウンダースなどから自由に選択できました。 ハリー・ポッターに出てくるような寮対抗の大会や他校との試合もありました。他校との試合では、全生徒が実力別に分けられ、相手校の同じレベルのチームと戦います。そして試合後は相手チームと一緒にSupper time(おやつの時間)があり、ポテトやパン、フルーツ、ケーキなどを一緒に食べました。 ラグビーコートが9面もある広大な敷地を持つ学校。裏にはゴルフコースも プロムやダンスパーティー 年に数回、寮ごとのパーティーがあり、他の寮の子も主催寮の生徒に招待されれば参加できました。男子寮が開催するダンスパーティーに出席する際はProm(プロム)に行くような感じのドレスアップをしました。また、冬休みに入る前は各寮の寮生全員が一丸となって練習したダンスを全校生徒の前で発表するイベントもありました。 その他にも私はInternational Eveningを主催したことがあります。各国の生徒が協力して国の料理を作り、みんなでビュッフェスタイルで食べるイベントです。先生方に協力していただき、ダイニングホールとキッチンを借りて行いました。そこで日本人チームはトンカツを作りました。 日本人チームが作ったトンカツ 英国ボーディングスクールの授業内容 1年目はGCSEを勉強しており、Science(理科)、Mathematics(数学)、English as a Second Language(英語), Religion(宗教学)とStudent Selected Studies(選択科目)でした。選択科目にはGeography(地理)、History(歴史)、Art(美術) , Design and Technology(デザインとテクノロジー)、Food and Nutrition(料理と栄養学)などがありました。 私は理系だった上、英語の授業についていくのに必死だったこともあり選択科目ではArt、Design and Technology、そしてFood and Nutritionを選択しました。英語がネイティブの生徒はフランス語なども選択可能でしたが、留学生は必ずEnglish as a Second Language(ESL)をとらなければならず、他の言語は選択できませんでした。ESL以外の授業は全て現地の生徒たちと一緒でした。 私は日本で購入した電子辞書をどの授業にも持っていき、常に単語の意味を調べながら受けていました。最初の1年は辞書を使用して試験を受けることが許されていました。試験の際には先生から英和辞典が手渡され、それを使って試験に挑んでいました。 イギリス高校留学で得たこと 先生のサポートに感激した日 特に印象に残っているのは理科の授業で試験が返却された時のことです。私は60%しか得点できず、周りの不真面目な子たちと同じくらいの点数でとても悔しかったのですが、先生は私の努力を褒めてくれました。 しかし他の生徒がそれを聞いて「でも辞書を使ってるしね」と嫌味を言いました。それに対し先生は「じゃあ君は他の国に行ってその国の言語でテストを受けた場合、辞書を使えばこの点数取れるのか?簡単なことではないよ、母国語で受けても簡単じゃないんだから」と返してくれました。この先生のサポートは今でも忘れられません。このように素晴らしい先生方がたくさんいる学校でした。  Comfort zoneに戻るか挑戦を続けるかの決断 渡英してから1年経った時の夏休みに帰国した際、正直イギリスに戻るか少し悩みました。友達が少なく、授業も難しい。でもやっと英語にも慣れてきたこと、そして何よりも先生方の期待に応えたい気持ちがあり、もう1年、せめてGCSEだけでも終えようと、戻る決心をしました。 重たい足を引きずり、再び寮に戻ると、先生が「戻ってきてくれてよかった」と声をかけてくれました。複雑な心情で戻ってきたけれど先生方がいれば頑張れると思いました。 私の学年に新しい留学生が増え、寮にも何人か入ってきました。英語が全く話せなかった中国人の生徒が1人いて、その子に英語を教えながら暮らしていたらいつの間にか自信もつき、留学生活が楽しくなっていました。そして授業にもついていけることに気が付きました。友達も増え、去年から同じクラスだった生徒達に「Yui、英語すごく上達したね」と言われたときは本当に嬉しかったです。 おかげでGCSEは良い成績で卒業できました。次回はA-level、やホストファミリー、休暇の過ごし方について書きたいと思います。 https://passport-to.com/articles/9/

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【実体験】イギリス留学準備術: 合格通知からビザ取得までの記録

3月に入り、イギリスの大学や大学院から合否結果が届いてきたと思います。大学からオファー(合格通知)を受け取るといよいよ本格的な留学準備が始まります。入学までには多くの手続きがあり、スムーズに進めるためには計画的な準備が必要です。本記事では、オファーを受け取った後の具体的な準備プロセスについて、僕の経験を踏まえて詳しく解説していきます。 合格結果の確認と入学手続き 出願してからオファーをAcceptするまで 合格結果が届く時期は大学や学科によって異なり、ここは待つしかありません。僕は出願した5校のうち4校は2月初旬までに結果が届きました。しかし第一志望の大学だけ3月までオファーが来ず、もどかしさを覚えました。遅くて7月ごろに結果が出る場合もあるそうなので、気長に待つことが大事だと思います。UCASのTrackシステムをこまめにチェックしましょう。 オファーの種類(Conditional・Unconditional) イギリスの大学からのオファーには、「条件付きオファー(Conditional Offer)」と「無条件オファー(Unconditional Offer)」の2種類があります。条件付きオファーは、IELTSスコアや最終成績の提出といった特定の条件を満たすことで合格となります。UCASで出願した全ての大学から合否が届いた後は、Firm Acceptance(第一希望)とInsurance Acceptance(第一希望に合格できなかった場合の第二希望)の大学とコースを選択します。第一希望の大学からUnconditional Offerをもらった場合はInsurance Acceptanceを選択する必要はありません。 オファーを受け取った後の対応 自分が受け取ったのが条件付きオファーの場合は手続きを早めに済ませることが大切です。通常、オファーの承諾期限が設定されているため、遅れないように注意しましょう。一部の大学ではInternational Students(留学生)がオファーを承諾する際、デポジット(Deposit - 入学金)の支払いが必要です。この金額は大学によって異なりますが、£1,000~£5,000が一般的です。支払期限も設けられているため、期日を確認して早めに対応しましょう。 不合格だった場合の選択肢(Extra・Clearing) もし出願した全ての大学が不合格(Unsuccessful)だったとしても、結果をもらった後に追加で一つのコースに出願できる「エキストラ(Extra)」と定員に達していないコースに出願できる「クリアリング(Clearing)」というシステムがUCASにあります。Extraは2月末から7月初旬まで、Clearingは7月中旬から9月~10月ごろまで行われます。期待した結果が出なかった場合でも諦めずに他の大学やコースにトライしてみましょう。  イギリス学生ビザ(Student Visa)の申請を徹底解説 イギリスでの長期留学には学生ビザ(Student Visa)が必要です。申請にはいくつかの書類が必要で、その用意やビザ発行までに時間がかかります。とにかく早めの行動が大事です。  必要書類 CAS 大学からのオファーを承諾し、パスポートなどの書類を提出すると、「CAS(Confirmation of Acceptance for Studies)」という入学許可証が発行されます。CASはビザ申請に必須な書類で、入学証明となる番号(CASナンバー)が書かれています。発行には通常数週間かかりますので、余裕を持って手続きを進めましょう。  パスポート パスポートの有効期間が留学期間をカバーしている必要があります。期限が短い場合、事前に更新しておきましょう。申請時にパスポートを提出し、そこにビザが発給されることになります。また、見開き2ページ以上の余白ページがあることも確認しておきましょう。  過去のパスポート 過去10年間の渡航歴を聞かれた時、昔使っていたパスポートがあると便利です。ただし、トランジットで立ち寄り、滞在期間が1日未満だった国も渡航歴に含まれます。こういった場合はパスポートにその記録がない時があります。できるだけ正確な情報を書くことが推奨されているので、僕は法務省の出入国在留管理庁というところで自分の渡航歴に関する開示請求を行いました。500円程度で調べてもらえます。https://www.moj.go.jp/isa/publications/privacy/record.html 英語力の証明書 大学によってビザ申請時に英語力の証明を求めるところもあります。GCSEやIBなどのスコアで証明できる場合と、イギリス政府が認定するSELT(Secure English Language Test)の結果しか受け付けてくれない場合があります。このSELTはイギリスのビザ取得専用の英語力試験です。中には「IELTS for UKVI」や「Pearson PTE Academic UKVI」などがあります。IELTSとは異なるもので、指定のスコアを満たすため改めて受験する必要があります。 申請費用と健康保険料(IHS) 申請時にはビザ申請料(£490)の支払いが必要です。さらにIHS(Immigration Health Surcharge)という健康保険料(£776×コースの年数)も支払います。IHSを支払うと、イギリス滞在中にNHS(国民保健サービス)を原則無料で受けられます。 ビザ申請の流れ 書類の準備ができたら、イギリス政府のUKVI(UK Visas and Immigration)の公式サイトから専用の申請フォームに情報を入力し、書類をオンラインで提出します。オンライン上の手続きが済んで、申請料及びIHSを支払うとVFS Globalのビザ申請センターの来館予約ができるようになります。日本には東京と大阪にビザ申請センターがあります。予約した日にパスポートを提出し、生体認証情(指紋と顔写真)を登録します。審査は通常3週間ほどかかり、終了しないとパスポートが返却されません。ビザはパスポートと共に返却されます。ビザ申請センターで受け取るか、郵送してもらうかを選べます。 審査開始後に財政能力証明書の提出を要求される場合があります。これはイギリスでの生活費をカバーできる資金があることを証明するためのものです。ロンドンの大学で勉強する場合は£12,492以上。ロンドン以外の場合は£10,224以上(授業料を除く)。つまりロンドンでの生活費: £1,438/月、ロンドン以外での生活費: £1,136/月: 9ヶ月分の生活費をカバーできる証明が必要です 。預金通帳や金融機関の取引明細書を英文に翻訳したものが必要です。あらかじめ準備しておくとビザ申請がスムーズに進むでしょう。  より詳しい流れについては下のサイトに説明してあるので、確認してください。https://www.westminster.ac.uk/sites/default/public-files/general-documents/student-visa-application-guide-applying-from-outside-uk-v2.pdf  申請は「何事も早めに」が鉄則! 前述の通りビザの審査には通常3週間ほどかかると言われています。繁忙期にはそれ以上の時間がかかることもあります。ビザ発行が渡英日に間に合わずフライトを変更せざるを得なかった友達が何人かいました。審査期間が多少長くなってもいいように、早めに必要書類を集めて申請することが大事です。「ビザ申請ドットコム」や「IMMIGRATION.UK」といったビザ申請を代行してやってもらえるサービスがあり、書類の翻訳など自分でできるか不安があった僕は活用しました。利用すれば必要な書類を揃えて代行者に提出するだけです。その後の申請フォームの入力やビザ申請センターの予約などは全部やってもらえます。  寮とシェアハウスの探し方 ビザ申請と並行して、イギリスでの住居を確保する必要があります。選択肢としては大学が運営している大学寮、民間の学生寮、シェアハウスなどがあります。 大学寮 vs 民間の学生寮の違い 同じ大学の人と交流できる大学寮は、初めての留学で最も安全で便利な選択肢だと思います。特にロンドンなどの都市部では、民間の賃貸物件の家賃が高いです。そのため、大学寮を利用することでコストを抑えられます。僕は大学1年の時に大学寮で暮らして、2、3年の時は民間の学生寮で暮らしていました。民間の学生寮だと、ロンドン中の大学から学生が集まるので他大学生との交流が深まります。ただし、これらの寮は人気が高く、申込期限が早いです。オファーを受け取ったらすぐに申し込むことをお勧めします。早めに申し込みをしなかったせいで、キャンパスから遠い場所にあったり、家賃が高い寮しか残っていなかったりという話も友達から聞きます。 大学が寮の情報を発信していますし、部屋の予約ができるResidence(住居)のサイトやWebポータルにも情報があるので、そこのSNSなどに登録して最新情報をチェックしましょう。  僕が住んでいた民間の学生寮 シェアハウス探しの注意点と便利サイト シェアハウスは費用を抑えつつ、学生のみならず現地の人々と交流できる点が魅力的です。ただし、契約詐欺や知らない人とシェアしなければいけないというリスクもありますので、信頼できるサイトを利用して物件を探し、可能であれば現地で内見してから契約を結ぶことが望ましいです。住居探しには、Rightmove(https://www.rightmove.co.uk/)やZoopla(https://www.zoopla.co.uk/)などの物件検索サイトが便利で、よく使われています。また、SpareRoom(https://www.spareroom.co.uk/)を利用すれば、ルームシェアの相手を見つけることもできます。  必須手続き: eVisaについて 返却されたパスポートに載っているビザはあくまで仮のEntry Clearance Visa(入国許可証)というもので、発行されてから90日まで有効です。正式なビザはeVisa(Online immigration status)という電子書類です。UKVIから送られてくる案内に従い、オンライン上でビザの申請番号やパスポート番号を登録して、アカウントを作成します。 イギリスに入国する際、パスポートのビザだけでなくeVisaの提示が求められる場合があります。そのため渡航前に手続きを済ませておくといいでしょう。これまではBRP(Biometric Residence Permit)カードという物理的な書類だったのでした。2025年の1月からオンラインに置き換わりました。 今回紹介したプロセスの他にも航空券を予約したり、持ち物を準備したりするなど、渡英までにやっておく必要があることはたくさんあります。それらについてはまた別の記事で書きますので、楽しみにしていただければ幸いです。CASやビザの発行などには思っている以上に時間がかかるものもあります。留学生活がスムーズに始められるよう、計画的に準備を進め、安心して渡英しましょう。  https://www.gov.uk/student-visa

