僕がイギリスの大学を選んだ理由。留学先の決め方は?


僕は2021年にイギリスのKing’s College London(キングスカレッジロンドン)に進学し、2024年の8月に卒業することができました。生まれてからずっと日本で育ってきた僕は、高校で国際バカロレアコースを履修し始めたあたりで海外の大学に進学することを意識し始めました。今回の連載では、自分がキングスカレッジに進学することに決めた経緯とそこでの経験とを照らし合わせて、イギリス留学のメリットと留学先の決め方を紹介していきたいと思います。

King’s College London(キングスカレッジロンドン)のMaughan Library
King’s College London(キングスカレッジロンドン)のMaughan Library

イギリスの大学に留学するメリットとは

イギリスに留学するメリットは、世界トップクラスの大学で質の高い教育はもちろん、それ以外にも幅広い経験を積むことができるところにあります。ここではそんなイギリスの大学の特徴を紹介していきます。

質の高い教育

イギリスの高等教育機関の教育と研究は世界の中でも、高い水準を保っていることで知られています。様々な学部や学科があり、特に芸術系(アートやデザインなど)の学部などで日本にはないような幅広い専門分野を勉強することができます。僕は元々リベラルアーツ学科(Liberal Arts – 人文学・芸術などの知識を断面的に学ぶ学問)に興味があり、King’s College Londonのリベラルアーツでは自分が特に興味がある音楽や映画の授業を履修できるというのが大きかったです。インターンシップができる履修科目(イギリスではモジュール – Moduleという)があり将来のキャリアにつながるようなプログラムが組み込まれている学科もあります。

キャンパスの設備が豊富

イギリスの大学のキャンパスは設備が豊富で、図書館や研究室の他にも劇場や映画館がある大学もあります。高校2年生の冬に大学を見学しに行った時に、僕は大学の大きな図書館に強い印象を持った覚えがあります。King’s College Londonの他にも見学しに行ったUniversity of Leeds(リーズ大学)やThe University of Sheffield(シェフィールド大学)などはロンドンから離れた町にある分、静かな環境に大きなキャンパスがあり、勉強に集中できそうだなという印象を持ちました。

手厚いキャリアサポート

大学によっては卒業後もキャリアをサポートしてくれるところがあります。キングスカレッジには履歴書の添削や面接の練習を行なってくれるキャリアセンターがあり、僕も卒業前後にそれらをうまく活用しました。これらの充実した教育や設備があって、教育力や研究力などで世界中の大学の水準を評価するTimes Higher Education(THE)ランキング(2024年時点)ではトップ10にイギリスから3校、トップ100には11校が選出されています。

3年制なので学費を抑えられる

留学先で人気があるのはアメリカ、イギリス、カナダというイメージがありますが、イギリスは留学資金(学費・生活費)含めて残りの2カ国より割安というデータがあります。アメリカの大学が学士課程に4年間かかる中で、イギリスのほとんどの大学は学士課程が3年間で、2年制の学位を提供しているコースもあり留学費用の節約にもつながります。もちろん留学生向けに様々な奨学金制度があるのでそれらを調べることも大切です。

ロンドンの景色
ロンドンの景色

ロンドン留学生の課外活動について

留学先を決める時は、授業外で何ができるかも考慮するべきポイントです。

ロンドン大学のサークル

イギリスの大学にはSociety(日本でいうサークルのようなもの)があり、スポーツ系や芸術系など様々なジャンルのものが存在します。King’s College Londonには300種類近くのソサエティがありました。僕は小さい頃からバイオリンを弾いていて、大学に大きなオーケストラのソサエティがあると知った時、楽しそうだなと覚えがあります。ソサエティによっては気軽に参加できるものもある一方、賞や大会などの目標に向けて本格的に活動しているものもあります。

その他にも、イギリス、特にロンドンには博物館や美術館などがたくさんあり娯楽の選択肢がたくさんあることも魅力的です。特に僕は小さい頃からイギリスの音楽やサッカーが好きで、なかなか来日しないミュージシャンのコンサートに行ったり好きなサッカーチームの試合を現地のスタジアムで観戦できるのは憧れでした。イギリスは他のヨーロッパ諸国にすぐ旅行できる場所にあり、大学の休暇を利用して様々な文化を体験しに行くこともできます。

ロンドン中心部のレスタースクエア(Leicester Square)
ロンドン中心部のレスタースクエア(Leicester Square)

イギリスの多様性から得られるもの

イギリスは移民の受け入れに積極的で多様な文化が共存しています。大学にも様々な国から学生や教員がやってきており、様々な文化を知ったり、物事を多角的な視点で考える力などを養うのに最適な場所です。国や地域ごとのSociety(King’s College LondonのJapan Societyには日本人の他にもアジア系の人だったり日本の文化に興味があるイギリス現地の人が集まる人気のソサエティです。日本語教室を開催したり、お正月の書き初めなどのイベントをしたりします。)もあり、様々なバックグラウンドを持つ人と交流できる機会があります。特にロンドンのような大都市では街を歩いているだけでも、様々な人にすれ違い様々な言語が聞こえてきます。ここで勉強できるのは自分の視野を広げるのにピッタリだなと思ったのも、イギリスに進学することを決めたきっかけでした。

【イギリスの大学】留学先を決める時のポイント

僕が志望校を選択したのは高校1年の終わりのことでした。大学進学に向けて目標(大学ごとに定められたIB、A-Levelの入学基準スコアなど)を設定したりPersonal Statement(パーソナルステイトメント)などの出願準備をするためにも、志望校は早めに絞った方がいいと思います。UCAS(イギリスの大学出願機関)を使って出願する際、第5希望まで決めることができます。ここでは志望校を選択する時にするべきこと、考えるべきポイントを書きたいと思います。

大学を徹底リサーチ

大学の教育・設備やそこでどのようなキャンパスライフが送れるかは場所によって全く違うので、各大学のリサーチは慎重にする必要があります。

まず参考にしたのは世界大学ランキング

僕の場合、まずは先ほど紹介した大学ランキングを見て、どの大学に自分の勉強したい学科があるのか調べるところから始めました。Times Higher EducationやQS World University Rankingsなどの大学ランキングは総合ランキングだけではなく、専攻別などのランキングも発表されているので調べる上でとても参考になります。

大学の公式サイトを読み込む

自分の気になる大学・学科を絞り出した後はその大学のウェブサイトを見てみました。イギリスでは大学の総合案内書をprospectus(プロスペクタス)と言い、ウェブサイトで紙のバージョンを申請できる大学もあります。大学のprospectusやウェブサイトには卒業生の就職率や留学生の割合などが書かれているので、大学でどのような生活を送れるかの大体の指標にもなります。

留学イベントに参加

日本ではSI-UK(Study International UK Limited)やbeoと言ったコンサルタント会社などが主催となって留学フェアや進学セミナーが毎年行われています。実際に現地の大学の教員の方と交流できたり資料をゲットできる機会なので、効率的に活用しました。一つの大学が日本に来て(もしくはオンラインで)説明会を行うこともあります。

オープンキャンパス(Open Day)

日本の大学と同じようにイギリスの大学もオープンキャンパス(Open Day)を開催しています。実際に大学内を見学するのは、学校への理解が深まるので志望校を絞るのにとても効果的でした。大学によって開催される時期は違うので、もしオープンキャンパスに行けない場合はオンラインでバーチャルツアーができる大学もあります。その他にもソーシャルメディア(Instagramなどの大学の公式アカウント、学部やソサエティのアカウントなど)を活用して、現地の学生や卒業生の声を聞いたりするのも1つの手段です。

大学の環境が自分に合っているか考える

志望校を選ぶ場合、大学の教育内容や設備などに目が行きがちですが、その大学が自分の性格や目標に合っているのかも考えるべきポイントです。例えばイギリスに留学する際は、ロンドンの大学で勉強するか、それ以外の都市に行くかの二択に分かれますが、結果的に自分に合ってない環境で3年間勉強することになるのは辛いので、自分が納得できる選択をするべきです。世界の中心地の一つであるロンドンでの生活は都市のスピード感が速く、多文化的な環境であることも含めて刺激的な経験をすることができます。その一方で、地方都市ではOxford(オックスフォード)やCambridge(ケンブリッジ)などその地域特有のコミュニティがあります。ロンドンに比べて物価が比較的安いことも含めて、リラックスした環境で勉強できる利点があると思います。

イギリスの大学選びは「自分軸」で決めよう

最終的に僕はロンドンの大学を3校、ロンドン以外の大学を2校選択して出願しました。どちらを選ぶかは、あなたが何を大学生活に求めているか、自分に合った生活スタイル、予算などで変わってくると思います。ここはランキングなどに流されず、自分がどうしたいかを大切にしましょう。

イギリス留学には多くの魅力があり、まず自分に合った大学を選ぶことがそこで充実した経験をすることへの第一歩です。今回紹介したポイントを参考にしながら、ぜひ理想の留学先を見つけてください。

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ファウンデーションコースを始める前に受けたIELTSはOverall 5.5でした。それ以降はIELTSを受けていないため、数字で比較することはできません。しかし英語力は着実に伸びたと感じています。特に、英文を読むスピードが上がったと実感しています。スピーキングでも自分の考えを何とか英語で伝えられるようになりました。 中でもライティングの成長は大きいと感じました。コースを受講する前までは、英検で出題されるような短いエッセイを書くのが精一杯でした。当然引用の方法などは全くわかりませんでした。このコースを通して、エッセイの構成や書き方、参考文献の引用方法など、アカデミックライティングの基礎をしっかり身につけることができました。 正直に言うと、1年間で英語がペラペラになるのは簡単ではありませんでした。それでも英語を話すこと、そして失敗を恐れずにコミュニケーションがとれるようになったことは、自分にとって大きな成長だったと感じています。 ファウンデーションから大学1年生への進み方 私が通っていたファウンデーションコースでは、1・2・3学期に行われるテストでそれぞれ合格点を取ることができれば、そのままGoldsmithsの学士課程に進学できる仕組みでした。 そのため、普段の授業にきちんと出席し、課題やテストに真面目に取り組んでいれば、進級できないということはあまりないと思います。実際、私のクラスメイトの中で進学できなかった人は一人もいませんでした。ですので、過度に心配する必要はないと思います。 すべての試験に合格したあと、大学側から進学の手続きに関する案内メールが届きました。それに従って準備を進め、私も無事に大学1年生としての学びをスタートしました。 なお、ファウンデーションコースを修了したからといって、必ずしも同じ大学(私の場合はGoldsmiths)にしか進学できないわけではありません。成績次第では他大学への出願も可能な場合があります。 私の友人の中には、他大学への進学を希望して出願していた人もいました。その場合の出願手続きは先生がサポートしてくれるようです。ただ、保証があるのはGoldsmithsの学部であるため、私は迷わずそのまま進学しました。 ファウンデーションコースはイギリス大学留学の自信に繋がる 1年間のファウンデーションコースは、大学進学の準備だけではないのです。英語力の向上や、異文化の中での生活力を身につける貴重な経験になりました。最初は不安もありましたが、授業を通して少しずつ自信を持てるようになりました。そして大学1年生としてのスタートラインに立てたことをとても嬉しく思います。 これからイギリスでの進学を考えている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。興味のある方はぜひ、Goldsmithsのファウンデーションコースを検討してみてくださいね! https://www.gold.ac.uk

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イギリス大学留学Pre-Departure Event 2025@東京 #2|新入生インタビュー編

イギリス留学のPre-Departure Event 2025が8月23日、東京都内で開催されました。Imperial College London(インペリアルカレッジロンドン)などのJapanese Societyが主催したこのイベントに参加した学生にインタビューしました。これから新生活を始めることにあたり、心境や楽しみにしていることについて聞きました。 大好きなロンドンで経済と数学の勉強を インタビューを受けるHanaさん Hanaさん 進学先:The London School of Economics and Political Sciences(LSE)専攻:International Social and Public Policy with Economics ロンドンが好きだから、そこの大学に進学しました。数学や経済は元々好きですが、それだけだと物足りないので、政治学の勉強もできるということでこの専攻を選びました。 今まで日本、ドイツ、アムステルダム、フランスで暮らしたことがあります。ロンドンに住んだことはないのですが、英検の海外受験会場がヨーロッパだとロンドンしかないので、受験のために何回かロンドンに行ったことがあります。その時に感じた街並みなどが気に入りました。将来役に立つと思って英検は1級まで取得したが、今のところ何にも役立っていないです(笑)。 大学に入ってからはいろんなソサエティー(サークル)の活動が楽しみです。あとは今まではとてもグローバルな環境で育ったので、これからもそのようなところで生活できることが良いです。将来は国際機関で働きたいです。 金融の勉強をするのが楽しみ Angelaさん 進学先:The London School of Economics and Political Sciences(LSE)専攻:Finance ドイツや横浜などに住んだことがあるが、昔ロンドンに住んで一番気に入ったのでロンドンの大学に進学しました。Stock pitch(ストックピッチ)※がきっかけで金融に興味が湧き、大学でその勉強ができるのが楽しみです。また、たくさんの人と出会って、友達を作るのも楽しみです。 ※Stock pitch(ストックピッチ)とは、特定の企業の株式を投資対象として推奨するためのプレゼンテーションのことです。企業のビジネスモデル、財務状況、成長可能性、リスクなどを分析し、「この株を買うべき/売るべき」と投資判断を論理的に示します。 研究者になり、革新的な研究をしたい 第二部のフリートークタイムで歓談するWakanaさん(左)とSeikaさん Seikaさん 進学先:Imperial College London専攻:Chemistry 4歳から4年間イギリスに暮らし、その後上海とノルウェーにも住んだことがありますが、イギリスが一番気に入ったので、大学はそこにしました。大学に入って、新しい人に出会って、友達を作ることが楽しみです。卒業後は大学院に進学し、その後研究者になって、革新的な研究をしたいです。 憧れの街並みでの学び Wakanaさん 進学先:King’s College London専攻:Digital Media and Culture ロンドンにインターナショナルな雰囲気があり、街並みに憧れがあったのでイギリスに決めました。勉強はもちろんですが、それ以外ではクリスマスマーケットが楽しみです。大学で学んだことを生かし、将来は人々のつながりを強くするためのサービスを提供する会社を起業したいです。 初イギリスだが、大学生活は楽しみ インタビューを受けるRintaさん Rintaさん 進学先:Imperial College London専攻:Economics, Finance and Data Science イギリスの大学受験はアカデミック活動を中心に評価されると知り、イギリスの大学にしました。アメリカの大学も検討しましたが、入学選抜では課外活動を中心に見られるため、自分にはあまり向いていないと思いました。 これからの留学で初めてイギリスに行きます。イギリスと言えば天気が悪く、ご飯がまずい印象ですね。でも大学生活は楽しみです。卒業後の進路ははっきり決まっていませんが、大学で学ぶことを生かし、教育にデータサイエンスを取り込んで、より効果的な教育環境にしていきたいと思います。 金融の中心――ロンドンで人脈を広げたい 入学後の抱負を語るTeruさん Teruさん 進学先:University College London(UCL)専攻:Mathematics with Economics 将来は金融系の職に就きたく、そのため大都市の大学に進学したかったです。本当はアメリカに行きたかったが、今のアメリカの政治によって経済も不安定になっているのでアメリカに行くことを断念しました。そこ以外で金融の中心と言えばロンドンですね。その中心にある大学を選びました。 ロンドンのような大都市の大学に行けば人脈が広がり、たくさんのコミュニティとつながりを持って有利になると思います。そういう意味でも、優秀な学生が集まるUCLのような有名な大学にはとても良い環境が整っていると思います。 次回の記事ではこのPre-Departure Eventの舞台裏をお届けしますので、そちらも併せてご覧ください! https://passport-to.com/articles/38/ また、前回の記事ではPre-Departure Event全体の様子が書かれています。ぜひ読んでください! https://passport-to.com/articles/36/ 今回のイベントのスポンサー: https://jp.education-moi.com

