はじめに
こんにちは!Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを勉強しているKotokoです。
今はちょうど大学1年目が終わって夏休みに入り、1年次の成績も出ました。今回は、1年生の間に受けた授業のテストや課題をもとに、成績の評価方法についてお伝えしたいと思います。なお、ここで紹介する評価方法は私が通っているGoldsmithsでの一例であり、大学や専攻によって異なる場合があります。参考としてご覧ください。
イギリスの大学の学期と成績評価方法の概要
まず、イギリスの大学は日本と違い、秋入学で、秋(9〜12月)、冬(1〜3月)、夏(4〜6月)の3学期制を採用しているところが多いです。
また、評価方法も日本のように期末試験だけに重きを置くのではなく、エッセイや課題提出、プレゼンテーションなど多様な評価方法をバランスよく取り入れているのが特徴です。
私は1年生で秋タームに3つ、春タームに3つの授業を受けました。夏タームは授業がなく、主にテスト期間として設定されていたため、今回は秋と春の授業に絞って評価方法を詳しく紹介していきます。
秋タームの授業と評価方法
Introduction to Promotional Media
この授業では、私の専攻であるPromotional Mediaの基礎について、歴史的背景や主要な理論を中心に学びました。広告、PR、ブランディングといったプロモーションの役割や、メディアとの関係性について、理論的に深掘りする内容でした。
評価方法①:エッセイ(800 words) – 30%
授業で扱った理論を使って、ある事例を分析する課題でした。初めての大学の評価課題だったこともあり、リサーチや構成にかなり時間がかかりましたが、テーマが身近だったので、取り組みやすかったです。
評価方法②:エッセイ(2000 words) – 70%
先生が提示した7つのテーマから1つを選び、授業で学んだ内容を活かして深く掘り下げる課題でした。最低5つの学術文献を引用する必要があり、リサーチ力と論理構成力が求められました。プレッシャーはありましたが、時間をかけてじっくり書き上げることができました。
Introduction to Marketing
この授業では、マーケティングの基本についてセミナー形式で学びました。
評価方法①:エッセイ(1500 words) – 50%
授業で学んだマーケティングの理論を使って、最近のマーケティング関連ニュースを分析するという課題でした。冬休み前の提出だったので普段の授業の予習と並行して進める必要があり、正直なところ計画的に取り組むのが難しかったです。
評価方法②:試験(1時間半) – 50%
夏タームに行われた手書きの筆記試験で、当日提示された3つの質問の中から2つを選び、エッセイ形式で回答します。お題が事前に知らされなかったので、重要な理論や研究者の名前をしっかり暗記して、スペルミスなく書く必要がありました。私にとって、この試験が最も難しく感じました。

Writing for the Media
この授業は、これまで紹介した2つの授業とは違って、より実践的な内容でした。専攻生全員が2つのグループに分けられ、少人数で行われたのも特徴です。授業時間も1〜2時間ではなく、お昼休みを挟んで午後4時ごろまで続く長めの授業です。先生との距離も近く、実際に手を動かしながら学ぶスタイルでした。主に、新聞記事やSNS投稿など、“書くこと”に特化したメディア表現について学びました。
評価方法①:エッセイ(1000 words) – 30%
授業で習った理論を使って、SNS投稿など実際のメディアの例を1つ選び、分析するという課題でした。
評価方法②:ポートフォリオ制作 – 70%
自分で1つキャンペーンを考案し、そのキャンペーンに関する以下の内容を含んだポートフォリオ(2500〜3000 words)を作成しました:
- スローガンと概要
- Q&A(インタビュー内容を記事化)
- プレスリリース
- ソーシャルメディア投稿(10個)
冬休み明けの提出だったため、冬休み期間を使ってじっくり取り組むことができました。実際に手を動かして作る経験ができる授業で、学びがとても濃かったです。