UCL現役大学生の留学体験記!イギリス留学のリアルと道のり

京都からイギリスへ: UCL大学留学を決めるまで 自己紹介・バックグラウンド  はじめまして。Nanaです。京都市出身で、中学まで地元で過ごし、高校からイギリスの学校に進学しました。  現在は、University College London(UCL、ユニバーシティカレッジロンドン)でArts and Sciences(アーツアンドサイエンス)学科で勉強しています。一つの専門分野を3年間かけて学ぶ一般的なイギリスの大学とは異なり、この学科ではリベラルアーツ教育に似ていて、文理問わず幅広い分野の科目・デパートメントの授業を取ることができます。  留学を決意したきっかけ 中学2年生の時にスイスでサマースクールに参加した体験が留学を志した原点です。いろいろな国から生徒が来ていて、英語だけでなく、ドイツ語、イタリア語、フランス語などを操る同年代の生徒と出会いました。言語がもたらす新しい人との出会い、つながりや発見に心躍らされました。私もグローバルな世界で過ごしたいと強く思った経験でした。 学校選びから出発まで 本格的に留学を考え始めたのは中学2年生の冬あたりでした。サマースクールで訪れたスイス、友人がすでに留学していたアメリカとイギリスを留学先の候補にしましたが、結局イギリスとアメリカの学校に出願し、先にオファーが来たイギリスの学校に入学することに決めました。 友人に紹介してもらった留学エージェントを通して、学校の選定、受験、インタビュー(面接)を経て、イギリス南西部にあるTaunton School International(TSI、トーントンスクールインターナショナル)への入学が決まりました。インタビュー(面接)や試験はすべて、オンラインで行いました。 Taunton School International(トーントンスクールインターナショナル) の校舎 しかし、この時期(2020年)にちょうど新型コロナウイルス感染症が流行り始め、4月に予定していた渡英は先送りされてしまいました。イギリスには行けなかったものの、学校側がいち早くオンライン授業を導入したため、4月-6月の1学期間は日本の自宅で授業を受けました。思い描いていた留学の始まりではありませんでしたが、振り返ってみればホームシックにならず、少しずつ英語に慣れていく良い機会だったと思います。 TSIではGCSEと呼ばれる中学課程に当たるものを1年間学習しました。2年目からはLancing College(ランシングカレッジ)という現地校に入学し、A-level経済、数学、応用数学、日本語を履修し、受験を経て、UCLに入学しました。 Lancing College(ランシングカレッジ)のチャペル UCL大学生のキャンパスライフ ロンドンならではの魅力と学びの日々 現在通っているUCLはロンドン中心部にあり、1826年に設立された大学で、150を超える国から学生が集まる国際性と400以上のコースを提供し幅広い研究分野を持っているのが特徴です。ロンドンという大都市ならではの刺激的な環境もあり、学びだけでなく生活面でも多くの発見がある大学です。 University College London(UCL)に入学 リベラルアーツ型の学び: Arts and Science学科の特徴 大学ではArts and Science(アーツアンドサイエンス)と呼ばれるリベラルアーツの学科で勉強しています。この学科はイギリスの大学にしてはとてもユニークです。イギリスの大学では基本的に高校で専攻した教科を中心により深く学びます。例えば高校で経済を専攻すると大学でも経済学部やビジネス系の学部に進み、その学部で必修授業をとります。 しかし私の学部では多くの学問の知識をいかに融合させて社会課題の解決策にアプローチするのかに重きを置いています。こういった学問を英語ではInterdisciplinary studiesと呼び、分野横断的(学際的)な学びを意味します。社会課題を解決するのにもさまざまな切り口や専門知識が必要なうえ、分野が異なる人々と協力することも欠かせません。そのようなことを中心に学んでいます。 そのため、履修する授業の半分以上を自分で選択できます。学科の中で、3年間を通して全く同じクラスの組み合わせを取っている学生は誰一人いません。こういった環境が自分の学習生活を唯一無二にします。 実際に履修している授業紹介 私が今年取っている科目は、Principle of international public law(国際法)、Mathematical analysis, Real analysis(解析学)、Database system(データベースシステム)、Macroeconomics/Open and Closed economy(マクロ経済学)、Quantitative methods(定量調査)、Sustainable energy(持続可能エネルギー)、Mandarin(中国語)です。 分野がバラバラでそれぞれ全く関係なさそうに見えますが、Sustainable energyで学ぶエネルギー政策はMacroeconomicsの経済政策につながっていたり、Quantitative methodsで習得する基礎プログラミングはDatabase systemで応用できたりと、他の学生とは違った視点で問題の解決法を見いだすことができます。 課外活動とロンドンでの暮らし 日本語を教えるJapan Societyでの活動 授業外では、Japan Societyと呼ばれるソサエティ(サークル)に参加していて、2週間に1度、学生に日本語を教えています。 Finance and Economics Societyで得た学びと人脈 また、Finance and Economics Societyにも参加しており、週1くらいの頻度で開催されるロンドンの投資銀行などの金融業界で働く方によるセミナーに参加しています。UCLのネットワークはかなり広く、トップ企業で働く卒業生も多いので、いろんな人から話を聞けるチャンスがたくさんあります。 ロンドンの美術館・博物館巡りで深める学び ロンドンには大英博物館(British Museum)やナショナルギャラリー(National Gallery)など、たくさんの権威ある美術館と博物館が集まっていて、ほとんどが入場無料ということもあり、休日にはなるべく行くようにしています。 昨年取ったSocial Theoryの授業ではオリエンタリズム(西洋が東洋をどのようにとらえていたのかを研究する学問領域)のトピックを扱ったのでテムズ川畔にあるTate Britain(テート・ブリテン) の絵画を見に行きました。 Colonialism(植民地主義)などのトピックを考える際、博物館の作品は貴重なソースとなり、実際に鑑賞することでコンテンツの理解をより深めることができます。 高校留学・大学留学を通じて得た学び 広がった視野と情報へのアンテナ 留学して良かったことは、視野が広がったことと得られる情報が増えたことです。異なる文化や価値観を持つ人たちと関わる中で、自分が当たり前だと思っていた考え方が、実は国や環境によって大きく異なることに気づきました。Taunton School時代のルームメートはブルンジ人でした。初めて聞く国からの生徒だった彼女とどうしても話をしたくて、どんな国なのか、何語を話すのかなどを調べた記憶があります。 多様な視点を学べる国際的なクラスメートとの出会い 授業では、さまざまなバックグラウンドを持つクラスメートと意見を交わす機会が多く、同じテーマでも多様な視点があることを学べたのは、とても刺激的でした。日本では、自分がどの政党を支持しているか、政策まで議論することはなかったですが、イギリスでは自国の政策はもちろん、他のヨーロッパ諸国の政策まで網羅している学生も何人かいて、意識の高さがうかがえました。 経済の授業では特に、GDP(国内総生産)成長率やインフレ、利子率を必ず頭に入れておく習慣ができました。円安など、身の回りで起きていることが身につけた知識で理解できるようになっていくのが楽しかったです。 英語力と自己発信力の向上 また、英語でコミュニケーションを取る力が自然と身につき、自信を持って自分の意見を発信できるようになったのも大きな成長です。さらに、留学生活を通じて新しい友人や経験に出会い、自分自身の挑戦する力や柔軟性も養われたと感じています。 留学生活で感じた辛さと乗り越えた経験 言語の壁とコミュニケーションの葛藤 留学で辛かったことのひとつは、最初の頃に感じた言語の壁です。英検2級を取得後に渡英しましたが、授業では、ネイティブスピーカーや先生たちのスピードについていけなかったです。留学当初は宿題を終わらせるのにも、クラスメートの3倍時間がかかりました。 授業がわかるようになっても、友達との会話や冗談を理解し、話すまでにはかなり時間がかかりました。小学校の間に英会話塾に週1で通っていましたが、実際に会話しようとすると、自分のシャイな性格も相まって単語が出てこない場面が多くあり、自分の意見を思うように表現できず、もどかしさを感じることがありました。 辞書を片手に専門用語と格闘する日々 大学に入ってからは、専門的な単語も多くて、今でも辞書は手放せません。ですが、一つ一つの単語の意味を調べる習慣がついたことで、理解できない単元があっても、わかるまで調べたり文献を読んだりして、人一倍深い学びを得たと思います。 これからイギリス留学を目指す人へのメッセージ 留学は挑戦の連続ですが、ぜひ恐れずに一歩踏み出してみてください。その経験が、自分自身を大きく成長させ、未来への大きな力になるはずです。 https://jp.education-moi.com/article-51-ucl https://www.ucl.ac.uk