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インペリアルカレッジロンドンの年度初め: 学期最初の1週間

こんにちは!Kenshuです。今回は9月に始まったImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)での新学期の最初の1週間を紹介していこうと思います。海外の大学での新学期の始まりはどんな感じなの?って疑問を持っている皆様の参考になれば嬉しいです。 イギリスの大学はいつ始まる? イギリスの大学が始まるのは大体9月から10月です。大学によって始まる日にちは違います。例えば今年(2025/26年度)だとUniversity College London(UCL)は9月22日、King’s College London(キングスカレッジロンドン)だと9月22日、University of Cambridge(ケンブリッジ大学)だと10月1日などと大学ごとに変わります。僕の通っているImperial College Londonでは9月29日に始まりました。 大学によってはWelcome WeekやOrientation Weekと呼ばれる期間が設けられていて、本格的な授業はその翌週から始まることが多いです。 いつイギリスに行けばいい? 学期が始まる数日前に着くことをおすすめします。自分の住む家(寮やアパートなど)の入居可能日や家族と一緒に来るのかなどを総合的に考慮して決めるといいと思います。僕は一人で渡って、寮に入ったので学期が始まる2日前の27日に行きました。 初日は時差ボケや荷解き、買い出しなどで結構忙しくなります。そのため最低でも1、2日前には到着しておくと余裕をもって学期開始を迎えられて安心です。 インペリアルカレッジロンドンの寮はどんな感じ? インペリアルの1年生は寮に入れることが確約されています。入学する年の5、6月ぐらいにインペリアルからフォームが送られてきて、希望する寮を記入します。 インペリアルには6つの寮があり、キャンパスからの距離、設備、値段などがさまざまです。僕がいるWoodward Buildingsはキャンパスから一番遠い分、値段が安いです。キャンパスに近いSouthside HallsやEastside Hallsでは値段が倍ぐらい違うことがあります。 インペリアルカレッジロンドンの寮 WoodwardにはBlock A、B、Cがあり、各棟に200人ほどが住んでいます。各フロアには10人ほど住んでいて2つのキッチンを共同で使っています。キッチンは結構充実していてIH式のコンロが8つ、オーブン、冷蔵庫がそれぞれ2つ、電子レンジなどがあります。 毎日夕方の6、7時になるとみんなが料理をしに来るのでその度に仲良く話しています。共同生活ならではの出会いや会話が生まれやすく、友達を作るきっかけにもなります。 寮に着いた初日に学生全員がStudent Cardをもらいます。この学生証は講義棟や寮、自分の部屋に入る時などに使います。僕は入居して間もない時に一度Student Cardを部屋に忘れ、1階にあるReceptionまで行ってドアを開けてもらいました。10~15分かかったので絶対になくさないで常に持ち歩くようにしないといけないなって痛感しました。 寮からインペリアルカレッジロンドンまでの通学路 寮はNorth Acton駅の近くにあり、ヒースロー空港からは比較的簡単に辿り着けました。Central Lineが通っているのでロンドンの中心街(SOHO)にも乗り換え無しで行けます。 寮からインペリアルのSouth Kensingtonキャンパスまでは電車を2本乗り継いで行けます。でも個人的には乗換駅で次の電車に乗らず、そこから徒歩でHyde Parkを通過して大学まで行くのが好きです。毎朝友達とHyde Parkを歩くのは気分が晴れます。ビル群ではなく、自然の中が通学ルートになるのはとても魅力的です。 毎朝登校中に通り抜けるHyde Park Hyde Parkのすぐ近くにあるRoyal Albert Hall イギリスでの生活用品の準備 渡英してすぐに必要になのが生活用品の買い出しです。寮には家具が備え付けられていますが、枕、布団、調理器具などは自分で揃える必要があります。僕は到着した日に近くのJohn Lewis(家具量販店)で寝具一式、数日後によくわからない地元の店でフォークやスプーンなどを調達しました。Amazonを活用する人も多く、寮に直接届けてもらえるので便利です。 インペリアルカレッジロンドン: 年度初めのイベント Freshers Fair Freshers FairとはいろいろなSociety(サークル)やスポーツクラブなどが一堂に会して1年生に活動内容を紹介する新入生歓迎祭です。このイベントは2日間にわたって開催されます。 インペリアルには300を超えるSocietyがあり、文化、スポーツ、趣味などいろいろな種類があります。スポーツクラブだとトライアウトがあり、2、3回チャンスが与えられます。大学生活で勉強だけではなくスポーツにも打ち込みたいっていう人にはいい機会だと思います。 無料のグッズやクーポンを配っているブースもあるので、気軽にいろいろ回ってみるのがおすすめです。 Freshers Event 最初の1週間は寮単位や学部単位、Student Union(学生連合)主催のいくつものイベントが行われます。Halls Mixersやクラブを貸し切るイベントもあります。 Halls Mixersでは自分の寮の人たちとお酒を飲みながら交流します。新しい友達を見つけられることもあります。 他にはクラブを貸し切ってインペリアル生だけのパーティが行われます。ビールやテキーラなどのショットだけで6ポンド(約1200円※)以上するのでお金に余裕がない人にはあまりおすすめしません。経験を得るため友達やFlatmatesなどと行くにはめちゃくちゃいい機会です。 ※1ポンド=200円で換算 各コースのイベント 各専攻にもイベントが開催されます。僕はChemical Engineeringを専攻しているのでそれに関する講演やアクティビティなどがありました。インペリアルの学長やChemical Engineering Departmentの学部長によるスピーチ、自分と同じ専攻の新入生たちと一緒にランチを食べながら情報交換するなどいろいろ充実していました。 最後に 最初の1週間は勉強というよりかは学校のことをよく知り、周りの人たちと仲良くなる期間です。そのため比較的時間に余裕ができるので、友達や家族などとロンドン観光をしてみてもいいかもしれません。Natural History Museum(ロンドン自然史博物館)やいくつかの美術館などがインペリアルから徒歩数分のところにあるので行きやすいです。 https://passport-to.com/articles/27/

【PPE専攻】日本の高校からキングスカレッジロンドンに進学するまで

はじめまして、Ayanoです。2024年9月からKing’s College London(KCL)にて政治学のファウンデーションコースに1年間通いました。2025年9月から同大学PPE(Philosophy, Politics and Economics/哲学・政治学・経済学)という学部課程に進学する予定です。 海外進学のきっかけ 幼少期~中学: 海外との関わりは特になく 私は幼少期から特別海外に興味があったわけでも、英語に力を入れていたわけでもありませんでした。海外進学する人たちに比べると、実際に海外に興味を持ったのは遅かったと思います。 留学に興味を持った最初のきっかけは、中学生の頃に両親との会話から「日本の大学はあまり学問に集中できる環境ではない」という漠然とした印象を持ったことです。それなら「卒業が大変とも言われる海外の大学で学びたい」と思うようになりました。 しかし当時、英語は中学校の授業で触れる程度で、実力不足を感じたうえ、3年以上後の大学受験のイメージがわきませんでした。 中2の終わりにコロナ禍が始まり、予定していた初めての短期留学が中止になってしまいました。そのため、中学生の頃は何か留学に関するものに特別取り組んだりはしませんでした。 初の留学: 高校の半年間をカナダで過ごし その後、高校では短期・長期の留学プログラムが豊富な学校へ通いました。実際に留学を経験した先輩の話を聞く中で、私も留学に挑戦したいという思いが強くなり、半年間のカナダ留学を決意しました。 カナダを選んだ理由は、元々カナダの大学教育システムに興味があったこと、治安の良さ、そして何より通っていた高校がカナダ留学に一番力を入れていたことが関係しています。 実際に半年間留学する中で、多くのことを経験しました。学校の授業スタイルは日本に比べてディスカッションが多く、当初は緊張してなかなか発言できませんでしたが、少しずつ慣れていきました。 また、1つの正しい答えが求められるのではなく、明確な答えがないテーマについて意見を言うのが新鮮に感じられました。学校の友達や、同じホームステイ先に滞在していた留学生のハウスメイトとの交流を通して、日本以外の国やその文化について知ることができたのも楽しかったです。 私はこの留学で初めて地元を離れて新しい土地に行きました。カナダで暮らしながら、新しいことを経験したり、人との出会いを通じて、「こういう生き方もあるんだ」と気づくことができました。そうした体験から、人生をどう歩むかについて新しいアイディアをもらったように感じます。 そして「自分は将来何をしたいのか」「どういうふうになりたいのか」を真剣に考えるようになりました。日常の小さなことにも新鮮さを感じ、今まで当たり前だと思っていた価値観や考え方を見直すきっかけになったと思います。 イギリス大学進学が現実味に 留学が終わる頃には、半年前の自分とは大きく違うことを実感していました。英語力が海外進学のレベルに追いついてきたこと、実際に海外で生活してみたことで経験値がついたこと、そして私自身が「もっと海外で挑戦したい」という思いが強くなったことから、高2の終わりに帰国した頃には海外大学受験を決意しました。 当初は入学後に専攻を決める北米の大学に興味がありました。しかし、高校での留学をきっかけに、学びたいことが決まったこともあり、専攻に関することだけを学べるイギリスを選びました。イギリスには名門大学が多く、治安も比較的良いので、今になって振り返るとイギリスを選んでよかったなと思います。 【キングスカレッジロンドン】大学合格までの道のり イギリスの大学選び イギリスへの大学進学を決めた後は、志望校選びに取りかかりました。高3の時に、母とイギリスへ大学見学をしに行きました。その際に肌で感じたロンドンという街が気に入り、そこに住みたいと強く思い、ロンドンの大学を第一志望にしました。 周りに海外進学を目指す人はいなかったため、情報収集が特に大変でした。Personal Statement(志望動機書)の書き方から志望校の選び方など、わからないことが多く手探りでした。また、通っていた高校から海外進学が珍しかったため、出願に必要な推薦書などの書類発行にも時間がかかり、不安な時期もありました。 普通の高校から海外進学は大変なことも多かったですが、結果としてKing’s College Londonのファウンデーションコースへ合格することができ、今にいたります。 通学路から見えるビッグベン キングスカレッジロンドンのファウンデーションコース KCLのファウンデーションコースから同大学の学部課程に進学するには、基本的にこのファウンデーションでの成績を元に決められます。進学できる学部課程も、ファウンデーションで何を勉強するかで変わってきます。 KCLのファウンデーションコースは分野ごとに大まかに分かれています。例えば、文系のファウンデーションであれば人文系のものと、私が通った政治学の2つあります。他にもビジネス系のものや、工学、物理学、コンピューターサイエンスなど、理系はかなり細かく分けられています。 それぞれの分野のファウンデーションから進学できる複数の学部課程があらかじめ定められており、その中から進学希望を提出します。ファンデーションで学んだことに合った学部のコースを選び、進学に必要な成績要件さえ満たしていれば、無条件で希望の学部課程へ進学できる仕組みです。 例えば、私が通った政治学のファンデーションからは、私が進学するPPEのほか、法学部や国際関係学、国際開発学、戦争学部などへ進学することができます。 https://passport-to.com/articles/16/ 実際にイギリスの大学で1年過ごしてみて 私は2024年9月から2025年6月まで、ファウンデーションコースを履修しました。ファウンデーションコースの学生は学部生と隔たりなく、同じようにキャンパスにある教室や設備を使って授業を受けていました。次年度からの学部課程に向けて大学での勉強や生活に慣れることができ、留学生としてはとても良かったと感じています。それまで書いたことのないアカデミックなエッセイの書き方もこの1年で学びました。 ファウンデーションコースの授業が行われた建物 この1年を終えて感じているのは、「イギリスの大学を選んだ私の決断は間違いなかった」ということです。「勉強に集中できる海外の大学で学びたい」という当初のきっかけを十分に叶えられたからです。 日本の大学ももちろん勉強は大変だと思いますが、イギリス含め海外の大学では学ぶことに対して貪欲になれる環境があります。その学問への意欲をサポートできる大学施設や教授、切磋琢磨しあえるコースの仲間に恵まれ、とても充実した1年を過ごすことができました。学ぶことがこんなにも楽しいと思えたのは人生で初めてですし、貴重な経験をさせてくれている両親には感謝でいっぱいです。 キングスカレッジロンドンにある自慢の図書館 PPE(哲学・政治学・経済学)の面白さ PPE(Philosophy, Politics and Economics)とはイギリスの大学によくある学部課程で、哲学・政治学・経済学の3つの学問を学べるのが特徴です。3つの学問を学べることから、社会の課題を多面的に捉え解決しようとするスキルが身につくことに惹かれました。自分は比較的飽き性なので、1つの学問だけに集中しないPPEに興味を持ちました。また、キャリアにも応用しやすいこともPPEを選んだ理由の一つです。 ファウンデーションコースではPPEの中の政治学のみを学びました。哲学と経済学にはまだ触れていませんが、それでもPPEの面白さを想像できます。政治学を学ぶ中で、世の中の出来事や課題はほぼ必ず多面的であると感じました。 例えばイギリスのEU離脱の理由には、EU法の拘束から脱して法律・政策を自国で決定したいという主権回復(政治)、イギリス人としてのアイデンティティを重視するナショナリズム(哲学・価値観)、EUへの拠出金や貿易規制といった経済的要因(経済学)が複雑に絡み合っていました。 こうした学びから、政治を単独で理解するだけでは不十分であり、哲学的な価値観や経済的背景など、多面的に物事を分析することの面白さを感じました。これら3分野を体系的に学べるPPEは、現代社会の課題をより深く理解し、解決策を探るための最適な学問だと考えています。 海外経験がなくてもファウンデーションコースが自信に 私は高校で留学するまでは、海外や英語といったものに縁のないバックグラウンドでした。 海外での本格的な学びについていくことができるかが不安でした。その中でファウンデーションコースが必要だというイギリスのシステムは留学生として良かったなと感じます。学問的なベースだけでなく、エッセイやプレゼンといった実践的なスキルを学べたのが良かったですし、これからの私の学部課程においての基礎になると思います。 海外経験がなくても、環境が人を成長させてくれると私は感じています。 最後まで読んでくださりありがとうございました。皆さんの挑戦を応援しています! https://jp.education-moi.com/universities/uk/foundation