また、このポートフォリオ制作に向けて、フォーマティブ課題※としてプレゼンテーションを行う機会がありました。これは成績には含まれませんが、先生からのフィードバックをもとに自分の企画をより良いものにブラッシュアップできたので、実践に活かせる貴重な時間でした。
イギリスの大学では、評価には大きく分けてFormative Assessment(フォーマティブ評価)とSummative Assessment(サマティブ評価)の2種類があります。
- フォーマティブ評価:成績には影響しない練習課題やプレゼンテーションなどを指し、学びの途中でフィードバックをもらうためのものです。自分の理解度を確認したり、本番課題の準備をしたりする目的で行われます。
- サマティブ評価:最終成績に反映される正式な課題(レポート、試験、ポートフォリオなど)で、学期の終わりや一定のタイミングで提出します。
春タームの授業と評価方法
Culture and Cultural Study
この授業では、「文化」という広いテーマを、歴史、メディア、ジェンダー、ポピュラーカルチャーなど様々な視点から学びました。講義スタイルで進行し、理論的な内容が多かったのが特徴です。
評価方法:エッセイ(1000 words×2) – 各50%
春休みの2週間の間に、出された10個のトピックの中から2つを選んでエッセイを書く形式でした。
また、これに先立ち、春休み前にはフォーマティブ課題として500 wordsのエッセイがありました。TikTokの動画を選び、授業で習った材料を使って分析する内容です。私は先生からもらったフィードバックをもとに春休み中の本番エッセイに活かしました。
Media Art
この授業では、メディアアートとは何かについて、様々なジャンルのメディアアート作品を通して学びました。
評価方法:メディアアート・プロジェクト(動画+エッセイ) – 100%
この授業の評価は1つの課題に集約されていて、メディアアート・プロジェクトとして、自分で1〜2分の動画作品を制作し、さらにその作品のコンセプトや使用した手法などを900 wordsのエッセイで解説するものでした。動画はTikTokやCapCutなどの編集アプリを自由に使って制作し、YouTubeにアップロードして提出しました。春休み明けの提出だったため、時間をかけて仕上げることができました。
またこの課題に向けたフォーマティブ課題として、春休み前にエキシビションレポート(750〜800 words)がありました。メディアアートの展示を実際に見に行き、そこで出会ったアートワークとアーティストについて分析する内容で、本課題に向けた良い準備になりました。実際に自分で作品をつくるというユニークな経験ができた授業で、表現と分析を同時に学べる貴重な機会でした。

Web Design
この授業は、先に紹介したWriting for Mediaと同様に、少人数グループでの実践的な内容でした。授業は朝10時から夕方4時までの長時間で、じっくりと制作に取り組める環境でした。
授業では、秋タームに作成したキャンペーンのポートフォリオをもとに、Webサイトを一から制作し、そのアクセス状況をGoogleアナリティクスを使って分析することが求められました。
評価方法①:Webサイトプランの提出 – 10%
どんなWebサイトを作るか、ロゴやカラーなどのデザイン要素をまとめた企画書を提出しました。
評価方法②:Webサイトポートフォリオ – 90%
完成したWebサイトのリンクに加え、500〜800 wordsのGoogleアナリティクスを用いたアクセス分析レポート、そして1000〜1500 wordsのSelf-reflective essay(自分がWebサイト制作を通じてどのように成長したかを振り返るアカデミックなエッセイ)を含むポートフォリオを提出しました。
この授業では、企画から制作、分析、振り返りまで一連のプロセスを実践的に学べ、非常に充実した内容でした。
最終評価の仕組み
ここまで秋タームと春タームでの各授業の評価方法をご紹介しましたが、最終的にPass(合格)かどうかは、それぞれの授業で得た成績の合計点に基づいて判断されます。私の通うGoldsmithsでは、各授業の評価で40%以上を取るとその授業はPassとみなされます。
秋の授業の評価結果は、冬休み明けに発表され、冬の授業は春休み明けに発表されます。そして、それらを合わせた1年次全体の成績は夏休みの初め頃に届きました。