【イギリス高校留学】15歳で親元を離れたボーディングスクールでの生活

私は15歳から親元を離れ、イギリス留学を始めました。大学もイギリスで、卒業後もしばらく滞在していたため、気づいたら14年間イギリスにいることになっていました。苦あり楽ありの留学体験をお届けします。 イギリス全寮制高校への道: 留学を決意するまで 小さい頃、父の仕事でアメリカに行っていたことがあり、英語には多少自信がありました。しかし、滞在は4歳から6歳までのわずか2年半だったため、帰国し中学生になった頃には英語力がかなり落ちていました。ある日、母と当時の英語の家庭教師からの要望に応じ、英語のエッセイを書いてみました。すると「アメリカの小学校2年生レベルだね」と言われ、ショックを受けました。これを機に、英語をちゃんと勉強しようと決意しました。 ちょうどその頃、インターナショナルスクールに通っていた2つ上の兄がイギリスの大学に進学したいと言ったので母と3人でイギリスの大学の下見に行くことになりました。自分にとって未知の国だったイギリスに惹かれていたのと、いつかは留学したいという思いが相まって、ついでに高校も見ようと母と決めていました。 ノッティンガムシャーの高校見学 複数の大学や高校を巡り、その中のひとつの高校にとても良い印象を持ちました。イギリス東中部、Nottinghamshire(ノッティンガムシャー州)のWorksop(ワークソップ)というところにある高校です。先生が優しく、校舎も広くてかっこよく、生徒達の行儀もとてもよかったです。みんな紳士的で礼儀正しく、先生方の指導が行き届いていることが伝わってきました。 若くして単身留学することを心配していた母も、このしっかりした校風が気に入りました。校長先生とお話をし、その後校舎見学をしました。また、私が医学部志望だったため、英語力をネイティブ並みに上げる必要があると言われ、もうその夏から入学することを勧められました。もともとイギリスでそのまま医学部に行くつもりはなかったのですが、先生方や両親と相談し、見学に行った2ヶ月後には留学を決心しました。 学校の校舎 イギリス高校留学|ボーディングスクールの生活とは? 寮のシステムと制服 イギリスに着いてすぐ、寮長さんや寮母さんに挨拶しました。説明を受け、私はYear 10(日本の中学3年に該当)に入学しました。日本の中学に相当する学年では制服が決まっています。ブレザー、シャツ、スカート、そしてcravatと呼ばれるネクタイのようなものに加え、靴下も学校指定のものを着用しました。 この学校には数種類の寮があり、女子は学期中ずっと過ごす「Full boarding(フルボーディング)」用、平日だけ暮らす「Weekly boarding(ウィークリーボーディング)」用、そして「Daily student(夜には家に帰る通学生)」用の寮がそれぞれ1つです。男子寮はDaily studentと住み込みの生徒が混ざっていて5~6つの寮がありました。各寮には30~40人くらいの生徒がいました。 1つの寮には最下級生のYear 9(中学2年生)から最上級生のYear 13(高校3年生)までが一緒に暮らしており、2、3人部屋もあれば1人部屋もあります。新入生は基本的に多人数部屋に割り振られ、最高学年の生徒は1人部屋が与えられました。私は最初3人部屋に入りました。その後2人部屋になったり3人部屋になったりの繰り返し。最終学年になったらついに1人部屋を手に入れました。毎学期、部屋のメンバーは先生が決めて変えていました。 校長先生の住むお家。学校の入口のすぐ隣にある 深夜の勉強と寮のおきて 渡英当初の英語力では会話についていくのが精一杯で、授業は全く理解できませんでした。現地の生徒ばかりの学校で、私の学年にいた留学生は他に男子2人だけでした。英語の授業以外は現地の生徒達と一緒に受けるため、取り残されないように懸命でした。深夜と早朝の時間を活用し、ひたすら教科書の翻訳をする日々が続きました。 ある明け方、普段電気が点いている部屋が消灯されたので階段に座って勉強していました。すると寮母さんが駆けつけてきて、「Yui、こんな時間に勉強しないの!ここはアラームがついているの。勉強は日中だけでも十分なのだから夜はしっかり休みなさい」と注意されてしまいました。どうやらこの階段にはアラームが設置されていて、人が入ると寮母さんなどの責任者だけが知らされるようになっていました。それ以来、夜中の勉強はやめました。 ホームシックと戦う日々 寮生活はとても厳しく、朝1回、お昼前に1回、お昼後から夕方にかけて3回、そして夕飯後の宿題時間に3回、点呼がありました。そして寝る前には先生が各部屋を回って携帯電話を没収し、電気も強制的に消されます。しかしほとんどの子は偽物の携帯を預けていました。 留学した最初の年はスマホもWi-Fiもなかったので私はガラケーを使っていました。インターネットは共用のパソコンルームのみで使うことができます。家族と連絡を取るときは国際電話でした。 週に1回、Skypeが使えるパソコンを予約して家族とビデオ通話することができました。しかし世界中から留学生が来ているので常に予約枠の取り合いでした。日本との時差の関係で都合の良い時間帯が限られ、目当ての時間枠が取られてしまってよく落ち込んでいたものです。 最初の1年間はホームシックでほぼ毎日泣いていました。言葉があまり通じなかったため友達もできなかったです。「かわいそう」と寄ってきてくれる生徒や授業で一緒になった生徒とたまに話す程度でした。都会ではなかったので、アジア人が少なく、奇異の目で見られているように感じました。 留学1年目の冬。膝下まで雪が積もるほどの大雪でした 辛かった陸軍の訓練 私の学校はCCF(Combined Cadet Force)という連合将校養成隊の時間があり、Army(陸軍)の訓練をしました。陸軍の他に、Navy(海軍)、Royal Air Force(空軍)もあり、現地の生徒は選択が可能でした。その頃、私たち留学生は選べず、一番人数の多い陸軍に自動的に振り分けられました。軍隊用の重たい迷彩服を着て寒い中2時間くらいマーチングし、銃の練習や匍匐前進などをするのはとても苦痛でした。また、落ち葉や枝を集めたり、数人組で運動させられたりと、グループでの活動が多かったです。友達の少ない私には楽しくはありませんでした。 礼拝の時間でスピーチに挑戦 一方で、週5回の朝のChapel(礼拝)の時間は比較的平和な時間だと感じました。讃美歌を歌い、お話を聞くだけの時間でした。木曜と土曜日以外の曜日に毎週、礼拝が行われました。日曜日だけ、朝の礼拝は全校生徒ではなく、寮生のみの参加で人数が少なかったです。そのため留学生にも皆の前で話をする機会が与えられました。 私も数回日曜日にスピーチした後、全校生徒の前で話す機会をもらい、3.11の出来事などを話しました。現地の生徒が多かったので、彼らにとって海外に触れられる貴重な機会だったと思います。その他、日本や中国の祝日の時には文化のお話もしました。 日本ではクリスマスは外で過ごし、お正月は家族で過ごすものだと伝えたら、イギリスとは真逆なので驚かれました。話した内容に興味を持ってくれ、それをきっかけに会話が弾むことがよくありました。先生方は、私たち留学生が学校に溶け込めるよう、常に様々な工夫をしてくれていました。 チャペル 深める交流: スポーツとイベントの舞台裏 ハリーポッターの世界!イギリスならではのスポーツ イギリスのBoarding school(ボーディングスクール・全寮制学校)特有のスポーツの時間もありました。季節や性別によって競技が分けられています。秋には男女共にもホッケー、冬は女子がネットボール、男子がラグビー、夏は水泳、クリケット、クロスカントリー、ラウンダースなどから自由に選択できました。 ハリー・ポッターに出てくるような寮対抗の大会や他校との試合もありました。他校との試合では、全生徒が実力別に分けられ、相手校の同じレベルのチームと戦います。そして試合後は相手チームと一緒にSupper time(おやつの時間)があり、ポテトやパン、フルーツ、ケーキなどを一緒に食べました。 ラグビーコートが9面もある広大な敷地を持つ学校。裏にはゴルフコースも プロムやダンスパーティー 年に数回、寮ごとのパーティーがあり、他の寮の子も主催寮の生徒に招待されれば参加できました。男子寮が開催するダンスパーティーに出席する際はProm(プロム)に行くような感じのドレスアップをしました。また、冬休みに入る前は各寮の寮生全員が一丸となって練習したダンスを全校生徒の前で発表するイベントもありました。 その他にも私はInternational Eveningを主催したことがあります。各国の生徒が協力して国の料理を作り、みんなでビュッフェスタイルで食べるイベントです。先生方に協力していただき、ダイニングホールとキッチンを借りて行いました。そこで日本人チームはトンカツを作りました。 日本人チームが作ったトンカツ 英国ボーディングスクールの授業内容 1年目はGCSEを勉強しており、Science(理科)、Mathematics(数学)、English as a Second Language(英語), Religion(宗教学)とStudent Selected Studies(選択科目)でした。選択科目にはGeography(地理)、History(歴史)、Art(美術) , Design and Technology(デザインとテクノロジー)、Food and Nutrition(料理と栄養学)などがありました。 私は理系だった上、英語の授業についていくのに必死だったこともあり選択科目ではArt、Design and Technology、そしてFood and Nutritionを選択しました。英語がネイティブの生徒はフランス語なども選択可能でしたが、留学生は必ずEnglish as a Second Language(ESL)をとらなければならず、他の言語は選択できませんでした。ESL以外の授業は全て現地の生徒たちと一緒でした。 私は日本で購入した電子辞書をどの授業にも持っていき、常に単語の意味を調べながら受けていました。最初の1年は辞書を使用して試験を受けることが許されていました。試験の際には先生から英和辞典が手渡され、それを使って試験に挑んでいました。 イギリス高校留学で得たこと 先生のサポートに感激した日 特に印象に残っているのは理科の授業で試験が返却された時のことです。私は60%しか得点できず、周りの不真面目な子たちと同じくらいの点数でとても悔しかったのですが、先生は私の努力を褒めてくれました。 しかし他の生徒がそれを聞いて「でも辞書を使ってるしね」と嫌味を言いました。それに対し先生は「じゃあ君は他の国に行ってその国の言語でテストを受けた場合、辞書を使えばこの点数取れるのか?簡単なことではないよ、母国語で受けても簡単じゃないんだから」と返してくれました。この先生のサポートは今でも忘れられません。このように素晴らしい先生方がたくさんいる学校でした。  Comfort zoneに戻るか挑戦を続けるかの決断 渡英してから1年経った時の夏休みに帰国した際、正直イギリスに戻るか少し悩みました。友達が少なく、授業も難しい。でもやっと英語にも慣れてきたこと、そして何よりも先生方の期待に応えたい気持ちがあり、もう1年、せめてGCSEだけでも終えようと、戻る決心をしました。 重たい足を引きずり、再び寮に戻ると、先生が「戻ってきてくれてよかった」と声をかけてくれました。複雑な心情で戻ってきたけれど先生方がいれば頑張れると思いました。 私の学年に新しい留学生が増え、寮にも何人か入ってきました。英語が全く話せなかった中国人の生徒が1人いて、その子に英語を教えながら暮らしていたらいつの間にか自信もつき、留学生活が楽しくなっていました。そして授業にもついていけることに気が付きました。友達も増え、去年から同じクラスだった生徒達に「Yui、英語すごく上達したね」と言われたときは本当に嬉しかったです。 おかげでGCSEは良い成績で卒業できました。次回はA-level、やホストファミリー、休暇の過ごし方について書きたいと思います。 https://passport-to.com/articles/9/

僕がイギリスの大学を選んだ理由。留学先の決め方は?