英国ボーディングスクールから理系の名門大学インペリアルカレッジロンドンへ

 初めまして、Kenshuと申します。19歳で、香港で生まれ育ちました。幼少期から香港のインターナショナルスクールに通い、4年前からイギリスに留学しています。現在ロンドンのImperial College London(インペリアカレッジロンドン)でChemical Engineering(化学工学)を学んでいます。 香港で生まれ育ち、イギリス: Concord Collegeへ留学するまで 小さい頃、父のお仕事の影響で日本と香港を行き来していました。小学校から中学2年生までは香港のインターナショナルスクールに通っていました。途中、日本の中学受験をしたものの、香港に残ることにしました。2019年以降新型コロナウイルス感染症が世界各地で繰り返し流行り、深刻な問題になっている真最中、私はイギリス留学を決め、海を渡りました。2021年の9月に一人でイギリスに渡り、今までの4年間を過ごしてきました。 イギリスでの学校選びにはそれほどの時間をかけませんでした。いくつかの学校に応募し、最初に合格が決まったところに行くことにしました。私が行くことになったボーディングスクール(全寮制学校)はイングランド西部のShrewsbury(シュルーズベリー)にあるConcord College(コンコルドカレッジ)という高校です。 Concord Collegeの校舎 英国ボーディングスクール生活での戸惑いとホームシックの日々 最初の数日は英語で流暢に話し合う生徒たちを見て、会話にうまく入れなかったです。イギリス英語特有のアクセントやスラングを理解しようと必死でした。英語は何年も勉強していましたが、実際に学業や日常生活で使うのはまったく別の経験でした。 戸惑いは言語だけではありませんでした。イギリスの気候は日本とは大きく異なり、灰色の空と頻繁な雨が毎日続き憂鬱でした。食事にも全く慣れず、食堂で出会ったのはシェパーズパイやジャケットポテト、フィッシュアンドチップスばかり。日本のご飯が恋しくてたまりませんでした。 Concord Collegeのグラウンド 寮生活の思い出 Concord Collegeでは70%が寮生徒、30%が現地生です。全寮生徒には一人部屋を与えられました。私がForm4(中学3年)、Form5(高校1年)にいたときは小さい部屋でしたが、Form 6(高校2、3年)に入るともっと大きい部屋を与えられました。そこで夜遅くまで友達とゲームをしたりするのが一番の思い出です。 毎朝7時半に点呼があり、8時にダイニングホールで朝食を食べます。8時半に授業が始まり、午後4時まで9時限(1時限35分)あります。その間に昼休みと中休みが挟みます。4時に授業が終わると自由時間になり、私は毎日自由時間に昼寝をしていました。 6時半から8時10分までの100分間はprep timeという自習時間があります。全生徒が教室などに集って自習します。最初はすごく面倒で退屈な時間だなって思っていましたが勉強が忙しくなるにつれ、とても重要な時間になってきました。prep timeが終わると10時まで課外活動やクラブ活動が始まります。 課外活動 バレーボールとサッカーに打ち込んだ日々 私は学校のバレーボールとサッカーのチームに所属していました。毎週火曜日と日曜日はバレーボールの練習です。水曜日には他校との親善試合があり毎週それに向けて練習をしていました。Concord Collegeでの一番の思い出はバレーボールチームにいたことかもしれません。 一緒にバレーボールに打ち込んだ仲間たちと サッカーは毎週日曜日の午後にトレーニングがありました。イギリスはサッカー大国なのでみんなすごく上手でAチームに入るのにすごく大変でした。最終学年になった時にやっとAチームのセンターバックのスタメンをもらって嬉しかったのを鮮明に覚えています。 Aチームは日本で言う1軍のことで、全部で50人以上いる部員から15人ほどしか選ばれません。Aチームに入るには基本的に監督による評価、練習試合のパフォーマンスなどを総合的に見て選抜されます。Aチーム以外にもBチームがあり主に下の学年の生徒たちが所属します。 日本と香港には無いイベントの数々 クリスマスやハロウィーンになるとディスコやパーティーがよく開催されます。日本や香港の学校ではあまりない経験だったので友達とディスコに行ったときは圧倒されました。学外からDJを呼んでいたのでやっぱりイギリスの学校はすごいな〜って思いました。 毎年11月5日にあるBonfire Nightという日には学校で大きな花火が打ち上げられ、すごく綺麗です。 Concord Collegeで毎年Bonfire Nightで打ち上げられる花火 英国ボーディングスクールの授業内容 GCSE:理系科目が得意で、文系科目は必死 Concord Collegeのカリキュラムは、私がそれまで経験してきたものとは大きく異なっていました。最初の2年間では、GCSE(イギリスの中等教育修了試験)に取り組みます。選択科目からはHistory(歴史)、Geography(地理)、Computer Science(コンピューターサイエンス)、Statistics(統計学)の4つを履修しました。それからPhysics(物理)、Chemistry(化学)、Biology(生物)の3つの理系科目、English(英語)、Mathematics(数学)、Advanced Mathematics(応用数学)を選択しました。私は理系だったので地理、歴史、英語などの科目は苦手で、他の生徒たちについていくのに必死でした。 Concord College で一番ユニークだなって思うところがSaturday Testsという制度です。毎週土曜日に3つの科目の小テストがあります。科目は毎週ローテーションします。例えば、1週間目はMaths、Physics、Biology、2週間目はGeography、History、Computer Science、3週間目はEnglish、Statistics、Chemistryという感じです。特に2週間目はエッセイ科目が多く、その週の月曜日に復習を始めていたのですごく苦労しました。 2年目の5、6月になるとGCSEの試験が始まり、週に3、4つテストがありそれが2ヶ月間続きました。合計25テスト(9教科)を終えた後、2ヶ月間の溜まった疲れがどっと出てきてそれからの1週間は何もやる気が起きなかったです。 2年間のGCSEカリキュラムを終え、そのままConcord CollegeでA-levelに残ることを決めました。 A-Level:科目数が減り、内容が難しくなった イギリスでは2年間のGCSEを終えた後A-levelカリキュラムに2年間取り組みます。A-levelでは数学、応用数学、物理、化学を選びました。どれも理系科目で自分の得意分野でもあり、大学でChemical Engineering(化学工学)を専攻したいと思っていたのでこの4つを選択しました。 選択する科目がGCSEより少ない分、内容は難しくなり、特に物理は理解するのにすごく時間がかかりました。A-levelでもSaturday Testsは引き続き実施され、毎週2科目になりました。A-levelではGCSEとは違って授業がないfree periodという時間も増え、より自由な時間割になりました。でも私は勉強ではなくほとんどの時間を寮に戻って昼寝をしていました。 GCSEと同様、A-levelを始めてから2年目の5、6月になると試験があり、6月末までに10テストを終えました。志望大学の進学条件で、私は化学で最高評価のA*をとらなければいけなかったので化学の試験当日は落ち着かなかったのを覚えています。化学のA*を取るには90%以上得点する必要があります。そのため、化学の復習には他の教科より多くの時間を費やしていました。 A-levelが終わるとConcord Collegeから卒業し、夏休みに入りました。 https://jp.education-moi.com/boarding-schools/uk#a-level 高校の勉強と両立しながら挑んだイギリス大学受験 私はイギリスの大学に行きたいという思いが昔からあり、Personal statement(志望理由書)などの準備に力を入れていました。Engineering and Science Admission Test(ESAT)※の勉強だったり面接の準備だったり色々なことをやる必要がありました。Concord Collegeにいた最後の年は勉強と受験対策の両立で忙しくて大変でした。2025年の1月に運よくImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)からのオファーレターをもらうことができました。今でもその瞬間だけは忘れられないです。 ※ESATは、University of Cambridge(ケンブリッジ大学)やインペリアルカレッジロンドンなどの理工系学部への出願者に課す入学試験です。 https://esat-tmua.ac.uk/about-the-tests/esat-test インペリアルカレッジロンドンに進学 今年の9月にImperial College Londonに入学し、化学工学を専攻しています。 今はロンドンで大学生活を送っていますが、振り返ってみると15歳でイギリスに渡ったとき、不安だらけでした。言葉も文化も違う環境に飛び込んで、自信をなくしたこともあります。でも、その経験を通して、今まで気づかなかった自分の強さや、新しい視野を得ることができました。これからも留学に関する情報や経験を共有していき、少しでも同じ道を考えている皆さんの参考になれたらうれしいです! https://jp.education-moi.com/article-50-imperial

留学生活をもっと楽しむ!イギリスから行けるヨーロッパおすすめ都市

  こんにちは!Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを学んでいるKotokoです。 今回は、イギリス留学の大きな魅力のひとつ、ヨーロッパ旅行について私の経験や友人の話をもとに、週末でも行きやすい都市から長期休暇に楽しめる都市まで紹介します。 イギリスからはヨーロッパ諸国に行きやすい?! イギリスは地理的にも交通の面でもヨーロッパ旅行にとても便利な場所です。学生は普段勉強で忙しいですが、週末にふらっと出かけてリフレッシュすることもできます。なぜこんなにも気軽にヨーロッパ旅行ができるのでしょうか?主な理由は3つです。 LCC(格安航空会社)が豊富Ryanair(ライアンエアー)やeasyJet(イージージェット)を使えば、片道数千円で飛行機に乗れることもあります。 Eurostar(ユーロスター)で直行ロンドンからパリやブリュッセルまで電車で約2〜3時間。飛行機のように2時間前に空港に行く必要もなく、便利です。 空港アクセスが良いロンドンには複数の空港があり、ヨーロッパ各地への直行便が充実しています。 週末で行けるおすすめ都市 パリ(フランス) ロンドンからユーロスターで約2時間半!おしゃれな街並み、美味しい食べ物、歴史的建物が中心地に集まっていて、週末旅行にぴったりです。 おすすめTo Doリスト クロワッサンやバゲットを買って、エッフェル塔が見えるトロカデロ広場でピクニック ルーヴル美術館(チケットは公式サイトで事前購入がおすすめ) 夜のセーヌ川ナイトクルーズでエッフェル塔のシャンパンフラッシュを鑑賞 トロカデロ広場でピクニック ナイトクルーズで見たエッフェル塔 ブリュッセル(ベルギー) ロンドンから約2時間。落ち着いたヨーロッパらしい街並みに加え、チョコレートやワッフル、ビールといったグルメも魅力です。 おすすめTo Doリスト グラン=プラス(世界遺産の広場)を散策 本場のベルギーチョコレートを食べ比べ 名物ワッフルやフリッツ(フライドポテト)を食べ歩き ベルギーワッフル フリッツ(フライドポテト) 長期休暇におすすめ都市 学期末の休みには、時間をかけてより多くの国や都市を訪れるチャンスがあります。 ローマ(イタリア) ロンドンから飛行機で約2時間半。古代ローマ帝国の遺跡や歴史的建物が街中に点在していて、コロッセオ、フォロ・ロマーノ、トレビの泉など見どころが盛りだくさんです。そして本場のイタリアンは、どのレストランに入っても外れなし! おすすめTo Doリスト ナイトバスに乗って、コロッセオやフォロ・ロマーノの夕景を楽しむ 本場イタリアンと、定番リキュール、アペロールスプリッツを堪能する ローマでの本場イタリアン カプリ島 ➕ ポイント ローマ観光と合わせて、カプリ島などの美しい島を訪れるのもおすすめ。私は夏に青の洞窟で有名なカプリ島へ行きましたが、透き通る海と空に癒され、都会の喧騒から離れてゆったり過ごせました。 サントリーニ島(ギリシャ) ロンドンから飛行機で約4時間。エーゲ海に浮かぶサントリーニ島は、真っ白な家並みと青い屋根、そして世界的に有名な夕日が魅力です。中心地にはおしゃれなカフェやレストランも多く、地中海料理や新鮮なシーフードが楽しめます。非日常感をたっぷり味わえるスポットです。 おすすめTo Doリスト 夕焼けを眺めながらのディナー レッドビーチやブラックビーチを巡る乗馬ツアー イアの街を散策して、ストリートフード、ギロピタを食べ歩き フィラでの夕焼けを眺めながらのディナー 豚肉のギロピタ カッパドキア(トルコ) ロンドンからイスタンブールまで約4時間、その後さらに1時間のフライトで到着。少し遠いですが、奇岩が広がる不思議な景観と、空を彩る熱気球で世界的に有名なエリアです。洞窟ホテルや歴史的遺跡も点在していて、自然と文化の両方を楽しめるのが魅力。 おすすめTo Doリスト カッパドキア名物の熱気球体験!※天候によっては飛ばない日もあるので、最低3泊ほど滞在すると安心です ギョレメ周辺の名所を1日で効率よく巡れる「レッドツアー」に参加 洞窟ホテルに宿泊し、朝のテラスから空に浮かぶ気球を眺める 気球から見た景色 レッドツアーで訪れたゼルベ野外博物館 イギリス留学生向けの節約術 学生は学業で忙しく、アルバイトが難しい人も多いと思います。だからこそ、旅行のときに「いかに節約するか」がとても大事です。ここでは、私が実際の旅行で学んだ節約術を紹介します。 LCC(格安航空券)を賢く利用する RyanairやeasyJetは、予約が早ければ早いほど安くなることが多く、片道数千円でチケットを取れることもあります。荷物はできるだけ機内持ち込みのみにして、追加料金を避けるのがコツです。 旅行のピークを外す 金曜夜や月曜朝の便は料金が高くなりがち。木曜夜出発や日曜夜帰りを狙うと安くなることが多いです。 学生割引をフル活用する 現地で学生証を提示すると、美術館や交通機関で割引が受けられる場合があります。イギリスの大学の学生証が使える場所も多いので、旅行のときは必ず持参しましょう。 ヨーロッパ旅行の注意点 ヨーロッパ旅行は留学生活の大きな楽しみのひとつですが、気をつけるべき点もたくさんあります。実際にトラブルに遭わないために、最低限知っておきたい注意点をまとめました。 シェンゲン協定とビザ シェンゲン協定の締結国間(主にEU加盟国)では国境検査なしで自由に移動できます。しかしイギリスはシェンゲン協定に加盟していません。そのため、イギリスの学生ビザを持っていても、シェンゲン圏内を自由に滞在できるわけではありません。 日本国籍の留学生の場合、観光目的ならビザは不要ですが「あらゆる180日のうち最大90日間」という滞在制限があります。 また、私は旅行先からイギリスに戻るときに、よく空港の入国審査で「学生ビザを見せて」と言われました。eVisaにすぐログインできるように準備しておくと安心です(スクショはNGと言われたこともありました)。  スリ対策 ヨーロッパは観光地ほどスリが多いです。電車内、レストラン、カフェなど、いつ被害に遭うかわかりません。実際、友達はレストランでスーツケースを専用置き場に預けていたのですが、食事を終えて出るときにはなくなっていました……。 財布やパスポートは小さなポーチやウエストバッグに入れて常に身につけ、スマホをテーブルに置きっぱなしにしないなど、徹底してスリ対策をしてください。 まとめ イギリス留学は、学びの場であると同時にヨーロッパ全体を体験できる大きなチャンスです。週末の小旅行から長期休暇の周遊まで、計画次第で「学生生活でしかできない体験」が待っています。ぜひ、留学生活の一部としてヨーロッパ旅行も楽しんでみてください。 https://passport-to.com/articles/26/