私は無事すべての授業に合格することができましたが、万が一落ちてしまった場合でも、夏休み中に再提出や再試験の機会があるので、あまり過度に心配する必要はないと思います。
良い評価をとるためのコツ
実際に1年間、課題やエッセイに取り組んでみて、「これは大事だな」と感じたポイントを紹介します。
課題の指示書は注意深く読む
エッセイやプレゼンの課題には、必ずassignment brief(指示書)があります。そこにはトピックだけでなく、フォーマット(段落構成・引用方法など)や評価基準も書かれています。書いている途中でも、何度も見返してちゃんと指示通りにできているか?を確認することがとても大事です。
言いたい内容を最初に伝える
英語のエッセイやプレゼンでは、最初のパラグラフで自分の主張やトピックをはっきりと伝えるのが基本です。これをthesis statementと言います。日本語の文章のように結論を最後に持っていくのではなく、英語では最初に要点を伝えるスタイルが好まれるので、意識してみてください。
指定のリーディングから引用する
授業ごとに、先生が選んだreading list(リーディングリスト)があります。そこに載っている文献や資料からの引用は、課題の評価を上げる上でとても効果的です。先生が大事と思っている資料を理解し、それを課題で活用することで、評価につながりやすくなります。
大学のサポートを活用する
多くの大学には、留学生や英語が母語でない学生向けに、文法やエッセイ構成を見てくれるAcademic Writing Supportのようなサポートがあります。Goldsmithsにも図書館にそのスタッフがいて、私は毎回予約してチェックしてもらっていました。質問もできて、エッセイの質がかなり上がるのでとてもおすすめです。
エッセイや課題で使える便利ツール&ウェブサイト
1年間を通して、課題などを進める中で先生や友達から教えてもらった、勉強に役立つ便利なツールを3つ紹介します。
Canva
私はプレゼン資料(パワーポイント)の作成や、エッセイの構成を考えるためのマインドマップとしてよくCanvaを使っていましたが、他にもチラシや履歴書(CV)、Webサイトまで簡単に作成できるのでとても便利です。テンプレートが豊富で、初心者でも見やすくおしゃれなデザインがすぐに作れます。私も春タームのWeb Designの授業でマインドマップをCanvaで作りました。

My Bib
My Bibでは、エッセイの最後に載せるreference list(参考文献リスト)を簡単に作ることができます。まず、大学に指定されている引用スタイル(例:Harvardなど)を選び、そのあと参考文献のタイトルやURLなどを入力すると、自動的にリストに追加してくれます。In-text citation(文中引用)にも対応していて、私はエッセイを書くときに毎回使っています。
Plagiarism / Grammar Checker
エッセイを書くときに特に注意したいのがplagiarism(盗作)です。誰かの文章をそのまま使うときは “ ”(ダブルクォーテーション)で囲む必要がありますし、パラフレーズ(言い換え)をする場合も出典を明記する必要があります。私はエッセイを書き終えたら、Plagiarismで自分の文章をチェックし、無意識に盗作になっていないか確認しています。
同じサイトにはGrammar Checkerの機能があり、文法やスペルミスをチェックできます。特にイギリス英語とアメリカ英語でスペルが違う単語(例:colour / color)なども見直せるので、提出前の最終チェックにおすすめです。
まとめ
ファウンデーションコースと比べて、大学1年生では毎週の予習(リーディングリストに沿った文献を読むこと)が増え、最初は少し大変に感じました。でも、留学生でもしっかり授業に参加し、課題にも時間に余裕を持って取り組めば、十分やっていけると実感しました。
今回紹介した授業の内容や評価スタイル、アドバイス、便利なツールなどが、これから入学される方や1年次を迎える方の少しでも参考になれば嬉しいです。
そして何より大切だと感じたのは、わからないことは遠慮せず質問すること、大学のサポートサービスを積極的に活用すること、そして無理をしすぎず、自分のペースを大事にすることです。
これからの大学生活が、皆さんにとって実りあるものになりますように。応援しています!