僕は2021年にイギリスのKing’s College London(キングスカレッジロンドン)に進学し、2024年の8月に卒業することができました。生まれてからずっと日本で育ってきた僕は、高校で国際バカロレアコースを履修し始めたあたりで海外の大学に進学することを意識し始めました。今回の連載では、自分がキングスカレッジに進学することに決めた経緯とそこでの経験とを照らし合わせて、イギリス留学のメリットと留学先の決め方を紹介していきたいと思います。 King’s College London(キングスカレッジロンドン)のMaughan Library イギリスの大学に留学するメリットとは イギリスに留学するメリットは、世界トップクラスの大学で質の高い教育はもちろん、それ以外にも幅広い経験を積むことができるところにあります。ここではそんなイギリスの大学の特徴を紹介していきます。 質の高い教育 イギリスの高等教育機関の教育と研究は世界の中でも、高い水準を保っていることで知られています。様々な学部や学科があり、特に芸術系(アートやデザインなど)の学部などで日本にはないような幅広い専門分野を勉強することができます。僕は元々リベラルアーツ学科(Liberal Arts - 人文学・芸術などの知識を断面的に学ぶ学問)に興味があり、King’s College Londonのリベラルアーツでは自分が特に興味がある音楽や映画の授業を履修できるというのが大きかったです。インターンシップができる履修科目(イギリスではモジュール - Moduleという)があり将来のキャリアにつながるようなプログラムが組み込まれている学科もあります。 キャンパスの設備が豊富 イギリスの大学のキャンパスは設備が豊富で、図書館や研究室の他にも劇場や映画館がある大学もあります。高校2年生の冬に大学を見学しに行った時に、僕は大学の大きな図書館に強い印象を持った覚えがあります。King’s College Londonの他にも見学しに行ったUniversity of Leeds(リーズ大学)やThe University of Sheffield(シェフィールド大学)などはロンドンから離れた町にある分、静かな環境に大きなキャンパスがあり、勉強に集中できそうだなという印象を持ちました。 手厚いキャリアサポート 大学によっては卒業後もキャリアをサポートしてくれるところがあります。キングスカレッジには履歴書の添削や面接の練習を行なってくれるキャリアセンターがあり、僕も卒業前後にそれらをうまく活用しました。これらの充実した教育や設備があって、教育力や研究力などで世界中の大学の水準を評価するTimes Higher Education(THE)ランキング(2024年時点)ではトップ10にイギリスから3校、トップ100には11校が選出されています。 3年制なので学費を抑えられる 留学先で人気があるのはアメリカ、イギリス、カナダというイメージがありますが、イギリスは留学資金(学費・生活費)含めて残りの2カ国より割安というデータがあります。アメリカの大学が学士課程に4年間かかる中で、イギリスのほとんどの大学は学士課程が3年間で、2年制の学位を提供しているコースもあり留学費用の節約にもつながります。もちろん留学生向けに様々な奨学金制度があるのでそれらを調べることも大切です。 ロンドンの景色 ロンドン留学生の課外活動について 留学先を決める時は、授業外で何ができるかも考慮するべきポイントです。 ロンドン大学のサークル イギリスの大学にはSociety(日本でいうサークルのようなもの)があり、スポーツ系や芸術系など様々なジャンルのものが存在します。King’s College Londonには300種類近くのソサエティがありました。僕は小さい頃からバイオリンを弾いていて、大学に大きなオーケストラのソサエティがあると知った時、楽しそうだなと覚えがあります。ソサエティによっては気軽に参加できるものもある一方、賞や大会などの目標に向けて本格的に活動しているものもあります。 その他にも、イギリス、特にロンドンには博物館や美術館などがたくさんあり娯楽の選択肢がたくさんあることも魅力的です。特に僕は小さい頃からイギリスの音楽やサッカーが好きで、なかなか来日しないミュージシャンのコンサートに行ったり好きなサッカーチームの試合を現地のスタジアムで観戦できるのは憧れでした。イギリスは他のヨーロッパ諸国にすぐ旅行できる場所にあり、大学の休暇を利用して様々な文化を体験しに行くこともできます。 ロンドン中心部のレスタースクエア(Leicester Square) イギリスの多様性から得られるもの イギリスは移民の受け入れに積極的で多様な文化が共存しています。大学にも様々な国から学生や教員がやってきており、様々な文化を知ったり、物事を多角的な視点で考える力などを養うのに最適な場所です。国や地域ごとのSociety(King’s College LondonのJapan Societyには日本人の他にもアジア系の人だったり日本の文化に興味があるイギリス現地の人が集まる人気のソサエティです。日本語教室を開催したり、お正月の書き初めなどのイベントをしたりします。)もあり、様々なバックグラウンドを持つ人と交流できる機会があります。特にロンドンのような大都市では街を歩いているだけでも、様々な人にすれ違い様々な言語が聞こえてきます。ここで勉強できるのは自分の視野を広げるのにピッタリだなと思ったのも、イギリスに進学することを決めたきっかけでした。 【イギリスの大学】留学先を決める時のポイント 僕が志望校を選択したのは高校1年の終わりのことでした。大学進学に向けて目標(大学ごとに定められたIB、A-Levelの入学基準スコアなど)を設定したりPersonal Statement(パーソナルステイトメント)などの出願準備をするためにも、志望校は早めに絞った方がいいと思います。UCAS(イギリスの大学出願機関)を使って出願する際、第5希望まで決めることができます。ここでは志望校を選択する時にするべきこと、考えるべきポイントを書きたいと思います。 大学を徹底リサーチ 大学の教育・設備やそこでどのようなキャンパスライフが送れるかは場所によって全く違うので、各大学のリサーチは慎重にする必要があります。 まず参考にしたのは世界大学ランキング 僕の場合、まずは先ほど紹介した大学ランキングを見て、どの大学に自分の勉強したい学科があるのか調べるところから始めました。Times Higher EducationやQS World University Rankingsなどの大学ランキングは総合ランキングだけではなく、専攻別などのランキングも発表されているので調べる上でとても参考になります。 大学の公式サイトを読み込む 自分の気になる大学・学科を絞り出した後はその大学のウェブサイトを見てみました。イギリスでは大学の総合案内書をprospectus(プロスペクタス)と言い、ウェブサイトで紙のバージョンを申請できる大学もあります。大学のprospectusやウェブサイトには卒業生の就職率や留学生の割合などが書かれているので、大学でどのような生活を送れるかの大体の指標にもなります。 留学イベントに参加 日本ではSI-UK(Study International UK Limited)やbeoと言ったコンサルタント会社などが主催となって留学フェアや進学セミナーが毎年行われています。実際に現地の大学の教員の方と交流できたり資料をゲットできる機会なので、効率的に活用しました。一つの大学が日本に来て(もしくはオンラインで)説明会を行うこともあります。 オープンキャンパス(Open Day) 日本の大学と同じようにイギリスの大学もオープンキャンパス(Open Day)を開催しています。実際に大学内を見学するのは、学校への理解が深まるので志望校を絞るのにとても効果的でした。大学によって開催される時期は違うので、もしオープンキャンパスに行けない場合はオンラインでバーチャルツアーができる大学もあります。その他にもソーシャルメディア(Instagramなどの大学の公式アカウント、学部やソサエティのアカウントなど)を活用して、現地の学生や卒業生の声を聞いたりするのも1つの手段です。 大学の環境が自分に合っているか考える 志望校を選ぶ場合、大学の教育内容や設備などに目が行きがちですが、その大学が自分の性格や目標に合っているのかも考えるべきポイントです。例えばイギリスに留学する際は、ロンドンの大学で勉強するか、それ以外の都市に行くかの二択に分かれますが、結果的に自分に合ってない環境で3年間勉強することになるのは辛いので、自分が納得できる選択をするべきです。世界の中心地の一つであるロンドンでの生活は都市のスピード感が速く、多文化的な環境であることも含めて刺激的な経験をすることができます。その一方で、地方都市ではOxford(オックスフォード)やCambridge(ケンブリッジ)などその地域特有のコミュニティがあります。ロンドンに比べて物価が比較的安いことも含めて、リラックスした環境で勉強できる利点があると思います。 イギリスの大学選びは「自分軸」で決めよう 最終的に僕はロンドンの大学を3校、ロンドン以外の大学を2校選択して出願しました。どちらを選ぶかは、あなたが何を大学生活に求めているか、自分に合った生活スタイル、予算などで変わってくると思います。ここはランキングなどに流されず、自分がどうしたいかを大切にしましょう。 イギリス留学には多くの魅力があり、まず自分に合った大学を選ぶことがそこで充実した経験をすることへの第一歩です。今回紹介したポイントを参考にしながら、ぜひ理想の留学先を見つけてください。 https://jp.education-moi.com/article-30

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【イギリス大学受験】ボーディングスクールから一流大学合格まで