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イギリスのNHS利用 | 留学生が知っておきたい医療サービス

イギリスの病院に行くとき、多くの人はNHS(エヌ・エイチ・エス National Health Service)という公共の医療制度を利用しています。留学生もビザ申請時に健康保険付加料(IHS)を支払えば、NHS提携の公立病院を受診できます。ですが、NHSをうまく活用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があるんです。 この記事では、留学前に知っておきたいNHSの基本的な使い方や、ビザ申請時に支払うIHSについて、さらに病院やGP(かかりつけ医 General Practitioner)の違い、実際に病気になったときの流れまでわかりやすく解説します。 Haruna これまでに何度もイギリスの病院を利用している現地在住者が解説します!どんな流れで医療サービスが受けられるのか、ぜひ参考にしてみてくださいね。 イギリスのNHSって何?医療制度の基本 はじめに、イギリスの公的医療制度「NHS」の仕組みや利用方法についてわかりやすく解説します。 NHS(National Health Service)の概要 1948年にスタートしたイギリスのNHS(National Health Service)は公的な医療制度です。特徴は、多くの医療サービスが無料だったり、もしくは低料金で受けられること。留学生ももちろん対象。ビザ申請時にIHS(健康保険付加料)を支払うことで、NHSのサービスを使えます。 一部は自己負担になる場合もありますが、一般診療、救急医療、入院治療、妊産婦ケアなど幅広いサービスが無料です。 IHS(Immigration Health Surcharge)について イギリスに6か月以上滞在する留学生は、ビザ申請時に「IHS(Immigration Health Surcharge)」を支払っておくことで、ビザの開始日からNHSの医療をイギリス住民と同じように利用できるようになります。料金はビザの有効期間によります。 ビザの期間ごとのIHS料金 ビザの期間料金 ポンド/円6か月以下なし(申請がイギリス国内の場合は£388 / 約73,720円必要)6か月超〜1年未満£776 / 約147,440円 (1年分)1年£776 / 約147,440円1年超〜1年6か月以下£1,164 / 約221,160円 (1年半分)1年6か月超〜2年未満£1,552 / 約294,880円 (2年間分)2年£1,552 / 約294,880円 参考 https://www.gov.uk/healthcare-immigration-application/how-much-pay ※上記の内容は2025年5月時点での料金と為替レート(1ポンド=190円)です。IHS支払い時には最新の情報を必ずご確認ください。 オンライン上でビザ申請時にコースの開始日と終了日を入力し、デビットカードかクレジットカードで支払います。もしも支払いを忘れたり、金額が足りていないと UK Visas and Immigration(UKVI)からメールで知らされます。指定期間内に全額を支払わない場合はビザの申請が却下されてしまいます。 病院とかかりつけ医の違い(Hospital と GP) 日本では、自分の症状をベースに専門医を選んで直接病院に行くことが多いですよね。しかし、イギリスではまずかかりつけ医であるGP(General Practitioner)を訪問し、そこから病院(Hospital)の専門医を紹介してもらう流れです。 病院の外来は基本的に紹介制で、専門的な検査や手術、入院治療が必要な場合に利用します。救急(Accident and Emergency)でなければ、基本的にはGP→病院の流れが一般的です。 GPで相談できること GPは地域の診療所、かつ最初に相談する窓口で、必要に応じて病院や専門医を紹介してくれます。風邪や体調不良、慢性的な症状など病気や健康全般について相談でき、処方箋も出してくれます。 GPで診てもらい検査に進む場合は、その結果が出てから精密検査や追加診療で専門医のいる病院に紹介されるケースが多いです。診察は対面のときもあれば、GPに行かずに電話で遠隔診療する場合もあります。 閑静な住宅地にひっそりとたたずむGP 渡英後はまず「GP登録」から始めよう イギリスに到着したら、なるべく早めに「GP(かかりつけ医)」への登録をしましょう。登録のタイミングや方法をここからお伝えします。 登録のタイミングと方法 GPの登録方法は、直接GPに行くかオンラインのどちらかです。大学によってはキャンパスに近いGPを紹介しているので、スタッフに尋ねてみましょう。 GPの登録方法 ①GPを探す NHSの公式サイト「Find a GP(GPを探す)」から、新規登録者を受け入れているか、受付時間、利用者の口コミを確認できます。自宅から近く便利なGPに登録する人が多い傾向にあります。 ②登録フォームに入力/記入する 登録フォームは、各GPのウェブサイト、NHSアプリから入手できます。GPで渡される用紙も可能です。 【登録に必要な情報】 氏名 住所 生年月日 学生ビザ証明の共有コード(Share Code) 連絡先(緊急連絡先も含む) 現在の健康状態・病歴 アレルギーの有無 服用中の薬 など 身分証明や住所証明についてはGPによります。地域内の住民のみを受け入れているGPへの登録には、住所証明を用意した方が無難です。また、なかには新規の登録者を受け入れていないGPも。 もしも、留学中に住所が変わる場合はGPへ報告しましょう。NHSの予約に関することや検査結果などが郵便で送られてくることがあります。引っ越し先が登録中のGPの地域外でも、新居に近い新しいGPに移ることができます。 GPの予約方法・診察の流れ 診察は予約制です。コロナのパンデミックを経て、多くのGPでは感染拡大を避けるために、予約をしてからGPへ来てもらう形を取っています。予約方法は、電話、もしくはオンラインです。電話予約はすぐにつながらず、かなり待たされる場合も。オンライン予約を実施しているGPでは、NHSアプリや各GPの予約サイトからリクエストできます。 私が登録しているGPの場合は、GPの予約システムからメッセージ形式で問い合わせをし、少し待ったあとにメッセージや電話で返信があります。問い合わせ内容によっては、看護師や医師と遠隔で会話し、そこで診察が終わる場合もあります。もしくは対面での予約日を決めていきます。 オンラインのいいところは、問い合わせ内容を細かくテキストで伝えられるところです。電話での会話では医療専門用語がすぐに出てこず、詳細をすべて伝えきれないことも。オンラインで履歴を確認できるため、あとで詳細を振り返るのにとても便利です。近年どんどんオンライン化が進み、以前よりサービスの手軽さが上がったと感じています。 夜間や土曜日に予約が取れることもあり、大学のスケジュールに合わせて利用できるのは留学生にとってもうれしいですね。 実際に病気になったら?病院の使い方ステップ 実際に体調を崩したとき、どうすればいいのか不安に感じる方も多いかもしれません。ここでは、症状が出てから病院で診てもらうまでの流れや、緊急時の対応まで、具体的なステップをわかりやすく解説します。いざというときの参考にしてくださいね。 【NHS利用】症状が出てから病院へ行くまで ここでは、GPや病院などNHSを利用するフローの例をご紹介します。長年NHSを利用しているなかで遭遇した、よくあるパターンをシェアさせていただきますね。 NHS利用の流れ 問い合わせ(電話、オンライン) 問診(GP、電話、ビデオ通話) 必要に応じて診察や血液検査や尿検査などの実施(処方箋のみの場合もあり) 検査結果を聞く(GPか電話の場合が多い) 治療が必要な場合は処方箋をもらう or 病院紹介 【病院紹介の場合】 病院での診察予約に関する手紙が届く(病院が指定する予約日時の記載あり) 指定された予約内容を変更したい場合は病院に電話 予約日時の希望を伝え、確定 病院で診察・検査 GPで結果を聞く(病院の検査結果がGPに送られる場合) ※追加で検査を実施する場合は医師から連絡があり、新しい予約日時を相談する流れになります。 病院はGPと違って、多くの専門科が揃っており規模が大きいです。施設が広いため、初めて訪れる場合は指定の場所を見つけるのが難しいことも。予約時間の前に早めに到着しておきましょう。 病院の内部 NHS 111の使い方 NHS 111は、電話やオンラインですぐにGPにつながらない場合や、GPの診療時間外でも相談したいときに利用できる便利なサービスです。まずは電話かオンラインで問い合わせることで、どういったアクションを踏めばいいかをアドバイスしてくれます。相談内容によって対応は変わりますが、以下のような例があげられます。 看護師からの折り返し電話を予約 夜間・週末のGP診療を案内 歯科やメンタルヘルスなどの専門サポートを紹介 登録しているGPに連絡するよう指示 薬剤師に相談するよう案内 自宅で経過観察するよう指導 NHS 111では、病院の予約・キャンセルや診断書の発行はしてもらえないので注意してください。 参考 https://www.nhs.uk/nhs-services/urgent-and-emergency-care-services/when-to-use-111/ 緊急の場合はどうする? GPの診察を待てずに急いでいる!そんなときは緊急外来(A&E)や救急車(999)を利用します。 まず、A&Eについて。 A&E(Accident and Emergency/事故・緊急外来)は、GPの予約を待っていられないほどのつらい症状や怪我があるなど、緊急性の高い場合に利用します。Accident and Emergencyのほか、Emergency Department(救急部)やCasualty(救急)とも呼びます。着いたらまず受付で症状を伝えます。 過去に利用した感想は、とにかく待ち時間が長いということです。予約を取らないことと、重症患者が優先されるため、先に着いているのに後から来た人が早く診てもらっていたりします。診察の流れは、各自の状態によって変わります。 緊急時の例 緊急性が低く深刻でないと判断→GPの予約をすすめられる、処方箋をもらう 緊急の場合→専門病棟に移り場合によっては入院 病院の正面玄関と別にある緊急外来用の入り口 緊急外来ではとても待てないような、命に関わる緊急時であれば、999へすぐ電話を。交通事故や発作など重大なシチュエーションには迷わず利用しましょう。電話で聞かれる内容は、場所、999にかけた理由、連絡先など。救急隊員の到着を待っている間ににできることや、どれくらいで着くかも教えてくれます。 黄色と緑が目印の救急車  処方薬と薬局の使い方 診療後に薬が出されたら...?ここからは、NHSの処方薬の受け取り方や薬代について、基本的な情報をわかりやすくまとめました。 薬はGPが発行する「処方箋」で薬局でもらう GPでの診察が終わり、処方薬が必要であれば処方箋が出されます。診察後にGPと連携している近隣の薬局(Bootsなど)に行き、Prescription(処方箋)というコーナーでスタッフに自分の生年月日、名前、住所を伝えると、あらかじめ用意してある薬が手渡され、支払いに進みます。 薬局内の処方薬受け取りカウンター 薬代の仕組み NHSで処方してもらう薬の料金は、2025年の時点で処方薬1品につき※£9.90(約1,880円)です。ひとつの処方箋に複数の処方薬がある場合は、すべての薬の合計金額を支払います。ですが、留学生でも18歳以下で大学やカレッジでフルタイム教育を受けている学生はNHSの薬代が無料です。 処方薬が頻繁に必要な人は、処方箋前払いシステム(Prescription Prepayment Certificate)を利用するのも手です。各自のケースが対象になるかの確認は必要ですが、利用できる場合はかなりお得です。 例えば有効期限が3か月間のPPCは、事前に£32.05(約6,090円)支払えば、有効期間中にいくつでも薬を受け取れます(一部は適用外)。PPCの購入はオンラインがメインで、申請日から有効です。申請を完了すると、メールでPPCの証明書が送られてくるので、薬を受け取るときに提示できると便利です。 ※上記の内容は2025年5月時点での料金と為替レート(1ポンド=190円)です。 参考 https://www.nhs.uk/nhs-services/prescriptions/save-money-with-a-prescription-prepayment-certificate-ppc/ 市販薬はスーパーや薬局でも買える 処方薬以外はどうでしょうか。結論として、スーパー、薬局で簡単に手に入ります。痛み止めや風邪薬、胃腸薬、花粉症などのアレルギー薬、目薬、塗り薬など種類は豊富です。自分に合えば、留学中にイギリスで薬を買って服用することもできるので、必ずしも日本から持ち込まなくてもなんとかなる場合もあります。 ※個人差がありますので、薬の調達については慎重に判断されることをおすすめします。 NHSと留学保険の違い これまでNHSのサービスについてご紹介してきましたが、イギリス留学中に本当にNHSだけあれば安心なのだろうか?と不安に思う人もいるでしょう。ここからは、NHSのサービスが対象外になる場合と、留学保険との違いについてお話ししていきます。 NHSで医療費の支払いが発生する例 処方薬1品につき£9.90(約¥1,880円)かかるとお伝えしましたが、そのほかにも支払いが発生する例があります。 ・歯科医療 ・眼科治療 ・かつらや布製の医療用サポーター NHSのサイトでは、歯科医療について、治療が始まる時点で18歳未満、または19歳未満で所定のフルタイム教育を受けている場合は、NHSでの歯科治療が無料になると伝えています(治療内容によっては費用が発生する場合もあり)。 治療費がかかる場合には、日本より高いと言われていますので、渡英までに歯の状態を診てもらうと安心ですね。 眼科の例では、街中の眼鏡屋で行っている一般的な視力検査なら£20(約3,800円)ぐらいから受けられますが、専門的な検査になるとさらに費用がかかります。眼鏡を作る場合、場所によっては学生割引が使えるので、検査の前にリサーチしてみましょう。 NHSを使って治療ができる街中の歯医者 Haruna 実は私も、イギリスで歯の詰め物が取れてしまって、数ヶ月放置したあとに日本の歯医者にかかったのですが、衛生的に良くない!こんなに放っておくなんて!とすごく怒られた記憶があります…。 留学保険で補える部分もある NHSのサービスがこれだけ充実しているのなら、留学保険はいらないんじゃ?と思う人も多いでしょう。しかし、留学保険に入ることで受けられる恩恵も多いのが事実です。 NHSの病院、つまりはイギリスの公立病院を利用するとなると、無料で診療が受けられる分、長く待たされることもザラです。問題の症状が落ち着くまでに、ある程度の時間を要すこともめずらしくないのです。その点、留学保険に入っておくことで、プライベートの私立病院が利用できます。ロンドンには日系クリニックが数件あるため、日本人ドクターに日本語でサポートしてもらえる点もありがたいです。 私がまだ学生だったころ、もうダメかと思うような辛い症状があったときや、小さな手術を受けたときもすべて留学保険が適用され、プライベートの日系クリニックを利用しました。電話一本ですぐに予約がおさえられ、スムーズな日本語のサービスが受けられたことで、改めて保険の大切さを知りました。 ※持病や既往症は補償されない場合がありますので、各保険会社に問い合わせてみてください。 医療以外のトラブルにも留学保険が活躍します。加入するプランによりますが、盗難や破損、飛行機の遅延も補償されるケースがあります。 「何がどこまでカバーされているか」知っておくと安心 NHSのサービスだけでいいの? 心配だから留学保険に入る?答えは人それぞれ。留学生のなかには、医療サービスにおいてはNHSだけでじゅうぶんだった、という人もいれば、留学保険があってよかった、という人も。しっかりとそれぞれの特性を把握したうえで、自分に合った選択をしてみてくださいね。 医療の備えは安心な留学生活の第一歩 イギリス在住の筆者も、これまでに何度もNHSのお世話になってきました。幸い、GPの受付スタッフや看護師、医師たちには毎回親切にしてもらっています。電話やオンラインでの問い合わせには、ほとんど返信があり、しっかり話を聞いてくれます。ただ、サービスの質に関してはGPによりけり、という声も多いです。GP登録をする際には、口コミをチェックしたり、同じGPに登録している学生の話を聞いたりと、下調べをしておくとより安心です。 安心して留学生活が送れるように、医療面での準備を万全にしておきましょう! https://www.nhs.uk

【実体験】イギリス留学準備術: 合格通知からビザ取得までの記録

3月に入り、イギリスの大学や大学院から合否結果が届いてきたと思います。大学からオファー(合格通知)を受け取るといよいよ本格的な留学準備が始まります。入学までには多くの手続きがあり、スムーズに進めるためには計画的な準備が必要です。本記事では、オファーを受け取った後の具体的な準備プロセスについて、僕の経験を踏まえて詳しく解説していきます。 合格結果の確認と入学手続き 出願してからオファーをAcceptするまで 合格結果が届く時期は大学や学科によって異なり、ここは待つしかありません。僕は出願した5校のうち4校は2月初旬までに結果が届きました。しかし第一志望の大学だけ3月までオファーが来ず、もどかしさを覚えました。遅くて7月ごろに結果が出る場合もあるそうなので、気長に待つことが大事だと思います。UCASのTrackシステムをこまめにチェックしましょう。 オファーの種類(Conditional・Unconditional) イギリスの大学からのオファーには、「条件付きオファー(Conditional Offer)」と「無条件オファー(Unconditional Offer)」の2種類があります。条件付きオファーは、IELTSスコアや最終成績の提出といった特定の条件を満たすことで合格となります。UCASで出願した全ての大学から合否が届いた後は、Firm Acceptance(第一希望)とInsurance Acceptance(第一希望に合格できなかった場合の第二希望)の大学とコースを選択します。第一希望の大学からUnconditional Offerをもらった場合はInsurance Acceptanceを選択する必要はありません。 オファーを受け取った後の対応 自分が受け取ったのが条件付きオファーの場合は手続きを早めに済ませることが大切です。通常、オファーの承諾期限が設定されているため、遅れないように注意しましょう。一部の大学ではInternational Students(留学生)がオファーを承諾する際、デポジット(Deposit - 入学金)の支払いが必要です。この金額は大学によって異なりますが、£1,000~£5,000が一般的です。支払期限も設けられているため、期日を確認して早めに対応しましょう。 不合格だった場合の選択肢(Extra・Clearing) もし出願した全ての大学が不合格(Unsuccessful)だったとしても、結果をもらった後に追加で一つのコースに出願できる「エキストラ(Extra)」と定員に達していないコースに出願できる「クリアリング(Clearing)」というシステムがUCASにあります。Extraは2月末から7月初旬まで、Clearingは7月中旬から9月~10月ごろまで行われます。期待した結果が出なかった場合でも諦めずに他の大学やコースにトライしてみましょう。  イギリス学生ビザ(Student Visa)の申請を徹底解説 イギリスでの長期留学には学生ビザ(Student Visa)が必要です。申請にはいくつかの書類が必要で、その用意やビザ発行までに時間がかかります。とにかく早めの行動が大事です。  必要書類 CAS 大学からのオファーを承諾し、パスポートなどの書類を提出すると、「CAS(Confirmation of Acceptance for Studies)」という入学許可証が発行されます。CASはビザ申請に必須な書類で、入学証明となる番号(CASナンバー)が書かれています。発行には通常数週間かかりますので、余裕を持って手続きを進めましょう。  パスポート パスポートの有効期間が留学期間をカバーしている必要があります。期限が短い場合、事前に更新しておきましょう。申請時にパスポートを提出し、そこにビザが発給されることになります。また、見開き2ページ以上の余白ページがあることも確認しておきましょう。  過去のパスポート 過去10年間の渡航歴を聞かれた時、昔使っていたパスポートがあると便利です。ただし、トランジットで立ち寄り、滞在期間が1日未満だった国も渡航歴に含まれます。こういった場合はパスポートにその記録がない時があります。できるだけ正確な情報を書くことが推奨されているので、僕は法務省の出入国在留管理庁というところで自分の渡航歴に関する開示請求を行いました。500円程度で調べてもらえます。https://www.moj.go.jp/isa/publications/privacy/record.html 英語力の証明書 大学によってビザ申請時に英語力の証明を求めるところもあります。GCSEやIBなどのスコアで証明できる場合と、イギリス政府が認定するSELT(Secure English Language Test)の結果しか受け付けてくれない場合があります。このSELTはイギリスのビザ取得専用の英語力試験です。中には「IELTS for UKVI」や「Pearson PTE Academic UKVI」などがあります。IELTSとは異なるもので、指定のスコアを満たすため改めて受験する必要があります。 申請費用と健康保険料(IHS) 申請時にはビザ申請料(£490)の支払いが必要です。さらにIHS(Immigration Health Surcharge)という健康保険料(£776×コースの年数)も支払います。IHSを支払うと、イギリス滞在中にNHS(国民保健サービス)を原則無料で受けられます。 ビザ申請の流れ 書類の準備ができたら、イギリス政府のUKVI(UK Visas and Immigration)の公式サイトから専用の申請フォームに情報を入力し、書類をオンラインで提出します。オンライン上の手続きが済んで、申請料及びIHSを支払うとVFS Globalのビザ申請センターの来館予約ができるようになります。日本には東京と大阪にビザ申請センターがあります。予約した日にパスポートを提出し、生体認証情(指紋と顔写真)を登録します。審査は通常3週間ほどかかり、終了しないとパスポートが返却されません。ビザはパスポートと共に返却されます。ビザ申請センターで受け取るか、郵送してもらうかを選べます。 審査開始後に財政能力証明書の提出を要求される場合があります。これはイギリスでの生活費をカバーできる資金があることを証明するためのものです。ロンドンの大学で勉強する場合は£12,492以上。ロンドン以外の場合は£10,224以上(授業料を除く)。つまりロンドンでの生活費: £1,438/月、ロンドン以外での生活費: £1,136/月: 9ヶ月分の生活費をカバーできる証明が必要です 。預金通帳や金融機関の取引明細書を英文に翻訳したものが必要です。あらかじめ準備しておくとビザ申請がスムーズに進むでしょう。  より詳しい流れについては下のサイトに説明してあるので、確認してください。https://www.westminster.ac.uk/sites/default/public-files/general-documents/student-visa-application-guide-applying-from-outside-uk-v2.pdf  申請は「何事も早めに」が鉄則! 前述の通りビザの審査には通常3週間ほどかかると言われています。繁忙期にはそれ以上の時間がかかることもあります。ビザ発行が渡英日に間に合わずフライトを変更せざるを得なかった友達が何人かいました。審査期間が多少長くなってもいいように、早めに必要書類を集めて申請することが大事です。「ビザ申請ドットコム」や「IMMIGRATION.UK」といったビザ申請を代行してやってもらえるサービスがあり、書類の翻訳など自分でできるか不安があった僕は活用しました。利用すれば必要な書類を揃えて代行者に提出するだけです。その後の申請フォームの入力やビザ申請センターの予約などは全部やってもらえます。  寮とシェアハウスの探し方 ビザ申請と並行して、イギリスでの住居を確保する必要があります。選択肢としては大学が運営している大学寮、民間の学生寮、シェアハウスなどがあります。 大学寮 vs 民間の学生寮の違い 同じ大学の人と交流できる大学寮は、初めての留学で最も安全で便利な選択肢だと思います。特にロンドンなどの都市部では、民間の賃貸物件の家賃が高いです。そのため、大学寮を利用することでコストを抑えられます。僕は大学1年の時に大学寮で暮らして、2、3年の時は民間の学生寮で暮らしていました。民間の学生寮だと、ロンドン中の大学から学生が集まるので他大学生との交流が深まります。ただし、これらの寮は人気が高く、申込期限が早いです。オファーを受け取ったらすぐに申し込むことをお勧めします。早めに申し込みをしなかったせいで、キャンパスから遠い場所にあったり、家賃が高い寮しか残っていなかったりという話も友達から聞きます。 大学が寮の情報を発信していますし、部屋の予約ができるResidence(住居)のサイトやWebポータルにも情報があるので、そこのSNSなどに登録して最新情報をチェックしましょう。  僕が住んでいた民間の学生寮 シェアハウス探しの注意点と便利サイト シェアハウスは費用を抑えつつ、学生のみならず現地の人々と交流できる点が魅力的です。ただし、契約詐欺や知らない人とシェアしなければいけないというリスクもありますので、信頼できるサイトを利用して物件を探し、可能であれば現地で内見してから契約を結ぶことが望ましいです。住居探しには、Rightmove(https://www.rightmove.co.uk/)やZoopla(https://www.zoopla.co.uk/)などの物件検索サイトが便利で、よく使われています。また、SpareRoom(https://www.spareroom.co.uk/)を利用すれば、ルームシェアの相手を見つけることもできます。  必須手続き: eVisaについて 返却されたパスポートに載っているビザはあくまで仮のEntry Clearance Visa(入国許可証)というもので、発行されてから90日まで有効です。正式なビザはeVisa(Online immigration status)という電子書類です。UKVIから送られてくる案内に従い、オンライン上でビザの申請番号やパスポート番号を登録して、アカウントを作成します。 イギリスに入国する際、パスポートのビザだけでなくeVisaの提示が求められる場合があります。そのため渡航前に手続きを済ませておくといいでしょう。これまではBRP(Biometric Residence Permit)カードという物理的な書類だったのでした。2025年の1月からオンラインに置き換わりました。 今回紹介したプロセスの他にも航空券を予約したり、持ち物を準備したりするなど、渡英までにやっておく必要があることはたくさんあります。それらについてはまた別の記事で書きますので、楽しみにしていただければ幸いです。CASやビザの発行などには思っている以上に時間がかかるものもあります。留学生活がスムーズに始められるよう、計画的に準備を進め、安心して渡英しましょう。  https://www.gov.uk/student-visa