こんにちは!Kenshuです!今回はイギリスの大学に入るために必要な準備、「どうやって受験するの?」などを自分の経験と一緒に説明していこうと思います。一つ注意点として、僕はイギリスの高校から進学したので、日本や他国の高校からの進学とは少々異なる部分があると思います。日本の公立高校から進学したい方は以下の記事を参考してください。 https://passport-to.com/articles/14/ イギリスの大学に合格するまでの大まかな流れ 基本的にイギリスの高校から大学に出願するにはこのような流れをたどります。 イギリスの大学に合格するまでの流れ GCSE Form 4、5の2年間受け、Form 5の最後に試験がある AS-level A-levelの1年目であるForm 6に受ける試験 UCASから出願 基本情報の入力 GCSEとAS-levelの成績、Personal Statement(志望理由書)の提出 志望校選択 Admission TestsとInterview(面接) A-level Form 6、7の2年間受け、Form 7の最後に試験がある 最終合格発表 これらのプロセスの一つ一つについて、自分の経験を基に詳しく解説していきます。 GCSE: イギリス大学受験の幕開け 実はイギリスでの大学受験はGCSE(中等教育修了試験)から始まります。この理由は後述します。 GCSEはForm 4(中学3年)からForm 5(高校1年)にかけて学ぶイギリスのカリキュラムです。6科目以上取らなければいけなく、学校によって受けられる科目の数は異なります。僕の行っていたConcord College(コンコルドカレッジ)では必修科目含め10個まで受けることができたので僕は10科目を取りました。 https://passport-to.com/articles/24/ GCSEにはEnglish(英語)とMathematics(数学)の必修科目の他、選択科目がたくさんあります。コンコルドではPhysics(物理)、Chemistry(化学)、Biology(生物)、Geography(地理)、Computer Science(コンピューターサイエンス)、History(歴史)、Art(図工)、Drama(演劇)、Religious Studies(宗教学)などを受けられました。自分の周りの生徒たちはほとんどが8から10科目を取っていました。 Form 5の5、6月になるとGCSEの試験が始まります。各科目1(最低評価)から9(最高評価)までのGradeがつけられます。 「大学受験はGCSEから始まる」とい言えるのは大学に出願する際、GCSEの成績を提出しなければいけないからです。例えば、イギリスの一流大学で物理を専攻したかったらGCSE Physicsで必ずと言っていいほど8か9が必要になってきます。 そのためGCSEの結果次第で自分のやりたい分野や行きたい大学が絞られます。 AS-level(A-levelの1年目) GCSEのカリキュラムと試験が終わった後はA-levelというカリキュラムを取ります。A-levelはGCSEと同じ2年間のカリキュラムです。AS-levelというのはA-levelでの1年目の期間と試験です。学校によってAS-levelの試験を受けないところもあります。コンコルドではAS-levelを取っていました。 GCSEよりも学ぶことの難易度が上がり、複雑なためA-levelのカリキュラムではGCSEの半分となる3科目以上取ればいいです。僕はMathematics(数学)、Further Mathematics(応用数学)、Chemistry(化学)、Physics(物理)の4科目を取りました。 A-levelでは科目選択が一番重要になってきます。先ほどの例みたいに大学で物理を専攻したいのであれば、Physics、Mathematicsは必須になってきます。僕はEngineering(工学)がやりたかったのでその受験で必要な科目を選択しました。 Form 6(高校2年生)の5、6月にAS-levelの試験が始まります。GCSEより科目数が少ないため楽だと思うかもしれませんが、個人的にこのAS-Levelの結果がイギリスの大学受験で成功する上で一番重要だと思っています。 AS-LevelではA(最高評価)からF(最低評価)までのGradeが付けられます。 AS-levelの試験の時間割 A-levelのPredicted GradeとしてのAS-level イギリスの大学に出願する際、A-level Predicted Gradeというものを高校が大学側に提出します。これは各教科の先生が生徒がA-levelの試験でどのぐらいのGradeを取れるのかを予想したもので、主にAS-levelの成績で判断されます。AS-levelを取っていない学校だと期末テストや授業態度などで評価されます。 このPredicted Gradeがなぜ重要になってくるのかというと各大学とコースには出願に必要なRequired Gradeがあり、Predicted Gradeはその条件を満たさないといけないからです。 例えば僕が出願したImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)のChemical Engineering(化学工学)コースではA*A*AAが必要でした。これは2科目でA*(Aの一つ上の評価)、2科目でAを取らないといけないという条件です。AS-levelの評価によるPredicted Gradeがこれを下回ってしまうと(例えばA*AAA)、合格するのがすごく難しくなってしまいます。つまりAS-levelの時点で自分の行きたい大学とコースのRequired Gradeをしっかり把握し、それをクリアしなくてはいけません。 UCASでイギリスの大学に出願 イギリスの大学への出願は日本と異なり、大学ごとに応募するのではなく、UCASというシステムでイギリス全国の志望校に一括で出願します。最大で5つの大学に出願することができます。志望校は立地、難易度、コースの内容、大学の順位などを考慮して決めます。僕はImperial College London、University College London(UCL)、The University of Edinburghなどに出願しました。 出願開始はForm 6の最後あたりで、Form 7の10月から1月が締め切りです。日程は大学によって異なります。 UCASではまず自分の基本情報(名前、生年月日、国籍)を入力します。これらの他に自分のGCSEとAS-levelの成績を入れ、Personal Statement(志望理由書)を提出します。Predicted GradeとReference(推薦書)は学校が大学側に送ってくれます。 Personal Statement(志望理由書)で書く内容 また、必要書類の中でもPersonal Statementが一番重要だと思います。これは志望理由をエッセイにまとめるものです。なぜ自分が選んだ分野を専攻したいかや自分がやってきたExtracurricular(課外活動)、自分はどんな人なのかを大学側にアピールするエッセイです。 僕はPersonal Statementで化学工学に興味を持った理由、今まで読んだ本やインターンした経験、自分でやった研究、学校での委員会活動などを書きました。 書ける文字数が決まっているので本当に書きたいことだけを残して何回も書き直したり、先生と相談したりしました。最終的にドラフトが10回目で先生からOKサインが出てUCASから提出しました。 Reference(推薦書) Referenceは高校が大学に提出する推薦書です。僕は自分のTutor(担任)に書いてもらいました。先生がReferenceを作成したあと、一度だけ生徒に見せられます。その時に入れてほしい部分や書いてほしくない部分などを言います。 Referenceでは主に学校での活動を中心に自分のPersonal Statementで書けなかった部分を書いてもらいます。僕は数学のコンペティションやスポーツなどを書いてもらいました。 Admission Tests(入学試験)とは? 大学とコースによってはUCAS上の書類だけではなくAdmission Tests(入学試験)と面接を課すところもあります。主にUniversity of Cambridge(ケンブリッジ大学)、University of Oxford(オックスフォード大学)、Imperial College London(インペリアルカレッジロンドン)、London School of Economics and Political Science(LSE)などの大学で必要なことが多いです。 Admission Testsにはいろんな種類があり、数学系だったらTMUA(Test of Mathematics for University Admission)、工学系だったらESAT(Engineering and Science Admissions Test)、法律だったらLNAT(Law National Aptitude Test)などです。 ESAT(Engineering and Science Admission Test) 僕はインペリアルのChemical Engineering(化学工学)コースに出願したのでESATを受ける必要がありました。ESATではMaths 1、Maths 2、Chemistry、Physics、Biologyの中から3つを選びます。僕の専攻はChemistryが必須だったのでMaths 1、Maths 2とChemistryを取りました。 ESATではA-levelよりも難しい問題が出ます。選択問題で1科目27問あります。各科目の成績は1から9までを0.1単位で評価されます(僕は6.2、5.7、5.3を取りました)。この成績は大学に送られ、入試における評価対象になります。 僕はUCASとESATを10月に大学に送りました。少し期間が空いて12月にInterview(面接)の招待メールが届き、すごく嬉しかったです。 →A-level & 入学試験対策ができるオンライン家庭教師 インペリアルカレッジロンドンのInterview(面接) 面接は主に12月から2月の間で行われます。僕の場合1月にインペリアルで対面の面接をしました(オンライン面接の場合もあります)。面接では志望理由やPersonal Statementに書いたインターンのことを聞かれました。 同じコースに出願した友達は全く違っていたそうです。Real Life Questions(ケース面接みたいなもの)などを問われ、それをどう論理的に答えるかを見られたと言っていました。面接内容は大学と面接官によって違うのかもしれません。 僕の場合、ロンドンで面接が11時に始まるので前日に友達とロンドンに前乗りし、インペリアル近くのホテルで一泊しました。シュルーズベリーからロンドンまで電車で5時間もかかるのでその間は友達と対策などをしたり昼寝したりしていました。 面接に行く前日に到着したLondon Euston駅 面接当日の様子、聞かれた内容 面接当日では50人ぐらいの受験生がいました。最初に教授から挨拶があり、その後AからEの5グループに分けられました。形式は一対一の個別面接で、グループ内の10人がそれぞれの部屋で同時に行われました。僕が割り振られたAグループが最初に始め、順番にEまで面接が行われます。 自分の番が最初だったのですごく緊張しました。面接は20から30分ほどあり、緊張しながらも落ち着いて答えることができました。 面接を終えた1週間後にOffer Letter(Conditional Offer)をインペリアルからもらいました。Conditional OfferとはA-levelの試験で大学に指定されたGradeを取れれば入学できますよという条件付きの合格通知です。 https://passport-to.com/articles/5/ A-levelとConditional Offer(条件付き合格)  Form 7の5、6月にA-levelの試験があります。この試験の結果でConditional Offerの条件に満たしているかどうかが分かり、自分の行きたい大学が決まります。 6月末に学期が終わり、高校を卒業しました。しかしA-levelの結果が出るのは8月中旬で結構時間がかかります。7月中は結果が気がかりで、すごくストレスでした。A-levelの結果がConditional Offerに満たしてると正式に合格となり、Unconditional Offerに切り替わります。 Concord College卒業生がもらったOfferの大学 イギリスの大学進学を目指す方へ この記事で説明したように、イギリスの大学受験は、日本のシステムとは異なる独自の流れがあります。UCASを通じた出願、Personal Statementの作成、必要書類の準備、そして条件付き合格への対応など、計画的に進めることが重要です。しっかりとした準備と戦略を立てた受験計画で、イギリス大学への夢を叶えましょう! https://jp.education-moi.com/article-50-imperial