UCL現役大学生の留学体験記!イギリス留学のリアルと道のり

京都からイギリスへ: UCL大学留学を決めるまで 自己紹介・バックグラウンド  はじめまして。Nanaです。京都市出身で、中学まで地元で過ごし、高校からイギリスの学校に進学しました。  現在は、University College London(UCL、ユニバーシティカレッジロンドン)でArts and Sciences(アーツアンドサイエンス)学科で勉強しています。一つの専門分野を3年間かけて学ぶ一般的なイギリスの大学とは異なり、この学科ではリベラルアーツ教育に似ていて、文理問わず幅広い分野の科目・デパートメントの授業を取ることができます。  留学を決意したきっかけ 中学2年生の時にスイスでサマースクールに参加した体験が留学を志した原点です。いろいろな国から生徒が来ていて、英語だけでなく、ドイツ語、イタリア語、フランス語などを操る同年代の生徒と出会いました。言語がもたらす新しい人との出会い、つながりや発見に心躍らされました。私もグローバルな世界で過ごしたいと強く思った経験でした。 学校選びから出発まで 本格的に留学を考え始めたのは中学2年生の冬あたりでした。サマースクールで訪れたスイス、友人がすでに留学していたアメリカとイギリスを留学先の候補にしましたが、結局イギリスとアメリカの学校に出願し、先にオファーが来たイギリスの学校に入学することに決めました。 友人に紹介してもらった留学エージェントを通して、学校の選定、受験、インタビュー(面接)を経て、イギリス南西部にあるTaunton School International(TSI、トーントンスクールインターナショナル)への入学が決まりました。インタビュー(面接)や試験はすべて、オンラインで行いました。 Taunton School International(トーントンスクールインターナショナル) の校舎 しかし、この時期(2020年)にちょうど新型コロナウイルス感染症が流行り始め、4月に予定していた渡英は先送りされてしまいました。イギリスには行けなかったものの、学校側がいち早くオンライン授業を導入したため、4月-6月の1学期間は日本の自宅で授業を受けました。思い描いていた留学の始まりではありませんでしたが、振り返ってみればホームシックにならず、少しずつ英語に慣れていく良い機会だったと思います。 TSIではGCSEと呼ばれる中学課程に当たるものを1年間学習しました。2年目からはLancing College(ランシングカレッジ)という現地校に入学し、A-level経済、数学、応用数学、日本語を履修し、受験を経て、UCLに入学しました。 Lancing College(ランシングカレッジ)のチャペル UCL大学生のキャンパスライフ ロンドンならではの魅力と学びの日々 現在通っているUCLはロンドン中心部にあり、1826年に設立された大学で、150を超える国から学生が集まる国際性と400以上のコースを提供し幅広い研究分野を持っているのが特徴です。ロンドンという大都市ならではの刺激的な環境もあり、学びだけでなく生活面でも多くの発見がある大学です。 University College London(UCL)に入学 リベラルアーツ型の学び: Arts and Science学科の特徴 大学ではArts and Science(アーツアンドサイエンス)と呼ばれるリベラルアーツの学科で勉強しています。この学科はイギリスの大学にしてはとてもユニークです。イギリスの大学では基本的に高校で専攻した教科を中心により深く学びます。例えば高校で経済を専攻すると大学でも経済学部やビジネス系の学部に進み、その学部で必修授業をとります。 しかし私の学部では多くの学問の知識をいかに融合させて社会課題の解決策にアプローチするのかに重きを置いています。こういった学問を英語ではInterdisciplinary studiesと呼び、分野横断的(学際的)な学びを意味します。社会課題を解決するのにもさまざまな切り口や専門知識が必要なうえ、分野が異なる人々と協力することも欠かせません。そのようなことを中心に学んでいます。 そのため、履修する授業の半分以上を自分で選択できます。学科の中で、3年間を通して全く同じクラスの組み合わせを取っている学生は誰一人いません。こういった環境が自分の学習生活を唯一無二にします。 実際に履修している授業紹介 私が今年取っている科目は、Principle of international public law(国際法)、Mathematical analysis, Real analysis(解析学)、Database system(データベースシステム)、Macroeconomics/Open and Closed economy(マクロ経済学)、Quantitative methods(定量調査)、Sustainable energy(持続可能エネルギー)、Mandarin(中国語)です。 分野がバラバラでそれぞれ全く関係なさそうに見えますが、Sustainable energyで学ぶエネルギー政策はMacroeconomicsの経済政策につながっていたり、Quantitative methodsで習得する基礎プログラミングはDatabase systemで応用できたりと、他の学生とは違った視点で問題の解決法を見いだすことができます。 課外活動とロンドンでの暮らし 日本語を教えるJapan Societyでの活動 授業外では、Japan Societyと呼ばれるソサエティ(サークル)に参加していて、2週間に1度、学生に日本語を教えています。 Finance and Economics Societyで得た学びと人脈 また、Finance and Economics Societyにも参加しており、週1くらいの頻度で開催されるロンドンの投資銀行などの金融業界で働く方によるセミナーに参加しています。UCLのネットワークはかなり広く、トップ企業で働く卒業生も多いので、いろんな人から話を聞けるチャンスがたくさんあります。 ロンドンの美術館・博物館巡りで深める学び ロンドンには大英博物館(British Museum)やナショナルギャラリー(National Gallery)など、たくさんの権威ある美術館と博物館が集まっていて、ほとんどが入場無料ということもあり、休日にはなるべく行くようにしています。 昨年取ったSocial Theoryの授業ではオリエンタリズム(西洋が東洋をどのようにとらえていたのかを研究する学問領域)のトピックを扱ったのでテムズ川畔にあるTate Britain(テート・ブリテン) の絵画を見に行きました。 Colonialism(植民地主義)などのトピックを考える際、博物館の作品は貴重なソースとなり、実際に鑑賞することでコンテンツの理解をより深めることができます。 高校留学・大学留学を通じて得た学び 広がった視野と情報へのアンテナ 留学して良かったことは、視野が広がったことと得られる情報が増えたことです。異なる文化や価値観を持つ人たちと関わる中で、自分が当たり前だと思っていた考え方が、実は国や環境によって大きく異なることに気づきました。Taunton School時代のルームメートはブルンジ人でした。初めて聞く国からの生徒だった彼女とどうしても話をしたくて、どんな国なのか、何語を話すのかなどを調べた記憶があります。 多様な視点を学べる国際的なクラスメートとの出会い 授業では、さまざまなバックグラウンドを持つクラスメートと意見を交わす機会が多く、同じテーマでも多様な視点があることを学べたのは、とても刺激的でした。日本では、自分がどの政党を支持しているか、政策まで議論することはなかったですが、イギリスでは自国の政策はもちろん、他のヨーロッパ諸国の政策まで網羅している学生も何人かいて、意識の高さがうかがえました。 経済の授業では特に、GDP(国内総生産)成長率やインフレ、利子率を必ず頭に入れておく習慣ができました。円安など、身の回りで起きていることが身につけた知識で理解できるようになっていくのが楽しかったです。 英語力と自己発信力の向上 また、英語でコミュニケーションを取る力が自然と身につき、自信を持って自分の意見を発信できるようになったのも大きな成長です。さらに、留学生活を通じて新しい友人や経験に出会い、自分自身の挑戦する力や柔軟性も養われたと感じています。 留学生活で感じた辛さと乗り越えた経験 言語の壁とコミュニケーションの葛藤 留学で辛かったことのひとつは、最初の頃に感じた言語の壁です。英検2級を取得後に渡英しましたが、授業では、ネイティブスピーカーや先生たちのスピードについていけなかったです。留学当初は宿題を終わらせるのにも、クラスメートの3倍時間がかかりました。 授業がわかるようになっても、友達との会話や冗談を理解し、話すまでにはかなり時間がかかりました。小学校の間に英会話塾に週1で通っていましたが、実際に会話しようとすると、自分のシャイな性格も相まって単語が出てこない場面が多くあり、自分の意見を思うように表現できず、もどかしさを感じることがありました。 辞書を片手に専門用語と格闘する日々 大学に入ってからは、専門的な単語も多くて、今でも辞書は手放せません。ですが、一つ一つの単語の意味を調べる習慣がついたことで、理解できない単元があっても、わかるまで調べたり文献を読んだりして、人一倍深い学びを得たと思います。 これからイギリス留学を目指す人へのメッセージ 留学は挑戦の連続ですが、ぜひ恐れずに一歩踏み出してみてください。その経験が、自分自身を大きく成長させ、未来への大きな力になるはずです。 https://jp.education-moi.com/article-51-ucl https://www.ucl.ac.uk

【イギリス高校留学】15歳で親元を離れたボーディングスクールでの生活

私は15歳から親元を離れ、イギリス留学を始めました。大学もイギリスで、卒業後もしばらく滞在していたため、気づいたら14年間イギリスにいることになっていました。苦あり楽ありの留学体験をお届けします。 イギリス全寮制高校への道: 留学を決意するまで 小さい頃、父の仕事でアメリカに行っていたことがあり、英語には多少自信がありました。しかし、滞在は4歳から6歳までのわずか2年半だったため、帰国し中学生になった頃には英語力がかなり落ちていました。ある日、母と当時の英語の家庭教師からの要望に応じ、英語のエッセイを書いてみました。すると「アメリカの小学校2年生レベルだね」と言われ、ショックを受けました。これを機に、英語をちゃんと勉強しようと決意しました。 ちょうどその頃、インターナショナルスクールに通っていた2つ上の兄がイギリスの大学に進学したいと言ったので母と3人でイギリスの大学の下見に行くことになりました。自分にとって未知の国だったイギリスに惹かれていたのと、いつかは留学したいという思いが相まって、ついでに高校も見ようと母と決めていました。 ノッティンガムシャーの高校見学 複数の大学や高校を巡り、その中のひとつの高校にとても良い印象を持ちました。イギリス東中部、Nottinghamshire(ノッティンガムシャー州)のWorksop(ワークソップ)というところにある高校です。先生が優しく、校舎も広くてかっこよく、生徒達の行儀もとてもよかったです。みんな紳士的で礼儀正しく、先生方の指導が行き届いていることが伝わってきました。 若くして単身留学することを心配していた母も、このしっかりした校風が気に入りました。校長先生とお話をし、その後校舎見学をしました。また、私が医学部志望だったため、英語力をネイティブ並みに上げる必要があると言われ、もうその夏から入学することを勧められました。もともとイギリスでそのまま医学部に行くつもりはなかったのですが、先生方や両親と相談し、見学に行った2ヶ月後には留学を決心しました。 学校の校舎 イギリス高校留学|ボーディングスクールの生活とは? 寮のシステムと制服 イギリスに着いてすぐ、寮長さんや寮母さんに挨拶しました。説明を受け、私はYear 10(日本の中学3年に該当)に入学しました。日本の中学に相当する学年では制服が決まっています。ブレザー、シャツ、スカート、そしてcravatと呼ばれるネクタイのようなものに加え、靴下も学校指定のものを着用しました。 この学校には数種類の寮があり、女子は学期中ずっと過ごす「Full boarding(フルボーディング)」用、平日だけ暮らす「Weekly boarding(ウィークリーボーディング)」用、そして「Daily student(夜には家に帰る通学生)」用の寮がそれぞれ1つです。男子寮はDaily studentと住み込みの生徒が混ざっていて5~6つの寮がありました。各寮には30~40人くらいの生徒がいました。 1つの寮には最下級生のYear 9(中学2年生)から最上級生のYear 13(高校3年生)までが一緒に暮らしており、2、3人部屋もあれば1人部屋もあります。新入生は基本的に多人数部屋に割り振られ、最高学年の生徒は1人部屋が与えられました。私は最初3人部屋に入りました。その後2人部屋になったり3人部屋になったりの繰り返し。最終学年になったらついに1人部屋を手に入れました。毎学期、部屋のメンバーは先生が決めて変えていました。 校長先生の住むお家。学校の入口のすぐ隣にある 深夜の勉強と寮のおきて 渡英当初の英語力では会話についていくのが精一杯で、授業は全く理解できませんでした。現地の生徒ばかりの学校で、私の学年にいた留学生は他に男子2人だけでした。英語の授業以外は現地の生徒達と一緒に受けるため、取り残されないように懸命でした。深夜と早朝の時間を活用し、ひたすら教科書の翻訳をする日々が続きました。 ある明け方、普段電気が点いている部屋が消灯されたので階段に座って勉強していました。すると寮母さんが駆けつけてきて、「Yui、こんな時間に勉強しないの!ここはアラームがついているの。勉強は日中だけでも十分なのだから夜はしっかり休みなさい」と注意されてしまいました。どうやらこの階段にはアラームが設置されていて、人が入ると寮母さんなどの責任者だけが知らされるようになっていました。それ以来、夜中の勉強はやめました。 ホームシックと戦う日々 寮生活はとても厳しく、朝1回、お昼前に1回、お昼後から夕方にかけて3回、そして夕飯後の宿題時間に3回、点呼がありました。そして寝る前には先生が各部屋を回って携帯電話を没収し、電気も強制的に消されます。しかしほとんどの子は偽物の携帯を預けていました。 留学した最初の年はスマホもWi-Fiもなかったので私はガラケーを使っていました。インターネットは共用のパソコンルームのみで使うことができます。家族と連絡を取るときは国際電話でした。 週に1回、Skypeが使えるパソコンを予約して家族とビデオ通話することができました。しかし世界中から留学生が来ているので常に予約枠の取り合いでした。日本との時差の関係で都合の良い時間帯が限られ、目当ての時間枠が取られてしまってよく落ち込んでいたものです。 最初の1年間はホームシックでほぼ毎日泣いていました。言葉があまり通じなかったため友達もできなかったです。「かわいそう」と寄ってきてくれる生徒や授業で一緒になった生徒とたまに話す程度でした。都会ではなかったので、アジア人が少なく、奇異の目で見られているように感じました。 留学1年目の冬。膝下まで雪が積もるほどの大雪でした 辛かった陸軍の訓練 私の学校はCCF(Combined Cadet Force)という連合将校養成隊の時間があり、Army(陸軍)の訓練をしました。陸軍の他に、Navy(海軍)、Royal Air Force(空軍)もあり、現地の生徒は選択が可能でした。その頃、私たち留学生は選べず、一番人数の多い陸軍に自動的に振り分けられました。軍隊用の重たい迷彩服を着て寒い中2時間くらいマーチングし、銃の練習や匍匐前進などをするのはとても苦痛でした。また、落ち葉や枝を集めたり、数人組で運動させられたりと、グループでの活動が多かったです。友達の少ない私には楽しくはありませんでした。 礼拝の時間でスピーチに挑戦 一方で、週5回の朝のChapel(礼拝)の時間は比較的平和な時間だと感じました。讃美歌を歌い、お話を聞くだけの時間でした。木曜と土曜日以外の曜日に毎週、礼拝が行われました。日曜日だけ、朝の礼拝は全校生徒ではなく、寮生のみの参加で人数が少なかったです。そのため留学生にも皆の前で話をする機会が与えられました。 私も数回日曜日にスピーチした後、全校生徒の前で話す機会をもらい、3.11の出来事などを話しました。現地の生徒が多かったので、彼らにとって海外に触れられる貴重な機会だったと思います。その他、日本や中国の祝日の時には文化のお話もしました。 日本ではクリスマスは外で過ごし、お正月は家族で過ごすものだと伝えたら、イギリスとは真逆なので驚かれました。話した内容に興味を持ってくれ、それをきっかけに会話が弾むことがよくありました。先生方は、私たち留学生が学校に溶け込めるよう、常に様々な工夫をしてくれていました。 チャペル 深める交流: スポーツとイベントの舞台裏 ハリーポッターの世界!イギリスならではのスポーツ イギリスのBoarding school(ボーディングスクール・全寮制学校)特有のスポーツの時間もありました。季節や性別によって競技が分けられています。秋には男女共にもホッケー、冬は女子がネットボール、男子がラグビー、夏は水泳、クリケット、クロスカントリー、ラウンダースなどから自由に選択できました。 ハリー・ポッターに出てくるような寮対抗の大会や他校との試合もありました。他校との試合では、全生徒が実力別に分けられ、相手校の同じレベルのチームと戦います。そして試合後は相手チームと一緒にSupper time(おやつの時間)があり、ポテトやパン、フルーツ、ケーキなどを一緒に食べました。 ラグビーコートが9面もある広大な敷地を持つ学校。裏にはゴルフコースも プロムやダンスパーティー 年に数回、寮ごとのパーティーがあり、他の寮の子も主催寮の生徒に招待されれば参加できました。男子寮が開催するダンスパーティーに出席する際はProm(プロム)に行くような感じのドレスアップをしました。また、冬休みに入る前は各寮の寮生全員が一丸となって練習したダンスを全校生徒の前で発表するイベントもありました。 その他にも私はInternational Eveningを主催したことがあります。各国の生徒が協力して国の料理を作り、みんなでビュッフェスタイルで食べるイベントです。先生方に協力していただき、ダイニングホールとキッチンを借りて行いました。そこで日本人チームはトンカツを作りました。 日本人チームが作ったトンカツ 英国ボーディングスクールの授業内容 1年目はGCSEを勉強しており、Science(理科)、Mathematics(数学)、English as a Second Language(英語), Religion(宗教学)とStudent Selected Studies(選択科目)でした。選択科目にはGeography(地理)、History(歴史)、Art(美術) , Design and Technology(デザインとテクノロジー)、Food and Nutrition(料理と栄養学)などがありました。 私は理系だった上、英語の授業についていくのに必死だったこともあり選択科目ではArt、Design and Technology、そしてFood and Nutritionを選択しました。英語がネイティブの生徒はフランス語なども選択可能でしたが、留学生は必ずEnglish as a Second Language(ESL)をとらなければならず、他の言語は選択できませんでした。ESL以外の授業は全て現地の生徒たちと一緒でした。 私は日本で購入した電子辞書をどの授業にも持っていき、常に単語の意味を調べながら受けていました。最初の1年は辞書を使用して試験を受けることが許されていました。試験の際には先生から英和辞典が手渡され、それを使って試験に挑んでいました。 イギリス高校留学で得たこと 先生のサポートに感激した日 特に印象に残っているのは理科の授業で試験が返却された時のことです。私は60%しか得点できず、周りの不真面目な子たちと同じくらいの点数でとても悔しかったのですが、先生は私の努力を褒めてくれました。 しかし他の生徒がそれを聞いて「でも辞書を使ってるしね」と嫌味を言いました。それに対し先生は「じゃあ君は他の国に行ってその国の言語でテストを受けた場合、辞書を使えばこの点数取れるのか?簡単なことではないよ、母国語で受けても簡単じゃないんだから」と返してくれました。この先生のサポートは今でも忘れられません。このように素晴らしい先生方がたくさんいる学校でした。  Comfort zoneに戻るか挑戦を続けるかの決断 渡英してから1年経った時の夏休みに帰国した際、正直イギリスに戻るか少し悩みました。友達が少なく、授業も難しい。でもやっと英語にも慣れてきたこと、そして何よりも先生方の期待に応えたい気持ちがあり、もう1年、せめてGCSEだけでも終えようと、戻る決心をしました。 重たい足を引きずり、再び寮に戻ると、先生が「戻ってきてくれてよかった」と声をかけてくれました。複雑な心情で戻ってきたけれど先生方がいれば頑張れると思いました。 私の学年に新しい留学生が増え、寮にも何人か入ってきました。英語が全く話せなかった中国人の生徒が1人いて、その子に英語を教えながら暮らしていたらいつの間にか自信もつき、留学生活が楽しくなっていました。そして授業にもついていけることに気が付きました。友達も増え、去年から同じクラスだった生徒達に「Yui、英語すごく上達したね」と言われたときは本当に嬉しかったです。 おかげでGCSEは良い成績で卒業できました。次回はA-level、やホストファミリー、休暇の過ごし方について書きたいと思います。 https://passport-to.com/articles/9/

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インペリアルカレッジロンドンの年度初め: 学期最初の1週間

こんにちは!Kenshuです。今回は9月に始まったImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)での新学期の最初の1週間を紹介していこうと思います。海外の大学での新学期の始まりはどんな感じなの?って疑問を持っている皆様の参考になれば嬉しいです。 イギリスの大学はいつ始まる? イギリスの大学が始まるのは大体9月から10月です。大学によって始まる日にちは違います。例えば今年(2025/26年度)だとUniversity College London(UCL)は9月22日、King’s College London(キングスカレッジロンドン)だと9月22日、University of Cambridge(ケンブリッジ大学)だと10月1日などと大学ごとに変わります。僕の通っているImperial College Londonでは9月29日に始まりました。 大学によってはWelcome WeekやOrientation Weekと呼ばれる期間が設けられていて、本格的な授業はその翌週から始まることが多いです。 いつイギリスに行けばいい? 学期が始まる数日前に着くことをおすすめします。自分の住む家(寮やアパートなど)の入居可能日や家族と一緒に来るのかなどを総合的に考慮して決めるといいと思います。僕は一人で渡って、寮に入ったので学期が始まる2日前の27日に行きました。 初日は時差ボケや荷解き、買い出しなどで結構忙しくなります。そのため最低でも1、2日前には到着しておくと余裕をもって学期開始を迎えられて安心です。 インペリアルカレッジロンドンの寮はどんな感じ? インペリアルの1年生は寮に入れることが確約されています。入学する年の5、6月ぐらいにインペリアルからフォームが送られてきて、希望する寮を記入します。 インペリアルには6つの寮があり、キャンパスからの距離、設備、値段などがさまざまです。僕がいるWoodward Buildingsはキャンパスから一番遠い分、値段が安いです。キャンパスに近いSouthside HallsやEastside Hallsでは値段が倍ぐらい違うことがあります。 インペリアルカレッジロンドンの寮 WoodwardにはBlock A、B、Cがあり、各棟に200人ほどが住んでいます。各フロアには10人ほど住んでいて2つのキッチンを共同で使っています。キッチンは結構充実していてIH式のコンロが8つ、オーブン、冷蔵庫がそれぞれ2つ、電子レンジなどがあります。 毎日夕方の6、7時になるとみんなが料理をしに来るのでその度に仲良く話しています。共同生活ならではの出会いや会話が生まれやすく、友達を作るきっかけにもなります。 寮に着いた初日に学生全員がStudent Cardをもらいます。この学生証は講義棟や寮、自分の部屋に入る時などに使います。僕は入居して間もない時に一度Student Cardを部屋に忘れ、1階にあるReceptionまで行ってドアを開けてもらいました。10~15分かかったので絶対になくさないで常に持ち歩くようにしないといけないなって痛感しました。 寮からインペリアルカレッジロンドンまでの通学路 寮はNorth Acton駅の近くにあり、ヒースロー空港からは比較的簡単に辿り着けました。Central Lineが通っているのでロンドンの中心街(SOHO)にも乗り換え無しで行けます。 寮からインペリアルのSouth Kensingtonキャンパスまでは電車を2本乗り継いで行けます。でも個人的には乗換駅で次の電車に乗らず、そこから徒歩でHyde Parkを通過して大学まで行くのが好きです。毎朝友達とHyde Parkを歩くのは気分が晴れます。ビル群ではなく、自然の中が通学ルートになるのはとても魅力的です。 毎朝登校中に通り抜けるHyde Park Hyde Parkのすぐ近くにあるRoyal Albert Hall イギリスでの生活用品の準備 渡英してすぐに必要になのが生活用品の買い出しです。寮には家具が備え付けられていますが、枕、布団、調理器具などは自分で揃える必要があります。僕は到着した日に近くのJohn Lewis(家具量販店)で寝具一式、数日後によくわからない地元の店でフォークやスプーンなどを調達しました。Amazonを活用する人も多く、寮に直接届けてもらえるので便利です。 インペリアルカレッジロンドン: 年度初めのイベント Freshers Fair Freshers FairとはいろいろなSociety(サークル)やスポーツクラブなどが一堂に会して1年生に活動内容を紹介する新入生歓迎祭です。このイベントは2日間にわたって開催されます。 インペリアルには300を超えるSocietyがあり、文化、スポーツ、趣味などいろいろな種類があります。スポーツクラブだとトライアウトがあり、2、3回チャンスが与えられます。大学生活で勉強だけではなくスポーツにも打ち込みたいっていう人にはいい機会だと思います。 無料のグッズやクーポンを配っているブースもあるので、気軽にいろいろ回ってみるのがおすすめです。 Freshers Event 最初の1週間は寮単位や学部単位、Student Union(学生連合)主催のいくつものイベントが行われます。Halls Mixersやクラブを貸し切るイベントもあります。 Halls Mixersでは自分の寮の人たちとお酒を飲みながら交流します。新しい友達を見つけられることもあります。 他にはクラブを貸し切ってインペリアル生だけのパーティが行われます。ビールやテキーラなどのショットだけで6ポンド(約1200円※)以上するのでお金に余裕がない人にはあまりおすすめしません。経験を得るため友達やFlatmatesなどと行くにはめちゃくちゃいい機会です。 ※1ポンド=200円で換算 各コースのイベント 各専攻にもイベントが開催されます。僕はChemical Engineeringを専攻しているのでそれに関する講演やアクティビティなどがありました。インペリアルの学長やChemical Engineering Departmentの学部長によるスピーチ、自分と同じ専攻の新入生たちと一緒にランチを食べながら情報交換するなどいろいろ充実していました。 最後に 最初の1週間は勉強というよりかは学校のことをよく知り、周りの人たちと仲良くなる期間です。そのため比較的時間に余裕ができるので、友達や家族などとロンドン観光をしてみてもいいかもしれません。Natural History Museum(ロンドン自然史博物館)やいくつかの美術館などがインペリアルから徒歩数分のところにあるので行きやすいです。 https://passport-to.com/articles/27/

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イギリス大学留学Pre-Departure Event 2025@東京 #3|舞台裏に迫る

イギリスの大学留学を始める学生向けに8月23日にPre-Departure Event 2025が開催されました。この記事では開催までの経緯や当日の準備など、イベントの舞台裏をお届けします。 イベントの裏側はこちらの動画にもありますので、併せてご覧ください! https://www.youtube.com/watch?v=pGcj4TY1IrA 開催の経緯: Moi Educationとのコラボ 今回のイベントは4大学のJapanese Societyの合同開催ですが、中心となって進めてきたのがImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)のJapanese Societyです。インペリアルJapanese SocietyのSecretaryのSaraさんによると、一つ上の学年のコミッティーから「いつか東京でイベントを開催したい」という話をずっと聞いていたと言います。 夏休みに代が替わり、25/26年度のコミッティーとしていろいろなイベントの企画が始まりました。その時に、Moi Education代表のMakiさんと別の件で打ち合わせをしていた際に、「東京で渡航前イベントを開催したいです」と話を持ち込み、Makiさんが「ぜひ一緒にやりましょう」ということでした。 インペリアルJapanese Society副会長のYukaさんによると、インペリアルにあるSingapore Societyなど、他の国の団体が毎年開催しているため、それらを参考にしたそうです。 事前準備: 4大学のJapanese Societyが打ち合わせで調整 イベントの運営は会場探しやInterest formを利用して参加者数を予測するところから始まりました。しかしインペリアルのみではかなり小規模になることが分かったそうです。加えて8月中旬にならないとA-levelの結果が出ず、その関係で参加を決められない新入生が多いことが浮かび上がりました。また、他大学からの参加希望者がいたことも踏まえ、合同開催に踏み切りました。 コミッティー全員が「去年の自分が渡英前にあったらうれしかったイベントを後輩たちに届けたい」という思いを原動力に準備を進めました。 本格的に動き出したのは開催の約1カ月前です。インペリアルのJapanese Societyのメインコミッティーがプログラムの大枠を決め、他の参加校のJapanese Societyとオンラインでミーティングを重ねました。イベント全体の企画は主にSaraさんが「去年の自分が渡航前に知っておきたかったこと」をベースに決めました。 それに加え、学部、大学、都市が異なるメンバーからも意見も入れて、より多様な視点から見たイギリス留学、そしてコミッティー全員が新入生に伝えたいことを追加していきました。 当日の準備: リハーサルなど最終調整 Pre-Departure Eventのポスター イベント当日の午後2時、コミッティーたちが会場に集まりました。まずは椅子や机の並べ替えなどをして会場設営をしました。第二部がスムーズに始められるように、大学ごとにテーブルを分け、印となる大学のロゴを貼った。その後、プレゼンテーションで使用する大型ディスプレーの準備と接続をし、発表の流れのリハーサルも行われました。 各大学のJapanese Societyのコミッティーが打ち合わせをしている様子 開場の時間になったらSaraさんが入口近くで受付の準備を始め、パソコン上に名簿を表示させました。受付と同時に参加者に名札を自分で書いてもらえるよう、名札シールが用意されました。 責任者のSaraさんインタビュー 今回のPre-Departure EventはImperial College LondonのSaraさんが企画し、他の3つの大学のJapanese Societyのコミッティーとの調整などを行いました。責任者のSaraさんに開催の経緯、準備の過程などについて聞きました。 Pre-Departure Eventでプレゼンテーションを行う責任者のSaraさん Q: 実際に開催してみてどうでしたか? イベントをやって本当によかった、というのが一番の感想です。何よりも「来てよかった!」「いろんな人と会って、話せて楽しかった」「役立つ情報をすでにイギリス留学している先輩たちから聞けて参考になった」という声をいただけたのがうれしかったです。 ぜひ今後も続けていきたいですし、来年度以降のコミッティーに引き継ぎたいですね。今回参加してくれた後輩たちに熱意とイベントの良さが伝わっていることを願います。 Q: 開催にあたって、大変だったことはなんですか? 一番苦労したのは、夏休みの時期に企画を動かしたことです。みんな旅行や予定がある中で、ミーティングに参加したりスライドを作ったりしないといけなくて。私も旅行先のホテルからオンラインミーティングに出たりしていました(笑)。 インペリのコミッティーは普段から仲が良いので、単に「仕事仲間」だけでなく、お互いの時間も大切にしつつイベントを成功させたい気持ちもあって、そのバランスを取るのが難しかったです。でもそういう中で「連絡のプラットフォームを仕事用とプライベート用に分ける」みたいな工夫も生まれて、チームとしても個人としてもすごく成長できたと思います。 Q: 今回開催した中でよかった点や改善点を踏まえ、次回以降はどのような変更を行いますか? 毎年続けていけるイベントにしたいと強く思っています。 今回のイベントの良かった点の一つとして、参加者同士が大学や学年、留学の形態や先輩後輩といった枠にとらわれず、自由に交流できる雰囲気が自然と生まれたことです。当初私が目指していた以上に素敵なものでした。 今後は参加校が増えたり認知度が上がったりして規模がより大きくなっていく可能性もありますが、数に流されず「温かい雰囲気のイベント」であり続けてほしいです。 プレゼンテーションの内容に関しては改善できる点も多いと感じています。就活関連の少しシリアスな内容から、各都市の日本食事情といった日常に密着した話題まで、バランスの取れた構成にはなっていたと思いますが、基本的にコミッティーが一方的にプレゼンする形だったので、今後はもっとインタラクティブにできると良いと思います。 第二部は各校のブースを設置して、自由に話せるフリートークタイムとしましたが、ワークショップのような形で、いろんなバックグラウンドの学生を集めたグループで何かアクティビティをするのも面白いかもしれません。 インペリのJapanese Societyの場合、毎年2年生がコミッティーを担当するのが慣例です。来年以降私がどんな形でJapanese Societyに関わっていくかは未定ですが、今回のイベントで得た学びや感想は、必ず次の世代に引き継ぎたいと思っています。 Q: 最後に新入生へのアドバイスをお願いします! ワクワク、ドキドキ、緊張、色んな気持ちでいっぱいだと思いますが、ぜひ思いっきり楽しんでください!大学は自分の世界がどんどん広がっていく場所です。そしてロンドンは多様性にあふれ、毎日新しい刺激がある街です。たくさんの人に出会い、色んなコミュニティに参加して、多くの経験を積むことが、きっと素敵な大学生活になります! もちろん、勉強という本業も忘れずに。Japanese Societyにもぜひ遊びに来てくださいね☺︎ Pre-Departure Eventに参加した新入生とJapanese Societyのコミッティーたちの集合写真 コミッティー紹介 イベント中に主催したJapanese Societyのコミッティー3人に話を聞くことができ、現在の専攻やロンドン生活の楽しみなどをご紹介します。 Saraさん Saraさん 所属: Imperial College London, Medical BiosciencesJapanese Societyでの役職: Secretary 小さい頃から理科が好きで、人体構造や病気の仕組み、薬効を学ぶことが面白くて、そこから医療生物学に惹かれるようになりました。また、エジプトやミャンマー、インドといった医療体制が十分でない国々で暮らした経験も大きな理由です。 質の高い医療にアクセスできない現実を目の当たりにし、国際機関やNGOが医療支援で果たしている役割に感銘を受けました。その中で私は、医薬品や医療機器の研究開発を通じて、人々が安心して医療を受けられる社会づくりに貢献したいと考えるようになりました。 インペリアルのMedical Biosciencesは、医療生物学を幅広く学べるだけでなく、研究者としての基盤を養うことができるコースです。自分のやりたいことや将来必要なスキルと一致していたため、進学を決めました。 大学生活では、3歳からずっと続けているバレエを楽しんでいます。ダンスサークルのバレエ部門に入っていて、毎週のクラスに参加したり、コンペティションチームで踊ったりしています。2年生からはチームのコミッティーとしてクラスのインストラクターもやっています。 寮生活が始まってから料理にハマっていて、自分のキッチンでディナーパーティーを開いたり、作り置きを工夫したり、各国の友人からレシピを教わったりと、多国籍な環境ならではの楽しみを満喫しています。 それからJapanese Societyの活動も、今年度からコミッティーとして本格的にスタートしました。大変なこともありますが、Secretaryとして仲間と一緒に楽しく仕事しています! Rukaさん Rukaさん 所属: Imperial College London, Biomedical EngineeringJapanese Societyでの役職: Vice President 医療分野に応用できる工学の知識を幅広く学んでいます。1、2年のうちは講義とテストが中心で、3、4年になると実験・実習が増えると思います(MEng/学部・修士一貫課程なので4年間です)。 元々医学部を視野に入れながら医療系に関わりたいという気持ちがありました。将来のことを考えた時に、企業に入って医療機器の開発に携わりたいと思うようになりました。それで学部のコースをいろいろ調べていたら、インペリアルのBiomedical Engineeringが一番自分にぴったりだったのでそこにしました。 今のところ勉強は思っていたほどは忙しくないのですね。一応毎日勉強するように意識していますが、遊びに行く余裕は意外とあります。ロンドン生活の中で、観光が楽しいです。いろいろなマーケットというか屋台っぽいのがいっぱい集まっているバラマーケットなどがとても良かったです。 Shinichiroさん Shin-ichiroさん(左) 所属: The London School of Economics and Political Sciences, EconomicsJapanese Societyでの役職: Secretary and Language Officer 今回のイベントでは会長代理として来ました。LSEのJapanese Societyは他の大学と比べるとかなり小規模ですが、このイベントではLSEの新入生が一番多くてちょっと困惑しています(笑)。 今までブラジルのサンパウロ、インドネシアのジャカルタ、アラブ首長国連邦のドバイと、世界を転々としてきた中で、たくさんの気づきを得られました。貧困に直面している人や富裕層など、幅広い層の人々を見てきた中で、社会問題の解決に経済は大きいなツールの一つになると考えるようになりました。そこで経済に興味を持ち始め、社会科学に特化したLSEで経済学を専攻したいと決めました。 また、イギリスの大学の経済学専攻は数学重視で、どちらかというと理系寄りです。この点は自分に合っていたので、イギリスの大学を選びました。1年目の勉強はIBの延長線上くらいの感覚で、そこまで難しいとは感じなかったです。大体大学に入学できた時点であるの程度学力はあると思いますので、あとは努力を続けて、強い信念があればできると思います。 ロンドンでの生活はご飯がまずい以外は楽しいです。この前、久しぶりに日本に帰ってきて、お母さんが作った白米を食べた時は感動しました。 Pre-Departure Event全体の様子と新入生インタビューはこちらからご覧いただけますのでぜひ読んでみてください! https://passport-to.com/articles/36/ https://passport-to.com/articles/37/ 今回のイベントのスポンサー: https://jp.education-moi.com