ロンドンでの学生生活: おすすめの週末の過ごし方6選

こんにちは!Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを勉強しているKotokoです。 今回はちょっと勉強から離れて、ロンドンでできるおすすめの週末の過ごし方を6つご紹介します。平日は授業や課題で忙しい学生生活ですが、息抜きの時間も大事です。そこで、私が実際に訪れてよかったロンドンのスポットをベースに、皆さんにおすすめしたい場所をまとめてみました! ロンドンのマーケットでお昼ごはん探し 世界中から人が集まるロンドンでは、食文化もとっても多様。そんなロンドンのおいしいを気軽に体験できるのがマーケットです。屋台やストールが立ち並び、手頃な値段で各国の料理が楽しめるので、学生にもぴったりのランチスポットです。 Borough Market(バラ・マーケット) イギリス最大級ともいわれるBorough Marketは、London Bridge(ロンドン・ブリッジ)駅から徒歩2分という抜群のアクセスが魅力のマーケットです。観光スポットとしても有名で、金・土・日は多くの人でにぎわいます。 定番のBomba Paella おすすめは、定番のBomba Paella(ボンバ・パエリア)のパエリア!大きな鍋で豪快に作られていて、前を通るだけでいい香りが漂ってきます。エビとチキンがしっかり乗っていて、ボリュームも味も大満足でした。よく行列ができていますが、回転が速いので、あきらめずに並ぶのがおすすめです。 Borough Marketの営業時間 火~金: 10:00~17:00土: 9:00~17:00日: 10:00~16:00月曜日定休(※情報が変更される可能性があるので、最新情報は公式サイトでご確認ください) Old Spitalfields Market(オールド・スピタルフィールズ・マーケット) ビクトリア時代から続いているといわれる歴史あるOld Spitalfields Marketは、Liverpool Street(リバプール・ストリート)駅から徒歩約10分の場所にあります。 ボリューム満点でおいしいDirty Bagel おすすめはDirty Bagel(ダーティ・ベーグル)。ここでは、甘じょっぱい味付けのほぐした豚肉とチーズがたっぷりトッピングされた、ボリューム満点のベーグルが楽しめます。見た目はちょっと重そうに感じましたが、味付けがクセになるおいしさで、気づいたらぺろっと完食していました。 このマーケットでは、食べ物だけでなくハンドメイド雑貨やヴィンテージアイテムなども販売されているので、ランチを楽しんだあとにぶらぶらとお買い物も楽しめるのがおすすめポイントです。 Old Spitalfields Marketの営業時間 〈フードエリア(The Kitchens)〉 月〜土: 11:00~18:00 日: 11:00~17:00 (※ショップの営業時間は店舗ごとに異なります) (※情報は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください) ロンドンのミュージアム巡り ロンドンといえば、アートや歴史ある都市としても有名です。街中には有名なミュージアムや展覧会が数多くあり、しかもほとんどが入場無料!さまざまな作品を鑑賞することで気づきや学びが得られ、気軽に本物のアートなどに触れられるのはロンドンならではの魅力です。 British Museum(大英博物館) ロンドン中心部にある国立博物館、British Museumは、Tottenham Court Road(トッテナム・コート・ロード)駅、Holborn(ホルボーン)駅、Russell Square(ラッセル・スクエア)駅、Goodge Street(グージ・ストリート)駅からそれぞれ徒歩約10分の場所にあります。 British Museum(大英博物館)の外観 British Museumは約800万点もの貴重な収蔵品を所蔵しており、その一部が常設展示されています。見どころはたくさんありますが、中でも古代エジプトエリ(ギャラリー61-66)にあるミイラとギャラリー4にあるRosetta Stone(ロゼッタ・ストーン)と呼ばれる石碑がおすすめです。2つとも実際に見ると迫力はやはりすごいです! 入場は無料(企画展は有料)ですが、事前のオンライン予約が推奨されているため、公式サイトからチケットを取っておくと安心です。 British Museumの開館時間 毎日10:00~17:00(金曜は10:00~20:30)最終入場: 16:45(金曜は20:15)(※各カウンターや施設の営業時間は異なります)(※金曜日は夜間開館の日もありますが、祝日など例外があるため、詳細は公式サイトをご確認ください) The National Gallery(ナショナル・ギャラリー) ロンドン中心部、Trafalgar Square(トラファルガー広場)に位置する美術館、The National GalleryはCharing Cross(チャリング・クロス)駅から徒歩約5分。観光やショッピングの合間にも立ち寄りやすいロケーションです。 The National Gallery(ナショナル・ギャラリー)の外観 館内には、13世紀から20世紀初頭までのヨーロッパ絵画が所蔵されており、ゴッホの《ひまわり》やモネ、フェルメール、ダ・ヴィンチなど、誰もが一度は見たことのある名画がずらり。美術館の入場は無料(企画展は有料)で、アート好きはもちろん、初心者でも気軽に楽しめるスポットです。こちらも事前のオンライン予約が推奨されているため、公式サイトからチケットを取っておくと安心です。 The National Galleryの開館時間 毎日10:00~18:00(金曜は 21:00まで開館)(※情報は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください) 晴れた日は公園でピクニック! ロンドンは大都会でありながら、自然豊かな公園がたくさんあります。 曇りや雨が多いことで知られるイギリスですが、夏の晴れた日はピクニックにぴったり! スーパーでお菓子を買ったり、カフェでテイクアウトして公園でのんびり過ごすのが最高です。 Hyde Park(ハイド・パーク) ロンドン中心部にあるHyde Parkは、Queensway(クイーンズウェイ)駅やHyde Park Corner(ハイド・パーク・コーナー)駅から徒歩でアクセスできる、地元の人にも観光客にも人気の広大な公園です。 観覧車から見たWinter Wonderland 中にはSerpentine Lake(サーペンタイン湖)という湖があります。ボートに乗って湖を一周したりカフェでひと休みしたりと、いろいろな楽しみ方ができます。11月中旬から年末にかけてWinter Wonderland(ウィンター・ワンダーランド)という巨大な移動式遊園地が設置され、冬の風物詩として親しまれています。 Holland Park(ホランド・パーク) Hyde Parkよりも少し落ち着いた雰囲気のHolland Parkは、ロンドン西部にある隠れた癒しスポット。Holland Park(ホランド・パーク)駅から5分、Notting Hill Gate(ノッティング・ヒル・ゲート)駅から15分ほど歩いて行ける距離にあり、観光客も比較的少ない穴場です。 この公園の見どころはKyoto Gardenという本格的な日本庭園です。錦鯉が泳ぐ池や滝もあり、まるで日本にいるかのような気持ちになります。人混みを離れて自然の中で静かにリラックスしたいときにぴったりの場所です。 ロンドンの有名マーケットでヴィンテージ品探し ロンドンは、古着やアンティーク、個性的なアイテムに出会えるマーケットの宝庫です。特に週末には街中のあちこちでマーケットが開かれ、掘り出し物を探すチャンスです。 Camden Market(カムデン・マーケット) ロンドンの北西部にあるCamden Marketは、ロンドンの中でも特に個性が光るマーケットのひとつです。最寄りのCamden Town(カムデン・タウン)駅からは徒歩5分ほどでアクセスでき、週末になると多くの人でにぎわいます。 https://camdenmarket.com マーケット内には、洋服やアクセサリー、アート雑貨、ストリートフードなどのお店がずらりと並び、何時間いても飽きません。特にパンク系、ゴシック、Y2Kファッションなどのサブカルチャーが好きな人にはたまらないエリアです。 また、Camden Town駅からマーケットへ向かう道はCamden High Street(カムデン・ハイ・ストリート)と呼ばれており、通り沿いにはカラフルでユニークな外観のお店が並んでいます。ショーウィンドウや建物のデコレーションを見ながら歩くだけで楽しくなるスポットです。 Portobello Road Market(ポートベロー・ロード・マーケット) Portobello Road Marketは、ロンドンを代表するアンティークマーケットとして有名です。最寄りのNotting Hill Gate(ノッティング・ヒル・ゲート)駅、 Ladbroke Grove(ラドブローク・ グローブ)駅 からそれぞれ徒歩約5〜10分とアクセスも良好です。 Notting Hillのカラフルの家 Portobello Road Market マーケットは曜日によって規模が異なりますが、特ににぎわうのは金曜日と土曜日。この2日間はアンティーク雑貨やヴィンテージのアクセサリー、古本、レコード、昔のカメラなど、店の種類が多く、お宝探し気分が味わえます。ファッション系の古着屋も充実していて、学生にも人気のスポットです。 https://visitportobello.com 通り沿いにはカフェやベーカリーも点在しており、マーケット散策の合間にコーヒーブレイクをするのもおすすめ。映画『ノッティングヒルの恋人』の舞台にもなったこのエリアは、カラフルな街並みや可愛いドアが並ぶ住宅街も魅力のひとつです。 ロンドンのおすすめカフェでゆっくり ロンドンにはおしゃれで味も本格的なカフェがたくさんあります。私の趣味でもあるカフェ巡りは、自分へのご褒美タイムです。また、週末だけでなく課題があるときにも、環境を変えてカフェで作業するのもおすすめです。ここでは、私がよく行くチェーンのカフェを2つと、地元の人に人気の個人経営カフェを1つ紹介します! Blank Street Coffee(ブランク・ストリート・コーヒー) ニューヨーク・ブルックリン発のチェーンカフェ、Blank Streetは、ミントグリーンのかわいいカラーが目印です。若者からサラリーマンまで幅広い層に人気で、いつもにぎわっています。 Blank Streetにある抹茶飲料 特に抹茶ドリンクが人気で、Matcha Latte(抹茶ラテ)やBlueberry Matcha(ブルーベリー抹茶)など、豊富な種類があります。中でも私のお気に入りはIced White Chocolate Matcha(アイスホワイトチョコレート抹茶)で、抹茶の味わいを楽しみながら飲めるデザートのような一杯です。ちなみに、イギリスでも最近抹茶ブームが来ていて、カフェやスーパーでも抹茶商品をよく見かけます。 GAIL’s Bakery(ゲイルズ・ベーカリー) イギリス発祥の王道チェーンベーカリー、GAIL's。お店に入るとパンのいい香りがふわっと広がり、ショーウィンドウにはサンドイッチから焼き菓子までさまざまなベーカリーが並んでいて、いつも何を買うか迷ってしまいます。 おすすめのパンはたくさんありますが、私の一番のお気に入りはcinnamon bun(シナモンバン)です。デニッシュ生地にシナモンと砂糖がたっぷりかかっていて、ボリュームもあり満足感があります。 さらに、GAIL'sではコーヒーや紅茶などの本格的なドリンクも楽しめるので、パンと一緒に頼むと完璧な組み合わせになります。 KURO BAGLES こちらはNotting Hill Gate(ノッティング・ヒル・ゲート)駅から徒歩5分ほどの場所にある、人気のベーグル屋さんです。ベーグルの種類がとても豊富で、具材もいろいろなメニューから選べるのが魅力です。 上がchicken salad、下がsmoked salmonのベーグル KURO BAGELSの外観 私はsmoked salmon(スモークサーモン)ベーグルを食べたのですが、サーモンがしっかりスモークされていて、他のお店よりも美味しかったのを覚えています。 すぐ近くには姉妹店のKURO Bakeryがあり、こちらではパンが販売されています。どれも美味しかったので、合わせて立ち寄ってみるのがおすすめです! ロンドン郊外への日帰り旅行 ロンドンだけでなく、イギリスには魅力的な街がたくさんあります。思い切ってロンドン郊外へ足を延ばしてみるのもおすすめです。ロンドンからは電車がたくさん通っているので、比較的短時間でアクセスでき、日帰り旅行も十分楽しめますよ! Brighton(ブライトン) ロンドンから電車で1時間ちょっとで行ける南部のリゾート地。ロンドンのSt. Pancras(セント・パンクラス)駅またはVictoria(ヴィクトリア)駅から、National Rail(ナショナル・レール)の直通電車で乗り換えなしでアクセスできます。 冬のBrighton Palace Pier Brightonで食べたFish and Chips Brightonは海の街として有名で、特に新鮮な海鮮料理が楽しめることでも人気です。中でもFish and Chips(フィッシュ・アンド・チップス)は定番!また、海の上にある遊園地Brighton Palace Pier(ライトン・パラス・ピア)では、海を眺めながらアトラクションを楽しむことができます。 私は冬に訪れたのですが、風が強く天気も悪かったため、多くのアトラクションが休止中でした。そのため、行くなら夏がおすすめ!天気が良ければ海にも入れますし、ピアをより楽しめます。 Oxford(オックスフォード) 歴史ある大学都市として有名なオックスフォードは、ロンドンのPaddington(パディントン)駅からNational Rail(ナショナル・レール)で乗り換えなし、約1時間でアクセスできます。 Christ Church Collegeの大食堂 University Church of St Mary the Virginから見るOxfordの景色 オックスフォードを訪れるなら、絶対に外せないのが Christ Church College(クライスト・チャーチ・カレッジ)。このカレッジは、University of Oxford(オックスフォード大学)を構成する中でも特に名高いカレッジのひとつで、そこの大食堂が一番有名です。ここは、映画『ハリー・ポッター』シリーズに登場するホグワーツの大広間のモデルになった場所として知られていて、ハリポタファンにはたまらないでしょう。 なお、カレッジの見学には事前予約が必要なので、訪れる前に公式サイトで情報をチェックしておくのがおすすめです。 そのほかにも、オックスフォードには歴史的な建築や美しいカレッジが点在しており、街歩きだけでも十分楽しめます! ロンドンの週末をもっと楽しむためのアプリ&サービス ロンドンの週末を思いっきり楽しむためには、便利なツールや情報収集が欠かせません。知っておくと役立つポイントをまとめました。 Citymapper(シティマッパー) 位置情報アプリの中で、個人的にはGoogleマップよりもこちらをよく使っています。バスや地下鉄のルート検索はもちろん、リアルタイムの運行情報も確認できるのが便利です。ロンドンでは遅延や行き先変更が頻繁に起こるため特に重宝します。迷わずスムーズに移動したいときには、必携のアプリです。 TimeOut London(タイムアウト・ロンドン) コンサートやアート展、フードフェスなど、ロンドンの最新イベント情報が豊富に掲載されているサイトです。予定がまだ決まっていなくても、やりたいことや興味を引くイベントがきっと見つかるはずです! https://www.timeout.com/london UNiDAYS/ Student Beans 学生向けの割引や特典を提供するプラットフォームで、対象は大学に正式に在籍している学部生(Undergraduate)および大学院生(Postgraduate)です。短期コースや交換留学生も、所属を証明できれば基本的に利用可能となっています。オンラインだけでなく実店舗でも使える多彩な割引が揃っており、NikeやAdidasなどのファッションブランドから、Shake ShackやM&S Foodなどの飲食店、さらにジムの割引まで幅広く利用できます。学生ならダウンロードしておくべきアプリです。 まとめ 大学生にとって課題や勉強はもちろん大事ですが、週末にはぜひ外に出てロンドンの街に触れてみましょう。街の雰囲気や文化を感じることで、気分転換になるだけでなく、新しい発見や学びにもつながります。 留学生活は時間が限られているからこそ、思いっきり楽しみ尽くしましょう。自分なりの過ごし方を見つけて、ロンドン生活をもっと充実させてみてください。