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イギリス大学留学Pre-Departure Event 2025@東京 #2|新入生インタビュー編

イギリス留学のPre-Departure Event 2025が8月23日、東京都内で開催されました。Imperial College London(インペリアルカレッジロンドン)などのJapanese Societyが主催したこのイベントに参加した学生にインタビューしました。これから新生活を始めることにあたり、心境や楽しみにしていることについて聞きました。 大好きなロンドンで経済と数学の勉強を インタビューを受けるHanaさん Hanaさん 進学先:The London School of Economics and Political Sciences(LSE)専攻:International Social and Public Policy with Economics ロンドンが好きだから、そこの大学に進学しました。数学や経済は元々好きですが、それだけだと物足りないので、政治学の勉強もできるということでこの専攻を選びました。 今まで日本、ドイツ、アムステルダム、フランスで暮らしたことがあります。ロンドンに住んだことはないのですが、英検の海外受験会場がヨーロッパだとロンドンしかないので、受験のために何回かロンドンに行ったことがあります。その時に感じた街並みなどが気に入りました。将来役に立つと思って英検は1級まで取得したが、今のところ何にも役立っていないです(笑)。 大学に入ってからはいろんなソサエティー(サークル)の活動が楽しみです。あとは今まではとてもグローバルな環境で育ったので、これからもそのようなところで生活できることが良いです。将来は国際機関で働きたいです。 金融の勉強をするのが楽しみ Angelaさん 進学先:The London School of Economics and Political Sciences(LSE)専攻:Finance ドイツや横浜などに住んだことがあるが、昔ロンドンに住んで一番気に入ったのでロンドンの大学に進学しました。Stock pitch(ストックピッチ)※がきっかけで金融に興味が湧き、大学でその勉強ができるのが楽しみです。また、たくさんの人と出会って、友達を作るのも楽しみです。 ※Stock pitch(ストックピッチ)とは、特定の企業の株式を投資対象として推奨するためのプレゼンテーションのことです。企業のビジネスモデル、財務状況、成長可能性、リスクなどを分析し、「この株を買うべき/売るべき」と投資判断を論理的に示します。 研究者になり、革新的な研究をしたい 第二部のフリートークタイムで歓談するWakanaさん(左)とSeikaさん Seikaさん 進学先:Imperial College London専攻:Chemistry 4歳から4年間イギリスに暮らし、その後上海とノルウェーにも住んだことがありますが、イギリスが一番気に入ったので、大学はそこにしました。大学に入って、新しい人に出会って、友達を作ることが楽しみです。卒業後は大学院に進学し、その後研究者になって、革新的な研究をしたいです。 憧れの街並みでの学び Wakanaさん 進学先:King’s College London専攻:Digital Media and Culture ロンドンにインターナショナルな雰囲気があり、街並みに憧れがあったのでイギリスに決めました。勉強はもちろんですが、それ以外ではクリスマスマーケットが楽しみです。大学で学んだことを生かし、将来は人々のつながりを強くするためのサービスを提供する会社を起業したいです。 初イギリスだが、大学生活は楽しみ インタビューを受けるRintaさん Rintaさん 進学先:Imperial College London専攻:Economics, Finance and Data Science イギリスの大学受験はアカデミック活動を中心に評価されると知り、イギリスの大学にしました。アメリカの大学も検討しましたが、入学選抜では課外活動を中心に見られるため、自分にはあまり向いていないと思いました。 これからの留学で初めてイギリスに行きます。イギリスと言えば天気が悪く、ご飯がまずい印象ですね。でも大学生活は楽しみです。卒業後の進路ははっきり決まっていませんが、大学で学ぶことを生かし、教育にデータサイエンスを取り込んで、より効果的な教育環境にしていきたいと思います。 金融の中心――ロンドンで人脈を広げたい 入学後の抱負を語るTeruさん Teruさん 進学先:University College London(UCL)専攻:Mathematics with Economics 将来は金融系の職に就きたく、そのため大都市の大学に進学したかったです。本当はアメリカに行きたかったが、今のアメリカの政治によって経済も不安定になっているのでアメリカに行くことを断念しました。そこ以外で金融の中心と言えばロンドンですね。その中心にある大学を選びました。 ロンドンのような大都市の大学に行けば人脈が広がり、たくさんのコミュニティとつながりを持って有利になると思います。そういう意味でも、優秀な学生が集まるUCLのような有名な大学にはとても良い環境が整っていると思います。 次回の記事ではこのPre-Departure Eventの舞台裏をお届けしますので、そちらも併せてご覧ください! https://passport-to.com/articles/38/ また、前回の記事ではPre-Departure Event全体の様子が書かれています。ぜひ読んでください! https://passport-to.com/articles/36/ 今回のイベントのスポンサー: https://jp.education-moi.com

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イギリス大学留学Pre-Departure Event 2025@東京 #1

イギリスの大学留学を始める学生向けに8月23日にPre-Departure Event 2025が開催されました。このイベントは東京都内で行われ、4つの大学のJapanese Societyによる合同開催で、Moi Educationがスポンサーしました。 イベント当日の様子はこちらの動画からご覧いただけます! https://www.youtube.com/watch?v=pGcj4TY1IrA 参加したイギリスの4大学 Pre-Departure Eventのポスター 今回のイベントは4つの大学のJapanese Societyが主催しました。 Imperial College London(インペリアルカレッジロンドン)→インスタアカウント London School of Economics and Political Science(LSE)→インスタアカウント University of Cambridge(ケンブリッジ大学)→インスタアカウント University of Oxford(オックスフォード大学)→インスタアカウント その他にも、University College London(UCL)のコミッティーも参加しました。King's College London(キングスカレッジロンドン)からの参加者もいました。 Pre-Departure Eventに参加した新入生とJapanese Societyのコミッティーたちの集合写真 イベント開始 15時の受付開始と同時に参加者が続々と入場しました。参加者は9月から新しくイギリスの大学や大学院に進学する学生です。そのうちLSE進学者が12人と一番多く、その次にインペリアルの4人などで、コミッティーを含めると約40人でにぎわっていました。 新入生のバックグランドは十人十色で、今回の大学進学を機に初めてイギリスに行くという人から、中学や高校からイギリスのボーディングスクールに通い、そのままイギリスの大学に進学したという学生までいました。また、小さい頃から海外で暮らし、今までいくつもの国を転々としてきたという学生もいて、経歴はさまざまでした。 イベント開始前に参加者同士が歓談している様子 会場に入ったあとは近くにいる人と歓談したり、進学する予定の大学の先輩と情報交換したりしていました。 第一部: イギリスの大学生によるプレゼンテーション イベントは15時半にスタートしました。第一部ではJapanese Societyのcommittee(コミッティー)によるプレゼンテーションが行われました。来場者は会場の前方に集まり、コミッティーたちがスライドを用いた説明を熱心に耳を傾けました。 Japanese Societyのコミッティーによるプレゼンテーション まずはコミッティーの自己紹介から始まりました。主催した4つの大学以外にもUniversity College London(UCL)のJapanese Societyのコミッティーが登場しました。在籍大学とコース、趣味やJapanese Societyでの役割について紹介されました。 その後、イベントのスポンサーであるMoi Educationの代表、Makiさんの挨拶が行われました。Moi Educationが行っている留学・オンライン指導事業及び本メディア「PASSPORT」について、5月のイギリス訪問記録動画を視聴しながら説明されました。 https://youtu.be/sVUX9zAo1uE その一環で、動画撮影でドローンを使用しているとの説明があり、後ろから実際に使っているドローンが飛んできました。ドローンパイロットの小林佑誠さんが操縦し、来場者の頭上を数周回りました。最後はMakiさんの手のひらに着地する演出がありました。 目の前に飛んでいるドローンを見る来場者 その後、学生生活にまつわることをコミッティーたちの体験談や失敗談を基に紹介されました。授業の説明では、コミッティーたちの実際の時間割が表示され、それを基に忙しさや課題攻略法などが伝授されました。学部や専攻によって異なるため、コミッティー全員がそれぞれの時間割について話しました。 生活面では、入学した最初の1週間の予定や入寮の手続きが紹介されました。それからロンドンや近郊にある日本料理が食べられる飲食店、あるいは日本の食材が手に入る店が紹介されました。また、大学で参加できるソサエティ(サークル)やボランティア活動について説明され、各大学のJapanese Societyの活動内容も紹介されました。 学生生活に関わるさまざまなテーマのプレゼンテーションをするコミッティーたち その後、一部の大学では入学したと同時に就職を意識するような活動を行う学生が多いがあるとの説明がありました。あるコミッティーは「入学したあと、初めて会う人たちとはインスタ交換ではなく、最初にLinkedIn(リンクドイン)のアカウントを聞かれた」と実体験を語りました。 最後はイギリス出発に向けての準備や持ち物などについてアドバイスがありました。 第二部: 大学ごとのフリートーク時間 プレゼンテーション終了後、第二部の自由会話時間に入りました。参加者は大学ごとに分かれ、大学生活について気になることを先輩に質問したり、授業などの情報を入手したりしていました。 大学ごとに集まり、在学生と情報交換する参加者 その後は大学を区別せず、参加者は近くにいる人と情報交換したり、同じ大学に進学する人や異なる大学に進学する人と交流を深めました。イベント自体は18時終了ですが、時間になっても話したいことが尽きることなく、その後は希望者で夕食を食べに行きました。 新入生インタビューとイベントの舞台裏 参加した新入生はどのような気持ちで留学に臨んでいるのか、またイベントを開催するにあたりどのような準備が行われたのか。新入生インタビューとコミッティーが行った準備を次回以降の記事でたっぷりお届けしますのでそちらもご覧ください! https://passport-to.com/articles/37/ https://passport-to.com/articles/38/

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