リベラルアーツって何を学ぶの?キングスカレッジロンドンでの3年間

僕は2021年から2024年までの3年間、イギリスのKing’s College London(キングスカレッジロンドン)のLiberal Arts(リベラルアーツ)で勉強していました。リベラルアーツという学問自体はアメリカで発祥・発展したと言われており、イギリス国内でリベラルアーツのプログラムを受講できる大学は現時点で全大学の約2割に当たる36校しかありません。そのため、色々な人から「リベラルアーツって何を勉強するの?」とよく質問されます。 https://jp.education-moi.com/article-52-kcl リベラルアーツはマイナーな学問と思われがちですが、僕はグローバル化などの変化が激しい現代社会においてとても役立つ学問だと考えています。最近はイギリスや日本などでもリベラルアーツ教育を取り入れている大学が増えてきた印象です。今回の記事では、リベラルアーツはどんなものなのか、僕の大学3年間の体験記のような形で説明できたらと思います。 リベラルアーツとは?僕がリベラルアーツを専攻した理由 リベラルアーツはInterdisciplinary Studiesと呼ばれており、複数の学問分野を横断的に学ぶ教育スタイルをとっています。キングスカレッジロンドンでは13の分野 -  Classical & Hellenic Studies(古典), Comparative Literature(比較文学), Digital Culture(デジタル文化学), English(英文学), Film Studies(映画研究), Geography(地理学), History(歴史学), Modern Languages(現代外国語学), Music(音楽), Philosophy(哲学), Politics(政治学), Theology & Religious Studies(神学・宗教学)から受ける授業を選択可能でした。 大学によっては勉強できる分野のオプションが多かったり少なかったりします。キングスはArts & Humanities(文系)の科目がメインですが、University of Birmingham(バーミンガム大学)だとNatural Science(自然科学)などと理系寄りの学問も履修できるそうです。 決め手は映画への興味 高校時代の僕は、特に大学でこれを学びたいと思える学問が明確にあったわけではなく、将来の進路も漠然としていました。そんな中、色々な分野を学びながら、自分の興味を探していけるというリベラルアーツの考え方に強く惹かれました。 数ある大学の中からキングスを選んだのはFilm Studies(映画研究)のオプションがあったことが大きかったです。小さい頃から映画を観ることが大好きで、自分の好きなことについて体系的に学べる機会があるならぜひ挑戦してみたいと思いました。そこでキングスに進学することを決め、Film StudiesをMajor(専攻)にしました。 キングスカレッジロンドンでの3年間 キングスカレッジロンドンでのリベラルアーツ課程は、非常に柔軟性が高く、多様な分野に触れながら自分の関心を深めていけるのが大きな特徴です。僕が過ごした3年間の学びの流れを振り返ると、それぞれの学年ごとに異なる特徴や目的があり、段階的に専門性を高めていく仕組みになっていました。 1年目: 多様な分野との出会い、興味を見つける「探索期間」 1年目は言わば手探り期間のような位置づけです。特定の専門に縛られず、様々な分野の入門的な授業(たとえば"Introduction to Digital Humanities"や"Introduction to Film Studies"といった科目)を自由に選択できます。 この時期は、自分の興味や適性を見極めながら、多角的な視点を身につける貴重な時間となりました。授業を通して学問の基礎的な考え方に触れ、大学での学びに慣れていくと同時に、「自分は何に惹かれるのか?」をじっくり見つめる機会にもなりました。 同時に、リベラルアーツ課程の特徴としてInterdisciplinary、いわゆる「分野横断的な思考力」や「分野間のつながりを理解する力」を養うための必修科目もあります。これらの授業では、文学、社会学、政治、歴史、メディアなど複数の視点から現代の課題を考察したり、異なる学問領域をどう統合・応用するかを学んだりします。 単なる知識の詰め込みではなく、それらをどう組み合わせて問題解決に活かすかという“思考の技術”が求められるため、非常に刺激的な学びができました。 リベラルアーツの授業が行われたキングスカレッジロンドンのStrand Campus 2年目: 専門性の深化とリベラルアーツの横断的学び 1年目の終わりに、自分が今後より深く学びたい分野を選択しMajorを決定します。僕の場合はFilm Studiesを専攻に選び、2年目からはその分野を中心に授業を履修していきました。 また、希望者は2年次と3年次の間に1年間の海外留学を追加する4年制プログラムへ移行することも可能です。さらに、インターンシップの経験を単位として認定してもらえる制度もあり、実践的なスキルや社会経験を積む機会が用意されているのも大きな魅力でした。 3年目: 集大成としての学びとDissertation(卒業論文) 最終学年である3年目は、これまでに積み重ねてきた知識や経験をもとに、より高度で専門的な授業に取り組みます。多くの学生はこの年にDissertation(卒業論文)を執筆することが求められますが、分野によってはこれが免除されるケースもあります。 僕の専攻であるFilm Studiesでは卒業論文が必須ではありませんでした。その代わりに、自分たちで映画祭を企画したり、サイレント映画(音声と映像を合わせる技術がなかった時代に作られた映画)の効果音を録音するプロジェクトが課されたり、それまで勉強したことを活かす授業が多くありました。 また、特定の分野で一定の単位数を取得することでMinor(副専攻)を設定することもできます。僕はできるだけ多様な分野を幅広く学びたかったため、あえてMinorを設定せず、自分なりのバランスでカリキュラムを組みました。最終的にA Liberal Arts with a major in Film StudiesというDegree(学位)で卒業しました。 キングスカレッジロンドン: リベラルアーツの授業スタイル リベラルアーツ課程に限らず、イギリスの大学の授業はLecture(講義)とSeminar(セミナー)に分かれています。Lectureで先生がプレゼン形式で授業をした後、Seminarで少人数のディスカッションを行います。 学生一人ひとりの意見が尊重され、教授も一方的に教えるというよりは「問いかける」スタイルが主流です。特にリベラルアーツのセミナーでは学生が授業中にどれだけ発言したかなどが成績に関与してくる場合もあります。正解はなく、質問や気づいたことを発言して、とにかく積極的にディスカッションを盛り上げることが求められていた印象です。 授業外でロンドンの博物館・美術館に行ったり、無料で演劇を見に行くといったField Trip(実習)もあり、充実したカリキュラムだったなと思います。 キングスカレッジロンドン: 授業の評価方法 Arts and Humanities(文系)の科目では、一般的にCoursework(コースワーク)を通じて成績が評価されます。Courseworkとは、学期を通じて課される様々な課題や活動の総称であり、最終試験だけでなく、日々の学習の積み重ねが重視される評価方法です。 Essay(エッセイ) 中でも中心となるのは、Essay(エッセイ)の提出です。Essayでは、授業で学んだ内容をもとに自分の考えを論理的にまとめ、議論を展開することが求められます。テーマに対する理解だけでなく、自分の視点を持ち、それを裏付ける資料や文献を適切に用いる力も評価の対象となります。 プロジェクト そのほか、グループワークやプレゼンテーションを通じて協働力や表現力が評価されることもあります。プロジェクト形式の課題では、チームで協力しながら1つの成果物を作り上げる経験を積むことができ、実践的なスキルも養われます。 Participation(授業への積極的な関わり) また、発言や質問を通して授業にどれくらい積極的に参加したのかを評価するParticipationも重要な要素です。さらに、科目によってはQuiz(小テスト)やExam(試験)が成績評価の一部として実施されることもあります。文系科目では多様な評価方法が用いられており、思考力・表現力・積極性など、様々な能力が総合的に問われるのが特徴です。 https://passport-to.com/articles/25/ リベラルアーツを勉強する意義とは? リベラルアーツを勉強して一番良かったなと思う点は、物事を多角的に検証してより良い結論を導き出すCritical Thinking(批判的思考)のスキルが身についたことでした。リベラルアーツを履修していると、自分が勉強している学問は、一見全く関係がなさそうな分野とも実は繋がりがあると気づかされます。例えば、僕がFilm Studiesで勉強したことを例に、各分野との関係性を見てみましょう。 Film Studiesと...... Digital Culture映画制作・配信・視聴の方法はデジタル技術により変化している。ストリーミングの普及、VFX(Visual Effects/視覚効果)、VR(Virtual Reality/仮想現実)などGeographyなぜハリウッドは映画制作のメジャーな場所とされているのか?ロサンゼルスやその近郊には海、山、砂漠、都市など多様なロケーションが存在しており、様々な舞台の撮影が可能といった地理的な要因があるMusicサウンドトラックや音響・効果音などは物語の描写に大きな影響を与える要因Politics国家が映画をプロパガンダとして利用した例、逆に映画監督が政治批判や風刺のメッセージを込める例がある。国によって、映画の内容・表現が検閲される場合もある 現代社会は情報があふれていて、多様な価値観や文化が交錯する中で、一つの専門知識やスキルだけでは対応しきれない複雑さを持っています。その中で物事を柔軟に考えられるようになったことはすごく良い経験だったと思いますし、何より自分が特に好きな映画という分野を深く広く勉強することができたことはとても楽しかったです。 仕事やプライベートでも役立つスキル その他にも様々な知識を得ることができるので、お喋り上手になれるということも大きいと思います。現在、僕はマーケティングの仕事をしていますが、異業種や他分野の人と会話する場面で、リベラルアーツで培った幅広い知識や視点が役立っていると感じます。 仕事以外の場面で友達と話す時も、ちょっとした文化や歴史の話を交えることで、話題が広がったり、相手との距離が縮まったりすることが多いです。 特に異なる国籍・バックグラウンドを持つ学生が集まるイギリスという国でリベラルアーツを勉強すると、知識や考え方だけではなく、単純にコミュニケーション力や相手の価値観・考え方をリスペクトする力といった人間力の部分も養われます。 リベラルアーツならではの難点 リベラルアーツで勉強していて残念に感じた点があるとすれば、学科の中で友達を作りづらいことでした。リベラルアーツには専攻や選択する授業などたくさんのオプションがあるので、自分と全く同じ時間割を持つ子がまずいません。同じ授業になったとしても、セミナーで別々のグループになってしまうこともあります。 そもそもFilm Studiesの授業を受ける際は、Film Studies学部の学生たちに混ざって受講することになるので、クラスのどの子がリベラルアーツ出身なのかわからないということもよくあります。結果的に、卒業式に出席した際、同じプログラムなのに初めて会う・知らない人ばかりだったという経験をしました。学科内での一体感がイマイチ感じられないというのは注意するべき点かもしれないです。 おわりに 現実の社会や人生は単一の知識や視点だけでは理解しきれないほど複雑です。だからこそ、「広く、深く、柔軟に考える力」が必要です。リベラルアーツは、まさにそうした力を養う学問だと思います。ただの教養ではなく、自分の生き方そのものを支える軸になると、僕は3年間を通して実感しました。 次回は僕がキングスカレッジロンドンのリベラルアーツ課程で出会った印象深い先生のインタビュー記事です。「リベラルアーツとは何か?」を教育者の視点から深掘りしていきます。講義の裏側や、学生に対する思い、そしてこれからの時代に求められる学びについてなど、リアルな声をお届けします。どうぞお楽しみに。 https://jp.education-moi.com/article-52-kcl

イギリスの大学の成績評価方法と課題をこなすコツ【現役ロンドン大学生が伝授】

こんにちは!Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを勉強しているKotokoです。 今はちょうど大学1年目が終わって夏休みに入り、1年次の成績も出ました。今回は、1年生の間に受けた授業のテストや課題をもとに、成績の評価方法についてお伝えしたいと思います。なお、ここで紹介する評価方法は私が通っているGoldsmithsでの一例であり、大学や専攻によって異なる場合があります。参考としてご覧ください。 イギリスの大学の学期と成績評価方法の概要 まず、イギリスの大学は日本と違い、秋入学で、秋(9〜12月)、冬(1〜3月)、夏(4〜6月)の3学期制を採用しているところが多いです。 また、評価方法も日本のように期末試験だけに重きを置くのではなく、エッセイや課題提出、プレゼンテーションなど多様な評価方法をバランスよく取り入れているのが特徴です。 私は1年生で秋タームに3つ、春タームに3つの授業を受けました。夏タームは授業がなく、主にテスト期間として設定されていたため、今回は秋と春の授業に絞って評価方法を詳しく紹介していきます。 ゴールドスミスカレッジ: 秋タームの授業と評価方法 Introduction to Promotional Media この授業では、私の専攻であるPromotional Mediaの基礎について、歴史的背景や主要な理論を中心に学びました。広告、PR、ブランディングといったプロモーションの役割や、メディアとの関係性について、理論的に深掘りする内容でした。 評価方法①:エッセイ(800 words) – 30% 授業で扱った理論を使って、ある事例を分析する課題でした。初めての大学の評価課題だったこともあり、リサーチや構成にかなり時間がかかりましたが、テーマが身近だったので、取り組みやすかったです。 評価方法②:エッセイ(2000 words) – 70% 先生が提示した7つのテーマから1つを選び、授業で学んだ内容を活かして深く掘り下げる課題でした。最低5つの学術文献を引用する必要があり、リサーチ力と論理構成力が求められました。プレッシャーはありましたが、時間をかけてじっくり書き上げることができました。 Introduction to Marketing この授業では、マーケティングの基本についてセミナー形式で学びました。 評価方法①:エッセイ(1500 words) – 50% 授業で学んだマーケティングの理論を使って、最近のマーケティング関連ニュースを分析するという課題でした。冬休み前の提出だったので普段の授業の予習と並行して進める必要があり、正直なところ計画的に取り組むのが難しかったです。 評価方法②:試験(1時間半) – 50% 夏タームに行われた手書きの筆記試験で、当日提示された3つの質問の中から2つを選び、エッセイ形式で回答します。お題が事前に知らされなかったので、重要な理論や研究者の名前をしっかり暗記して、スペルミスなく書く必要がありました。私にとって、この試験が最も難しく感じました。 カフェで試験勉強に取り組んでいる様子 Writing for the Media この授業は、これまで紹介した2つの授業とは違って、より実践的な内容でした。専攻生全員が2つのグループに分けられ、少人数で行われたのも特徴です。授業時間も1〜2時間ではなく、お昼休みを挟んで午後4時ごろまで続く長めの授業です。先生との距離も近く、実際に手を動かしながら学ぶスタイルでした。主に、新聞記事やSNS投稿など、“書くこと”に特化したメディア表現について学びました。 評価方法①:エッセイ(1000 words) – 30% 授業で習った理論を使って、SNS投稿など実際のメディアの例を1つ選び、分析するという課題でした。 評価方法②:ポートフォリオ制作 – 70% 自分で1つキャンペーンを考案し、そのキャンペーンに関する以下の内容を含んだポートフォリオ(2500〜3000 words)を作成しました: スローガンと概要 Q&A(インタビュー内容を記事化) プレスリリース ソーシャルメディア投稿(10個) 冬休み明けの提出だったため、冬休み期間を使ってじっくり取り組むことができました。実際に手を動かして作る経験ができる授業で、学びがとても濃かったです。 また、このポートフォリオ制作に向けて、フォーマティブ課題※としてプレゼンテーションを行う機会がありました。これは成績には含まれませんが、先生からのフィードバックをもとに自分の企画をより良いものにブラッシュアップできたので、実践に活かせる貴重な時間でした。 ※評価の種類 イギリスの大学では、評価には大きく分けてFormative Assessment(フォーマティブ評価)とSummative Assessment(サマティブ評価)の2種類があります。 フォーマティブ評価:成績には影響しない練習課題やプレゼンテーションなどを指し、学びの途中でフィードバックをもらうためのものです。自分の理解度を確認したり、本番課題の準備をしたりする目的で行われます。 サマティブ評価:最終成績に反映される正式な課題(レポート、試験、ポートフォリオなど)で、学期の終わりや一定のタイミングで提出します。 ゴールドスミスカレッジ: 春タームの授業と評価方法 Culture and Cultural Study この授業では、「文化」という広いテーマを、歴史、メディア、ジェンダー、ポピュラーカルチャーなど様々な視点から学びました。講義スタイルで進行し、理論的な内容が多かったのが特徴です。 評価方法:エッセイ(1000 words×2) – 各50% 春休みの2週間の間に、出された10個のトピックの中から2つを選んでエッセイを書く形式でした。 また、これに先立ち、春休み前にはフォーマティブ課題として500 wordsのエッセイがありました。TikTokの動画を選び、授業で習った材料を使って分析する内容です。私は先生からもらったフィードバックをもとに春休み中の本番エッセイに活かしました。 Media Art この授業では、メディアアートとは何かについて、様々なジャンルのメディアアート作品を通して学びました。 評価方法:メディアアート・プロジェクト(動画+エッセイ) – 100% この授業の評価は1つの課題に集約されていて、メディアアート・プロジェクトとして、自分で1〜2分の動画作品を制作し、さらにその作品のコンセプトや使用した手法などを900 wordsのエッセイで解説するものでした。動画はTikTokやCapCutなどの編集アプリを自由に使って制作し、YouTubeにアップロードして提出しました。春休み明けの提出だったため、時間をかけて仕上げることができました。 またこの課題に向けたフォーマティブ課題として、春休み前にエキシビションレポート(750〜800 words)がありました。メディアアートの展示を実際に見に行き、そこで出会ったアートワークとアーティストについて分析する内容で、本課題に向けた良い準備になりました。実際に自分で作品をつくるというユニークな経験ができた授業で、表現と分析を同時に学べる貴重な機会でした。 Tate Modernで見たCildo Meireles Web Design この授業は、先に紹介したWriting for Mediaと同様に、少人数グループでの実践的な内容でした。授業は朝10時から夕方4時までの長時間で、じっくりと制作に取り組める環境でした。 授業では、秋タームに作成したキャンペーンのポートフォリオをもとに、Webサイトを一から制作し、そのアクセス状況をGoogleアナリティクスを使って分析することが求められました。 評価方法①:Webサイトプランの提出 – 10% どんなWebサイトを作るか、ロゴやカラーなどのデザイン要素をまとめた企画書を提出しました。 評価方法②:Webサイトポートフォリオ – 90% 完成したWebサイトのリンクに加え、500〜800 wordsのGoogleアナリティクスを用いたアクセス分析レポート、そして1000〜1500 wordsのSelf-reflective essay(自分がWebサイト制作を通じてどのように成長したかを振り返るアカデミックなエッセイ)を含むポートフォリオを提出しました。 この授業では、企画から制作、分析、振り返りまで一連のプロセスを実践的に学べ、非常に充実した内容でした。 最終評価の仕組み ここまで秋タームと春タームでの各授業の評価方法をご紹介しましたが、最終的にPass(合格)かどうかは、それぞれの授業で得た成績の合計点に基づいて判断されます。私の通うGoldsmithsでは、各授業の評価で40%以上を取るとその授業はPassとみなされます。 秋の授業の評価結果は、冬休み明けに発表され、冬の授業は春休み明けに発表されます。そして、それらを合わせた1年次全体の成績は夏休みの初め頃に届きました。 私は無事すべての授業に合格することができましたが、万が一落ちてしまった場合でも、夏休み中に再提出や再試験の機会があるので、あまり過度に心配する必要はないと思います。 イギリスの大学で良い評価をとるためのコツ 実際に1年間、課題やエッセイに取り組んでみて、「これは大事だな」と感じたポイントを紹介します。 課題の指示書は注意深く読む エッセイやプレゼンの課題には、必ずassignment brief(指示書)があります。そこにはトピックだけでなく、フォーマット(段落構成・引用方法など)や評価基準も書かれています。書いている途中でも、何度も見返してちゃんと指示通りにできているか?を確認することがとても大事です。 言いたい内容を最初に伝える 英語のエッセイやプレゼンでは、最初のパラグラフで自分の主張やトピックをはっきりと伝えるのが基本です。これをthesis statementと言います。日本語の文章のように結論を最後に持っていくのではなく、英語では最初に要点を伝えるスタイルが好まれるので、意識してみてください。 指定のリーディングから引用する 授業ごとに、先生が選んだreading list(リーディングリスト)があります。そこに載っている文献や資料からの引用は、課題の評価を上げる上でとても効果的です。先生が大事と思っている資料を理解し、それを課題で活用することで、評価につながりやすくなります。 大学のサポートを活用する 多くの大学には、留学生や英語が母語でない学生向けに、文法やエッセイ構成を見てくれるAcademic Writing Supportのようなサポートがあります。Goldsmithsにも図書館にそのスタッフがいて、私は毎回予約してチェックしてもらっていました。質問もできて、エッセイの質がかなり上がるのでとてもおすすめです。 エッセイや課題で使える便利ツール&ウェブサイト 1年間を通して、課題などを進める中で先生や友達から教えてもらった、勉強に役立つ便利なツールを3つ紹介します。 Canva 私はプレゼン資料(パワーポイント)の作成や、エッセイの構成を考えるためのマインドマップとしてよくCanvaを使っていましたが、他にもチラシや履歴書(CV)、Webサイトまで簡単に作成できるのでとても便利です。テンプレートが豊富で、初心者でも見やすくおしゃれなデザインがすぐに作れます。私も春タームのWeb Designの授業でマインドマップをCanvaで作りました。 Web Designの授業で作ったマインドマップ My Bib My Bibでは、エッセイの最後に載せるreference list(参考文献リスト)を簡単に作ることができます。まず、大学に指定されている引用スタイル(例:Harvardなど)を選び、そのあと参考文献のタイトルやURLなどを入力すると、自動的にリストに追加してくれます。In-text citation(文中引用)にも対応していて、私はエッセイを書くときに毎回使っています。 Plagiarism / Grammar Checker エッセイを書くときに特に注意したいのがplagiarism(盗作)です。誰かの文章をそのまま使うときは “ ”(ダブルクォーテーション)で囲む必要がありますし、パラフレーズ(言い換え)をする場合も出典を明記する必要があります。私はエッセイを書き終えたら、Plagiarismで自分の文章をチェックし、無意識に盗作になっていないか確認しています。 同じサイトにはGrammar Checkerの機能があり、文法やスペルミスをチェックできます。特にイギリス英語とアメリカ英語でスペルが違う単語(例:colour / color)なども見直せるので、提出前の最終チェックにおすすめです。 まとめ ファウンデーションコースと比べて、大学1年生では毎週の予習(リーディングリストに沿った文献を読むこと)が増え、最初は少し大変に感じました。でも、留学生でもしっかり授業に参加し、課題にも時間に余裕を持って取り組めば、十分やっていけると実感しました。 今回紹介した授業の内容や評価スタイル、アドバイス、便利なツールなどが、これから入学される方や1年次を迎える方の少しでも参考になれば嬉しいです。 そして何より大切だと感じたのは、わからないことは遠慮せず質問すること、大学のサポートサービスを積極的に活用すること、そして無理をしすぎず、自分のペースを大事にすることです。 これからの大学生活が、皆さんにとって実りあるものになりますように。応援しています! https://passport-to.com/articles/16/

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